Interview With The Lemon Twigs

PORTRAITS | Jun 2, 2017 9:00 PM
NYの兄弟デュオ、The Lemon Twigs (ザ・レモン・ツイッグス)。天真爛漫で、大胆不敵。あの Hedi Slimane (エディ・スリマン) も惚れ込んだ彼らの素顔に、メロメロになっちゃってください。

Photo by UTSUMI

何もかもがデキ過ぎで、嫉妬すら覚えるパフォーマンスだった。去る2月26日、Hostess Club Weekender (ホステス・クラブ・ウィークエンダー) で初の来日公演を行ったNYの兄弟デュオ、The Lemon Twigs (ザ・レモン・ツイッグス)。The Beatles (ザ・ビートルズ) から Todd Rundgren (トッド・ラングレン)、Big Star (ビッグ・スター)、あるいは Ariel Pink (アリエル・ピンク) といった先達を引き合いに出される豊かな音楽性と、演劇やコメディ的な要素まで取り込んだキテレツな世界観でミュージシャンにもファンの多い彼らだが、王道とカルトの狭間を圧倒的キラメキで駆け抜けるセンスと技術と瞬発力は、天性のものでもあり、努力の賜物でもあるのだろう。

若き日のジャクソン・ブラウンを思わせる兄Brian D’Addario (ブライアン・ダダリオ) は19歳、性を超越したルックスと独創的なファッションが存在感を放つ弟 Michael D’Addario (マイケル・ダダリオ) は、なんと17歳。あらためてその早熟ぶりにも驚かされるが、共に子役としてブロードウェイ・ミュージカルやTVドラマ、ハリウッド映画などで場数を踏んできた経験が、彼らのポップ・アイコンぶりに拍車をかけていることは間違いない(Michael はイーサン・ホークやクリス・パインとの共演歴も!)。また、父親のロニー・ダダリオは Carpenters (カーペンターズ) も認めた実力派ミュージシャンで、いわゆる“裏方”で名を馳せた人物。ピンときた読者もいるかもしれないが、兄弟の名前は The Beach Boys (ザ・ビーチ・ボーイズ) のBrian Wilson (ブライアン・ウィルソン) と、Michael Love (マイク・ラヴ) の2人から取られたというのだから筋金入りだ。

『The Fashion Post』では、そんなダダリオ兄弟にインタビューを敢行。まだ午前中にもかかわらずMichael は退屈そうにスケッチブックに絵を描いており(この日は取材やサイン会でスケジュールがびっしりだったという)、インタビューの前半は心ここにあらずの状態だったが、ウォッシュレットの話題になった途端に妙な食い付きを見せてくるあたりは現役の高校生といった感じだ。いっぽうのブライアンはとても社交的で、取材場所である TRUMP TOKYO (トランプ トーキョー) のゴージャスな内装を見渡して「ここはドナルド・トランプの持ち物なのかい?」とジョークを飛ばす。天真爛漫で、大胆不敵。あの Hedi Slimane (エディ・スリマン) も惚れ込んだ彼らの素顔に、メロメロになっちゃってください。

Photo by UTSUMI

―昨晩の Hostess Club Weekender でのライヴ、2人とも歌もギターもドラムも上手すぎてビックリしたのですが、どれだけ練習したらあなたたちのようになれるのでしょうか?

Brian D’Addario (以下、Brian): 毎日だね。もちろんショーに向けた練習もするし、自宅にいるときだって、ふと思いついたらソングライティングやレコーディングができる環境があるから、僕らにとって楽器に触れることは完全に生活の一部なんだ。

―共に子役としてミュージカルや映画に出演されていましたね。演技の経験はライヴ・パフォーマンスにおいて、どんな部分で役立っていますか?

Brian: 日常生活を含むすべてじゃないかな。それに、カメラの前で演技をするのと、ステージに上がってオーディエンスの前で演奏するのでは、まったく別の緊張感があるしね。
Michael D’Addario (以下、 Michael): うん、その通り。

―今回はじめての来日かと思いますが、日本人、日本語、あるいは日本のカルチャーについてどんなイメージを持ちましたか?

Brian: 何かもが違ってると思ったよ。実際に街を歩き回ってみても、建物の造りもアメリカとは全然違うし……。
Michael: あと、めちゃくちゃキレイだね。キレイだし、静かで落ち着いた街。
Brian: 自分たちと違う国の言語が飛び交っているのに、みんなフレンドリーだから居心地が良いんだよな。

―ウォッシュレットは使ってみましたか?

Brian: もちろん!「ビデ」ってやつを試したんだ。

―なんでビデ(笑)。

Brian: あれはヤバいね(笑)。
Michael: (身を乗り出しながら) イエーイエーイエー!ケツの動かし方なんて知らなかったはずなのに、なぜだか身体が勝手に反応しちゃうんだよ。

―あれこそ日本のテクノロジーの洗礼ですよね。

Brian: 使い方も良くわからないし、もしホテルの床を浸水させちゃったらマズいと思って、最初は避けていたんだ。ボタンをポチポチ押している自分の姿がバスルームの鏡に映っているのを見たときは、なんだか猿になったような気分だったね(笑)。
Michael: あと、ホテルとかで使うマルチポートの充電器があるだろ? さっき駅のトイレにションベンに行ったとき、人びとが次々と便器に吸い込まれていく光景を見てアレを思い出したよ(笑)。
Brian: さあ、下の話はこれぐらいにして、次の質問に行こう(笑)!

―お気遣いありがとうございます。(笑)。デビュー作の『Do Hollywood』(2016) についてお聞きしたいんですが、そもそも「こんなアルバムにしたい!」といった青写真などはあったのでしょうか。

Brian: 僕たちは昔からたくさんのデモを作っていたんだけど、アルバムに関してはクリアで、良い曲ぞろいで、色んな楽器を用いた賑やかなものにしたいと思っていた。そしてプロフェッショナルなスタジオに入って、昔ながらのテープレコーディングにも挑戦したかったんだ。60~70年代のアナログなサウンドの質感が大好きだからね。そういった意味では、Jonathan Rado (ジョナサン・ラドー。カリフォルニアのサイケ・ポップ・バンド=Foxygenの頭脳にして名プロデューサー) のホームスタジオでレコーディングできたことはすごく興味深い体験だったと思う。

―作詞は「The Lemon Twigs」としてクレジットされていますが、ソングライティングはどんなプロセスで進められたのですか?

Michael: このアルバムに関して言えば、僕自身が書いた曲と、ブライアン自身が書いた曲の両方が集まっているんだ。すごくシンプルなプロセスだよ。
Brian: ああ、自宅で曲を書くこともあれば、学校に向かうバスの中でフレーズが思いつくことだってある。お互い椅子に座って、「よし、こういったテーマで曲を書こう!」っていうプロセスは僕らの肌には合わないと思うんだよね。言葉は普段の生活から自然とあふれ出てくるものだから……。

―『Do Hollywood』というタイトルに込められた想い/エピソードを聞かせてもらえませんか?

Brian:「The Lemon Twigs がハリウッドを牛耳ってやるぞ!」っていう声明みたいなもんかな。ハリウッドまで行って、このアルバムを作って、街のてっぺんでフォトシューティングをする――そんなアイディアだけは漠然とあってね。それをフォトグラファーの Autumn de Wilde (オータム・デ・ワイルド) に話してみたら、「いかにもハリウッドって感じの場所じゃなくて、もっとチープな場所で撮りましょうよ!」って流れになったんだ。ジャケット裏面の写真はゴミ捨て場だし……(笑)。ハリウッドみたいにきらびやかな世界でも、一部を除けばほとんど掃き溜めなんだぜっていう皮肉だね。

―ソングライティングにおいて、フィクション/リアルどちらにインスピレーションを受けますか?

Brian: このアルバムの場合は、僕らの人生、生活、そして時間そのものが刻まれていると思う。
Michael: いくつかのストーリーは、僕らの身に実際に起きたことでもあるんだ。
Brian: 他には、第三者の視点に経ってシチュエーションを分析してみることもあるよ。

―あなたたちの住んでいるロングアイランドってどんな街なんですか?

Brian: うーん、一言で言えば退屈な場所だよ(笑)。

―ハングアウトするときはブルックリンやマンハッタンまで足を伸ばす感じ?

Brian: ノーノー。友だちがみんな家の近くに住んでいるし、電車に乗っちゃえば必要なものは大体揃っちゃうからね。
Michael: 家で遊ぶことが多いかな。あとはガールフレンドの家だったり、両親のクルマで出かけたり…。
Brian: 僕はハイスクールを卒業したからマイケルよりは自由だけど、家にいる方が楽しかったりもする。親父のレコード・コレクションもまだまだ聴き切れてないからさ(笑)。
Michael: ツアー中は長い間家を空けて、学校も休んでいるわけだけど、何もかもが初めての経験だからね。オフが取れて地元に帰ったときは、やっぱり自分の家でゆっくり過ごしたいな。

Photo by UTSUMI

では、あなたたちがロール・モデルとしているシンガーやアーティストは

Brian: やっぱり Brian Wilson はハズせないね。Randy Newman (ランディ・ニューマン) のメロディ・センスも大好きだし、Lou Reed (ルー・リード) の書く歌詞やスタイルも素晴らしい。
Michael: 僕は Alex Chilton (アレックス・チルトン) と Neil Young (ニール・ヤング) かな。Richard Thompson (リチャード・トンプソン) が弾くギターも最高だよ。
Brian: プレイヤーとして理想的なのは、Keith Moon (キース・ムーン) のドラムだな。もちろん Ringo Starr (リンゴ・スター) もね。

―ライヴでの Michael の歌声は、時に David Bowie (デヴィッド・ボウイ) を思わせる瞬間もありましたね

Brian: ワオ! サンキュー。昨晩みたいなでっかいステージでは、自分をあえて誇張して見せることはあるよね。ただ、ラウドなロック・ミュージックをやっている以上、自分のパーソナリティをより強く歌に込めてオーディエンスに届けることが大事だと思っているんだ。

2人ともすごくお洒落ですけど、普段どんなことからファッションのインスピレーションを得ているのですか?

Brian: 好きなミュージシャンの写真からインスパイアされることが多いね。
Michael: 兄貴はクールなアイテムが好きだよな! ボトムスもサングラスも店で即決だったし、あそこに置いてあるバックパックもナイスだろ?
Brian: (黄色いサメ型のリュックを見せながら) これは日本のスリフトショップで買ったんだよ!BINGO (ビンゴ) ってお店だったかな。
Michael: 僕も昔のバンドの写真に影響されることが多いよ。ファインダーの向こうに映った当時の人びとの熱狂とか、今にも何かが始まりそうな雰囲気というか、それを1ミリも疑ってないあの表情とかエネルギーを感じ取るのが好きなんだ。ゴメン、意味わかるかな(笑)?
Brian: マイケルは大人になっても絶対デブらないと思うから、どんな洋服でも着こなせるんじゃないか?

―あなたたちにとって、ファッションと音楽は切り離せない存在なんですね。

2人: イエス!!

―お互いのクローゼットから「盗んでやろう」と狙っているアイテムは?

Brian: いや、実際、僕のお下がりを Michael にあげることも多いんだよ。ほとんど飽きちゃった洋服ばっかりだけど…(笑)。彼が着るとまったく違う人物に見えることもあってクールだよね。2人とも決してお金持ちってわけじゃないから古着を買うことも多くて、知恵を振り絞ってダサくならないようにスタイリングしているんだ。

―『V Magazine (V マガジン)』での Hedi Slimane とのシューティングはいかがでしたか?そもそもどんなきっかけで彼と出会ったのでしょうか。

Brian: もともとは、彼がずっと続けている「HEDI SLIMANE DIARY」っていうWebサイトのために「撮影したい」って連絡をもらったんだ。それでLAのショーの前後に1~2時間ほど撮ってもらったんだけど、その後あらためてNYのスタジオに呼ばれてさ。僕らも新しいプロモ用ショットが欲しかったから、2人で訪ねてみたんだ。その時に撮影したものが『V Magazine』に載っている写真だよ。
Michael: 一緒に仕事していて楽しい人だし、ナイスガイだよ。僕らがやることを何でもサポートしてくれるしね。Autumn de Wilde (オータム・デ・ワイルド) が撮った写真とはまた違った世界観があるし、フォトグラファーによって僕らに指示するポーズとか、頭の中にある The Lemon Twigs のイメージが全然違うのが面白いよね。

―夏にはライヴでも披露された新曲「So Fine」のリリースがありますし、早くも「FUJI ROCK FESTIVAL 17」でカムバック予定ですね。バンドにとって、「2017年はこんな1年にしたい!」といった野望はありますか?

Brian: 何しろめちゃくちゃ忙しいからね。ただ、年内には自宅にホームスタジオを作って、そこでニュー・アルバムをレコーディングしたいと思っている。もちろんツアーも続くから色んな国に行けるのが楽しみだし、そこから得たインスピレーションを何らかのカタチで僕らの音楽に還元できたら最高だよね。
Michael: うん、やっぱりツアー生活はヘヴィーだからね。それでも次のアルバムは、プロデューサーに頼らず自分たちの力だけで完成できたら良いなと思っているんだ!

<プロフィール>
The Lemon Twigs (ザ・レモン・ツイッグス)
NYのロングアイランド出身。19歳の Brian D’Addario (ブライアン・ダダリオ) と、17歳の Michael D’Addario (マイケル・ダダリオ) の兄弟によるポップ・ロックバンド。イギリスのインディーレーベル、4AD と2015年に契約。2016年10月にデビュー・アルバム『Do Hollywood』をリリース。

Interviewer & Writer/Kohei UENO

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