Interview With Yo La Tengo

PORTRAITS | Nov 19, 2018 9:00 PM
30年という長いキャリアを持ちながら、唯一無二な存在として常にUSインディーシーンの第一線を走り続けてきた、Yo La Tengo (ヨ・ラ・テンゴ)。Ira Kaplan (アイラ・カプラン)、Georgia Hubley (ジョージア・ハプレー)、James McNew (ジェイムス・マクニュー) の3人が醸し出す絶妙な空気感は、31年ぶりにセルフ・プロデュースで制作されたアルバム『THERE’S A RIOT GOING ON』にもしっかりと封じ込められている。10月に行われた東京公演にて、リハーサルを終えたばかりの Ira Kaplan に最新作について語ってもらった。

30年という長いキャリアを持ちながら、唯一無二な存在として常にUSインディーシーンの第一線を走り続けてきた、Yo La Tengo (ヨ・ラ・テンゴ)。Ira Kaplan (アイラ・カプラン)、Georgia Hubley (ジョージア・ハプレー)、James McNew (ジェイムス・マクニュー) の3人が醸し出す絶妙な空気感は、31年ぶりにセルフ・プロデュースで制作されたアルバム『THERE’S A RIOT GOING ON』にもしっかりと封じ込められている。

心が安まるような穏やかなメロディーに時折加わる繊細なノイズ、優しく囁くようなヴォーカル。一聴するとピースフルな印象を受けるが、深く聴き込んでゆくとこの混沌とした現代社会への強いメッセージを感じ取ることができる。ライブへの期待値が高まる中、リハーサルを終えたばかりの Ira Kaplan に最新作について語ってもらった。

Photo by Kazumichi Kokei

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—残すところあと東京2公演ですが、帰国後もツアーは続きますか?

ここ1年はアメリカ、ヨーロッパを行き来してずっとツアー続きだったけど、12月に開催されるユダヤ教のハヌカの祭りの時期まではしばらくツアーはお休みだよ。

—ツアー中、どんな風に過ごしていますか?

しばらくライブではやってない曲を演奏するために、その曲の構成を思い出したり、練習したりして過ごしてるよ。ツアー中は毎回色々な曲をやるんだけど、曲の順番だったり常に頭の中はライブのことでいっぱいだね。

—今回の来日ツアーのためにはどんなセットを組んだのですか?

大阪、名古屋、東京、それぞれの会場でセットを変えているんだ。僕らはいつもオーディエンスからカバー曲などを事前にリクエストを受けていて、それを盛り込んでやる予定だよ。日本ツアー全部の公演に来てくれる熱心なファンがいるから、毎回楽しんでもらえるようにセットを組むようにしているよ。

Photo by Kazumichi Kokei

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—カバーアルバムをリリースしたり、ライブでもカバー曲をやるのが定番になっていますが、アイラさんが個人的にカバーしたい曲はありますか?

思いついた時にすぐに取り掛かっちゃうから、今聞かれてもこれってものは思い浮かばないかな。毎年ではないけれど、2001年からハヌカのお祭りがある8日間、夜遅い時間にライブをやるチャリティー・イベントを恒例で企画しているんだ。サプライズのスペシャルゲストを呼んだりしてね。クリスマスだったら定番のクリスマスソングが豊富だけど、ハヌカの定番ソングみたいなものはあまりなくて、僕らは T-REX (T・レックス) とか Lou Reed (ルー・リード) とか Bob Dylan (ボブ・ディラン) とか、ユダヤ人のミュージシャンが作曲した曲をハヌカソングとして、そのイベントでカバー曲を披露しているよ。

—今作『There’s A Riot Going On』はレコーディングスタジオではない場所で録音されたということですが、具体的にはどのように制作されたのでしょうか?

僕らがセッションしたり、練習をしているプラクティス・スペースに録音機材を持ち込んでレコーディングをしたよ。ジェームスは DUMP (ダンプ) というソロプロジェクトの中で、自分で全てレコーディングをしてアルバムを制作していて、僕とジョージアは使いこなせないんだけど、彼はプロ・ツールスという音楽制作ソフトも使いこなせるからそこらへんを担当してくれた。ループや12分間にも及ぶアンビエントなサウンドだったり、音の断片を組み合わせ、そこにアイデアを加えてゆく。時々、アイデア同士がうまく合わないこともあって、その時にはその合わないピースは他の曲に使うことにして進めていったんだ。断片を組み合わせながら曲を作って行ったから、今作に収録された曲には似たパーツや共通する要素が見つけられると思うよ。いつもレコーディングは集中力や緊張を伴うものだけど、今作は自分たちのプラクティス・ルームでリラックスして取り掛かることができたし、スタジオだと時間の制限があるけれど、それもなかったからより実験的な曲作りが可能になったと思う。

Photo by Kazumichi Kokei

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—そのプラクティスルームではどのようなコミュニケーションで制作が進んでいくのでしょうか?

以前は3人で雑談も交えながら、前回やったこととか、1か月前にやったことを思い出しながらセッションしてアイデアを出していった。今作でも曲に対して意見を交わすことも勿論あったけど、パソコンがレコーディングのベースになっていたから、そこにある音源の要素にアイデアをどんどん加えていく形で曲を完成させていったよ。

—アルバムの世界観をステージで再現するは大変だったんじゃないですか?

それは今夜のライブを見てもらえばわかるよ。アルバムを制作した時に、1曲まるまるレコーディングした曲は「For You Too」と「Polynessia #1」の2曲だけだっただから、それ以外の曲は後で聞き返してみた時に「あれ?この曲ってどう演奏したんだっけ?」って確認しながら練習して、すごく大変だったし練習量も必要だったよ。今回のライブは2部構成になっていて、1部は今作がメインで、2部はまた違った趣向で構成されているんだ。今作のレビューを読んでいると、穏やかなムードだったり、ピースフルなイメージを持たれることが多いみたいだけど、僕の認識はまた違っていて、もしかしたらオーディエンスの人たちがギャップを感じるかもしれないね。

『THERE’S A RIOT GOING ON』とタイトルに “Riot” という言葉が使われていますが、アイラさんは日々の生活の中で怒りを感じたり、暴動したいと衝動に駆られることはありますか?

日常的に怒りを感じることは勿論ある。でも、Twitter をやっている人たちみたいに集団になって相手を批判したり、強い敵対心を抱くことはないかな。そもそも僕は Twitter とかもやってないからね。そういう怒りを愛する集団には属したくないんだ。僕は年齢的に60年代、70年代にアメリカで発生した暴動も記憶に残っていて、その時は黒人が理不尽な理由から逮捕されたり、殺害されたり、学生が暴動を起こしていたことが記憶に残っているんだ。でも、その暴動にはちゃんと理由があった。今、黒人や有色人種の人々に対して同じような状況が発生しているけれど、それほど大きな暴動が起こっていないことが不思議なくらいだよ。今と比較して何が違うかっていうと、その時代には希望や楽観的なムードがあった。勿論、暴動で街は燃えていたし、市民が殺されたり悲惨な状況ではあったけれど、少なからずみんなの心には希望があったから救われていた。今はその希望がないというか、絶望しか感じられないというか、そういった意味では暴動や反抗も必要だと僕は信じているよ。

Photo by UTSUMI

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<プロフィール>
Yo La Tengo (ヨ・ラ・テンゴ)
1984年、当時音楽ライターをしていた Ira Kaplan (アイラ・カプラン) と Georgia Hubley (ジョージア・ハプレー) を中心にニュージャージー州ホーボーケンにて結成される。1991年に James McNew (ジェイムス・マクニュー) が加入し現在のスリー・ピースの形となる。Ira Kaplan はギター、Georgia Hubley はドラム、James McNew はベースと、一応、担当楽器は決まっているが、全員がボーカルをもとれるマルチプレイヤーであり、バンドの音の豊富さが大きな特徴となっている。芳醇な音楽的知識に裏づけされながらも自由な音楽精神、ノイズあり、サイケあり、ドリーミー・ポップあり。様々な要素を取り入れた彼らの音楽的姿勢は現代の The Velvet Underground (ヴェルヴェット・アンダーグラウンド) とも評されることもあり、ここ日本でも根強い人気を誇る。そして2018年3月に5年ぶりのオリジナル・スタジオ・アルバム『THERE’S A RIOT GOING ON』をリリース。全曲セルフ・プロデュースとなった本作は、アルバム毎に様々なサウンドを生み出してきた冒険心溢れるバンドの歴史を網羅しつつ、更に幅広い領域を探求する意欲作となっている。

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