It's time to seriously consider how to communicate within the Japanese fashion industry part: 2

そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 2

It's time to seriously consider how to communicate within the Japanese fashion industry part: 2
It's time to seriously consider how to communicate within the Japanese fashion industry part: 2
News/

そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 2

It's time to seriously consider how to communicate within the Japanese fashion industry part: 2

「そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 1」はこちら「そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3」はこちら「そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 4」はこちら

文: 飯山 満  英語翻訳: 倉増アンバー

そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 1」はこちら
そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3」はこちら
そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 4」はこちら

Photography: superfem via flickr

さて、ソーシャルメディアは、ファッション業界におけるブランドコミュニケーションのあり方を、そして業界構造自体を、どう変えようとしているのだろう?日本国内では、まだその萌芽がわずかに感じられる程度ではあるが、少なくとも海外では、大きな動きが見られるようになって久しい。今回は、この動きを少し眺めつつ、ファッション業界と、そのマーケティングやコミュニケーション活動における、日本と海外の違いを考えてみたい。しかし、その前に、もう少しだけ前回のおさらいを交えつつ、日本のファッション業界において、多くのブランドが現在展開させているであろう、基本的なコミュニケーション活動を考えるところからはじめよう。

ブランドがマーケットに対してメッセージを発信していくにあたって、広告、そしてPRが、その両輪となっていくわけだが、特に日本のファッション業界に関していえば、その広告、PRを展開していくメディアは非常に限定されているといってもよいだろう。広告であっても、そしてPRであっても、その大半はファッション雑誌。広告宣伝費が潤沢に確保されている場合には、これらに加えてテレビや全国紙といった選択肢も出てくるだろうが、多くの場合、それほど懐具合が豊かではないがゆえに、どうしてもファッション雑誌に依存することになる。こういった背景が、そもそも存在しているがゆえに、ことファッション業界に関して言えば、広告宣伝費などは、おそらく他の業界と比しても、雑誌に対して配分する割合が非常に高いのではないかと思う。これにコレクション等のイベントを加えたら、ほぼほぼ全部になるところもあるだろう。実際に海外と比較すると、雑誌の効果が、それなりにある、いや、実際にはあるということにしているため、極端に雑誌偏重になっているのが現状だ。

もちろん、こういった手法を闇雲に否定することは無い。少なくともいままでは、曲がりなりにも機能していたのは事実である。とはいえ一方で、海外では、こういったコミュニケーション構造、徐々に変化を見せているのも、また事実だ。

2/2ページ:日本のファッションブロガーの現状について

その大きな要素の一つにソーシャルメディアがある。消費者の立場で考えれば、少なくとも情報を入手するための選択肢として、ソーシャルメディアを用いるケースは確実に増えてきている。言い換えれば、これまで「サロン」化しているコミュニティ以外のところから情報が発信されるようになってきたのだ。しかも、そういった情報の方が、むしろ消費者にとって、購買の際に有益な情報となっているケースも少なくない。それまで半ば独占的に情報を発信してきたファッション雑誌からしてみれば、この新しい流れが少なからずインパクトをもたらすような存在になっているということは、想像に難くないだろう。

©THE FASHION POST

こういった、ソーシャルメディアという流れにおいて、主に海外で、特に情報発信という観点でイニシアチブを取るようになったのがいわゆる「ファッションブロガー」の存在である。ある時を境に、特にアメリカでは、いろいろなブランドがこぞって「ブロガーとどう仲良くして、自分たちのブランドに関してポジティブ、かつプロモーショナルな記事を書いてもらうか」という方向に流れていったのは、みなさんもご覧になっているだろう。この動きは現在においてもさほど変わってはいないと思う。実際、海外ではいまも頻繁にブログ絡みのコミュニケーション施策が行われていることからもわかるはずだ。

こういった海外での流れを受け、あるいは海外ブランドの場合、日本でも半ば強制的に実施させられるといった形で、遅まきながら日本でも試行錯誤が始まってきているのはご存知だとは思うが、残念ながら、ここまで、こういった施策がいまひとつ機能していないというのが実情だったりもするだろう。たとえば、どこかのブランドが、キャンペーンとして、ブロガーになにか記事を書いてもらったとする。みなさんは、そのブログを普段読んでいるだろうか?仮に読んだとしても、実際に「欲しい!」と思って、ショップに買いに走ったり、ECサイトで購入をするだろうか?

いや、そもそも、そういったキャンペーンをイベントを、どれだけ見たことがあるだろうか? 少なくとも消費者の視点で見れば、日本の現時点における状況は、このような感じではないだろうか。では日本の場合、なにが理由で、このようにファッションブロガーを使った施策が、それほどまでに機能しない、という結果に落ち着いてしまうのだろうか?それには、日本におけるファッション雑誌のポジショニング、そしてファッションブロガーが登場する背景をきちんと考えていかなくてはならない。ここに、海外と比較した際における大きな前提の相違が存在するのだが、次回は、この違いを少しずつ解きほぐしていきながら、より深く現状を掘り下げていきたいと思う。

 

そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 1」はこちら
そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3」はこちら
そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 4」はこちら