Interview with
Sofia Coppola

PORTRAITS | Feb 22, 2018 9:00 PM
カンヌ国際映画祭で女性監督としては史上2人目の監督賞受賞という快挙を成し遂げた待望の話題作
『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』の公開を控える Sofia Coppola (ソフィア・コッポラ) にインタビュー。
彼女が魅せた新境地とは一体?
撮影:ホンマタカシ

撮影:ホンマタカシ

最早、彼女のことを改めて紹介するのは、いささかナンセンスかもしれない。フランシス・フォード・コッポラ監督の愛娘であり、ガーリーカルチャーの騎手として映画を作るために生まれてきた時代の申し子。

彼女の長編映画デビュー作である『ヴァージン・スーサイズ』で描き出された少女たちの美しくも儚い姿を見て、どれだけの人が衝撃を受けたのだろうか。その後、アカデミー賞脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』で一躍脚光を浴びた彼女は、『マリー・アントワネット』『SOMEWHERE』『ブリングリング』と立て続けにヒットを記録し、信者ともいうべきファンを生み出してきた。かく言う私もソフィアワールドに魅せられたひとり。いくつになったって、ソフィア映画の美しい少女たちへのときめきは抑えられない。

そんな彼女の待望の新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は、キルスティン・ダンストとエル・ファニングという監督お馴染みのメンバーに加えて、ニコール・キッドマンとコリン・ファレルを迎えた豪華キャストが勢揃いし、早くも話題を集めてきた注目作。南北戦争下で、世間から隔絶された女性しかいない世界に突如、男性が現れることで全てが狂っていくーーー。カンヌ国際映画祭で女性監督としては史上2人目の監督賞受賞という快挙を成し遂げた本作で、ソフィア・コッポラはこれまでのどの作品とも違う新境地を魅せてくれた。

『ロスト・イン・トランスレーション』を彷彿とさせる東京が一望できるリッツ・カールトンの一室。ホワイトのクルーネックニットにブルーデニム、シャネルのフラットシューズというシックな出で立ちで現れた彼女は、人生の先輩であり二児の母らしい穏やかな微笑みをその景色に向けていた。

©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

—『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』で最も描きたかったことは何ですか?

第一印象で、この物語を面白いと思ったんです。この時代にも、とても興味がありました。7人の年齢も違う女性たちが一緒に暮らしているという状況にも惹かれました。戦争映画というと、どうしても戦っている男性たちが描かれがちですが、男性たちを見送った後、取り残された女性たちを描きたいと思ったんです。

— これまで作ってきた様々な作品を通して伝えたいことはありますか?

これまでのクリエイティビティは、全て繋がっていると思っています。どんなものにせよ、自分が欲しいものや自分が見たいものを基準に作っています。それは、決してエゴを押し付けているわけではなくて、自分が好きなものだったら、きっと他の誰かも気に入ってくれるかもしれないという謙虚な気持ちで作ってきました。

『サタデー・ナイト・ライブ』で公開された『ガールズ・ゴーン・ワイルド』パロディ版を見ました。すごく面白かったです!

実は、あの映像は『サタデーナイトライブ』のために作ったわけではなくて、ただ映画の撮影裏でエルとキルスティンとジョークで作ったのよ。すごく楽しかったわ。スマートフォンで撮影したの。

— 本作では、女性の視点を非常に大切にされていますね。7人の女性を描くにあたって自身の経験なども投影しましたか?

脚本を書いた時には、自分の知っている女性のことを思い描いたり、女性のグループの中で自分が実際に経験したことや見聞きしたことを取り入れたりしました。自分自身の経験は、いつも脚本に反映しています。

©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

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— これまでの作品とは違い、本作ではニコール・キッドマン演じるミス・マーサという成熟した女性を描いていますね。

原作自体、登場人物が性格も年齢も違うというのもひとつありますが、やっぱり私自身も年齢を重ねることで30代や40代の女性の気持ちもわかるようになりました。今までティーンエイジャーや20代を描いてきたのは、自分の年齢が近かったからです。自分自身の年齢がひとつの大きな要因としてあると思います。

— 映画では、少女から大人の女性まで互いがライバル心を持っているように見えました。女性として性の自覚が芽生えるのに、年齢は関係ないと思いますか?

女性の性の目覚めというのは、年齢やその個人によって違ってくると思います。今回の作品では、欲望というのは決して恥じるべきものではなくて、自然なものだということを描きたかったんです。特に、(エル・ファニングも含めて)大人の3人はそういう欲望を持っていても当たり前の年齢なのに、かなり抑圧されているんです。周りに男の人がいないということで、さらに強い欲望を持っていてもおかしくないと思いました。そういった部分を、彼女たちは今まで抑えて、眠らせていたのだけれども、ジョンの出現によって覚醒したんです。

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— 女性を美しく撮るという点に関して、あなたの右に出る監督はいないと思います。今回の作品では、女性の醜いところも非常に魅力的に描き出していました。何か意識したところはありますか?

今回は、自分が共感を持てる女性を描きたいと思いました。決して一面的ではなく、他の女性も共感できて、リスペクトも出来る女性を描きたかったんです。

— 自身を映画のキャラクターに置き換えるとしたら?

この中の誰とも思いませんが、脚本を書いている時は勿論、彼女たちの置かれている状況をイメージして、自分だったらどうするだろうか、とか彼女たちになりきって考えてはいました。私にとって一番面白い作業っていうのは、やっぱりキャラクターひとりひとりの頭の中に入って、彼女たちがどう思っているのか、彼女たちは今何を考えているんだろうか、とかそういうことを想像して脚本を書くことなんです。一番、共感が持てたのはキルスティンの役かもしれません。彼女が一番傷つきやすくて、弱い役だと思うんですけど、それはあまりにも抑圧されているからなんですよね。私は、決してそういうわけではないので、そこはやっぱり違うところではあります。

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— 本作では、ひとりの男性にみんなの心がかき乱されますね。コッポラ監督もかき乱されることはありますか?

この映画は、戦時下で男性が周りにいなくて、自分たちで生きていかなければいけないという本当に極端な状況です。わたしの日常生活には、そんな極端な状況はないので、あるとは言えないかもしれません。勿論イライラしたり、自分の感情もフラットなわけではないんですけど、こんな風にかき乱されることはありませんね。

— 本作への男性の反応はいかがでしたか?

男性も楽しんでいただける作品だとおもいます。お父さんが好きって言ってくれたことには、驚きました。お父さんは、マッチョなのが好きだから(笑)褒めてくれて嬉しかったですね。

— 『マリー・アントワネット』を撮影した後、”規模が大きすぎて、自分にはプライベートな感覚で出来る映画作りの方が合っている”と言っていましたが、今はどうですか?これから作ってみたい映画はありますか?

今回の作品は、出演者も少ないし、同じ家の中で展開していくので、とてもリラックスして撮影できました。『マリー・アントワネット』では、とにかくエキストラが多かったので、そのコントロールだけでもものすごく苦労しました。勿論、撮影自体はとても楽しかったのですが、もう少し規模の小さい作品を撮って、ホッとしたことは嘘ではありません。次の作品については、未だ全然決まっていませんが、強いて言うなら自分の限界を超える作品を作りたいです。それは、わたしが常にしたいことでもあります。

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— ゴールデングローブ賞で女性監督が誰ひとりノミネートされなかったりと、映画界では今ダイバーシティの問題が騒がれています。あなたは映画界で成功している女性監督のひとりですが、これまでに女性だということでハンディを感じたことはありますか?

勿論、色々な試練がありました。プラス面は正直言って、あまりありませんでした。ただ、そればかりにとらわれてしまっても意味がないので、あまり気にせずにとにかく自分が作りたい映画を作ろうといつも心がけています。

— まだまだ映画界では女性監督が少ない中、今回のカンヌ映画祭での監督賞受賞は多くの女性を勇気付けたと思います。女性クリエイターに何かアドバイスはありますか?

ありがとうございます。これは、映画業界に限らずどんな女性にでも言えることだと思うのですが、とにかく自分の信じた道を突き進んでください。そして、決して諦めないでください。何か言われても落ち込まないでください。そこには、忍耐力や意志の強さも必要になってきます。どんなことを言われてもどんどん邁進していく力を持って欲しいです。

撮影:ホンマタカシ

撮影:ホンマタカシ

<プロフィール>
Sofia Coppola (ソフィア・コッポラ)
映画監督、プロデューサー、脚本家、女優、ファッションデザイナー
1971年生まれ、アメリカ合衆国出身。映画監督のフランシス・フォード・コッポラの娘として北カリフォルニアで生まれ育つ。長編映画2作品でコスチュームデザインを手がけた後、カリフォルニア芸術大学で美術を専攻。短編映画『Lick the Star (原題)』で脚本と監督を手がけた後、『ヴァージン・スーサイズ』で長編監督デビューを果たす。続く『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー賞の脚本賞を受賞し、監督賞と作品賞にノミネート。『SOMEWHERE』では、2010年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞の栄冠に輝く。本作で、2017年カンヌ国際映画祭の監督を女性としては56年ぶりに受賞した。

作品情報
タイトル The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
原題 The Beguiled
監督 Sofia Coppola (ソフィア・コッポラ)
出演 Colin Farrell (コリン・ファレル)、Nicole Kidman (ニコール・キッドマン)、Kirsten Dunst (キルスティン・ダンスト)、Elle Fanning (エル・ファニング)
配給 アスミック・エース、STAR CHANNEL MOVIES
制作国 アメリカ
制作年 2017年
上映時間 93分
HP beguiled.jp
©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
2月23日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開
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