Interview with Katie Grand

PORTRAITS | Aug 28, 2018 9:00 PM
10周年という大きな節目を迎えたイギリスのファッション、カルチャー、スタイルマガジン『LOVE』の編集長 Katie Grand (ケイティー・グランド) にインタビュー。Miuccia Prada (ミウッチャ・プラダ) や Marc Jacobs (マーク・ジェイコブス) が厚い信頼を寄せるスタイリストであり、Jefferson Hack (ジェファーソン・ハック) や Rankin (ランキン) らと手を取り合い、『Dazed & Confused (デイズド&コンフューズド)』を立ち上げ、現代におけるインディペンデントマガジンの礎を築いたパイオニア。時には思いもよらないほどの大胆さで、時にはユーモアたっぷりにファッションの魅力を伝え続けてきた彼女にこの10年間を振り返ってもらいました。

かつて『WSJ』誌が「The Beating Heart of Fashion (ファッション界の脈打つ心臓)」と喩えた Katie Grand (ケイティー・グランド) という女性をご存知だろうか?おそらくファッションに携わる者なら彼女の名前を、あるいは彼女の手がけた仕事をどこかで一度は目にしたことがあるはずだ。

彼女が成し遂げてきた偉業の数々をここで述べていくのは、至難の技だ。しかし、あえて彼女のことを簡潔に紹介しなければならないとしたら、ファッション界の、そしてファッションを愛する全ての人々の良き友人だと呼ばせて欲しい。Miuccia Prada (ミウッチャ・プラダ) や Marc Jacobs (マーク・ジェイコブス)、Stella McCartney (ステラ・マッカートニー) といったファッション界でも屈指のデザイナー達がこぞって厚い信頼を寄せるスタイリストであり、Jefferson Hack (ジェファーソン・ハック) や Rankin (ランキン) らと手を取り合い、『Dazed & Confused (デイズド&コンフューズド)』を立ち上げ、現代におけるインディペンデントマガジンの礎を築いたパイオニア。

そして、彼女はイギリスのファッション、カルチャー、スタイルマガジン『LOVE』の創設者であり、現役の編集長として時には思いもよらないほどの大胆さで、時にはユーモアたっぷりにファッションの魅力を伝え続けてきた。カバーでミュージシャンの Beth Ditto (ベス・ディットー) がヌードを披露したあの創刊号から早くも10年。Willy Vanderperre (ウィリー・ヴァンデルペール) が Prada (プラダ) のアーカイヴコレクションを纏った Uma Thurman (ユマ・サーマン) を撮影したカバーストーリーと共に届けられた10周年記念号を提げ、来日を果たした Katie Grand は Dover Street Market Ginza (ドーバー ストリート マーケット ギンザ) にて同誌のローンチパーティーを開催。今回の来日は休暇も兼ねているということで、ロンドンでの多忙な日々から一時解放され、晴れ晴れとした表情でファンと交流する彼女に『LOVE』と歩んだ10年間を振り返ってもらった。

—10周年おめでとうございます!『LOVE』の大ファンです。まず、10周年記念号の見どころを教えてください。

私たちはまず最初に創刊号を何回も見返したの。創刊号を感じさせるものを作りたかったんだけど、ノスタルジックすぎるものにはしたくなかった。Kate Moss (ケイト・モス) や Madonna (マドンナ)、Timothée Chalamet (ティモシー・シャラメ)…この10年間における最高の瞬間のアウトテイクもあるし、Beth Ditto も改めて撮影したわ。トランスジェンダーのティーンエイジャー Ariel Nicholson (アリエル・ニコルソン) や若くして大きな発言力を持つ賢い Rowan Blanchard (ローワン・ブランチャード) も。この10年間へのノスタルジーもあるけど、若くして発信力を持つ子達を取り上げることが何よりも重要だったの。

—本号では、Prada (プラダ) と Uma Thurman (ユマ・サーマン) とコラボレーションしていますね。

2018年秋冬シーズンの Prada のショーが好きだったの。Miuccia とは20年近くの付き合いになるから、私たちのバースデーのために何かしないかって声かけたのよ。彼女がすぐに Uma Thrman と仕事したいって言ったから、わたし「オッケー、いいね」って言ったわ。

『LOVE』10周年記念号 | Photo by Willy Vanderperre

『LOVE』10周年記念号 | Photo by Willy Vanderperre

—この10年で最も記憶に残っている号はありますか?

記憶に残っている号っていうのはないけど、撮影はあるわね。インターナショナルなファッション誌のカバーに初めて起用されたトランスジェンダーモデル Lea T (リアT) を Kate Moss と一緒に撮影して、彼女達にキスしてもらったの。あれは最高だったわ。Miley Cyrus (マイリー・サイラス) との仕事も最高。Lily Rose Depp (リリー・ローズ・デップ) の初めてのカバーは『LOVE』だったわ。Kendall Jenner (ケンダル・ジェンナー) とはもう4年ぐらいの付き合いになるけど、彼女の成長をずっと見守ってきたのよ。Cara Delevingne (カーラ・デルヴィーニュ) もね。素晴らしい人々と仕事をしてきて、本当にたくさんの素晴らしい瞬間があったわ。

—Kendall Jenner にフォトグラファーデビューのチャンスを与えたり、若い才能のある人々を発掘し、育ててきましたね。どうやって彼女達を見つけてくるんでしょう?

よくあるのは、知り合いから「この子と仕事してみない?」って紹介されることね。Kendall Jenner と初めて仕事した時は、Christipher Michael (クリストファー・マイケル=Ford Models のCEO) に紹介してもらったの。それまで私は Kardashian (カーダシアン) 一家についても知らなかったし、彼女のことも知らなかった。ただ、モデルを本当にやりたいと思っているこのスイートな女の子のことを気に入ったの。Cara Delevingne も Edie Campbell (エディー・キャンベル) だってそう。彼女達は、それぞれ個人が素晴らしいの。

—新しい人に出会った時、どこを一番最初に見ますか?

例えば、10周年記念号にも起用した Ariel Nicholson との出会いは、Marc Jacobs のキャスティングだったわ。その時、彼女は私に会いたかったと言って、自己紹介したの。私は彼女がトランスジェンダーであることも知らなかったし、彼女が『TIME (タイム)』誌のカバーになったことも知らなかったけど、すごく綺麗だと思ったのよ。私はすぐに彼女のエージェントに電話して「彼女ってすごくクールね」って伝えたわ。その後、彼女の文章を読んで、彼女が魅力的で、賢くて、これからの世代に語りかけていることがわかったわ。彼女は間違いなく新しい『LOVE』の”NEW HERO”ね。

—ズバリ良い編集者とは?

自分の決断を信じること。編集者も、スタイリストもそうだけど、たくさんの決断を素早くしなければならないわ。Miuccia や Marc と仕事していると、ほとんど寝ずにたくさんの決断をしていかなければならないの。それは、限りなく直感的なものね。時間は無駄にできないし、迷ってる暇なんてない。本能を信じて、突き進むしかないのよ。

—部下にはいつもどんなアドバイスをしていますか?

いつもおしゃべりばっかしていて、あんまりアドバイスらしいことは言わないわね。「これするべきかな?」「楽そうね。やってみましょう。」みたいな感じかな。

—あなたにはいつでも確固たるビジョンがありますよね。迷ったりすることもあるんですか?

なるべく迷うことのないよう心がけてるわ。人生は短いし、疑っていては勿体ない。勿論、ソーシャルメディアで何かを読んだりすると、心の奥底で不安がよぎるけど、進むしかないのよ。

—人生で最も幸せだった瞬間は?

人生で何かを成し遂げたと実感した瞬間は、2回。1つ目は、1994年か95年のこと。Kylie Minogue (カイリー・ミノーグ) から電話で『トップ・オブ・ザ・ポップス』(イギリスの音楽番組)の衣装の依頼を受けたの。誰かがお金を払って私を雇ったのは、それが初めてだったわ。もう1つは、MIU MIU (ミュウミュウ) で Miuccia から直接仕事を頼まれた時。彼女が「あなたのこと気に入ったわ!」って言って、次は Prada で一緒に仕事をしたの。その時は本当に驚いたし、人生が変わったわ。

—子供の頃は何から影響を受けたんですか?

映画。あと、本ね。『ワーキング・ガール』や『マドンナのスーザンを探して』、『ブレックファストクラブ』、『キューティ・ブロンド』とか。ポピュラーな映画をたくさん見てたわ。『トップ・ガン』も(笑)。イギリスの作家 Kerry McGinnis (ケリー・マクギニス) の本もたくさん読んだわ。バンドやジャム、たくさんの普通にポピュラーなものから影響を受けたわ。

—『LOVE』はインディペンデントでありながらも同時にポップですよね。意識していたりはしますか?

間違いなくね。きっと『Dazed』のようなインディペンデント誌で働いてきたからね。それがどんなに大変かも知ってるけど。チームも小規模だし、一緒に働いてる人たちはみんな20年近く、下手したらそれ以上の付き合いになるわ。ポップでありながら、インディペンデントであることを貫くのは、素晴らしいことだと思ってるわ。普通にならないようにいつも心がけてるの。

—『LOVE』を作った時はどんな雑誌にしようと思いましたか?それは変わりましたか?

クールでポピュラーな雑誌にしたかったの。クールって言葉を使うのは嫌いなんだけど、それが信念だった。それまでに、『Dazed』や『The Face』、『POP』で働いてきて、そのうちの2つは立ち上げにも関わったし、『AnOther』もローンチしたわ。そこで Condé Nast (コンデナスト) と何かしようってなって、そうして『LOVE』が出来たの。インディペンデントではあったけど、大きな出版社のバックアップがあったわ。ただ今となっては、そういうことは大したことじゃないわね。発行部数よりもその雑誌自体が大事なの。私たちはたくさんの読者を抱えていて、その数は減ることはないわ。でも、私たちにとって重要なのは、読者を追いかけることよりもクオリティを維持すること。最も大きな変化は、Instagram (インスタグラム) とウェブサイトかしら。私たちが始めた時にはまだ、Condé Nast ではウェブサイトを持つことは許されてなかったのよ。

—ウェブサイトもよく見てます!アドヴェントカレンダーが素敵ですよね。今年も今から楽しみにしてます。

私もよ(笑)。本当に大変な仕事なのよ。実は、もう準備も始まってるの。本当に時間がかかるのよね。

Katie Grand (ケイティー・グランド)
『LOVE』編集長、スタイリスト、アーティスティックディレクター
1971年、イギリス・リーズ生まれ。セントラル・セント・マーチンズ在学中にスタイリストとしてキャリアをスタートさせ、Rankin とともに『Eat Me』マガジンを発表。卒業後、ファッションディレクターとして『Dazed & Confused』に参画し、90年代に数々の大きな功績を残す。1999年に『The Face』のファッションディレクターに就任。2000年に『POP』をローンチし、編集長を8年間務めた。2009年に『LOVE』をローンチし、British Fashion Awardds (ブリティッシュ・ファッション・アワード) では優れた英国人クリエイターに贈られる Isabella Blow (イザベラ・ブロー) 賞を受賞した。

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