Interview With Akiko Shinoda

ジャパン・ファッション・ウィーク・オーガナイゼーション国際ディレクター信田阿芸子インタビュー

Interview With Akiko Shinoda
Interview With Akiko Shinoda
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ジャパン・ファッション・ウィーク・オーガナイゼーション国際ディレクター信田阿芸子インタビュー

Interview With Akiko Shinoda

パリコレクション、NYコレクション、ロンドンコレクション。それの日本版にあたるものがMercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京 / 以下: MBFWT)である。いわゆる東コレと言われるものだ。以前はJFW in Tokyo(東京発 日本ファッション・ウィーク)という名称で開催されていたが、2011年7月から高級車メーカーのメルセデス・ベンツを冠スポンサーに向かえ、現在の名称となった。経済産業省からも支援を受け、日本のファッションの国際的な発展を後押しする役割を担う同機関で国際ディレクターを務める信田阿芸子氏に話を聞いた。信田氏が考える日本のファッション・ウィークのあり方や今後の課題とは?

パリコレクション、NYコレクション、ロンドンコレクション。それの日本版にあたるものがMercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク東京 / 以下: MBFWT)である。いわゆる東コレと言われるものだ。以前はJFW in Tokyo(東京発 日本ファッション・ウィーク)という名称で開催されていたが、2011年7月から高級車メーカーのメルセデス・ベンツを冠スポンサーに向かえ、現在の名称となった。経済産業省からも支援を受け、日本のファッションの国際的な発展を後押しする役割を担う同機関で国際ディレクターを務める信田阿芸子氏に話を聞いた。信田氏が考える日本のファッション・ウィークのあり方や今後の課題とは?

—まず信田阿芸子さんの簡単なプロフィールと、Japan Fashion Week Organization(ジャパン・ファッション・ウィーク・オーガナイゼーション / 以下: JFWO)の国際ディレクターになられた経緯を教えてください。

1993年に伊藤忠商事に入社しました。当時、課長だった岡藤正広(現: 伊藤忠商事 代表取締役社長)と同じ部署に入り、ちょうど伊藤忠商事がブランドビジネスを立ち上げたばかりでした。私の担当は欧米ブランドが中心で、最初はデリバリー、プレス、ライセンスなどを経験し、その後はインポートビジネスをやったり、事業会社を作ってそこでリテールもやったり、いろいろなポジションを経験しました。そして、伊藤忠ファッションシステム(以下、ifs)に出向となり、コンサルティングだったり、セレクトショップが海外ブランドを買い付ける際のサポートなど、本社ではできないようなこともやらせてもらっていました。

JFWOの国際ディレクターになった経緯は、2005年当時、他社がJFW in Tokyo(東京発 日本ファッション・ウィーク)を運営していたんですが、それを立ち上げた経済産業省の宗像直子さんからJFWOに来てくれませんか?と、お声掛けしていただいたことがきっかけです。予定外の人事異動になるので、調整が大変でしたが、宗像さんに説得されて結局JFWOに出向することになったんです。そして、現場で1年間ほど運営をやったんですが、長年ブランドビジネスを経験してきた自分からすると、このままではいけないという危機感があり、ファッションの知見があるifsに委託することになったんです。当時JFW in Tokyoにかかっていた予算を大幅に抑えることができた、ということもあります。予算的にJFW in Tokyoの運営はかなり厳しいのですが、ifsはそもそも、日本のファッション産業をどうしていくべきか、ということを考えている会社なので、予算が減らされていく中で改善するための知恵を出して自立化に向けて策を練っていったんです。

そしてJFW in Tokyoの第9回目からifsが運営するようになりました。そして、第13回目から「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO(メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京)」という名前に生まれ変わりました。

—2011年7月から「Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO」になった経緯も教えてください。

Mercedes-Benz(以下: MB)のスポンサーシップに関しては、NYに本社をもつ大手マネージング会社IMG(アイエムジー)に間に入ってもらって進めていきました。実は以前にも交渉をしたことがあったのですが、実現にはいたっていなかったんです。それから私が引き継いで、ずっとIMGとコンタクトをとって交渉をしていました。お忍びでIMGの重要人物が視察に来たこともありました。そして2010年、シドニー・ファッション・ウィークの開催中に、IMGの重鎮が集合する会議があったんですが、そこで私が窓口となって契約が正式に決定したんです。

ちなみに日本のIMGはテニスの錦織圭選手やフィギュアスケートの浅田麻央選手など、スポーツ選手をマネージングするチームしかないので、NYのIMGファッションチームに直接連絡をとり、指導を受けることもあります。世界のファッション・ウィークはパリコレ以外はほとんどIMGが入っていますからね。例えばベルリンみたいにエッジの効いたクリエイターがたくさんいるようなところもやっているので、クリエイターの扱いがいかにむずかしいかということをよく分かっているんですよね。だからきちんとリスペクトもある。「日本のファッションの世界は独特だと思うので、現場はお任せします。当社はスポンサー獲得の営業に尽力します」と言ってくれています。メディアには外資に乗っとられてしまうのでは?という批判もありましたが、そこはもうベルリン、モスクワ、ロンドンなど世界中の国もやっているので、ちゃんと理解があるんですよ。Peter Levy(ピーター・レヴィ)という方がIMGファッションのマネージング・ディレクターなんですが、はじめて来日された際にメルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京を一通り見て、「問題ない。これだったら絶対大丈夫」と言ってくれました。

—MB社がタイトルスポンサーになって、一番変わったことはなんですか?

いままで業界団体として、ファッション業界のためになることだけを考えて開催していましたが、スポンサーやスポンサーのユーザーにとっても良いイベントにするというベクトルが加わったので、工夫しなくてはいけないことは増えました。ただ、認知度を上げるには絶好のチャンスだと思っています。

—具体的にはどういう目標があるんですか?

まずは、MB社のクルマの魅力を、ファッション業界はじめ多くの人たちに知ってもらうこと。日本では、自動車メーカーであるMB社とファッションのイメージがつながることはあまりなかったのではないかと思います。ファッションもライフスタイルもおしゃれに楽しむ、スマートで感度の高い人たちにMB車をもっと知ってもらい、乗ってもらうこと。まずは、「ベンツ」ではなく、グローバルに「メルセデス」という呼び方を日本でも浸透させたいですね。MB社の方々とは、ファッション・ウィークのヴィジョンを深く共有していて、こうやったら新人デザイナーを世に広められるとか、どうやったらファッション・ウィークが盛り上がるかなど、運営側の目線でもご意見をいただきます。やはり世界中のファッション・ウィークのタイトルスポンサーをされているので、ファッション業界全体を俯瞰できるのかもしれません。

—2005年の秋ですかね。国としてまとまった期間にコレクションを集中してやる動きがあったと思うんですけど、いまだと2ヶ月ぐらいにわたってしまってトーンダウンしてしまった感があるんですけど、東京のファッション・ウィークをもっと盛り上げて、海外のバイヤーたちを呼ぶにはどういう策をとったらいいでしょうか?

メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京としては、会期を1週間程度に集約していますが、会期外で独自にショーをしているブランドもあるので、海外バイヤーやメディア関係者にとっては不便かもしれません。地道にひとつひとつ改善していくしかないと思います。
隣のソウルでは100人強の海外メディアやバイヤーの招待枠をもっているのですが、現状、東京では7〜8人程度です。ただ、人選をすごく慎重に行っています。海外の重要人物を招き、帰国後に東京のファッション・ウィークを話題にしてくれれば、広がっていきますからね。あと公式サイトは、英語ページもありますので、海外にも情報を発信できるようにしています。あと、「VERSUS TOKYO(バーサス・トーキョー)」のような取り組みもそのひとつの手段だと思います。“わかりやすさ”というのがキーワードかもしれないですね。IMGがパートナーになってからは、海外からの来場者が確実に増えています。

—ソウルと東京でファッション・ウィークのスケジュールがかぶってしまったこともありましたよね?

意図的ではありませんが、重なったことがあります。お互い反省していて、今後二度と起きないようにしようとソウルの担当者と話をしました。今後も同じアジア同士、様々な面で連携していきたいと思います。

—東京のファッションショーは今後、一般公開していく方向で進んでいくんでしょうか?

公開していくことはいいことだと思います。ジャーナリストのスキームとかメディアのスキームがどんどん変わってきていますからね。昔は限られたジャーナリストが消費者に伝えるという構図だったと思いますが、今はジャーナリスト以上にマニアックな子がストリートにいたりしますから。。この前sacai(サカイ)の方と話す機会があったんですが、sacaiのパリのショーでは200人ぐらいしか入れないそうなんです。つまり昔の手法を取っていて、絶対に見て欲しい人しか入れていないんです。オープンだったり、逆にクローズドだったり、ショーのやり方は多岐にわたってきています。

—2013年春夏の会場は渋谷ヒカリエになりましたね。

ヒカリエ9階のホールには、ショーを行うには十分なスペックが整っているので、ブランドにとっても大きなメリットになると思っています。あと、深夜のイベントも可能になります。

—海外のバイヤーたちと話していて日本ブランドって輸出すると関税や送料などが合わさって値段がすごい高くなるので、なかなか売れないとよく言われるんですが。その辺をなんとかする方法はないんですかね?

例えば、韓国とEUは関税撤廃の契約を結んだので、仕上げを韓国でおこなってEUに輸出するのは関税なしでいけるんですよね。日本も将来的には、そうなると良いですね。すでにインドとは締結しています。素材は日本で縫製は中国やインドなど、日本生産を残しつつ、ある程度のグローバル化も必要かもしれません。ちなみに、中国や香港などの好況なマーケットでは高価でも、日本製が人気のようです。

—最後に一言お願いします。

日本のファッション産業全体を盛り上げて、世界にもっと日本のファッションの素晴らしさを発信していきたいです!

—東京のおすすめスポットを教えてください。

「PARIYA(パリヤ)」
東京都港区北青山3-12-14 MAKO北青山 1F
11:30~23:00 (LO/FOOD22:00 DRINK22:30)
大学の卒論テーマがイタリア料理だったくらい、イタリア料理にはうるさいです。イタリア料理にうるさ過ぎる上、若い時に大量に食べ過ぎたこともあり、ジェラートを長年封印していました。久々に食べたジェラートが吉井雄一氏作だったんですが、素直に感動!ブツブツ言わずに食べられるジェラートなのでありがたいです。

「鮨 小野」
東京都渋谷区恵比寿1-1-5 エビスオークビルⅠ 2F
[月~金] 18:00~24:00 [日] 17:00~23:00
密かに業界の大物が集う、本当に美味しいお寿司屋ですが、大将は意外に大変若い方で、しかも独身。勉強熱心な方です。

「海南鶏飯食堂 恵比寿店」
東京都渋谷区恵比寿1-21-14 Costa De Verano 1F
Tel & Fax: 03-3447-3615
Lunch 月〜金 11:30 – 14:00(L.O 13:30)
土日祝 11:30 – 15:00(L.O 14:30)
Dinner 月〜日 18:00 – 23:00(L.O 22:00)
若い時に大変お世話になった小柴氏が創立した食堂。小柴氏はフレンチ含め、味の判断には弊員が一番信頼している方です。安くて旨いとはこのことだ!と思わせるお店です。