今週のTFP的おすすめ映画
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おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
『ユニバーサル・ランゲージ』

© 2024 METAFILMS
本作の舞台は、ペルシャ語とフランス語が公用語となり、イラン文化が強く反映された架空のカナダ・ウィニペグ。そんな「もしも」の世界で繰り広げられるのは、個性的なキャラクターたちの風変わりな日常を映し出したすれ違いのファンタジードラマ。監督は、カナダ首相の座を巡る権力争いを皮肉と遊び心たっぷりに描いたブラック・コメディ『The 20th Century』で大絶賛された実験映画監督 Matthew Rankin (マシュー・ランキン)。切れ味のあるユーモアセンスと、Abbas Kiarostami (アッバス・キアロスタミ) などに強く影響を受けたキュートで詩的な映像がカンヌ国際映画祭で高く評価され、オスカー国際長編映画賞のカナダ代表にも選出される快挙を達成した。ある日少年オミッドは、暴れ回る七面鳥に新調したばかりのメガネを奪われてしまう。それに同情した同級生のネギンとナスゴルは、凍った湖の中にある大金を取り出し、新しいメガネを買うアイデアを思いつく。周囲の大人たちに助言を求めるが、ヘンテコな彼らはあまり助けにならない。無事にメガネを買うことはできるのだろうか。言語や文化、さらには自分と他人の境界も曖昧になった世界で、それでも人と関わろうと奮闘する愛らしい登場人物たちの姿を楽しんで。
公開日: 8月29日(金)
監督: Matthew Rankin
出演: Rojina Esmaeili (ロジーナ・エスマエイリ)、Saba Vahedyousefi (サバ・ベヘディウセフィ)、Pirouz Nemati (ピローズ・ネマティ)
HP: klockworx.com/universallanguage
『COW 牛』

©Cow Film Ltd & British Broadcasting Corporation 2021
過去3度にわたりカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したイギリスの名匠 Andrea Arnold (アンドレア・アーノルド) 監督。これまで日本国内では、映画祭や限定上映でしかスクリーンで観られる機会がなかったが、最新作『バード ここから羽ばたく』の劇場公開を記念して、2021年に製作された『COW 牛』が上映される。本作は、酪農場の1頭の乳牛を4年間密着したドキュメンタリー。大規模酪農場で飼育されている牛、ルマは、彼女が産んだ子牛からから引き離され、搾乳機に繋げられ、餌を食べ、種付けをされて、再び子牛を産む。Andrea Arnold は、そのサイクルとルマの生涯をカメラで捉え続けた。本作の特徴は、ナレーションやテキストによる説明を一切排除したこと。カメラは牛の目線に据えられ、農場の日々の営みと、家畜たちの日常を淡々と綴っていく。そして突然訪れる衝撃的な展開は、動物と人間の共生や社会批評、警鐘など、鮮烈なメッセージを私たちに提示するだろう。乳牛ルマの物言わぬ瞳が語りかけているものとは。被写体への圧倒的な信頼に裏打ちされた、「本物」といわざるを得ないドキュメンタリーを、ぜひ体感してほしい。
公開日: 8月30日(土)
監督: Andrea Arnold
HP: arnold-film.com
『マルティネス』

©︎2023 Lorena Padilla Banuelos
メキシコ出身 Lorena Padilla (ロレーナ・パディージャ) 監督の長編デビュー作。老いや死、孤独に直面し愛に迷う60歳の男性を主人公にしたユニークでほろ苦い人間ドラマを作り上げた。主演は、アカデミー賞国際長編映画賞に輝いた『ナチュラルウーマン』で活躍した Francisco Reyes (フランシスコ・レジェス)。彼が今回演じたのは、偏屈で人間嫌いの60歳男性、マルティネス。プールでの水泳、通勤、日々のルーティーンを崩さない彼はある日、会社を退職することに。そしてその頃、アパートの隣人アマリアが部屋で孤独死をしていたことが判明。アマリアの私物には、マルティネスへの贈り物が残されていた。次第に彼女に興味を抱き、遺された日記や手紙、写真を眺めるマルティネス。彼女への思いを募らせていくうちに、心の奥底に眠っていた好奇心を取り戻していく。Francisco Reyes は、説得力のある演技と存在感で、ひねくれ者ながらも愛らしい魅力的なキャラクターを怪演。いびつで可愛らしい、オフビートな純愛映画が完成した。監督は、パンデミックを迎えたメキシコで若者と高齢者の関係性が変化したことから、本作を構想。老いや死、孤独といった本作のテーマは、我々が経験したあの頃の孤独や窮屈と重なるはず。
公開日: 8月22日(金)
監督: Lorena Padilla
出演: Francisco Reyes、Humberto Busto (ウンベルト・ブスト)、Martha Claudia Moreno (マルタ・クラウディア・モレノ)
HP: culturallife.co.jp/martinez
『蔵のある街』

©︎2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会
コロナ禍の最中、日本全国の約300もの街で開催された「サプライズ花火」からインスピレーションを得た青春ドラマ作品。舞台となるのは、豊かな自然と産業が共存し、美観地区には古い街並みが残る岡山県倉敷市。登場する主なキャラクターは、小学校からの幼馴染である高校生の蒼、祈一、紅子、そして紅子の兄で自閉スペクトラム症のきょんくん。ある日、きょんくんが神社の高い木の上に登り、蒼は彼を降ろそうと「今度花火を見せる」と無茶な約束をする。だが、その軽はずみな約束は知らず知らずのうちに兄妹を傷つけていたことを知る。そこで、蒼と祈一はきょんくんとの約束を果たそうと奮闘し、現実の厳しさに直面していく。メガホンをとったのは、同市出身の平松恵美子。そして蒼役には、TV ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』にレギュラー出演、宮崎駿監督の作品『君たちはどう生きるか』では主演を飾った山時聡真、紅子役には、映画やドラマだけでなく Seventeen 専属モデルも務める中島瑠菜を抜擢し、気鋭の俳優2人が W 主演を務める。美観地区の美しい景色を背景に温かい人々の繋がりを描いたドラマを、ぜひスクリーンで体感してみては。
公開日: 8月22日(金)
監督: 平松恵美子
出演: 山時聡真、中島瑠菜、堀家一希
HP: kuranoarumachi.com
『大統領暗殺裁判 16日間の真実』

©︎2024 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & PAPAS FILM & OSCAR10STUDIO. A
軍事クーデターで政権を掌握し、独裁者と批判されるほど強大な権勢を振るったパク・チョンヒ大統領。1979年、そんな彼が側近のキム・ジェギュによって暗殺された事件が起こった。本作は、このこのセンセーショナルな事件の裁判と、10月26日大統領暗殺から12月12日軍事クーデターという韓国近代史の中でも大きな事件に巻き込まれた3人の男を、一部フィクションを交えて史実に基づき描いた。主人公チョン・インフは、厄介な事件の裁判を多く担当する弁護士会のエース。ある日、大統領暗殺事件に巻き込まれた中央情報部長の随行秘書官、パク・テジュの弁護を引き受ける。軍人であるがために軍法裁判にかけられ、たった一度の裁判で刑が確定する彼のために、チョン・インフは公正な裁判を求めて戦う。だが、のちに軍事反乱を起こす巨大権力の中心人物、合同捜査団長チョン・サンドゥによって裁判は不正に操られていた。本作は、韓国史上最悪の裁判ともいわれる大統領暗殺審判を、弁護する者、裁かれる者、裏で操る者、それぞれの目線でドラマチックに映し出した。本作は、当時に生きた人々の声にならない悲痛な叫びを掬い取り、政治裁判の裏側を暴く。
公開日: 8月22日(金)
監督: Choo Chang-min (チュ・チャンミン)
出演: Jo Jung-Suk (チョ・ジョンソク)、Lee Sun-Kyun (イ・ソンギュン)、Yoo Jae-Myung (ユ・ジェミョン)
HP: daitoryoansatsusaiban-movie.jp
『わたしは異邦人』

©︎Rosa Film, Ursula Film
地中海に面したトルコの古代都市シデを舞台に、孤独な女性が母親を探す旅を綴った作品。主人公は、イスタンブール生まれのストイックなプログラマー、ダフネ。自分を捨てた母親を探し求め、シデを訪れる。唯一の手がかりは、名もなき遺跡で撮られた母の古い写真。旅の途中、謎めいた男フセインと再会を重ね、不思議な人々の協力を得ながら母の行方を追う。孤児院育ちの彼女は会う人々に「見返りは何?」と問いながらも、その支えに導かれ、トルコ最大の海兵都市アンタルヤに辿り着く。ダフネは古くからの歴史が息づく街で、思いもよらなかった旅の終末を迎えることになる。数々の映画作家を排出しているトルコの新鋭 Emine Yıldırım (エミネ・ユルドゥルム) は、本作で華々しくデビュー。監督は、アポロンやアテナなど、ギリシャ神話に登場する神々から着想を得た幻想的な世界観と、現代を生きる女性の成長譚というストーリーの融合に挑戦。「自らのルーツ」という普遍的なテーマながらも、トルコの古代遺跡群を背景に映し出すことで深みを演出した。2024年に開催された東京国際映画祭では、アジアの未来作品賞を受賞した注目作品を、この機会に鑑賞してみては。
公開日: 8月23日(土)
監督: Emine Yıldırım
出演: Ezgi Celik (エズギ・チェリキ)、Baris Gonenen (バルシュ・ギョネネン)、Selen Ucer (セレン・ウチェル)
HP: pan-dora.co.jp/ihojin
『パルテノペ ナポリの宝石』

©︎2024 The Apartment Srl – Numero 10 Srl – Pathe Films – Piperfilm Srl
アカデミー賞®外国語映画賞受賞作『グレート・ビューティー/追憶のローマ』をはじめ、圧倒的な映像美で人生の悲哀と幸福を描いてきた名匠 Paolo Sorrentino (パオロ・ソレンティーノ) 監督が、自身の故郷ナポリを舞台に、初めて女性を主人公に据えた最新作を発表。主演には、オーディションを勝ち抜いた Celeste Dalla Porta (セレステ・ダッラ・ポルタ) が鮮烈な銀幕デビューを飾る。タイトルの「パルテノぺ」とは、ナポリの街を意味する人魚の名前。1950年にこの地で生まれたパルテノぺが美しく成長し、さまざまな出会いや別れを経験していく生涯を映し出す。本作の製作は、世界屈指のラグジュアリーブランド SAINT LAURENT (サンローラン) による映画製作会社「サンローラン プロダクション」が手がける。作中では、ブランドのクリエイティブ・ディレクター Anthony Vaccarello (アンソニー・ヴァカレロ) 自らが衣装を担当し、50年代から80年代までの時代の変遷とともに生きる人々に華を添える、色彩豊かなファッションを作り上げた。さらに、いまや映画界を牽引する配給会社の一つ A24 が北米配給権を獲得。Paolo Sorrentino 監督、サンローラン プロダクション、A24 という豪華コラボレーションで贈る贅沢な映画体験をお楽しみに。
公開日: 8月22日(金)
監督: Paolo Sorrentino
出演: Celeste Dalla Porta、Stefania Sandrelli (ステファニア・サンドレッリ)、Gary Oldman (ゲイリー・オールドマン)
HP: gaga.ne.jp/parthenope
『大長編 タローマン 万博大爆発』

©︎2025「大長編 タローマン 万博大爆発」製作委員会
「1970年代に放送された特撮ヒーロー番組」という体裁のもと、岡本太郎の言葉と作品をモチーフに制作され、2022年に NHK のEテレにて放送された「TAROMAN 岡本太郎式特撮活劇」。1話5分、全10話から構成される物語が大長編となり、スクリーンに放たれる。物語の舞台は1970年。万博開催に日本が沸き立っていた頃、2025年の未来から万博を消滅させるべく恐ろしい奇獣がやってくる。でたらめな奇獣に対抗するにはでたらめな力が必要だが、未来の世界では秩序や常識に溢れ、でたらめな力は絶滅寸前。地球防衛軍は万博を守るため、タローマンとともに未来へと向かう。本作では、1970年の日本と2025年の未来をクロスオーバー。だが、現代の2025年ではなく、1970年頃に想像されていた未来像としての2025年「昭和100年」の世界を描く。幾何学的な建物や透明なパイプで空中移動をする自動車など、昭和のこどもたちが目を輝かせていた近未来を見事に表現。さらに解説には、サカナクションの山口一郎を抜擢。ミュージシャンでありながらタローマングッズのコレクター第一人者としても知られる彼の熱い語りにも注目だ。
公開日: 8月22日(金)
監督: 藤井亮
出演: 山口一郎
HP: taroman-movie.asmik-ace.co.jp
『ミュート・ウィットネス』

©︎1995 Anthony Waller. All Rights reserved
名匠 Alfred Hitchcock (アルフレッド・ヒッチコック) や Brian De Palma (ブライアン・デ・パルマ) の後継者に相応しいと名高い Anthony Waller (アンソニー・ウォラー) 監督の長編デビュー作が、デジタルリマスター版として約30年ぶりにスクリーンに蘇る。声を持たない女性が撮影現場で経験した恐怖の一夜を描いた本作は、映画界にもファンの多い一作だ。俳優には『スター・ウォーズ』でオビ=ワン・ケノービを務めた Alec Guinness (アレック・ギネス) が登場するなど、豪華俳優陣たちの活躍も目が離せない。主人公は、特殊メイクアップアーティストのビリー。映画撮影のため、モスクワのスタジオを訪れていた。ある夜の撮影後、忘れ物を取りに館内に戻ると、施錠され閉じ込められてしまう。声を出すことのできない彼女は、助けを求めるためスタジオ内を彷徨うと、同じ撮影チームのスタッフがポルノ撮影をしている場面に遭遇。だがそれは単なるポルノではなく、女優を殺害する様子を映すスナッフフィルムだった……。異国の土地や密室など、観る者のスリルを掻き立てる要素をふんだんに盛り込み、物語はサスペンスの最高潮へと向かっていく。まるで地獄のような一夜が、暑い季節を冷ややかに包み込む。
公開日: 8月15日(金)
監督: Anthony Waller (アンソニー・ウォラー)
出演: Marina Sudina (マリナ・スディナ)、Fay Ripley (フェイ・リプリー)、Evan Richards (エバン・リチャーズ)
HP: mutewitness.jp
『LABYRINTHIA/ラビリンシア』

©︎SAWLLOW FILM PARTNERS.
米バラエティ誌では注目の日本人新鋭監督10人にも選出された中西舞監督が、世界の映画祭で受賞を果たした3本の心理スリラーをオムニバスとして公開。第一話となる「SWALLOW」の主人公は、女優として成功を果たすことにすべてを注ぐ女性・雪蘭 (シュラン)。女優仲間の1人から招待された晩餐会で、誰もが予測しなかった狂気の渦に呑み込まれていく。第二話「HANA」は、あるベビーシッターの恐怖体験。大学生のスジンは、高圧的な面接に受かりベビーシッターとして働くが、周囲で次々と不思議な現象が起こり始める。第三話は「告解」。とある女性による教会での懺悔が徐々に不穏な真実のベールをはがし、穏やかな世界を根底から揺るがしていく。それぞれ「HANA」は韓国、「SWALLOW」は台湾、「告解」は日本で撮り下ろされ、アジアの雰囲気を纏う『LABYRINTHIA/ラビリンシア』。俳優には Netflix ドラマ「返校」に出演した韓寧、同じく Netflix で配信されている台湾ドラマ「先生、本当の恋って?」の劉黛瑩、日本からは『岬の兄妹』に出演した和田光沙、『ぼっちゃん』で主演を飾った水澤紳吾など、各国の実力派が集結。世界中から期待を寄せられている中西舞の珠玉の3本を、お見逃しなく。
公開日: 8月15日(金)
監督: 中西舞
出演: 韓寧、劉黛瑩、和田光沙
HP: labyrinthia.jp
『アイム・スティル・ヒア』

©2024 VIDEOFILMES / RT FEATURES / GLOBOPLAY / CONSPIRAÇÃO / MACT PRODUCTIONS / ARTE FRANCE CINÉMA
『セントラル・ステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』で知られる名匠 Walter Salles (ウォルター・サレス) が、16年ぶりに祖国ブラジルにカメラを向けた最新作。本作の時代背景は、軍事独裁政権が支配していた1970年代。元国会議員が政権の工作員によって誘拐・拷問され、死に至った実話をもとにした政治ドラマを描く。ブラジル・リオデジャネイロに住むルーベンスは、妻エウニセと5人の子どもたちと幸せに暮らしていた。だが、スイス大使誘拐事件を機に社会情勢は一転。軍の抑圧は市民に向かい、ルーベンスは軍に連行され、2度と帰らぬ人となった。そして未亡人となったエウニセには、夫の消息を知らされなかった。本作では、自身も軍に拘束され、自由を奪われても声を上げ続けたエウニセの力強い人生にフォーカス。夫の死に対する国家の責任を認めさせるため何年も闘い、彼女の存在はやがて時代を揺るがす静かな力へと変わっていく。本作は、理不尽な時代に争い続けた1人の女性の姿を、永遠の記憶として刻み続ける。
公開日: 8月8日(金)
監督: Walter Salles
出演: Fernanda Torres (フェルナンダ・トーレス)、Selton Mello (セルトン・メロ)、Fernanda Montenegro (フェルナンダ・モンテネグロ)
HP: klockworx.com/imstillhere/
『キムズビデオ』

©Carnivalesque Films 2023
ニューヨークの映画ファンが通い詰めたという伝説的レンタルビデオショップ「キムズビデオ」。55,000本にものぼる膨大なコレクションの行方を追った、遊び心あふれるドキュメンタリーが誕生した。1987年、キム・ヨンマンが立ち上げた「キムズビデオ」には、貴重かつマニアックな映画の宝庫であり、かつてはカウンターカルチャーの中心地として存在していた。2008年、時代の変遷によって惜しまれつつ閉店した本店。経営者のキムは、条件付きで価値ある作品群をシチリア島のサレーミ市に移した。その数年後、本作の監督 David Redmon (デイヴィッド・レッドモン) が現地を訪れると、劣悪な環境で保管されるコレクションを発見。過去の名作たちを救うべく、David は荒唐無稽な奪還作戦を決行する。アメリカのサンダンス映画祭で本作が上映されると、「常軌を逸したドキュメンタリー」と映画ファンからの熱狂的な支持を獲得。共同監督を務めた Ashley Sabin (アシュレイ・セイビン) と David Redmon は、映画の聖地を舞台にした、まさに映画ファンによる映画を作り上げた。あふれんばかりの映画愛に包まれたドキュメンタリーを、ぜひスクリーンで見届けてほしい。
公開日: 8月8日(金)
監督: David Redmon、Ashley Sabin
出演: Kim Yong-man (キム・ヨンマン)
HP: kims-video.com
『美しい夏』

©︎2023 Kino Produzioni, 9.99 Films
イタリア文学界の巨匠 Cesare Pavese (チェーザレ・パヴェーゼ) の同名小説を、Laura Luchetti (ラウラ・ルケッティ) 監督が現代的な感性で映像化。舞台となるのは、イタリアの最初の首都トリノ。1938年、戦争の影が静かに迫るなか、少女が対照的な女性と出会い、少しずつ大人になっていく過程を映し出す。16歳の少女ジーニアは、トリノでお針子として働いている。都会に馴染めない日々を送っていると、ある日、画家のモデルをしている3歳年上の女性アメーリアに出会う。ジーニアは自由に生きる彼女に導かれ、芸術家たちが集う世界へ足を踏み入れる。思春期の真っ只中であるジーニアと、すでに自立し、逞しく生きるアメーリアは、互いを知り、徐々に惹かれあっていく。本作は、バロック様式の洗練された建造物を背景に届けられ、息を呑むように美しいイタリアの夏を体感できる。ジーニア役には、実力派として知られるイタリア人俳優 Yle Vianello (イーレ・ヴィアネッロ)、アメーリア役には、現在 Dior (ディオール) のアンバサダーも務め、世界が注目する新星 Deva Cassel (ディーヴァ・カッセル) を抜擢。2人の変わりゆく心と関係を繊細に綴った不朽の名作が、スクリーンに蘇る。
公開日: 8月1日(金)
監督: Laura Luchetti
出演: Yle Vianello、Deva Cassel、Nicolas Maupas (ニコラ・マウパ)
HP: mimosafilms.com/labellaestate
『入国審査』

©︎2022 ZABRISKIE FILMS SL BASQUE FILM SERVICES SL SYGNATIA SL UPON ENTRY AIE
わずか17日間の撮影、低予算で制作された監督デビュー作が、世界15カ国の映画祭で20受賞を達成。映画界に衝撃を走らせた話題作がついに日本上陸を果たす。本作で描かれるのは、空港の入国審査で繰り広げられるサスペンス。監督自身が故郷ベネズエラからスペインに移住した際に経験したエピソードをもとに、リアリティと緊張感あふれる会話劇を作り出した。バルセロナからニューヨークへと降り立ったのは、事実婚のパートナーであるディエゴとエレナ。エレナがグリーンカードの抽選に当選し、憧れの新天地での幸せな暮らしを夢見ていた。だが、入国審査で別室に案内されると、尋問が開始。あらゆる質問と、それに対するディエゴの答えに、エレナは疑念を抱き始める。2人はなぜ別室に案内されたのか。パートナーは、自分に嘘をついているのだろうか。現在アメリカは第2次トランプ政権を迎え、移民の強制送還、不当な逮捕が相次いで報道されている。予測不可能な恐怖が緊迫感を煽る77分間は、我々にとっても「いつか起こりうる話」かもしれない。深層心理を探るサスペンスとその結末を、ぜひ見届けてほしい。
公開日: 8月1日(金)
監督: Alejandro Rojas (アレハンドロ・ロハス)、Juan Sebastian Vasquez (フアン・セバスティアン・バスケス)
出演: Alberto Ammann (アルベルト・アンマン)、Bruna Cusi (Bruna Cusi)、Ben Temple (ベン・テンプル)
HP: movies.shochiku.co.jp/uponentry
『私たちが光と想うすべて』

©︎PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINEMA – 2024
2024年に開催された第77回カンヌ国際映画祭にて、インド映画史上初のグランプリを受賞した話題作が日本上陸。メガホンをとったのは、本作が初の長編映画となった新鋭 Payal Kapadia (パヤル・カパーリヤー) 監督。彼が作中で捉えたのは、ままならない人生の中でありのままに生きたいと願い、支え合う女性たちの姿。大都会ムンバイで看護師として働いているプラバと、年下の同僚アヌは、2人でルームシェアをしている。一緒に暮らしているが、2人の間には少し心の距離があった。既婚者であるプラバは、夫が外国へ行ったきり音沙汰がない。一方アヌは、イスラム教徒の恋人がいるが両親からお見合い結婚を迫られていた。ある日、病院に勤める同僚が故郷に帰ることに。彼女を見送る旅へ出た2人は、人生を変えてくれる出来事に遭遇する。本作の特徴は、光に満ちたやさしく淡い映像美と、洗練されたサウンド。これまでのインド映画のイメージを刷新するほど、夢のような幻想的な世界観を紡ぎ出した。自分の人生を追い求めるプラバとアヌの姿は、国境、文化、世代を超えて共感を呼び起こす。
公開日: 7月25日(金)
監督: Payal Kapadia (パヤル・カパーリヤー)
出演: Kani Kusruti (カニ・クスルティ)、Divya Prabha (Divya Prabha)、Chhaya Kadam (チャヤ・カダム)
HP: watahika.com
『国宝』

©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
『悪人』、『怒り』に続き吉田修一による小説を映像化してきた李相日監督が、今回は誰もみたことのない禁断の世界「歌舞伎」をテーマにした作品を実写化。本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。美しい顔を持つ喜久雄は、父を抗争で失った後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られる。そこで半二郎の実の息子、俊介に出会う。将来を約束された御曹司の俊介と、彼とは正反対の血筋を受け継ぐ喜久雄。2人はライバルとして互いを高め合うが、多くの出会いと別れによって彼らの運命は大きく変わっていく。主人公・喜久雄を演じるのは、美貌と圧倒的演技力を併せ持つ吉沢亮。そしてそのライバルである俊介には、アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を持つ横浜流星。さらに世界的俳優と名高い渡辺謙も顔を連ね、日本を代表する豪華俳優陣が集結した。美しい伝統芸能の世界の裏にある信頼と裏切り、歓喜と絶望。芸の世界にしがみつき、激動の時代を生き抜く者たちの壮絶な人生が、観る者の魂を震わせる。
公開日: 6月6日(金)
監督: 李相日
出演: 吉沢亮、横浜流星、高畑充希
HP: kokuhou-movie.com