Interview with Yasumasa Yonehara on the Chinalization of abandoned Japanese Gyaru and Ura-Hara cultures / the self‐contradiction of Gyaru-driven Japanese high fashion media: part 3

PORTRAITS | Feb 7, 2013 6:20 PM
“ヨネちゃん”こと米原康正氏は、インスタントカメラ「チェキ」を使うフォトグラファーのイメージが強いかもしれない。しかし、彼はかつて編集者として『egg (エッグ)』『アウフォト』『smart girls (スマートガールズ)』など、90年代以降の東京カルチャーシーンを象徴する雑誌を創刊してきた仕掛人でもある。つねに時代の最先端の女の子カルチャーを捉えてきた彼のキャリアは、そのまま東京カルチャーの変遷と言っても過言ではない。AKB48の立ち上げ時はビジュアルのディレクションを担当し、現在はきゃりーぱみゅぱみゅをはじめとする原宿のカワイイカルチャーを世界に発信している立役者のひとりだ。早くからアジアでも活動の幅を広げ、中国版『Twitter (ツイッター) 』の『新浪微博(シンランウェイボー。以下Weibo) 』では87万人を超えるフォロワー (2013年1月現在) と日々交流を続けている。移り変わりが激しい東京シーンの中で、つねにそこの現場感を掴んでいる彼は、どんなバックグラウンドから現在に至り、そしていまの日本になにを思うのか。インタビューの中で語ってもらった。

取材・文: 岩屋ミカエル  写真: 三宅英正  英語翻訳: Oilman

(第1回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正があらためて語るこれまでの歩み。田舎のヤンキー文化から『egg』創刊まで

(第2回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正が語る。外国人コンプレックスから脱却できない日本人と中国文化のリアル

(第4回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正が語る。「原宿カワイイカルチャー」を世界に向けて発信するその理由

– 日本人の良いところはありますか?

でも逆に日本人のすごいところは、それをやり出したらNYの人よりもNYっぽくなったりするところ。日本人のそういうカメレオン体質は海外からすると脅威なのかなという気もする。いますごく批判的に言っているけど、意識してやったら日本人ほどこんなにNYのこと詳しい外人はいないわけだし、パリのことをパリの人よりも知っているからね。僕なんかも熊本から出て来たときは、東京の人間よりも東京のことを知っていたりしたわけだし。日本否定や劣等感からはじまるんじゃなくて、もうちょっと作戦としてそういう特徴を使っていけばいいと思う。

だから僕もその日本人の特色使って中国人よりも中国のことを詳しい日本人になろうと思ってる。女の子のことに関しては中国人が好きな女の子はだいたい最初から分かってました。。だから、ほしのあき、蒼井そら、藤井リナを連れて行ったのも狙ってやったことなんですよ。中国の人たちに「ヨネちゃんが連れて来た女の子はぜんぶ衝撃だ!」と言われてますかね、実際w。

– アジア圏と比べて日本のカルチャーはどう見えていますか?

エンターテイメントは確実に日本人のイメージはなくなって、もうぜんぶ韓国だね。いま話題のK-POP、PSY(サイ)の「江南スタイル」は韓国語で歌ってビルボード1位だからちょっとやばいよね。『Youtube (ユーチューブ)』の再生回数では7億回を超えて(2012年11月現在)、Lady Gaga (レディー・ガガ) もすでに抜いちゃったし。それに音もすごく良くできている。うまいと思ったのが、江南は韓国で一番お金持ちなエリアなんだけど、サビの後にはきちんと江南スタイルの洋服が映し出されるようになっている。いま中国でも、洋服はメイド・イン・コリアが大進出中なんだよね。

この間、上海で開催されたTGC (ティー・ジー・シー)では、トリがBIG BANG (ビッグ・バン) で、洋服の半分は韓国製。モデルの3分の1も韓国人。日本発のTGCはもう完全に韓国に乗っ取られちゃった。

さらにここ2~3年で香港の日本に対する興味は一気に消えていっている。しかも「ギャルカルチャー」とか「裏原カルチャー」というのが「日本発」というよりも「中華発」のイメージになっているんだよ。だから裏原系の格好をして中華圏を歩いていたら台湾人か香港人にしか見られない。日本人はもうそんな格好しないんだもん。それは本来、元祖の日本勢がやらなきゃいけないこと。そして海外から見られたときに、日本人はもうなんのイメージもなくなってきちゃっている。日本人のイメージとか全部もう中華圏か韓国に取って代わられているという事実を日本人は早く知らないとね。そういう状況を日本のファッション・メディアがぜんぜん伝えないこと自体が終わっていると思う。そんなのジャーナリズムじゃないよ。

– 日本のファッション・メディアについてはどう思いますか?

もうただのご用利きだよね。お金貰えるところで全部動くから。どこの媒体もその本来のことをやっていれば問題ないんだけど、全部お金で動いている。いままでハイファッションをやっていたメディアが全部ギャルに移って、誌面ではハイファッションの格好をしてお金はすべてギャルブランドからもらうみたいな構造。本当におかしいと思う。ハイファッションのメディアがギャル系と組んでいること自体が自分たちの否定だから成り立つわけがない。別にギャル文化を取り上げることはいいんだけど、いままで散々とギャル文化を否定しときながら、お金を出してくれるからという理由でコロって変わっちゃったんだよね。とか言うとまた僕の仕事がなくなっていくんだけどね(笑)。

– 日本のファッション業界についてもなにか思うことがあれば教えてください。

これはだれも言わないから言っておくけど、日本のファッション業界はヤンキー的気質の人が多すぎる。それが何を意味するかっていうと、とにかく流行っているもの大好きってこと。中でも、芸能人、外国人大好き。いまのプレスは「ジャニーズきたー!」みたいな感じだよね。売れるまでは目茶苦茶に言っているくせに、その子が人気者になった途端に「ヨネちゃんぜひ連れて来てください!」って平気で言ってくる。本当にコロッて変わるよね。そういう変わり方がファッションといえばファッションなんだろうけど…。ヤンキー気質がファッション界の常識になってる。

– 今後、日本のファッション業界はどうして行けばいいでしょうか?

日本ってみんなが同じ真ん中に集まってくる類いまれな社会主義な体質を持った国なんだよ。普通の国は金持ちと貧乏人がハッキリと別れるから、そこには2つの文化というか相容れない価値観が絶対に存在する。だけど日本は金持ちも貧乏人もLouis Vuitton (ルイ・ヴィトン) を欲しがるわけじゃないですか。ハイブランドをすべての真ん中に持ってくるという類まれなる国だと思うの。それが大成功した秘訣は内需がすごく良かったからなんだけどね。だけど、いまみたいに内需が悪くなってしまったら金持ちと貧乏人がはっきり別れるからそのやり方はぜったいに通用しない。だからやり方自体をもっと考え直さないと。貧乏な人は貧乏な人に合わせた服作りだし、お金持ちはお金持ちに合わせた服作りだし、そこは文化が違うということを認識しないといけない。日本人は日教組によって「みんなで手をつないでゴールしましょう」とか「競争は悪いこと」って教えられてきちゃったわけじゃないですか。そんなのもうありえない。世界に勝負するんだったら周りは競争意識バリバリで勝負してくるわけだから。日本人は世界が自分たちに合わせてくれると思っているからね。まあ、それもすり込みなんだけど。

– 日本のブランドが中国をはじめ海外で勝負していくためには?

決して中国に媚びろと言っているわけじゃないけど、自分たちのスタイルをどう向こうの常識に合わせて相手の言語で伝えていくかが大事。そしてなんで日本が世界に評価をされていたかっていう原点に戻らないといけないと思う。先述したように2006年以降の日本は世界に評価されるモノはぜんぜん生み出せていない。彼らが日本のどの部分が好きだったのかというと、日本人の感覚なわけ。いまの僕たちじゃない、以前の日本人。早く、外人の友だちもいないのに外人モデルを使えばカッコいいと思っていることを疑問に思わないと。別に外人の友達がいなきゃいけないって言ってるわけじゃないよ。つまりテレビとか漫画しか見てないのに、突然仕事になったら今年のパリやNYのトレンドしか興味ないふりするのはやめようよって話。別に1960年代に戻れというわけじゃなくて、少なくとも家に帰ったらロックぐらい聞こうよという提案。そういう人たちって歌謡曲本当に大好きだったりするのに、それを見せようとしない。本当はそういう人たちが歌謡曲ではじまる文化を自分たちで構築できれば、よっぽどカッコ良いものができると思う。よくクリエイターの事務所には外人のポスターや洋書ばかり置いてあるんだけど、彼らは読んだり見たりはしないんだよね。ただパラパラ見て「あぁこれカッコ良いね」と印をつけるだけ。そして家に帰るとテレビと漫画しか見ないの。みんなサラリーマンなんだよ。サラリーマンがオンとオフを切り替えるように、アパレルのおじさんたちがファッションの仕事をしているときはゲイっぽいフリをして、仕事が終わったら「さあ、キャバクラ行きますか!」とやっているのを見るたびに驚いちゃう。オンとオフをやっぱりひとつにしないと。日本以外の国は全部ひとつだと思う。家に帰ってもゲイの人はゲイなんだよね。女の子と会っているときだけゲイっぽいフリをして、仕事終われば男って、やっぱおかしいと思うもん。男だけになると応援団、みたいな感覚持った人たちがあまりにも多くファッション業界に関わっている気がする。僕はとくにファッションとかカルチャーに関わる人は、公私全て一緒じゃないといけないと思っている派なんです。

(第1回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正があらためて語るこれまでの歩み。田舎のヤンキー文化から『egg』創刊まで

(第2回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正が語る。外国人コンプレックスから脱却できない日本人と中国文化のリアル

(第4回/全4回)【インタビュー】東京発ガールズカルチャーの発信者、米原康正が語る。「原宿カワイイカルチャー」を世界に向けて発信するその理由

 

米原康正 (よねはら・やすまさ) 編集者、クリエイティブディレクター、フォトグラファー、DJ。
世界で唯一チェキをメイン機材とするアーティストとして、雑誌、CDジャケット、ファッションカタログなどで幅広く活躍。中華圏での人気が高く、中国版Twitterである「新浪微博」でのフォロワーが71万人超、シューティングとDJをセットにしたイベントでアジアを賑わせている。世界のストリート・シーンで注目される、ジャパニーズ・カルチャーを作品だけでなく自分の言葉で語れる日本人アーティストの一人。

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