
“The Fashion Post meets COACH”
is a special project starring Lilas Ikuta.
We follow the real side of
Lilas’ life based on a theme,
“On Your Own Time”
The Fashion Post meets COACH
On Your Own Time starring Lilas Ikuta
日常と地続きにある感情を、詞と楽曲に託し、リアルな共鳴を呼び起こす幾田りら。そして、小説を音楽にするユニット YOASOBI (ヨアソビ) のボーカルikura (イクラ) は、変幻自在に声色を操り、物語を紡ぐ。これらを両立させ、制作とパフォーマンスに時間を注ぎこむ日々のなかで、地に足を着け、自分らしいペースで歩む彼女の生き方とは。COACH(コーチ)のSpring 2025 Campaignのテーマである“On Your Own Time”(私は、わたしの時間を生きる)というキーフレーズを手がかりに、自然との距離感や装うことの力について話を聞いた。
Special Movie
meets COACH
The Fashion Post
by Akari Eda
The Courage to Reveal Yourself Will Stir People's Hearts.
Essence that Tell the Story
of Lilas Ikuta.
#2 Interview
- 1
自然と向き合い、自らのリズムを思い出す
- 2
プレッシャーに打ち勝つ自信のありか
- 3
リアルに生きる勇気を支える、装いの力
私は、わたしの時間を生きる。
シンガーソングライター幾田りらが
コーチを纏い、紡ぎ出す共鳴。


水平線を望むベランダに腰かけ、つぶやくように歌いはじめた幾田りらに「シンガーソングライター」という肩書きを付すことは、そのとき、なんだか控えたいような気がした。もっと、ただただ、歌う人であった。あまりにも自然なことがそこで起きている、という感触。そして、波の音のなかでも際立つ透き通った声は、どんな風に吹かれても消えない、ろうそくの火のような強さがあった。その表現活動を支える自信と素直な歌声は、どこから来たのだろう。
1 自然と向き合い、自らのリズムを思い出す
─ 今日は、海が見えるエリアを、ゆっくりと移動していきながら撮影をしました。
とても素敵なシチュエーションで、心も体もリラックスしました。水平線を見ながらでギターを弾いていると、おばあちゃんになっても、こういうところでギターをポロポロと弾きながら過ごせたらどんなにいいか、まだ先のことだけれど、そういう未来も想像してしまいました。
─ 自然がすぐそばにある環境は、幾田さんにとって馴染みがあるのでしょうか?
そうですね。今でも休みができると、山や海のほうへ足が向きます。緑豊かなところで育ったので、帰省本能というのか、自然が感じられる場所に出かけたくなるんですよね。

─ 自然のあるところへ出かけながら、幾田さんは、そこになにを求めているのだと思いますか?
社会の中で、日々せわしなく生きていると、つい自分のリズムを見失いそうになることもあります。でも、木のある場所に行って、目をつぶって、木の葉が揺れる音を聞いたり、枝の先にある葉っぱを眺めて、幹や根っこに触れたりして、ここから命が巡って、先っぽの葉っぱが揺れているんだなあと思うと、なんだか落ち着くんです。今日だったら、海のさざ波の音を聞いたり、普段は耳にする余裕がないような音に耳を澄ませて、音をキャッチしようとしていると、自分のリズムに戻っていくような気がします。
─ 自然が見せてくれる景色や、体験は、幾田さんの曲づくりや作詞などのクリエーションにも影響を与えるのでしょうか?
それはありますね。パターンはいろいろあるけれど、たとえば、電車に乗っていて、窓越しに夕焼けを見ていたときに、ぶわっと心の中で湧き上がってくる感情があったりする。それがまた別の記憶に紐づいて、その当時、自分が感じていた悩みとか、誰かに思いを馳せていたら、そのことにまつわる思いまで溢れてくる。それを言葉にして、携帯のメモに押し込んだりすることがあります。景色が思い出させる感情を手がかりに詞にすることもあれば、琴線に触れた景色そのものを言葉に写しとりたい、というときもあります。
─ 自然の景色だったりがそのときの幾田さんの心持ちに重なったり、ずれたり、なにかを喚起して、そこから音楽が生まれるんですね。
さっき、海辺でふとふと口ずさんでみた「Answer」という曲は、サビに「朝日が昇る」という詞があるのですが、それを作った当時は、YOASOBI を始めたての頃だから5年前くらいかな。たしか、初めての『NHK紅白歌合戦』の前ぐらいのときでしたが、いろんな葛藤と向き合いながら書いたものです。眠れない日もあるなか、あるとき朝日を見て、ワーッと感情が溢れてきた。それが私には、すごく眩しかったんですね。それに美しかった。「自分もそんなふうに誰かを照らせる存在になりたい」と憧れたけれど自信を持てていないときで、続けて「“いつか”を追いかける 伸ばした手では まだ届かない場所」と繋がっていきました。



2 プレッシャーに打ち勝つ自信のありか
─ そこから5年が経ち、YOASOBI として、昨年のドームライブでは約17万人の動員を達成するなど、より大きなオーディエンスへ音楽を届ける舞台も増えているかと思います。ikura として、幾田りらとしてパフォーマンスを成し遂げる、その自信はどこから来ると思いますか?
小さい頃から家でさんざん歌っていたのですが、いつも家族が「りらちゃんは、絶対、将来、歌手になるよ」と言い続けてくれていました。それは自信にも繋がっていたし、それ以外のことでも、学生生活で違和感があってしんどかったときも、家に帰って、こんなことがあったと話すと、そのたびに私の考えを尊重してくれたんですね。「自分の正義を無理に手放さなくてもいいし、でも、誰かと戦う必要もない。そうした経験を、ひとつひとつ貯めておいたらいい」というふうに言ってくれました。それで、私は、自分の大事にしたいことを、しっかりと自分の内側に温めておくことができたのかもしれません。学校からまた別の世界に行き、今は音楽を介していろいろな人たちと出会う機会が増えて共鳴する瞬間があると、「あのとき、あの気持ちを否定せずに大事にしてきてよかったな」と思えたりする。その積み重ねが自信になっている、ということはあるかもしません。

─ 挫折や、自信を失いかけたこともあるのでしょうか?
私は、17歳でデビューしたい、っていう目標が大きくあったんですね。だから、14歳からオーディションに応募したり、路上ライブをしたり、ライブハウスに行って歌を歌ってみたり、そういうことを始めていました。その当時は、なにか一歩を踏み出さないと夢を叶えられない、と焦っていたんです。でも、17歳を過ぎて、18歳、19歳と過ぎても、オーディションには落ち続けるし、路上ライブをしていて罵声を浴びせられたりとか、心が折れそうになる瞬間は正直、何度もありました。自分が音楽にかけてきた熱量は、誰よりも自分がよくわかっていて、自信を持ってやっているのに認めてもらえない、というギャップは苦しかったです。
─ その時期は、今の幾田さんにとってどのような時間だったと振り返りますか?
出口の見えない真っ暗闇のトンネルの中をずっと走り続けている感覚でした。でも、悶々とした日々があったから、今はくじけないというか自分を保っていられる気がします。つらいときにも、あの頃のことを思い出すと簡単に諦められないな、と思える。あの頃には戻りたくない、という時期を過ごしたからこそ、今はしんどい瞬間があっても踏ん張れる。悔しくてたまらなかった経験が、今を支えてくれていると思います。



3 自分らしい表現を支える、装いの力
─ ファッションは、幾田さんにとってどのようなパワーがあるものでしょうか?
自分にとって、衣装はポジティブな意味での「戦闘服」だと感じます。パフォーマンスの数時間に向けて、衣装だけではなく、セットやヘアメイクも含めたビジュアル的な部分をスタッフが愛情込めて作ってくれていて、最強になるためのピースをいっぱい身につけてステージに立っている感覚があるんです。それがあるから自信が持てるし、自由にパフォーマンスすることができていると思います。
─ COACH のアイコンバッグである “Chain Tabby(チェーンタビー)”を持って、夕景の海辺を歩く幾田さんは、肩の力が抜けていながらも、地に足の着いた雰囲気をまとっていました。
私自身、デニムが好きで日々よく着ているので、しっくりくる素材を身につけている、ということがあったのかもしれません。経年変化というか、自分と接している時間が長くなればなるほど馴染む、というデニムの特徴がすごく好きです。あたたかみを感じるし、自分の生活と結びついたリアルな表情がある。そういう、自分としっかり通じ合っているものを身につけると自信に繋がるなと感じます。 今回のバッグも、自分の手元にやってきたばかりの綺麗な状態だってもちろん素敵だけど、きっと、長く愛用したら表情が変わってくるだろうし、そこにも魅力があるように思います。

─ 自分らしさに寄り添いながら、時間とともに表情を変えていくアイテム。そういうファッションには、一過性のものでは終わらない、時間をかけながら紡いでいく自分自身との結びつきがありそうです。
そうですね。そういう、日常のなかで時間をかけながら馴染んでいく、みたいなことがきっと好きなんですよね。シューズも、最初は硬かったのが、だんだん自分の足に馴染んできて柔らかくなってく感じとか、日々をともにしている過程で擦れたりして表情が変わっていくのとか、そこに自分の思い出が乗っかっていくのとか、そういったことに物語やロマンを感じているのかもしれません。

Lilas Ikuta’s Looks in COACH Spring 2025, Curated by The Fashion Post
#3 Look
- 1
スケッチプリント クルーネック スウェットシャツ
- 2
ヘリテージ C デニム トラッカー ジャケット
自分らしさに寄り添いながら、
幾田りらが纏うCOACH


学生時代に、大切な友人への想いを言葉やイラストで描いた「寄せ書き」を思い出させるカラフルなスケッチを散りばめたスウェット。ほどよく肩の力が抜けたムードで着こなせるゆとりのあるサイズバランス。
トップス¥71,500、ショーツ¥15,400、ブーツ*参考商品/すべてCOACH(コーチ)/ソックス:スタイリスト私物

ジャケット¥66,000、トップス¥13,200、パンツ*参考商品、ピアス*参考商品、リング*参考商品、ベルト¥29,700、バッグ¥99,000、スニーカー¥38,500/すべて COACH(コーチ)

アイコンバッグ“Tabby(タビー)”は地球環境への影響を抑えるコーチの思想を体現。デニムならではのナチュラルな表情を生むコットンは、生物多様性、土壌の健全性に配慮したリジェネラティブ農業に取り組む生産者から調達。3種類の付属のストラップを使い分け、手持ち、肩掛けや斜め掛けのハンズフリースタイルなど、気分に応じてアレンジできる。

自由なマインドを持ち、あちこち移動しながら活躍する日々に寄り添うソーホースニーカー。ラバーアウトソールにはマンハッタンの地図が描かれ、アッパーにはリジェネラティブレザーを使用。さらに、ミッドソールは再生可能なバイオ由来成分を28%以上含み、コーチの持続可能性へのビジョンを示している。