Interview With Visionaire, Cecilia Dean & James Kaliardos

PORTRAITS | Aug 29, 2017 9:00 PM
昨年 創刊25周年を迎え、今もなおニューヨークを拠点にクリエーティブシーンの最先端を走り続けている『VISIONAIRE (ヴィジョネアー)』の創始者、Cecilia Dean (セシリア・ディーン) と James Kaliardos (ジェームズ・カリアドス) に独占インタビュー。

昨年 創刊25周年を迎え、今もなおニューヨークを拠点にクリエーティブシーンの最先端を走り続けている『VISIONAIRE (ヴィジョネアー)』の創始者、Cecilia Dean (セシリア・ディーン) と James Kaliardos (ジェームズ・カリアドス)。デジタルメディアやモバイルツールの台頭により、出版業界自体が大きな転換期を迎えている今、『VISIONAIRE』の位置付けも変わりつつある。しかし変わらないのはクリエーティビティを純粋に追求し続ける姿勢。今もなお、他に類を見ない圧倒的な存在感を放つ。

© Visionaire

© Visionaire

—ふたりの出会いについて教えてください。

James Kaliardos : 当時、僕はパーソンズで学ぶ大学生で、ファッション撮影のテストシュートをやっていたときに、モデルエージェンシーがセシリアを送ってくれたんだ。

Cecilia Dean : 私はまだ高校生だったの。クイーンズにある私立のカトリック系の女子校に通っていて、マンハッタンには地下鉄で行き来してた。

James Kaliardos : 彼女が僕らのドーム(寮)にやってきた瞬間のことは忘れられないね。なんて美しい子なんだろうって。でも、パーソナリティはすっごくタフだった(笑)。まだ若いのに個性が際立ってて、メークしていてもナーバスになったくらい。 でも間もなく友達になって、僕らはパリで再会したんだ。ファッションキッズだった僕らはストリートでビル・カニングハムに写真を撮られて、彼と親しくなった。ビルがショーの場所をこっそり僕らに教えてくれて、イッセイとかギャルソンとかのショーに潜り込んでた。僕らがファッションが大好きだって分かって、いろいろヘルプしてくれたんだ。

Cecilia Dean : ビルは私たちのゴッドファーザーみたいな存在だったわ。80年代になってコム デ ギャルソンとか山本耀司がパリコレに進出しはじめて、多様なモデルが求められていたとき。ニューヨークとは違って、80年代後半のパリは本当にエキサイティングだった。それで、私もモデルとして撮影でマリオ・テスティーノやピーター・リンドバーグ、スティーブン・マイゼル、エレン・アン・ヴォンワース、アーヴィング・ペンなどと仕事をし始めたの。

—そもそもファッションに興味を持ったキッカケは?

Cecilia Dean : カリフォルニアで生まれ育って、動物に囲まれていたから幼いころは獣医になりたかったの。ハムスターもたくさん飼ってたわ。その後、12歳のときNYに来たのだけど、 いつも私はアジア系としてメインストリームにいない、ということを感じていたの。それで、自己表現の一部としてファッションに興味を持ち始めた。学校は制服があったから、はじめはヘアメイクでいろいろ工夫したりね。

James Kaliardos : 僕が生まれたミシガン州デトロイトの街は 白人が多い地方都市で、本当に保守的なところだった。でも、僕はいつも周りとは違うと感じていて、服を後ろ前に着てみたりしてマスのメンタリティに反抗していたね。 子供のころから歌やダンスが好きで、パフォーマーになりたいって思ってた。映画も好きで、放課後はマレーネ・ディートリッヒとかクリント・イーストウッドなんかが出てる30〜70年代の古い映画をよく観てた。母親は図書館でよく『ヴォーグ』とか『ハーパースバザー』を借りてきていて、叔母は『W』を購読していたから、よくお古をもらっては好きなページを切り抜いてコラージュの壁を作ってた。 ベルサーチの広告とかブルック・シールズの写真とか。今振り返ってみると、アーヴィング・ペンやリチャード・アヴェドン、モデルも女優もそこに貼ってあったほとんど全ての人とその後仕事で出会ったね。まさに僕の未来のムードボード、Wall came true(壁が実現した)っていっていい。メークを始めたのはたぶん7歳くらいのころから。学校の学芸会のときとか、友達にしてあげたり。

—『VISIONAIRE』はどのようにして始まったのですか?

James Kaliardos : 90年代はじめはまだデジタル写真が普及してなかった。ポラロイド撮って、撮影して、現像して、プリントして、っていうプロセスは今では考えられないくらいスローだったけど、それだけ現場は真剣だったね。だいたい撮影が終わったあと、みんな残ってパーソナルワークのテストシュートをやるっていうのが常だった。

Cecilia Dean : 実験的なライティングでヌードの撮影をしてみよう、とか、新進デザイナーで才能あるけどバジェットがない人のために、とか。みんな自分たちのクリエーティビティを追求していてエキサイティングだった。でもそんな風に撮影された作品は発表される場所がなかったの、それらを集めて編集しよう、っていうのが『VISIONAIRE』の創刊につながったんです。

—それから25年、創刊時は何か大きなヴィジョンがありましたか?

James Kaliardos : 最初のころは毎号本当にハードで、どのくらい続けられるんだろう、って思いながらやっていた。 プランも全くなくて、そのときどきによってああでもないこうでもない、ってやってきた。でも僕らはいつも『VISIONAIRE』のピュアなクリエーティビティを大切にしてきた。

Cecilia Dean : 25年も続けられるなんて思ってもみなかった。でもいつも『VISIONAIRE』は進化し続けていて、今もなお私たちにはやってみたいアイディアがたくさんあるの。私たちにとって『VISIONAIRE』はとても大きなネットワークでもあり、最近では出版だけにはとどまらない活動も増えてきている。例えば、キャデラックのイベントスペースである「Cadillac House」でのアートプログラムのディレクションをしたり、CAA (ハリウッドのタレントエージェンシー)と提携して映画やTVのプログラムを作ったりしている。今年はKAWSと一緒にVRの映像作品も発表したわ。

 

James Kaliardos : 世の中にウェブが普及したころから特に、『VISIONAIRE』はより拡張して出版という枠を超えたカテゴリーを追求し、より多彩なフォーマットになってきた。でも『VISIONAIRE』をそのままデジタルにするつもりはなかったんだ。

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

Toilet Paper Paradise at Cadillac House | Photo by Plamen Petrov

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KAWS VR Event

KAWS VR Event

KAWS VR Event

KAWS VR Event

KAWS VR Event

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—出版業界も大きな変革期を迎えていますが、紙媒体に対するご意見はありますか?

Cecilia Dean : 木を伐採して作られる紙に印刷する価値が本当にあるかどうか? というのはより厳しく問われていく。単なる情報誌だったら、デジタルの大量な情報量にはかなわないから雑誌は情報をもっと野心的な視野を持ったものでなくてはならないと思います。『VISIONAIRE』は創刊からリミテッドエディションで、プレシャスな価値を持ったものを作ってきた。マスな視点でなく、よりフォーカスされた視点できちんと編集された媒体こそが出版の未来。

James Kaliardos : オンラインメディアにまだ欠けているのは文化的な教養。知的なレベルでの視点やリサーチが少なく、間違った情報が垂れ流されているといったケースも多い。雑誌はまだ何段階かの校正チェック機能が働いているから、文化的クオリティが保たれている。ライターの力量もそうで、SNSのキャプションなら書けるけど、きちんとした原稿をかける筆力のあるライターも今は少なくなっているんじゃないかな。

—これまでで一番大変だったことは何ですか?

James Kaliardos : コミットメント(笑)。それは冗談としても、一番大変だったのは「FOREVER(63号)」だね、間違いなく。 すべての画像をメタル素材にエンボス加工した号で、Forever号は本当にForever(永遠に)完成しないんじゃないかと思ったくらい。紙でやったらずっと簡単だったのに、って途中で後悔した。でも最終的には大好きな号になったけどね。

VISIONAIRE 63 – Forever

VISIONAIRE 63 – Forever

VISIONAIRE 63 – Forever

VISIONAIRE 63 – Forever

VISIONAIRE 63 – Forever

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Cecilia Dean : 「ART JOHN BALDSSARI(64号)」も大変だった。セルフィーをいろんな人に送ってもらって、ジョン・ヴァルデッサリに作品にしてもらう、という趣旨の号。

James Kaliardos : セルフィーを集めるのに本当に苦労した。モデルのジゼル・ブンチェンとか女優のキルスティン・ダンスト、アーティストのオノ・ヨーコなどいろんなジャンルの人に声をかけたんだ。セルフィーなんて、みんな毎日撮ってそうなものなのにね。

Cecilia Dean : そうなの、みんな気軽にセルフィーをオンラインにあげて公開してるにもかかわらず、印刷するとなると話は違う。つまりオンライン上のセルフィーは数日後には誰にも気にされなくなるような 儚いもの。でもその号では、セルフィーがヴァルデッサリの“アート”作品になる、だからみんな1枚を選ぶのにプレッシャーがかかったのね。これはデジタルとプリントの意味の違いを浮き彫りにしたとても興味深い号となったわ。企画した当初はそのことについて気づいていなかったけど、セルフィーがフィジカルなオブジェとなり、最終的にはアートとなる、という過程においては、プリントの重要度が際立った、といえる。

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

VISIONAIRE 64 – Art John Baldessari

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—最近発売になった「FREE(65号)」のデラックスエディションにもジジ・ハディッドのセルフィーが収められていますね。

Cecilia Dean : 最初はセクシーな女性のピンナップみたいなポスターのコレクションをつくろう、という企画だったの。でも私たちがお願いした写真家からはこちらが意図したようなものはなかなか集まらなくて。そうしているうちに、ジェームズがジジと仕事する機会があったので、彼女に写真家を指名していいから、撮らせてくれないか? ってお願いしてもらったの。そうしたら、彼女はインスタグラムで最もLIKE(いいね)がついたセルフィーを送ってきた。とてもスマートな子よね。

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

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VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

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James Kaliardos : 今回のデラックスエディションはマーク・ジェイコブスにデザインしてもらったバッグに36枚のポスターが収められている。実はこのポスターはNY、LA、マイアミの3都市で無料配布されたものなんだ。『VISIONAIRE』は高価で手に入りにくい、というイメージもあったからいつか無料っていうのをやってみたかった。若い人たちにももっと『VISIONAIRE』を知ってほしい、と思ったんだ。

65 – FREE Deluxe Edition

VISIONAIRE 65 – FREE Deluxe Edition

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

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Cecilia Dean : マイアミではアートバーゼルの会場の外で配布しました。12種類のポスターは Marilyn Minter (マリリン・ミンター) や Jack Pierson (ジャック・ピアソン) のようにバーゼルで作品を売っているアーティストのものや、マイリー・サイラスなどポップスターのポスターも並べて、カスタマーが好きなものを選べるようにしたの。私たちはアートのパワーを信じている、そのパワーが人生を変えることだったあるかもしれないから。でも残念なことにアート業界はある種閉鎖的でもあり、敷居が高いと感じている人も多い。でも私たちは、アートをよりマスなものにしたいと考えているの。例えばジジ・ハディドのポスターとグレン・ライゴンのポスターを持って帰ったキッズが、ライゴンのことを Google してどういった作品を作っているか、オバマのホワイトハウスのコレクションに作品が収蔵されていることなんかを知る。1枚のポスターが、若い人たちのマインドを開き、世界が何 をオファーしているのか、を学んでもらえたら、最高よね。

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

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VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

VISIONAIRE 65 – FREE - NY, LA, Miami

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—まさにふたりがネクストクリエーティブジェネレーションのゴッドマザー&ファーザーみたいですね。最後に、お聞きしたいのですが、今後の夢は何かありますか?

Cecilia Dean : 「FREE」の東京バージョンが作れたらいいわね。日本のアーティスト12人を選んで!

James Kaliardos : それはいいアイディア! ぜひやろうよ。

Photo by Francois Nars

Photo by Francois Nars

<プロフィール>
Ceclia Dean (セシリア・ディーン)
『VISIONAIRE』の共同創始者。カリフォルニア出身で、12歳のときに家族でニューヨークへ。高校生のころからファッションモデルとして活躍し、Richard Avedon (リチャード・アヴェドン) や Irving Penn (アーヴィング・ペン)、Peter Lindbergh (ピーター・リンドバーグ)、Mario Testino (マリオ・テスティーノ) ら世界のトップフォトグラファーの被写体となってきた。最近では『VISIONAIRE』での活動のほか、パーソンズで教鞭をとったり、キュレーターとして「MOVE!」という展覧会を MoMA PS1 などと共同開催したりしている。

James Kaliardos(ジェームズ・カリアドス)
『VISIONAIRE』の共同創始者。ミシガン州デトロイト出身でパーソンズに入学するためにニューヨークへ。大学在学中からメークアップアーティストとして活動し始め、現在では世界のトップアーティストして Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン) や Chanel (シャネル)、Fendi (フェンディ) の広告や各国版の『Vogue』のエディトリアル、Madonna (マドンナ) や Julianne Moore (ジュリアン・ムーア)、Beyoncé (ビヨンセ) などセレブリティメークなど多方面で活躍している。最近は M・A・C (マック) からオリジナルのリップスティックのコレクションも発売した。

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