special | jul 5, 2021 9:15 pm
special | jul 5, 2021 9:15 pm
N°1
Interview with
Lilas Ikuta
幾田りらインタビュー
「自分をさらけ出す勇気が、
人の心を揺さぶる」
幾田りらを物語る5つのエッセンス
1921年に誕生し、100年が経った今も変わらぬ
普遍性と新しさを持つ CHANEL N°5。
その香りとファッションをまとった幾田りらに、
過去を振り返りながら、彼女の音楽を構成する
"5つ" のエッセンスを紐といてもらった。
-
1.
日常を歌うこと
「やっぱりどんな感情も経験も毎日の生活から生まれてくるので、そこに正直な自分が出ると思う」 -
2.
自然の表情を感じる
「空の色だったり夕陽だったり、そういう景色が感情に紐づいて言葉が出てくることが多くて、それが自分らしさにも繋がっている気がします」 -
3.
自分をさらけ出す勇気
「『Answer』 という曲で、共感してもらえる幅が広がったのを実感しています。誰でも心の中で戦っている自分自身がいて、その葛藤みたいなものと照らし合わせることができたんじゃないかなって」 -
4.
心がちゃんと震えていること
「たとえば綺麗な風景を見て、心がぶわっと震えて、それを言葉とメロディにして、そして歌うときまで、最初の気持ちをずっと持っていたい」 -
5.
言葉をしっかり届ける
「音として聴いたときに、いちばん気持ちよくて、伝えたい言葉がちゃんと届くっていう歌い方を大事にしています」
プロフィール
幾田りら (いくた・りら)
2000年9月25日生まれ、東京都出身のシンガーソングライター。幼少期から音楽制作をはじめ、2019年に音楽ユニット 「YOASOBI」 のボーカル ikura として1stシングル 「夜に駆ける」 を発表。記録的なヒットとなり、2020年末には紅白歌合戦に初出場した。アコースティックセッションユニット 「ぷらそにか」 にも所属。幾田りらとしては 2020年12月に 「ヒカリ」、2021年3月に 「Answer」 をリリース。7月には細田守監督の最新作 『竜とそばかすの姫』 で声優を務めるなど、活動の幅を広げている。
N°2
My Favorite
Yui Sakuma
佐久間由衣のお気に入り
「シャネル N°5 ザ ヘア ミスト」
“あ、いま気持ちのいい風が吹いた!
みたいな気分になれる”
私にとっての香りは、一瞬で気分を
変えてくれる存在。わたしは1日の中で、
気分の波がすごくある。
気分を上げたい時、落ち着かせたい時、
ナチュラルを保っていたい時……
その気分に合わせて、シャワーみたいに
頭のてっぺんから香りを浴びることが
できるミスト系のアイテムがお気に入り。
N°2
My Favorite
Nozomi Iijima
飯島望未のお気に入り
「シャネル N°5 ロー オードゥ トワレット」
“役ごとに香りを使いわけています。
「シャネル N°5 ロー」 は可憐なお姫様役”
大人っぽく官能的な役を演じるときは、、
N°5 の 「香水」 や 「オードゥ パルファム」を。
可憐なお姫様役を演じるときは 「ロー オードゥ、
トワレット」 をまとうことが多いです。
「シャネル N°5 ロー」 はモダンで爽やかな印象の香り。
プライベートで使うなら、晴れた日にワンピース、
と合わせて軽やかにまといたいですね。
N°2
My Favorite
Kikuno
菊乃のお気に入り
「シャネル N°5 オードゥ パルファム」
“自分の女性らしい部分を引き出してくれる”
最初、自分には女性らしすぎるかなと
思ったんですけど、2回、3回とつけるたびに
気分が上がる。だからこそ特別な時だけじゃなく、
日常使いしたい。普段は、女性らしいものとは
無縁なので(笑)。ストリートっぽいファッションで、
香りだけ女性らしいっていうバランスが
気に入っています。
History
変わらないために
変わり続けた、
CHANEL N°5 の100年。
ミニマムなガラスボトルに詰められた CHANEL N°5。グラフィカルなロゴ、ユニバーサルな 「N°5」 というネーミング…… 装飾的で派手やかなボトルが人気を集めていた1920年代当時において、CHANEL N°5 の研ぎ澄まされた佇まいは人々の目に、鼻に、どのような驚きをともなって届いていたのだろうか。
誕生当初から高い完成度を誇っていた CHANEL N°5 ゆえ、そのデザインがマイナーチェンジを重ねていることは、意外と知られていない。ボトルと蓋の四隅を切り取り、ヴァンドーム広場の八角形のフォルムへとわずかに形を変えたのは誕生からわずか3年後。50年代、70年代はボトルのサイズが大きくなり、キャップも厚みが出て、どんどん豊かになっていった時代背景が透けて見える。持ち運びを考慮した蓋の改良など、時代のデザインコードに合わせて機能面も刷新されている。ミュージアムピースとなってなお(1959年にCHANEL N°5 は MOMA美術館の恒久コレクションとなった)、CHANEL N°5 は変わり続けている。
世界で一番有名な香水となった CHANEL N°5。その広告キャンペーンで女性像を最初に演じたのは、他でもない Gabrielle Chanel 本人だった。続くキャンペーンでは個性豊かな女優やモデルたちを N°5 の顔に起用。CHANEL は広告に世界的スターを起用するというスタイルの発明者でもある。
常に時代の一歩先を歩き、デザイン、香り、そして広告表現においても革新を起こしてきたCHANEL N°5。ここではその歴代ミューズたちをヴィジュアルで振り返ってみよう。Jean Shrimpton(ジーン・シュリンプトン)、Catherine Deneuve(カトリーヌ・ドヌーヴ)、Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)、Audrey Tautou(オドレイ・トトゥ) …… ちなみに N°5 の顔は女性に限らず、2012年には Brad Pitt(ブラッド・ピット)がキャンペーンに初登場。今となっては女性用フレグランスのイメージに男性を起用するのはむしろ魅力的な手法だが、当時においては挑発的なキャンペーンと映ったに違いない。
100年の節目を迎えるにあたっては、CHANEL N°5 の現在の顔を務める俳優Marion Cotillard(マリオン コティヤール)が月に降り立ち、ダンスを踊ったのが記憶に新しい。夢を現実にするパワーを女性たちに与え続けてきた N°5 の変わらない強さと美しさを捉えた、名実ともにエポックメイキングな作品である。
CHANEL N°5と
ミューズたち
[Gabrielle Chanel] 広告に登場したはじめてのミューズは、ガブリエル・シャネル本人だった。フランソワ・コラーによる撮影。『Harper’s BAZAAR』掲載(1937年) | ©CHANEL
[Marilyn Monroe] マリリン・モンローのあまりにも有名なフレーズ 「寝るときに身にまとうのはN°5を数滴だけ」(1952年)はそのグラマラスなイメージとともに世界に拡散した | ©CHANEL
[Suzy Parker]リチャード・アヴェドンが撮影したスージー・パーカー(1957年)。銀幕女優たちが輝いた1950年代のグラマラスで華やかなイメージ | ©CHANEL
[Ali Mac Graw] ジェローム・デュクロが撮影したアリ・マッグロー(1966年)。この後70年代に大ブレイクした彼女のピュアでありながら凛とした美しさが捉えられている | ©CHANEL
[Cheryl Tiegs]季節に応じて異なるクリエイティブが展開されたシェリル・ティーグスの広告シリーズのひとつ(1969年)。ジェローム・デュクロが撮影 | ©CHANEL
[Lauren Hutton] リチャード・アヴェドンが撮影したローレン・ハットン(1968年)。ミニのパンツスーツを着用し、当時のファッションの躍動感を味方に軽やかなムード | ©CHANEL
[Jean Shrimpton] ヘルムート・ニュートンが撮影したジーン・シュリンプトン(1971年)。1960年代を代表するファッションアイコンと人気フォトグラファーの共演 | ©CHANEL
[Catherine Deneuve]カトリーヌ・ドヌーヴは、1968年から76年までN°5のミューズとなり、アメリカのTVコマーシャルに出演。リチャード・アヴェドンが撮影(1972年)| ©CHANEL
[Carole Bouquet] ドミニク・イッセルマンが撮影したキャロル・ブーケ(1997年)。N°5の顔となったことで一気に知名度を上げ、人気女優に。知性と洗練が漂う新しい女性像を創出 | ©CHANEL
[Nicole Kidman] 監督バズ・ラーマンを迎え、映画さながらのストーリーを生み出したニコール・キッドマンの時代。映像として具現化されたドラマティックな世界観に世界中の女性が虜に(2004年)| ©CHANEL
[Audrey Tautou] ドミニク・イッセルマンが撮影したオドレイ・トトゥ(2009年)。同年、『アメリ』 のジャン= ピエール ジュネ監督によるスペシャルフィルムも公開 | ©CHANEL
[Lily-Rose Depp] ジャン=ポール・グードが撮影したリリー=ローズ・デップ(2019年)。ブロードウェイミュージカルのワンシーンのような、フレッシュで生き生きとしたキャンペーン | ©CHANEL
[Marion Cotillard] N°5の100周年を目前に、新たな顔に就任したフランス人女優のマリオン コティヤール。スティーブン・マイゼルが撮影(2020年)| ©CHANEL
N°3
Photos and Words
Ai Hashimoto
橋本愛と旅するシャネル N°5
人生は歩きまわる
影法師、だとしても
光が強くなればなるほど
影は焦がれるほど濃く
日陰に隠れてしまえば
闇と溶けて落ち着いていた
シャネル N°5 の香水を光のもとへ
するとどうだ
すました顔で光を透かす肉体が
内なる清潔さをしらしめる強かさが
なんと美しく高貴なことか
透明に生きればいい
そうすれば、影さえも光になる
N°4
Essay by
Shiho Namayuba
『知らない記憶を
思い出す』
生湯葉シホ
S先生が入ってくるまで、
窓の外はただ白かった。
12番教室の教卓に立った先生は、
なにかに憑かれたみたいに
しばらくぼうっとしていた。
先生の視線は座っている学生たちのあいだを通り抜け、
窓のほうを向いていた。
雪が降った日の明るさは、
晴れた日の明るさと似ているようで
まったく違うのですね。
きょうの外の白さはまぶしくて
ちょっと困るくらいですね。
純粋経験、というものについて
みなさんと考えてみたのが前回でした。
額にかざして庇にしていた手を下ろし、
先生はそのままひとつながりの台詞のように
教科書をめくって読みはじめた。
まばらな学生たちも同じように教科書をひらく。
一拍遅れ、はっとして窓に目をやると、
たしかに外はまぶしいほどに白かった。
晴れた日の明るさがすこんと空気を貫くような白ならば、
その日の明るさは乱反射するおおきな折り紙を壁という
壁に貼りつけたような白だった。
N°4
Film starring
Kotone Furukawa
古川琴音とシャネル
N°5 が紡ぐストーリー 〈東京2021〉
1921年パリから、2021年東京へ。
CHANEL N°5は生誕100周年を迎えた
今もなお、国境や世代を超えて
世界中の女性たちから愛され続けている。
これから始まる新しい未来への一歩を
踏み出すために、現代の東京で
CHANEL N°5 の物語を記録する。
主演をつとめるのは、
次世代を担う注目の女優・古川琴音。
めまぐるしく変化し続ける
現代社会だからこそ、
あらためて変わりなく
ありつづけるものに強く惹かれる。
移り変わっていく東京の街の風景にあっても、
CHANEL N°5 のモダニティは
色あせることがない。
その名前に劣ることなく機能美と
シンプリシティを極め、洗練されたボトルに、
一言では言い表すことのできない
複雑な調香が織りなす豊かな香り。
時代にあわせて、変わらないために
変化を恐れなかった CHANEL N°5。
その100年の歴史が証明するのは、
本当に価値のあるものは不変であるということ。