Interview with Takashi Kumagai part2

PORTRAITS | Apr 5, 2013 12:40 AM
「トレンドに捉われないスタイル」、今や多くのブランドやメディアで使い回されている常套句ともいっていいフレーズだが、その根っこを探っていく時、ファッションの分野でまず辿り着く人物が、熊谷隆志だろう。90年代のパリでスタイリストとしての活動をスタートさせて以後、フォトグラファー、ディレクターといった職種のみならず、ファッションのフィールドすらも越えながら活動範囲を拡大し続けている。近年では Biotop (ビオトープ) や WILD LIFE TAILOR (ワイルド・ライフ・テーラー) を始めとするショップのディレクターとしても有名だ。マルチな才能を発揮する熊谷氏の、そのスタイルのベースにあるものとは?ここでは、熊谷氏が手掛けるメンズブランド NAISSANCE(ネサーンス) の2013-14年秋冬展示会のタイミングで収録したインタビューを紹介する。

取材・文: 合六美和  写真: 三宅英正  英語翻訳: Oilman

 

「トレンドに捉われないスタイル」、今や多くのブランドやメディアで使い回されている常套句ともいっていいフレーズだが、その根っこを探っていく時、ファッションの分野でまず辿り着く人物が、熊谷隆志だろう。90年代のパリでスタイリストとしての活動をスタートさせて以後、フォトグラファー、ディレクターといった職種のみならず、ファッションのフィールドすらも越えながら活動範囲を拡大し続けている。近年では Biotop (ビオトープ) や WILD LIFE TAILOR (ワイルド・ライフ・テーラー) を始めとするショップのディレクターとしても有名だ。マルチな才能を発揮する熊谷氏の、そのスタイルのベースにあるものとは?ここでは、熊谷氏が手掛けるメンズブランド NAISSANCE(ネサーンス) の2013-14年秋冬展示会のタイミングで収録したインタビューを紹介する。

 

 (第1回/全2回)【インタビュー】ファッションのブランディングから植栽のディレクション – “スタイル”を提案できるスタイリスト・熊谷隆志にせまる

 

– 熊谷さんは、トレンドではなく“スタイル”が提案できる、数少ないスタイリストだと思います。最近は台湾『GQ (ジーキュウ)』から、世界のスタイリスト特集の取材を受けたとか。

僕の場合は、バイイングもしているということかな。いままでのスタイリストといえば、ショーを見るだけだったので。でも、ショーとバイイングって、やっぱりズレがある。ショーで見たものが全部売れるわけじゃない。結局のところ、ショーを見ないバイヤーたちが、展示会で直接バイイングして、それが店にあるという現状。そこにギャップあるんです。僕はその部分を、けっこう埋めているとおもいます。

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

 
NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

NAISSANCE A/W 2013-2014 | VERSUS TOKYO

 

– そして自身でも服を作る。

ショーを先に見て、たとえば SAINT LAURENT (サンローラン) のパクリを作ってもしょうがないでしょう。自分が昔から好きな古着とか、好きな国の民族衣装とか、それを NAISSANCE という形にして出している。それがたまたま、僕がいまやっているグリーンの活動とか、ライフスタイルの提案に合っているから、ちょっとだけ人気が出てきている。

 

– 熊谷さんのスタイルのベースにあるのは?

10代はシブカジ、アメカジ。Levi’s® (リーバイス) で育ったというのもあるけど、わりとアイビーでずっときました。20代以降は、パリに住んでいたこともあり、ヨーロッパとアメリカとフィフティ・フィフティくらいです。

 

– 熊谷さんから見る、いまの日本のファッションは?

素人のほうが、スタイリストとかファッション編集者とかより、ずっとオシャレ。いい傾向だと思います。

 

– いま、世界的な流れとして熊谷さんが感じていらっしゃるのは、どんな動きでしょうか?

ニューヨークにJ.Crew (J.クルー) の Liquor Store (リカーストア) ができた (2008年) 当時は、ラギットがきましたよね。日本の『Free & Easy (フリーアンドイージー)』を見本に逆輸入、みたいな感じで流行っていましたが、いまのニューヨークは、ちょっとエレガントでコンサバになっている。日本でも、J.Crew やラギッドからくる流れは終わって、やはりちょっとコンサバになってきています。素人の子たちがやっているレイヤードとか、独特の世界観との二刀流になっているんですけど、けっこう面白いなとおもって見ているところです。逆にヨーロッパが、アメリカの真似になっていてつまらない。とにかくいまのメンズは、ニューヨークと東京がひっぱっています。

 

– 熊谷さんが好きな東京のスポットを教えてください。

代官山蔦屋書店、神宮外苑、紀尾井町の AUX BACCHANALES (オーバカナル)、白金のBiotop、あたりかな。しょっちゅういます。

 

 

– そういえば先日、代官山蔦屋書店で熊谷さんをお見かけしました。いつもどのあたりをチェックしているのですか?

だいたいインテリアの雑誌が目当てです。

 

– 代官山蔦屋書店では、インテリアやガーデニング系の雑誌は、全体に好調とも聞いています。『Inventory (インベントリー)』とか『Anthology (アンソロジー)』とか『Kinfolk (キンフォーク)』とか。そのあたりですか?

海外に月1ペースで出ているので、『Inventory』などは、海外で先に買っています。そういえば次の『Inventory』では、僕の特集が組まれるみたいです。

 

– 白金のBiotopはリニューアルをしましたね。

僕の中の勝手なイメージですが、たとえば colette (コレット) がサンフランシスコに出店したらどうなるだろう?というのが裏テーマ。これまでは、ツリーハウスとか、ずっとオーガニックな感じでやってきましたが、店に置いているものはTHE ROW (ザ ロウ) があったりなどハイブランドが多いので、2階のワンフロアくらいはちょっとファッションっぽくしました。超カッコよくなったので、ぜひ見に行ってください。

 

– 熊谷さんの中でのサーフのポジションは?仕事としてのオファーもありそうですが。

ちょうど明日からもハワイでサーフィン。サーフィンは完全に趣味です。基本、仕事にはしたくない、逃げ場がなくなっちゃうので。以前、Quiksilver (クイックシルバー) のディレクターをやったことがありますが、仕事にすることによって、もっとサーフィンに行けたりとか、そういう楽しさもあるんだったら、全然やりたいです。

 

– ハワイが好きなんですね。

いろいろ行きます。バリ島、オーストラリア、ハワイ、あと鎌倉。

 

– 熊谷さんのサーフスタイルとは?

普通の短パンにTシャツにビーサン。ファッションのファの字も考えません。

 

Photography: Takashi Kumagai

Photography: Takashi Kumagai

– 話は変わりますが、フォトグラファーとしての活動も伺いたいです。展覧会は、年1ペースで開催されていますよね。

昨年は SATURDAYS SURF NYC 代官山のギャラリーのオープニングエキシビションで展示したりしました。あとは普通に、ファッション誌で撮っています。風景に関しては、これまで撮りためてきた写真が、けっこう売れるんです。寝室に飾りたいとか、そういうオーダーがよくきたりして。いま、デジタルとフィルムのはざまにいて、写真集のために改めて撮り下ろそうとか、そういう構想はないかな。フィルムは風景だけで、それ以外のファッションなどはデジタルですが、僕の中で、デジタルの写真を売るという感覚はまだできていなくて。そのあたりは模索中です。

 

– ムービーの視点はありますか?

7Dとか8ミリとか、小さい機材で撮ることはあります。先日は、TWIN CROSS (ツイン・クロス) という歌手で、ディレクターとしてムービーを撮りました(カメラマンは深水敬介)。そういう仕事は時々ありますが、でも基本的にムービーはないですね。僕、飽き症だし、ずっと回してられない。

Photography: Takashi Kumagai

Photography: Takashi Kumagai

– 現在、NAISSANCEは13-14年秋冬の展示会が終わったところですが、次シーズンのテーマは「Test」なんですね。どんな思いが込められていますか?

これまでの4シーズンは、一切ブレずに作ってきましたが、この方向でいいのかな?という、自分に対するテストという意味での「Test」。ちょっとセンチな感じ(笑)。

 

– いま、RECTOHALL (レクトホール) 恵比寿では、NAISSANCE の特集をやっていましたね。限定でレディスもあると聞きましたが、サイジングの展開を増やしているのですか?

どうしてもレディスが欲しいとオーダーが来て、初めてレディスサイズも作ってみました。サイジングだけじゃなくて、パターンも変えてやっている。これも“テスト”の一環です。NAISSANCEはメンズですが、女の子のファンも多くて、要望は普段から多い。次はXSまで作ろうかなと検討中です。

 

– 現在進行中のプロジェクトを教えてください。

いろいろありますが、大きいプロジェクトとしては、「インプレストタワー芝浦エアレジデンス」(港区芝浦地区に建築中のタワーレジデンス)のエントランスの植栽。これは10年計画です。Patrick Blanc (パトリック・ブラン) という、フランスの緑の魔術師と呼ばれる人 (金沢21世紀美術館「緑の橋」で有名) と一緒に仕事をしていた四緑園とやっています。これは間違いない。僕も住みたいくらいです。

 

 (第1回/全2回)【インタビュー】ファッションのブランディングから植栽のディレクション – “スタイル”を提案できるスタイリスト・熊谷隆志にせまる

 

Takashi Kumagai熊谷隆志  (くまがい・たかし)
スタイリスト、フォトグラファー、クリエイティブディレクター。1970年仙台生まれ。渡仏後、1994年スタイリストとして活動を開始。98年レイク・タホ名義で、フォトグラファーとしての活動もスタート(現在は写真も本名名義)。広告・雑誌等で活動するかたわら、様々なファッションブランドのブランディングやショップ内装、植栽のディレクションなど、幅広い分野で活動中。

HP
URL: http://www.takashikumagai.com

NAISSANCE
URL: http://www.naissance-tokyo.com

BLOG
URL:http://blog.honeyee.com/tkumagai

 

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