Remo Ruffini
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Moncler (モンクレール) 会長兼CEO Remo Ruffini (レモ・ルッフィーニ) インタビュー

Remo Ruffini

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8人のクリエイターを招いたコラボレーションプロジェクト「Moncler Genius Building」の始動を控え、更なる盛り上がりを見せる Moncler (モンクレール) の会長兼CEO Remo Ruffini (レモ・ルッフィーニ) をインタビュー。

Moncler (モンクレール) 会長兼CEO Remo Ruffini (レモ・ルッフィーニ) インタビュー

Moncler (モンクレール) が新時代を迎える。

1952年に登山家のために創業された Moncler は、その機能性に特化された高品質なダウンウェアで半世紀を超えた今もなお、人々に愛され続けるブランドのひとつだ。

2003年に会長兼クリエイティブ・ディレクターに就任した Remo Ruffini (レモ・ルッフィーニ) によって生まれ変わった Moncler は、Thom Browne (トム・ブラウン) や Giambattista Valli (ジャンバティスタ・ヴァリ) をはじめ、White Mountaineering (ホワイトマウンテニアリング) や sacai (サカイ) とのコラボレーションを重ねることで、モード界でも唯一無二の地位を確立。幅広い層からの支持を集めてきた。

そんな Moncler から、新たに始動される「Moncler Genius Building」。そのシンボルが表すように8人のクリエイターを招いたコラボレーションプロジェクトは、発表されるや否や、そのコラボレーション相手について様々な憶測が飛び交ってきた。

これから様々なイベントを控え、さらに盛り上がりを見せる新生 Moncler の魅力に迫るべく、Remo Ruffini に7つの質問を尋ねてみた。

—まず最初に、今回のプロジェクトはどういったものなんでしょうか?

モンクレール ジーニアスは、2月20日のミラノ・ファッション・ウィークのオープニングで発表される「モンクレール ジーニアス ビルディング」の中でその全貌が発表されますが、その一つ一つは月毎にリリースされるプロジェクトを経て明らかになっていきます。各コレクションは、全方位的なコミュニケーションとリテール、ホールセールのプランに根差した手法で展開されます。モンクレール ジーニアス ビルディングが各店舗で展開されるにあたり、実店舗は多様性を打ち出した、エネルギーに満ち溢れた場となります。

—ガム・ブルーとガム・ルージュを廃止した際、「ブランドのアイデンティティーに根差した新プロジェクト」について言及されていましたが、そのブランドのアイデンティティーについて教えていただきたいです。

モンクレールは現在までに築き上げてきたユニークなヘリテージの資産がブランド戦略全体の核となっています。歴史、品質、独自性、一貫性がブランドのアイデンティティーを形作っています。モンクレールの戦略は絶えずブランドとしての立ち位置を見直し、これまでに築き上げてきたヘリテージのユニークさに見合うアイデンティティーの強化を絶えず続けています。

—8人のとのクリエーターとのコラボレーションの経緯は?

モンクレール ジーニアスは各クリエイターの特異性を発展させると同時に、その個性を調和させる為のハブになる場として考えました。プロダクトを通してビジョンを体現する場であるモンクレール ジーニアス ビルディングは、異なる要素を内包し、それぞれが創造性を発揮すると同時に、その全てがモンクレールのアイデンティティーに新たな一面を加えるものとなります。 モンクレール ジーニアスの8人はクリエイティブであり、かつモンクレールが考えるユニークさを形作れる才能を軸に選ばれました。

その8名のクリエイターをお伝えしましょう。
1. Moncler Pierpaolo Piccioli (ピエールパオロ・ピッチョーリ)
2. Moncler 1952 – curated by Karl Templer (キュレーターとしてカール・テンプラー)
3. Moncler Grenoble – Sandro Mandrino (サンドロ・マンドリーノ)
4. Moncler Simone Rocha (シモーネ・ロシャ)
5. Moncler Craig Green (クレイグ・グリーン)
6. Moncler Noir – Kei Ninomiya (noir kei ninomiya 二宮 啓)
7. Moncler Fragment –Hiroshi Fujiwara (Fragment 藤原ヒロシ)
8. Moncler Palm Angels –Francesco Ragazzi (Palm Angels フランチェスコ・ラガッツィ)

—モンクレールといえば、本当に多くのブランドとコラボしていますよね。コラボレーションは、モンクレールにとってどういう意味を持つでしょうか?

モンクレール ジーニアスはコラボレーションの枠を超えて、プロジェクトそのものに対するブランドの解釈を体現しています。私は、多様性こそがモンクレールのアイデンティティーを具現化するものであると感じています。私たちは始めから、“グローバル・ダウン・ストラテジー”と呼ばれる、若者からビジネスパーソン、劇場やガラへ向かう女性たちまで、多様な層の顧客を惹きつける、シンプルで分かりやすい戦略を掲げています。“モンクレール ジーニアス”は正にその戦略を体現するもので、プロダクトをその中心に据え、消費者を受け手として発信してゆきます。

—コラボレーションにおけるモンクレール最大の利点とは一体?

2003年に会社を買収したとき、ダウンと言えば誰もがモンクレールを思い浮かべるようなブランドに成長することを夢見ていました。その夢は叶い、私は今までに作り上げてきたものを誇りに思っています。そして、“モンクレール ジーニアス”に始まるさらなる飛躍を心らか楽しみにしています。私たちは、“グローバル・ダウン・ストラテジー”と呼ばれる、高品質な製品によって、様々な層の顧客を惹きつけるという、シンプルな戦略を当初から掲げています。モンクレールは偉大なヘリテージ、パフォーマンスとスタイルと完璧なバランスとハイエンドな品質がその最大の特徴になります。このような際立ったヘリテージと力強いDNAを備えたブランドはそう多くはありません。私たちの強みはモンクレールのDNAを尊重し維持しつつ、異なるクリエイティブな人物によってそれぞれの解釈を与えることができるという点にあります。同時に、ブランドのDNAを完璧に尊重し、維持する中で、進化を続けていくことはモンクレールにとって大きなチャレンジであると言えます。

—クリエーションとビジネス、そのふたつを両立させる秘訣とは?

モンクレールはクリエイティビティ、ビジョン、スタイル、テクノロジーの革新と共に歩み続けてきました。同時に、刷新や革新という点において、それはまた比類なきクラフトマンシップがなせるものとも言えます。このようにしてグループは頂点に登りつめ、今またブランドの未来を託すことになる新たな時代を見据えています。

—この前は、ユニセフともタッグを組んでいました。モンクレールから世界へ発信したいメッセージはありますか?

我々は社会への還元は必要であると考えており、このユニセフとのプロジェクトを通じて、私たちが伝えたかったことは、援助を必要とする子供たちとその家族をモンクレールが温かさを与え、支援するという、シンプルなメッセージでした。プロジェクトを通して、世界中の子供たちと家族が寒さから身を守るための衣服や装備を受け取りました。

<プロフィール>
Remo Ruffini (レモ・ルッフィーニ)
モンクレール・グループ会長兼CEO
イタリア北部のコモ出身。米・ボストン大学ファッションマーケティング科卒業後、米国で父の会社のスタイルデザインやマーケティングに従事。1984年にイタリアに帰国し起業した後、98年にモンクレール・グループに入社。2003年にはモンクレールブランドを買収し、同ブランドを世界的なトップブランドに。