Interview With Louis Cole

PORTRAITS | Jan 22, 2019 9:00 PM
その音楽は、まるで種明かしのされないマジックのようだった。2018年、名門レーベル Brainfeeder (ブレインフィーダー) から『TIME』をリリースし、来日公演を行った Louis Cole (ルイス・コール)。ライブでは1人でシンセで楽曲の輪郭をつくり、ドラムスで色を付け足していく。マルチプレイヤーで異端児のような存在である彼は、圧倒的なドラムスとしての技量も相まって、時代やジャンルを越境するスタイルで、Brad Mehldau (ブラッド・メルドー) や Larry Goldings (ラリー・ゴールディングス) など名うての音楽家から支持されてきた。

その音楽は、まるで種明かしのされないマジックのようだった。2018年、名門レーベル Brainfeeder (ブレインフィーダー) から『TIME』をリリースし、来日公演を行った Louis Cole (ルイス・コール)。ライブでは1人でシンセで楽曲の輪郭をつくり、ドラムスで色を付け足していく。マルチプレイヤーで異端児のような存在である彼は、圧倒的なドラムスとしての技量も相まって、時代やジャンルを越境するスタイルで、Brad Mehldau (ブラッド・メルドー) や Larry Goldings (ラリー・ゴールディングス) など名うての音楽家から支持されてきた。

ソロとしては、人力ドラムンベースの様子を YouTube でアップしたり、「F it Up」という MV では謎の家にたくさんのホーンセクションで音楽家を招いたセッションを披露。「When You’re Ugly」では、クネクネとした謎のダンスを披露。通底しているのは、LA育ちのアッパーなバイブスかと思いきや「物事は思い描いたようにはならない/物事は思い描いたようにはならないんだ/それはいいことかもしれない・悪いことかもしれない/いずれにせよ、僕らが知る真実はひとつ/『物事は思い描いたようにはならない』ということ」というなんともセンチメンタルなリリックを繰り出してきたりもする。

彼の底知れなさを探るべく、音楽のルーツや作曲をはじめた経緯、そして楽曲単位に込めたアイデアについてなど、色んな角度で質問を投げかけみた。話を聞いている間、夜に控えたライブのドラミングの動きを何度も確認しながらではあるが、(上手に叩けるか心配だ、みたいな言葉も漏らしていた。) 自分のスタンスを淀みなく語ってくれた。

 

F it up - Louis Cole (Live Sesh)

 

Photo by Toshio Ohno

Photo by Toshio Ohno

—アルバム聴かせてもらっていました。本当にユニークで素晴らしい作品ですよね。

ありがとう。

—アルバムの制作期間はどの位かかったんですか?

最初の曲ができたのが、2012年で。2016年から作曲を再開してできた。トータルで2年半くらいかかったかな。

—全体像が見えたのはいつ頃ですか?

「Wired Part of The Night」という曲を2曲目に創り上げて。アルバム全体像というより、このクオリティがアルバムとして1つの基準にしないといけないなって思えたかな。

—アルバム全体を通して聴くと、夜のある時間をテーマにした楽曲「Wired Part of The Night」からはじまって、「Night」で終わるような流れというのがある一方で、ファニーなトラックもあれば、内省的なトラックが突如でてきたり。その配置の仕方にどんな狙いがあったんですか?

狙いは全然なくって。早くてエキサイティングな楽曲とゆっくりとしたもの両方出てきたのは、トータルのことを考えないで、その1曲1曲のベストを目指した結果なんだよ。

—なぜそういうことを聴いたのかというと、楽曲単位で見てもアルバム単位で見ても表情のバリエーションが豊かだなと思って。

うん。

—たとえば「When You’re Ugly」を例に挙げてもファンクなベースサウンドに、シンフォニックなシンセや複雑なフィルインが出てくるなど、細やかなこだわりが感じられて。一方でトータルで見ると、MVを含めかなりファニーでアップリフティングな仕上がりですよね。1つの楽曲に自分の好きなものやアイデアを詰め込むことがお好きなんですか?

欲を言えばもっと詰め込めたい気持ちがあるけど、一度創ったものから一生懸命要素をカットしているんだ。音楽として重要なものだけをキープすることが大事で、後はできるだけ削ぎ落としていくんだ。

—アルバム後半「Things」では、すごくメロウで悲しげなフィーリングですよね。それから最後のトラック「Night」に至る流れとかなんとも完璧で。

この曲のメッセージは、“Life can be really unexpected.” ってこと。人生はハッピーだとか悲しいとかそのどちらか一方に振れるものではなくって。人生は常に想像もつかないようなことが起こるということを伝えたかったんだ。

—想像もしなかったこと…。レッチリの前座に抜擢されたこととか?

まさに。(笑)

—ルイスさんが音楽に親しむようになったのはいつくらいからなんですか?

4歳か5歳くらいからかな。お母さんが持っている台所の家具で勝手にドラムっぽいことをやっていて。実際にレッスンに通ったのは7歳から8歳くらいからなんだ。

 

When You’re Ugly - Louis Cole

 

—作曲をはじめたのはどんな影響からなんですか?

叔父の影響だね。きっかけは叔父が古いカシオのキーボードで変な音楽を創っていたこと。それをCD に焼いて、インスパイアされたんだ。叔父は誰かから楽器を習っていたわけでもないし、全部独学で自分流に表現していて。それこそトレンドにとらわれないで、自由な音楽なのが最高だなって。10歳のときにそのキーボードを譲ってくれたから、それから作曲するようになったんだよ。

—音楽を作る上でどんなものに影響を受けてきたと言えますか?

それを言葉で上手く説明できないんだ。人生のそれぞれのタイミングで色んなジャンルの音楽をディグっていった先に今があるから、様々な要素が DNA の中に刷り込まれているというか。何ていうか「自分独自のシステムが完成している」って言えばいいのかな。

—独自のシステムですか。

そう。大好きなジャンルの音楽を聴いてその断片が自分のなかでマッシュされているんだ。意図的にいいものを混ぜ合わせているケースも稀にあるけど、基本的には無意識でこうなっちゃう。

—80’s の Lo-Fi なシンセサウンドが出てきたり…。

間違いなく、大好きだね!

—クラシックともいうべきジャズの名盤の影響が出てきたり…。

もちろん、好きだよ。

—歌詞でみれば The Beach Boys (ビーチ・ボーイズ) の Brian Wilson (ブライアン・ウィルソン) 的な諦念を感じるような客観的な視点も出てきたり…。

そうだね。

Photo by Toshio Ohno

Photo by Toshio Ohno

—そのときそのときで目を向ける感情の色が違うからですかね?それともサウンドコラージュ的感覚で音楽を創るからなのでしょうか?

うーん、どうだろう。外側から技術的観点で見たらコラージュって表現することはできるかもしれない。でもそれは最適な言葉じゃないかな。楽曲制作で大事にしているのは、日常の中で受けたインスピレーション。そして人生経験のなかで感じたこと、そして曲をいざ書いている瞬間に湧き上がるフィーリングなんだ。

—だからこそジャンルで区切るのがナンセンスなユニークな楽曲になるんですね。

完成した曲を聴くと、すごく自分らしいって思えるよ。自分にとって聴きたい音楽を創っているだけだからそれはごく自然なことなんだけど。周囲からは「独特だね」って言われて。「へー、こういう音楽は独特なんだ」って (笑)。なんだか不思議な感覚に思うよ。でもだからって、奇を衒ってエッジーな音楽を作りたいって訳じゃないんだ。ただ創りたいものをたまたま YouTube に上げたら世の中が面白がってくれるようになったんだよね。

—これまでにも Thundercat (サンダーキャット) とコラボレーションを果たしたり、優れた音楽家とコラボレーションをなさっていますが、それが自分の音楽の在り方に影響を与えていると思いますか?

そうだね。お互いに影響を与え合っていることは間違いないよ。それは確実に言える。幼い頃から LA という街に住んで、そこで過ごしたりセッションする人たちの音楽性からインスパイアし合うこともあるとは思う。でも同時に僕がどの場所にいたとしても自分の音楽が変わるとは思えないかな。今はインターネットでいつでもどこでも自分の好きなものから影響を受けることができるし。

—確かに、音楽もファッションもいつの時代のものでもディグれますもんね。

でしょ? 今世の中でどんな音楽がキテるかとか、時代の中でどういう文脈で聴かれているかは本当にどうでもいいことなんだよ。人が何をしているかを気にしたり、トレンドが何かを意識するのってハイプでしかないから。大事なことは、自分は何が一番好きかを理解して、それを突き詰めるかだけ。だから周りが何を言おうが関係ないんだよ。

Photo by Toshio Ohno

Photo by Toshio Ohno

<プロフィール>
Louis Cole (ルイス・コール)
LAを拠点に活動するシンガーソングライター、プロデューサー、ドラマー/マルチ・プレイヤー。楽器演奏や作曲・アレンジの多くを鍵盤/管楽器奏者の父から教わり、南カリフォルニア大学でジャズを学ぶ。ドラマーとして、Brad Mehldau (ブラッド・メルドー) や Larry Goldings (ラリー・ゴールディングス) ら現代最高のジャズメン、そして故 Austin Peralta (オースティン・ペラルタ) らとセッションを重ねる凄腕でもある。エレクトロ・ポップ・ユニット、KNOWER (ノウワー)としても活動する中、ソロでは Thundercat (サンダーキャット) の大ヒット作品『Drunk』にも楽曲を提供。2018年には待望の3rdアルバム『TIME』を Brainfeeder (ブレインフィーダー) よりリリース。

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