Interview with up-and-coming Japanese book dealer Shintaro Uchinuma, owner of Tokyo's most talked-about bookstore 'B&B'

PORTRAITS | Jul 30, 2012 12:00 PM
1980年生まれ、本とアイデアのレーベル「numabooks(ヌマブックス)」代表、内沼晋太郎。ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクターとしてさまざまな企画に携わる彼は、会う度に強いまなざしで自身の考えや企画をいきいきと語る姿が印象深い。今回は、「numabooks」設立前の話から7月20日下北沢にオープンした本屋B&B(ビーアンドビー)の話まで、幅広く内沼氏の話を聞いた。

取材・文: 室岡優  英語翻訳: Oilman

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1980年生まれ、本とアイデアのレーベル「numabooks(ヌマブックス)」代表、内沼晋太郎。ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクターとしてさまざまな企画に携わる彼は、会う度に強いまなざしで自身の考えや企画をいきいきと語る姿が印象深い。今回は、「numabooks」設立前の話から7月20日下北沢にオープンした本屋B&B(ビーアンドビー)の話まで、幅広く内沼氏の話を聞いた。

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– 仕事を拝見すると、「本」・「人」・「ユーモア」がキーワードに思い浮かびます。内沼さんは、三者が繋がり、うまく循環するきっかけを生み出しているのではないでしょうか。ブックレーベル「book pick orchestra(ブックピックオーケストラ)」を設立、2006年まで代表として活動をする傍ら、ご自身のレーベル「numabooks」を設立された経緯を教えてください。「book pick orchestra」、「numabooks」としての活動を続ける中で、ご自身と書籍の付き合い方の変化はありましたか?

学生のころに雑誌をつくっていたのですが、そのうち販売や流通のほうに興味が移っていきました。出版業界について書かれた本を何冊も読み、漠然と「本のおもしろさを伝える仕事」や「本の業界を変える仕事」がしたいと考えるようになりました。一度は就職するのですが、その会社を2ヶ月で退社し、学生のころ一緒に活動していた仲間を誘って「book pick orchestra」を立ち上げました。「文庫本葉書」「新世紀書店」「write on books」「book room[encounter.]」などのプロジェクトを手がけたのですが、メンバーも十数人まで増えてきて活動の幅も広がってきたため、一度ぼくは個人でよりフットワークを軽くして動きたいと思い、代表を変わってもらい、自分のレーベル「numabooks」を立ち上げました。「本」と「人」との間にあるさまざまなものに関わり、そこによりよい環境や新しい体験を生み出していきたい、という考えはほぼ変化していないと思います。

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2/3ページ:「もはや紙の本と表裏一体であるインターネットを無視して本の仕事はできないと考えています」

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– クリエイティブ・ディレクター、エディター、プロデューサー、ファシリテーターなど、実にさまざまな角度から、書籍の領域を超えて、アパレル・ミュージック・イベントの仕事にも携わっていますが、それらの仕事で生まれたアイデアは、ブック・コーディネーターの仕事にもポジティブに作用しているように感じます。それぞれの仕事の類似点・相違点はありますか?それらは、どのようにリンクしているのでしょうか?

基本的にはすべて広義のディレクションの仕事なので、重なる部分もあります。領域を横断させることで、自分にしかできない新たな領域が生まれたり、ひとつの領域だけに関わっていると生まれにくいアイデアが生まれたりするようになっていると実感します。

– 内沼さんは、これまでにさまざまな企画を手掛けていますが、ブック・コーディネーターとして活躍する前は、書籍とどのように付き合っていたのでしょうか?小さいころに興味を持った書籍やエピソードはありますか?

ある種の記憶力がめっぽう悪く、子供のころのことは驚くほどなにも覚えていないのですが、少なくともブック・コーディネーターという肩書きをつける前は、千駄木の往来堂書店(おうらいどうしょてん)という本屋で働いていました。

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– 内沼さんのプロフィールには、「インターネット育ち」との記述がありますが、書籍とインターネットは、似て非なるものかと思うので、大変興味深いです。これまでどのようにインターネットと付き合ってきたか聞かせてください。

1980年生まれのぼくはちょうど、モバイルは高校生のときにポケベルが流行し後にPHSになり大学生になるとそれが携帯電話になり、インターネットは高校生のときにテレホーダイで夜中に繋いでいて後にISDNになり大学生になるとそれがADSLになり光になり、といったように、思春期的な成長とインターネット環境の進化とがパラレルに進んだ世代です。ですので同世代の多くは「インターネット育ち」であるといえます。わざわざプロフィールに書いているのは、もはや紙の本と表裏一体であるインターネットを無視して本の仕事はできないと考えていることや、実際に紙の本と同じくらいインターネットも好きであるということを示すためです。

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3/3ページ:電子書籍の本質は「いままで本と呼ばれていたコンテンツがインターネットに接続すること」

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– いまではインターネットは、さまざまな機能を兼ね備えた便利なツールとなっていますが、例えば15年前はここまで普及しておらず、大きな可能性を秘めた未開拓の分野だったと思います。そういう点では、現在の電子書籍も似ていると思うのですが、今後の日本の電子書籍の可能性について、聞かせてください。

いまは誰もがそういうと思いますが、Amazon(アマゾン)のKindle(キンドル)が出てから、次のステップがはじまります。ぼくはずっと、電子書籍の本質は「いままで本と呼ばれていたコンテンツがインターネットに接続すること」だと言っていて、そこに「本の未来」があると考えているのですが、それがビジネスとして成立するのはもう2~3ステップ先のことなので、いまは個人的にいろいろ実験をしているような段階です。

– 7月20日にオープンした、博報堂ケトル・嶋浩一郎氏と内沼さんが協業で手がける、本屋B&Bですが、オープンに至った経緯を教えてください。また、既にさまざまな企画が予定され、各方面から注目の場所となっていますが、これからどのようなスペースになっていくのでしょうか。

嶋さんとは、これまでに『BRUTUS(ブルータス)』の本屋特集号の編集から「Lismo book store」のキャンペーンまで、リアル書店から電子書籍までいろんな仕事をご一緒させていただいていて、本や本屋に対する考え方や理想が近いと感じていました。大型書店もネット書店も電子書籍も好きだけど、特に「街の本屋」に対する愛情と危機感が近かったため、一緒に「これからの街の本屋」をやろうということになりました。30坪の小さな新刊書店ですが、古書も雑貨も扱うし、家具もすべて売り物で、毎晩イベントを開催し、昼から夜までずっとビールが飲めます。下北沢の街に住む人々、行き交う人々の知的好奇心を常に刺激続ける、生きた「場」にしていきたいです。

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– 内沼さんの今後のご予定を教えてください。

ひとまずは「B&B」に集中しつつ、マンションの購入者向けの書籍のセレクトサービスから、読書用のコンピレーションCDレーベルのプロデュースまで、いろいろ新しいプロジェクトも並行しています。ご期待いただければ幸いです。

内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう)numabooks代表/ブック・コーディネーター/クリエイティブ・ディレクター。1980年生まれインターネット育ち。一橋大学商学部商学科卒。2003年、本と人との出会いを提供するブックユニット「book pick orchestra」を設立。「文庫本葉書」「新世紀書店」「WRITE ON BOOKS」「book room encounter.]」など数々のプロジェクトを手がけ、2006年末まで代表をつとめる(現代表:川上洋平)。平行して自身の「本とアイデア」のレーベル「numabooks」を設立し、現在に至る。

numabooks
URL: http://numabooks.com

B&B
URL: http://bookandbeer.com

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