Interview With Warpaint

PORTRAITS | May 16, 2017 11:00 PM
なんて完璧なバンドなのだろう。毎年100本を超えるライヴを見ていると、「ああいうバンドを組んでみたい」とか、「あんな演奏をしてみたい」と思うことはしょっちゅうあるが、「もし女性に生まれていたら、あんなバンドをやってみたかった」と思わせてくれるのは、世界中を見回してみても Warpaint (ウォーペイント) だけだ。

なんて完璧なバンドなのだろう。毎年100本を超えるライヴを見ていると、「ああいうバンドを組んでみたい」とか、「あんな演奏をしてみたい」と思うことはしょっちゅうあるが、「もし女性に生まれていたら、あんなバンドをやってみたかった」と思わせてくれるのは、世界中を見回してみても Warpaint (ウォーペイント) だけだ。

彼女たちにとって3度目の来日であり、初のヘッドライン・ツアーとなった今回、2月28日に LIQUIDROOM (リキッドルーム) で行われた東京公演は見事ソールド・アウト。昨年リリースされた 3rd アルバム『Heads Up (ヘッズ・アップ)』の楽曲を中心に据えたライヴは、怪しい儀式のようにミステリアスで、妖艶で、ステージ上の4人が放つサウンドと色気に一瞬で惹き込まれてしまう素晴らしいものだった。Stella Mozgawa (ステラ・モズガワ) のリムショットがオーディエンスに魔法をかける「Love Is to Die (ラブ イズ トゥ ダイ)」も筆舌に尽くしがたいが、やはりハイライトとなったのは Warpaint 史上もっともキャッチーでダンサブルな「New Song (ニューソング)」だろう。Daft Punk (ダフト・パンク) の「Get Lucky (ゲット・ラッキー)」にインスパイアされたというこの曲の多幸感はハンパじゃなく、かつては「ダークで魔女っぽいサウンド」と片付けられていた彼女たちが、ネクスト・フェーズへと進んだことを高らかに告げていた。

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

Warpaint Japan tour 2017 @LIQUIDROOM

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以下のインタビューは、東京公演の直前に楽屋で行われたものだ。Stella はドラム専門誌の取材と重なったため欠席だったが、2004年の結成時から不動の3人—Emily Kokal (エミリー・コーカル)、Theresa Wayman (テレサ・ウェイマン)、Jenny Lee Lindberg (ジェニー・リー・リンドバーグ) が集結。『Heads Up』のレコーディングにまつわるエピソードから、活動拠点であり地元でもある LA への想い、そして Calvin Klein Jeans (カルバン・クライン・ジーンズ) の広告キャンペーンにも起用されるほど独創的な、彼女たちのファッションについてもざっくばらんに語ってもらった。

Photo by UTSUMI

Photo by UTSUMI

―2月から再開したツアーは、ブラジル、インドネシア、オーストラリア、そして日本と周ってきていますが、現在のバンドのコンディションはいかがですか?

Emily Kokal (以下、Emily):イエス、間違いなく良い感じね。(バンドの休止中に) それぞれがいかに成長したのかが実感できるし、一度ブレイクを取ってからツアーを再開できたのも良かった。前より新鮮な気持ちで過ごせている。

―さて、去年リリースされた新作『Heads Up』についてお聞きします。過去2作に比べてグッとダンサブルなサウンドになっていますが、これは制作当初から意識的だったそうですね。何かヒントとなった作品であったり、新たに採用したアイディア・機材などはあったのでしょうか?

Theresa Wayman (以下、Theresa):そうね、私は小さなシークエンサー (自動反復演奏装置) を手に入れたから、自分のシンセサイザーと繋げて色々なサウンドを試してみたりしたわ。私たちが曲を作るときって、突拍子もないアイディアが飛び交うことも多くて。たとえば、より速くてダンサブルな雰囲気にしたいときは、あえて曲調は無視してテンポを速く刻んでみたり (笑)。

Emily:あとは、ドラムマシンを使ってデモをたくさん作ったよね。LA でアルバム制作をスタートしたときに、メンバーそれぞれが自分の中でしっくりくるリズムがあることがわかって、「これは 3/4 拍子」「これは 4/4 拍子」って感じでコンピュータとにらめっこしながら、徐々にスローダウンしながら曲にしていった感じ。

―Jenny (jennylee名義) の『Right on! (ライト・オン)』(2015年) をはじめ、メンバーそれぞれのソロ・プロジェクト経験は、バンドにどんなフィードバックをもたらしたと思いますか?

Jenny Lee Lindberg (以下、Jenny):もちろんすごく重要な経験だったと思うけど、こうしてバンドの活動に戻ってみると、やっぱり1人のときより気分的にもラクね。その代わりに、状況をきちんと理解して感情をコントロールしなきゃいけない場面もある。(Warpaint では) しっかり戦いの準備をして制作に取り掛からないと、自分が殺られちゃうからさ (笑)。

―TheresaもBOSS (ボス) (Hot Chip (ホットチップ) やAll We Are (オール・ウィー・アー) のメンバーらと結成したグループ) などのサイド・プロジェクトが活発でしたよね。

Theresa:BOSSのプロジェクトは「自分のソロ・ワーク」と言い切れるほど深く関わってはいないの。だから、ツアーと並行して私自身のソロ・アルバムも制作真っ最中といった感じね。「私自身が本当に表現したいものは何だろう?」と自問自答を繰り返していて、それは Warpaint のサウンドとはまったく違う、”声” を中心に据えた風変わりな作品になるかもしれない。

Emily:私は個人的に映画のプロジェクトを始めたばかりよ。実はストーリーを書く前にアイディアだけはあって、それはとある日本人ミュージシャンについての映画なの。そもそもがちょっとしたハプニングから始まったんだけど、今は Ableton Live (ドイツのミュージックシーケンサーソフトウェア) の使い方を憶えながら試行錯誤しているところね。ちょうど明日、友人のミュージシャン (筆者注:Bo Ningen (ボーニンゲン) のメンバーと思われる) と会ってプロジェクトの相談をしようと思っていたところ。新しいことばかりで大変だけど、すごく面白い作品ができると思うわ。

―ちなみに、今作の共同プロデューサーである Jake Bercovici (ジェイク・バーコビチ) は、Julian Casablancas and the Voidz (ジュリアン・カサブランカス + ザ・ヴォイズ) (The Strokes (ストロークス) のフロントマンによるサイド・プロジェクト) のメンバーでもありますよね。彼と仕事をすることになったきっかけは?

Jenny:まず、自分たちだけでセルフ・プロデュースするよりも良い作品にしたかったの。外部からのプレッシャーやお金の問題があったわけじゃなくて、個人的にも、ミュージシャンとしても尊敬できる人と仕事をしたかったから。レコーディングで煮詰まったときは外からの力を借りたくなることもあって、それによって新しい視点に気付かされることもあるし、自分の感情から生まれてきたものをカタチにするためはに必要不可欠だったりもする。ただ、いちばん大事なのはお互いが気持ちよく仕事をできることに尽きるでしょ? その点、Jake はジョークの才能もあるし、プロデューサーだけど悪友みたいな感じですごく楽しかったわ。

Theresa:バンドにとっても、一生忘れられないエピソードばっかりだしね (笑)。

Jenny:私たちが Jake に求めていたのはエンジニアとしての能力でも、プロデューサーとしての適正でもなくって、彼の “クリエイティビティ” そのものよ。彼は Pro Tools (音楽制作のためのソフトウェア) が得意だし、ペインターとしての才能もあって、サイケデリックなものも大好きで……。

Theresa:彼はラスタ (ラスタファリアニズム) の体現者にも見えるわ。

Jenny:Jake の自宅兼スタジオでは彼の兄弟がもてなしてくれて、すごくアットホームで居心地のいい環境だった。スタジオって、プロデューサーとエンジニアの板挟みになって神経をすり減らす場所だと思っていたし、お互いのことを深く分かり合おうとする時間さえないのよね。その点、彼のスタジオでは自分たちも自然体で過ごせたし、結果的に『Heads Up』は過去のどの作品よりもスムーズに作ることができたんじゃないかな。

―今回、Andrew Weatherall (アンドリュー・ウェザオール) や Nigel Godrich (ナイジェル・ゴドリッチ) といった “UK” の人脈が関わっていないですよね。あえて自分たちたちだけで作品を完成させようという意図があったのでしょうか?

Theresa:ええ、できる限り自分たちのホーム “LA” で完結させたかったの。アルバムを作るのってすごくプレッシャーのかかることだし、時間や予算の問題もあったから……。それに、時間やお金が足りないからって妥協したり、自分に言い訳をしたくなかった。もちろん、他にも色々と理由はあるんだけどね。

Jenny:Jake が私の家に来たとき、コンピュータや機材を使って一緒に作業することもあったわ。

Emily:「ズボン履いてよ!」って叫びながらね (笑)

Theresa:そう、彼って気づくといつもパンツ姿なんだもの (笑)。今となっては彼の仕事ぶりよりも、あのパンツしか印象に残ってないわ (笑)。

―そういえば、セルフタイトルの前作『Warpaint』(2014年) は Stella が正式加入した後ということもあり、「バンドにとってはじめてのアルバムのような気がした」とおっしゃっていましたね。では、『Heads Up』はウォーペイントにとってどんな位置付けとなるアルバムですか。

3人:うーん…… (しばし考え込む)。

Theresa:再び一緒にアルバムを作ってみて思ったのは、以前よりもメンバーそれぞれの “個性” が表れているんじゃないかしら。

Jenny:そうね、サウンドはもちろんソングライティングにおいても、”個性”というのは意識的だったと思うけど…… (ボイスレコーダーを気にしてポテチの袋を開けようか迷っている)。

―開けちゃっても大丈夫ですよ (笑)。

Jenny:ソーリー (笑)。さっきの続きだけど、レコーディングのプロセスにおいても、友情やリレーションシップにおいても、前よりずっと強く進化したアルバムだと思うわ。音楽的には自分自身の作曲能力や演奏スキルが確実に上がったと言えるしね。どんな小さなアイディアでも恐れず採り入れてみたし、レコーディングに関わるすべてのことが心から楽しめたと思っている。

Emily:どこか革命的な体験でもあったかな。「私たちにもこんなことができるんだ!」って素直に驚いたし。

Jenny:うん、間違いない! 私自身にとってもフェイバリットな1枚になったしね。

Heads Up

Heads Up

―4人が手を繋いでいるジャケ写も素晴らしいです。これはどこで撮影されたのでしょうか?

Theresa:LA のダウンタウンにある、私たちのリハーサルスペースよ。このアルバムを制作した場所でもあるの。内側の写真は私たちが窓越しに見ているダウンタウンの光景ね。

―昨日 (現地時間:2月26日) ちょうどアカデミー賞の発表がありましたけど、LA はショービズの中心地でありながら、アンダーグラウンドのコミュニティも盛んですよね。Warpaint にとって、「LAで音楽活動を続けること」の意義とは何ですか?

Emily:自分たちのホームタウンだし、音楽をやる上でもベストな環境だと思うの。多種多様な “シーン” が存在しているからね。

Theresa:とにかく本当にクールな場所。今ではエコー・パークやハイランド・パークに素敵な人びとがたくさん住んでいるし、あなたも言ったようにコマーシャルなものとアンダーグラウンドなものが共存している。お互いのカルチャーが刺激し合っているのも魅力的だわ。

Jenny:ローカルのシーンにも良い曲を書くバンドが結構いるのよね。そういったシーンに身を置くことが私たちにとって大きなインスピレーションになるし、エナジェティックな人びとが全米だけじゃなく世界中から移り住んでその一部になっている。様々なセンスを持った人が集まる人種のるつぼであり、ユニークなシーンもたくさんある。うん、LA はやっぱりクールだと思うな。

Emily:2000年代前半に私たちが活動を始めたときは、”シーン” と呼べるものなんて何も無かったし、数えられる程度しかバンドもいなかったんだけどね (笑)。

―Warpaint は常に “自分たちのフィーリング” に従って音楽を作ってきました。では今後、バンドとしてトライしてみたいことや野望は何かありますか?

Jenny:(小声でボソッと) ヘヴィ・メタル。

Theresa:ハハッ!

Jenny:ハードコア、ヘヴィ・メタル、スラッシュ・メタルの3つね!

―マジですか (笑)。

Emily:それヤバいね、待ちきれない (笑)。

Theresa:私はもっとダンサブルな音楽にトライしてみたいな。あとは Jenny が言ったようなハードなサウンドにも興味があるし。

Jenny:いつも心の中でディスコを意識しているんだけど、それを追求しようかな。ディスコとハードコア……いっそのこと “ディスコ・メタル” とかどうかしら (笑)。遂に目指すべき道を見つけたわ!

— (笑)。みなさんいつもお洒落ですけど、ツアー生活で多忙を極める中、一体どこからファッションのインスピレーションを得ているのですか?

Jenny:3人ともオバちゃんだけど大丈夫かしら…… (笑)。

―今日の花柄のワンピースも素敵ですよ!

Jenny:ワオ、ありがとう! これはシドニーで買ったの。

Emily:映画にインスパイアされることが多いかなあ。あとはカラー (色) そのものとか。

Jenny:私はパターン (柄) ね!

Theresa:90年代特有のエレガントな感じや、トラディショナルなものにも惹かれるわ。

Emily:ヒップホップ的なアイテムに、ヒッピーの要素をミックスするのが好きなのかもしれない。そう、ヒッピー・ホップ (笑)? 昔からトロピカルなものやサイケデリックな雰囲気が好きだし、光沢のあるアイテムとか、ネクタイを使ってドレスアップするのも好きだったな。

―ちなみに、お互いのクローゼットから「いつか盗んでやろう」と思っているアイテムとかあります?

Jenny:(爆笑) ハハハッ!それホントにやったらヤバい奴じゃん!!でも実際のところ、たまにお互いの洋服をシェアすることはあるかな。みんなそれぞれが自分だけの世界観というか、スタイルを持っているのってナイスよね。

―最後にちょっとヘンな質問なんですが、Warpaint のライヴを観るとき、どんなお酒を飲むのが一番ピッタリだと思いますか?

Jenny:良い質問ね! 私ならテキーラかウィスキーかなあ。もちろん、ムードに合わせて好きなお酒を飲むのが一番だけど。

Theresa:私はテキーラに少しだけコーヒーをプラスするのが好きね。

Emily:エバークリアで決まり。せっかくなら超強いお酒でブッ飛ばなきゃ!

Photo by UTSUMI

Photo by UTSUMI

<プロフィール>
Warpaint (ウォーペイント)
米・カリフォルニア州ロサンゼルス出身の女性バンド。メンバーは Jenny Lee Lindberg (ジェニー・リー・リンドバーグ)(vo,ba)、Emily Kokal (エミリー・コーカル)(vo,g)、Theresa Wayman (テレサ・ウェイマン)(vo,g)、Stella Mozgawa (ステラ・モズガワ) (ds,key) の4名。2010年のデビュー・アルバム『The Fool (ザ・フール)』を John Anthony Frusciante (ジョン・フルシアンテ)らが絶賛して話題を呼ぶと、翌年にはフジロックで初来日を果たす。2014年にセルフ・タイトル作となる2ndアルバムを発表。2016年に『Heads Up』をリリース。

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