Interview With Asami Usuda

PORTRAITS | Nov 3, 2017 9:00 PM
魚喃キリコの漫画『南瓜とマヨネーズ』を冨永昌敬監督が映画化するという話が女優・臼田あさ美の元にやってきたのは2012年のことだという。一度は消えかけた映画化の火を消すことなく実現へと結びつけたのには、彼女の熱意によるところも大きい。かつて読んだことのある原作の中に生きるツチダと再会し、「これは絶対私がやるべき役だ!」と思ったという臼田さん。その熱は冷めやらず、17年11月ようやく劇場で公開されることになった。彼女に本作への思いについて、これまでを振り返りながら33歳の今思うことについて聞いた。

魚喃キリコの漫画『南瓜とマヨネーズ』を冨永昌敬監督が映画化するという話が女優・臼田あさ美の元にやってきたのは2012年のことだという。一度は消えかけた映画化の火を消すことなく実現へと結びつけたのには、彼女の熱意によるところも大きい。かつて読んだことのある原作の中に生きるツチダと再会し、「これは絶対私がやるべき役だ!」と思ったという臼田さん。その熱は冷めやらず、17年11月ようやく劇場で公開されることになった。彼女に本作への思いについて、これまでを振り返りながら33歳の今思うことについて聞いた。

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

—『南瓜とマヨネーズ』の映画化が4年越しで叶ったこともあって、現場で臼P(プロデューサーの略)の愛称で呼ばれるほど意欲的に制作にも携わられたということですが、そういう関わり方は今回が初めてだったんでしょうか?

そうですね。でも決してこの作品だからというわけではなくて、単純に、お話をいただいてから実際に撮れるまでの時間が自分たちが望んでいた以上にあったので、その時間が考えたり話し合うことを許してくれたというか。結果としてそうなったって感じです。ただ、これが私にとっての特別ですということじゃなく、現場でもみんなが同じようなエネルギーをもって向かってくれて、芝居をしやすい環境を作ってくれて、こんなに恵まれた環境が特別じゃなかったらダメだなという自分へのプレッシャーはありますね。

—今回のような関わり方をすることが今後もあると思いますか?

それは全然望んでいないんですけど、これが普通であるべきなのかもしれないとも思うんです。言いたいことをぶつけられる、向き合える関係性で、一つひとつの作品を作れたらいいなと。でも、今回私が言ったからよくなったことはひとつもなくて、全てがなるべくしてなったことなんです。結局、私の言いたかったことを冨永監督が聞いてくれて、お互い納得して進めていくことに意味があったので、決して意見を主張することがベストではなくて。普通の日常を描いている作品だからこそ、シーン一つひとつの台詞も表情も本当に自分の中から出てきているようにやりたいというのがあったので。

—臼田さん自身の気持ちが腑に落ちる必要があったと。

台詞が現場で出てこなかったら言うべきじゃないし、その瞬間の気持ちを言葉にしなきゃいけないと思っていました。頭で理解するというよりは瞬間の気持ちを信じるほうが本当だと感じていたので。だから、気持ちがつながらないことは疑問になってしまって、着る服ひとつをとっても、あるシーンで「このシーンでこの服でいいのかな?」と腑に落ちなかったことがあって。それで太賀君が「監督の言い分はわかりますけど、役者の心としてはやっぱり理由が欲しいんですよ」と間に入ってくれたんですが、そうしたら監督に「お前は黙ってろ」とか言われて(笑)。

—コントみたいですね(笑)。

あれは名場面でしたね(笑)。みんな正直過ぎるから。そのときにも思ったんですけど、絶対的な信頼と愛情があるから言えることだし、監督に思ってることを言わないほうがむしろ失礼だから、思ったことは全部言おうと。監督からしたら、相当面倒くさかったと思うんですけど(笑)。思い返してみると、どうでもいいことで言い合いをして、本当にごめんなさいと思ってます。

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

—原作の漫画『南瓜とマヨネーズ』も本編もそうですが、年齢によっても汲み取れる箇所が変わっていく作品だと思うんですけど、ツチダをやりたいと思った理由として、年齢的な時期は関係していると思いますか?

なんでこんなにもこの作品に対して執着があったのかというのは、やってみていろいろ答えが出てきたんですけど、最初にお話をいただいたときと今の情熱はまた形が変わってる気がします。その瞬間、何を思ったのかはけっこう曖昧で。たとえば、普通の毎日がいかに大事でキラキラしてたかと思える感覚は、もちろん大人になったからわかることだとはすごく思いますし。でも、20代はまさにこの物語の渦中にいて、30代になったらそうじゃないかと言えばそうではないし、年齢に左右される話でもないと思うんですけど。過ぎた日が多くなる分、思い出の尊さは理解できるようになったかもしれません。

 

『南瓜とマヨネーズ』

 

—ご自身の10代、20代はどんな風に過ごされてましたか?

忙しかったなと思います、気持ちが。実際にアクティブな生活をしていたというのもあるし、仕事も充実し始めて物理的に忙しかったこともあるけれど、いろんなことに敏感だったし、それでいて主張したいことも出てくるから。特に、10代の頃って、自分の意見や考えが半分くらいしか大人の耳に入らなかった気がするんですよ。今になってみると、10代の意見って、そのときの一生懸命さがそれが絶対ではないよという危うさも含めて魅力なんだけど、渦中にいるときにはそれがわからないと思うんです。

—大人から軽くあしらわれてしまうことが多いですもんね。

そうなんですよね。でも、20代になったら、自分の話すことが受け入れられるようになって、その分の責任も出てきて自分に返ってくることも多いし、期待に応えることへ責任が増えて。そういう忙しさだったような気がしますね。すごく充実していて、成長してるとも言えるんだけど、追いつかない気持ちもどこかにありました。整理しきれないまま次のことが進んでいくような。

—止まれない感じ?

そうかもしれません。それはたぶん遊びでも仕事でもきっとそうだった気がします。すごい早いスピードでいろんなものが流れていく感じですね。

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

© 魚喃キリコ/祥伝社・2017「南瓜とマヨネーズ」製作委員会

—30代になって変わったことはあります?

流れを作るのが自分になるから、何か行動を起こすタイミングも計れるようになりましたね。もちろん予期せぬタイミングで同時にいろんなものが起きることもあるけど、そういうときはどう対処すべきかが想像できたり、ちょっとだけ以前よりは落ち着いて見ることができたり。20代の頃はどうでもいいことに振り回されたり傷ついたりしていたけど、30代になると守るべきものと自分に害のないもので流せるもの、その区別がつくようになるんじゃないかなって。

—より楽に、楽しくなってきますよね。

はい、責任はすごく増えるけど。これまでどう生きてきたかが反映されるというと大げさだけど、積み上げてきたものがより一層濃く見えるというか、ごまかせなくなってくる気はします。結局、20代の頃にあぁ~って後悔したり、反省したりしましたけど、本当に些細な選択が全部今につながっていて、自分で選んできたんだなぁと。なので、すごく腑に落ちます、今の自分のあり方は。思い描いていたものとは違うとかこんなはずじゃなかったというのは、ある日突然自分にのしかかってくる問題じゃないので、20代の選択は大事だったなと思いますね。

—仕事と生活のバランスはうまくとれていると思いますか?

仕事は私の人生ですごく大事なものだし、人生を楽しむために最強のものだと思ってるけれど、私生活を大事にしていないとボロボロになってきちゃう。それは人として魅力的じゃないなって。仕事のために私生活もしっかり送る、どっちも切り離せないものになってます。身体や心を使う仕事なので、日々役に染まっていくという方法もあるのかもしれないけど、私の場合は自分の中で気持ちのいいことと悪いことをちゃんと感じながら日々普通に生活するほうが、いい仕事につながる気がします。

—具体的にはどんな生活を送っていらっしゃるんですか?

過剰に何かを観て心を潤わそうとかは思わないですけど、やっぱり外に出ることも、人に会うことも大事だし、対照的にひとりの時間もすごく大事ですね。でも、そこはあまり意識していないかもしれないです。自然に人に会いたいなって思ったら、仕事終わりに遅くても友達に「今何してる?一杯飲みに行こうよ」と言えるようになったし、お休みだけど疲れているから家にいようと思うときはそう自分で選択していくという感じです。

—年始にオカモトレイジさんとご結婚もされて、おめでとうございます。友達関係からの結婚は理想的と話題になっていますね。

ありがとうございます。でも、すごく特別な友達ではなかったんですよ。よく会ってはいたけれど、2人きりで会うことはなかったし。ただ、付き合うとか、好きとか嫌いとかは恥ずかしすぎる関係だったんです。

Photo by Takashi Homma

Photo by Takashi Homma

—恋人同士然としたことが恥ずかしいということですか?

よく話すんですけど、山を登る相手として最適という。高い山に登るときに、「登るぞ!」と言われて「おお!」と応えられる相手だった感覚です。途中で具合が悪くなったりしたら気まずいし、「足痛い」とか言いにくいという気兼ねが一切ない人だったので。感覚的に、この例えが一番しっくりきてますね。

—あなたがいないと……みたいな湿り気はないんですね(笑)。それが結婚の決め手に?

たぶんそうかもしれないですね。絶対一緒にゴールを目指すんじゃなくて、「先に行きたければ行きなさい」と言える関係性というか。お互いこの山に登ることを目標にしてたけど、その流れはもうどうなろうとお互いに頑張りましょうねという感じです。変な執着がないんですよね。自立した関係です、ものすごく。

—今、何かハマってることはありますか?

ラミーキューブというイスラエルのボードゲームにハマってます。数字を並べたりするボードゲームなんですけど、UNO のパネル版みたいな、単純に数字を並べればいいというもので。旦那の実家にあって自宅用にも買ったんですけど、ひとりではできないんですよ。4人までプレイできるんですけど、全然相手をしてもらえないので、最近はそれをアプリでやり始めました(笑)。

—次に臼田さんにお会いできるのは、11月11日から公演を控える鄭義信さん作・演出の舞台『すべての四月のために』ですね。舞台で新しい感覚が開けそうでしょうか?

舞台の経験が二度目なので、どうなるかは全くの未知でなるようになれという感じです(笑)。常々思うんですが、映像だからって毎回同じ感覚を持っているわけじゃないし、作品や役によって全く変わってくるので、いつも始まりはすごくドギマギした状態でやっています。

<プロフィール>
臼田あさ美 (うすだあさみ)
1984年10月17日生まれ、千葉県出身。モデルとしてデビュー後、女優として活動を開始。映画 『色即ぜねれいしょん』(2009)でヒロイン役に抜擢され注目を浴び、『ランブリングハート』(2010)で映画初主演を果たす。以降は映画『東京プレイボーイクラブ』(2011)、 『キツツキと雨』(2012)、「鈴木先生」(2013/TX)、『桜並木の 満開の下に』(2013)、『愚行録』(2017)、ドラマ「祝女」(2008/NHK)、「龍馬伝」 (2010/NHK)、「ホタルノヒカリ2」(2010/NTV)、「問題のあるレストラン」 (2015/CX)、「家売るオンナ」(2016/NTV)、「銀と金」(2017/TX)、「架空OL日記」(2017/YTV)など、話題作に多数出演。

作品情報
タイトル 『南瓜とマヨネーズ』
監督・脚本 冨永昌敬
原作 魚喃キリコ『南瓜とマヨネーズ』(祥伝社フィールコミックス)
音楽監修・劇中歌 やくしまるえつこ
出演 臼田あさ美、太賀、浅香航大、若葉竜也、大友律、清水くるみ、岡田サリオ、光石研、オダギリジョー
配給 S・D・P
上映時間 93分
HP kabomayo.com
 ©︎ 魚喃キリコ/祥伝社・2017『南瓜とマヨネーズ』製作委員会
 2017年11月11日から新宿武蔵野館ほか全国公開

写真家・ホンマタカシが撮り下ろした臼田あさ美のファッションストーリーは下記より。

臼田あさ美 x Balenciaga (バレンシアガ) 2017年秋冬コレクション
臼田あさ美 x Gucci (グッチ) 2017年フォール コレクション
臼田あさ美 x Prada (プラダ) 2017年フォール ウィメンズコレクション
臼田あさ美 x Chloé (クロエ) 2017-18年秋冬コレクション

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