TFP Recommended Movies

【上映中】 今週のTFP的おすすめ映画

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【上映中】 今週のTFP的おすすめ映画

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「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を週替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。

12月24日〜12月30日

『I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ

©︎2022 VHS Forever Inc.All Rights Reserved.

「カナダ映画の未来」と期待を寄せられる本作が、ついに日本上陸。舞台となるのは、レンタル DVD 全盛期である2003年のカナダ。人間関係がうまくいかない映画好きの高校生がさまざまなトラブルを引き起こす様子を描いた青春コメディだ。主人公のローレンスを演じるのは、若手俳優でラッパーとしても活躍する Isaiah Lehtinen (アイザイア・レティネン)。社交性がなく人付き合いの苦手な彼の願いは、ニューヨーク大学で Todd Solondz (トッド・ソロンズ) から映画を学ぶこと。学費を貯めるためにバイトをしている地元のビデオ店で、さまざまな個性的な人と出会い、不思議な友情を育んでいく。しかし、ローレンスは自身の将来への不安から大切な人を傷つけてしまう。本作は新星 Chandler Levack (チャンドラー・レバック) 監督による長編デビュー作で、自伝的要素を含んだ痛烈な脚本がトロント国際映画祭で高い評価を得た。理想と現実の狭間でもがく、不器用な高校時代が切なさを誘う一作。

公開日: 12月27日(金)
監督: Chandler Levack (チャンドラー・レバック)
出演: Isaiah Lehtinen、Romina D’Ugo (ロミーナ・ドゥーゴ)、Krista Bridges (クリスタ・ブリッジス)
HP: enidfilms.jp/ilikemovies

『お引越し

©︎1993/2023讀賣テレビ放送株式会社

『セーラー服と機関銃』『台風クラブ』などで知られ、没後20年以上が経った今も、現代の日本映画界を支える映画人たちから熱烈に支持され続ける相米慎二監督。この度彼の作品が4Kリマスターとして2作蘇り、その中の『お引越し』を TFP でご紹介。主人公は、京都に住む明るく元気な小学6年生、レンコ。父が家を出て母と2人きりの生活が始まると、レンコは生活の変化に順応できず、さまざまな行動を起こすようになる。現在でも女優として活動する田畑智子がオーディションでレンコ役に抜擢され、鮮烈なデビューを飾った本作。両親の別居に揺れる少女の心が躍動感たっぷりに描かれている。そして、父ケンイチには中井貴一、母ナズナには桜田淳子を迎え、現在でも色褪せない魅力を放つ作品に仕上がった。昨年の第80回ヴェネチア国際映画祭では『お引越し』がクラシック部門で最優秀復元映画賞を受賞。再び注目を集め、海外からも人気を呼ぶ本作が、満を持して日本国内で凱旋公開を行うこの機会に、ぜひ映画館に足を運んでみて。

公開日: 12月27日(金)
監督: 相米慎二
出演: 中井貴一、桜田淳子、田畑智子
HP: bitters.co.jp/somaifilm_4k

『占領都市

©︎2023 De Bezette Stad BV and Occupied City Ltd. All Rights Reserved.

運河が流れる「水野都」としても知られ、ヨーロッパ屈指の大都市、オランダのアムステルダム。賑やかな街が第二次世界大戦中の1940年から5年間、ナチス・ドイツの占領下におかれた恐怖の記憶を辿る、4時間11分の大作ドキュメンタリーが完成した。有名なアンネ・フランクをはじめ、この土地から強制収容所に移送された人々は10万人以上にもおよぶという。その惨劇をリアルに伝えるべく、本作ではアーカイブ映像、インタビューによる回想は一切使わず、現在の街から130ヶ所におよぶ「現場」を撮影することで、計り知れない恐怖の日々と現代をシームレスに繋いだ。「二度とこうした歴史を繰り返さないために」と映画化を構想したのは、『それでも夜は明ける』で知られる Steve McQueen (スティーブ・マックイーン) 監督。制作には今最もホットな制作会社 A24 が携わり、圧倒的なスケールと野心に満ちた記念碑的な映画を作り上げた。約80年前の過去と現在との距離を取り払おうとする新たな挑戦と語り継がれるべき過去を、ぜひ見届けてほしい。

公開日: 12月27日(金)
監督: Steve McQueen
HP: transformer.co.jp/senryotoshi/

『夏が来て、冬が往く

©︎MICRO ENTERTAINMENT TIMES FILM CO. LTD.

中国の新進気鋭、彭偉 (ポン・ウェイ) 監督が初となる長編作品に挑戦。海が望めるのどかな村で、初めて出会う家族とあたたかな交流を広げる3日間を綴ったヒューマンドラマ。主人公は、貿易会社で働く女性、チアニー。恋人との結婚に踏み切れず悩んでいると、生き別れになっていた実父の訃報の知らせを受ける。葬儀に参列するために生家を訪れたとき、自分は養子に出されたこと、実は2人の姉と弟がいたことを知らされる。中国では、1980年から2015年まで続いた「一人っ子政策」の影響と地方に根付く男尊女卑の社会通念から、女性が生まれると養子に出されるケースが多かったという。中国で実際にあった家族のエピソードを盛り込み、これまで語られてこなかった社会のひずみにスポットを当て、多くの女性が抱える心の傷に優しく寄り添う作品を制作した。本作は悲しむや苦しみといった言葉では表現しきれない感情包み込み、これからを生きる女性たちの背中をそっと押してくれるだろう。

公開日: 12月27日(金)
監督: ポン・ウェイ
出演: シュエ・ウェン、ゼン・ユンジェン、チェン・ハオミン
HP: natsugakite-fuyugayuku.com

『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』

©︎ – 2023 – ALVA FILM PRODUCTION SARL – TAKES FILM LLC

フェミニズム活動家、ジョージア人作家 Tamta Melashvili (タムタ・メラシュヴィリ) が手がけた大ヒット小説を映画化。突然動き始めた運命に力強く挑む主人公エテロの姿が愛らしい、異色な青春ドラマ。ジョージアの小さな村に1人で暮らす48歳のエテロは、結婚したいと思ったことは一度もない。自家製のブラックベリージャムと同じくらい、独身の生活を愛していた。しかし、ある日彼女は危険な事故に遭う。人生で初めて死を意識し、突発的に男性との肉体関係を持つと、彼女の人生は大きく変わっていく。人生の後半期に差しかかり、新たな自分を見出していくエテロを演じたのは、舞台を中心に活躍してきたジョージア人俳優 Eka Chavleishvili (エカ・チャブレイシュビリ)。中年女性の葛藤と勇気を、ポップにオフビートに演じきった。変わらない毎日を過ごしていたエテロは、どのような将来を選択するのだろうか。

公開日: 1月3日(金)
監督: Elene Naveriani (エレネ・ナベリアニ)
出演: Eka Chavleishvili、Temiko Chichinadze (テミコ・チチナゼ)
HP: pan-dora.co.jp/blackbird

『ありきたりな言葉じゃなくて

©︎2024 テレビ朝日映像

テレビ朝日のグループ会社として65年、報道情報番組やバラエティ番組を数多く手がけてきたテレビ朝日映像が初となる長編オリジナル映画に挑戦。実際の体験をもとにした痛切な青春物語が誕生した。テレビの構成作家として働く32歳の藤田拓也は、念願のドラマ脚本家デビューが決まった夜、キャバクラを訪れる。そこでりえという女性と出会ったことが、彼の人生を大きく動かすことになる。悲願の夢の実現が遠のき、家族からの信頼も失い絶望する拓也と、りえが心に隠し持っていた本当の気持ちとは。男女の葛藤とあがきを優しい視点で写し出した、心に沁み入る一作。連続テレビ小説「まんぷく」や『笑いのカイブツ』の前原滉が拓也を、『佐々⽊、イン、マイマイン』の小西桜子がりえを演じる。前代未聞の挑戦の第一歩を、ぜひスクリーンで見届けてほしい。

公開日: 12月20日(金)
監督: 渡邉崇
出演: 前原滉、小西桜子、内田慈
HP: arikitarinakotobajyanakute.com

『私の想う国

©︎Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile/2022/

2019年、チリのサンティアゴで発生した大規模な民主化運動をドキュメンタリーの名匠 Patricio Guzman (パトリシオ・グスマン) が鋭い眼差しで捉えた作品。新たな民主化運動の発端となったのは、首都サンティアゴで地下鉄料金の値上げに反対する声。徐々に爆発的なうねりとなり、チリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがした。リーダーもイデオロギーもない社会運動の中心にいたのは、若者と女性たち。約150万人もの人々が世の中を突き動かし、2021年には36歳という世界で最も若い大統領を誕生させた。メガホンをとったグスマンは社会主義政権下での活動により約50年間、国外で亡命生活を送っていた。半世紀が過ぎようとしていた頃、祖国の熱狂をカメラに収めるため懐かしき土地に戻ってきた。そこにいたのは、自身の若い頃と同じように理想の国を作っていこうと奮闘するチリの国民たち。これからの母国に期待を寄せ、本作を世界に届ける。

公開日: 12月20日(金)
監督: Patricio Guzman
HP: uplink.co.jp/watashino

『型破りな教室

©︎Pantelion 2.0, LLC

メキシコ・マタモロスの小学校で2011年に起きた実話を描いたドラマ作品。舞台となるのは、麻薬と殺人が日常と化したアメリカとの国境近くの小学校。子供たちは常に犯罪と隣り合わせの環境で育ち、教育設備は常に不足していた。意欲のない教員ばかりで学力は国内最底辺という悪環境に、新人教師のフアレスが訪れる。彼のユニークで型破りな授業は、生徒たちに探求する喜びを教えてくれた。クラス全体の成績は飛躍的に上昇し、10人の生徒が全国上位0.1%のトップクラスに食い込むまでの軌跡を描く。生徒に深く優しく寄り添うフアレス役を務めるのは、『コーダ あいのうた』に続く教師役ながら新たな魅力を発揮する Eugenio Derbez (エウヘニオ・デルベス)。未来を望むことさえしなかった子供たちが1人の大人に出会い、瞳が輝きだす瑞々しい演技に注目してほしい。

公開日: 12月20日(金)
監督: Christopher Zalla (クリストファー・ザラ)
出演: Eugenio Derbez、Daniel Haddad (ダニエル・ハダッド)、 Jennifer Trejo (ジェニファー・トレホ)
HP: katayaburiclass.com

『不思議の国のシドニ

©︎2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM IN EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMELIA

本作で映し出されるのは、フランス人女性から見た未知の国ニッポン。主人公のフランス人作家シドニは、日本の出版社から招待を受け始めて日本に足を踏み入れる。寡黙な編集者、溝口に案内され、桜の美しい季節に京都、奈良、直島へと旅をしていく。そんな彼女の前に、亡くなった夫アントワーヌの幽霊が現れる。過去を手放し麗らかな希望へと向かう第一歩となる「不思議の国」に迷い込むシドニを軽やかに演じるのは、カンヌ国際映画祭女優賞受賞、アカデミー賞主演女優賞ノミネート歴のあるフランスの名優 Isabelle Huppert (イザベル・ユペール)。全編フランス語で届けられる、愛と再生の物語。

公開日: 12月13日(金)
監督: Elise Girard (エリーズ・ジラール)
出演: Isabelle Huppert、August Diehl (アウグスト・ディール)、伊原剛志
HP: gaga.ne.jp/sidonie

『ミュージック』

© Ivan Markovic

今年開催された第73回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞した、世界が注目する本作が遂に日本上陸。現代ヨーロッパ映画界を牽引するフィルムメーカーの1人 Angela Schanelec (アンゲラ・シャーネレク) 監督が、歌うことで悲しみを乗り越えようとする青年ヨンを描く。彼は赤ん坊の頃、嵐の夜にギリシャの山中に置き去りにされた過去を持つ。とある夫婦に救出され青年になるが、悲劇的な出来事から刑務所に入ることに。悲しき運命を辿るヨンが看守イロから音楽を教わり、その世界にのめり込んでいく。主演には俳優・歌手として活躍する Aliocha Schneider (アリョーシャ・シュナイダー) を抜擢し、『イサドラの子どもたち』での名演が記憶に残る Agathe Bonitzer (アガト・ボニゼール) が脇を添える。そして重要な役割を果たす音楽の楽曲提供にクレジットされたのは、カナダ・トロン在住のミュージシャン Doug Tielli (ダグ・ティエリ)。監督が1年以上のリサーチの末にようやく出会ったという彼の楽曲が映像と重なり合い、優しいハーモニーを奏でる。

公開日: 12月13日(金)
監督: Angela Schanelec
出演: Aliocha Schneider、Agathe Bonitzer、Marisha Triantafyllidou (マリシャ・トリアンタフィリドゥ)
HP: cinema/music

『キノ・ライカ 小さな町の映画館』

©43eparalleleproductions

フィンランドの名匠 Aki Kaurismaki (アキ・カウリスマキ) が仲間と完成させた映画館「キノ・ライカ」を捉えたドキュメンタリー。映画館が存在するのは、北欧フィンランドの鉄鋼の町カルッキラ。深い森と湖と、現在は使用されていない鋳物工場が並ぶ人口9,000人の小さな町に、初めて映画館が誕生する。カウリスマキ自ら釘を打ち、椅子を取り付け、スクリーンを張って完成させた。まるで彼の映画の中の世界のようなその町で、住人たちは映画への期待を語ってくれた。カウリスマキから、映画を愛するすべての者たちへ。「キノ・ライカ」とカルッキラを通して、これからの映画館の可能性を見出していく。本作の監督を務めたのは、クロアチア出身のアーティスト Veljko Vidak (ベリコ・ヴィダク)。映画館開館までの作業を手伝いながら、カウリスマキとその仲間たちの声を1年かけて拾い上げた。カウリスマキの盟友として知られる Jim Jarmusch (ジム・ジャームッシュ) も登場し、とっておきの秘話を披露。豪華メンバーによる貴重な語りを、ぜひ映画館で体感してみて。

公開日: 12月14日(土)
監督: Veljko Vidak
出演: Aki Kaurismaki、Mika Lätti (ミカ・ラッティ)、Jim Jarmusch
HP: eurospace.co.jp/KinoLaika

『クラブゼロ

©︎COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINEMA 2023

『アリス・イン・ワンダーランド』の Mia Wasikowska (ミア・ワシコウスカ) を主演に迎えた、食事をテーマにしたイニシエーション・スリラー。彼女が演じるのは、名門校に赴任してきた栄養学の教師ノヴァク。彼女は「意識的な食事」と題した「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放することができる」という食事法を生徒たちに説く。親たちが気づいた時にはすでに遅く、その教えにのめり込んでいった生徒たちは「クラブゼロ」と呼ばれる謎のクラブに参加していた。栄養学の教師が導いたのは、幸福と破滅のどちらだろうか。監督は、Michael Haneke (ミヒャエル・ハネケ) の助手を務めた経験を持つ気鋭 Jessica Hausner (ジェシカ・ハウスナー)。毒々しい眼差しで、世界をえも言われぬ不安に包み込む。

公開日: 12月6日(金)
監督: Jessica Hausner
出演: Mia Wasikowska、Ksenia Devriendt (クセニア・デヴリント)、Luke Barker (ルーク・バーカー)
HP: klockworx-v.com/clubzero

大きな家

©︎CHOCOLATE

齊藤工による企画・プロデュースのもと、『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』の竹内亮監督の最新作。東京のとある児童養護施設を舞台に、そこで暮らす子どもたちの日常に密着した。本作に登場するのは、死別、病気、虐待、経済問題など、さまざまな事情から親と離れて暮らす子どもたち。血のつながりのない職員、他の子どもたちと生活をともにしている。家族とも他人とも言い切れない繋がりのなかで、両親への思いや周囲の人間との関係、施設を出た後の暮らしなど、さまざまな葛藤を抱えながら成長していく様子を、あたたかい眼差しで映し出した。竹内が捉えるのは、彼らにとっては毎日の出来事でありながら、いつか終わりを迎える大切な日々の景色。そんな彼らに寄り添うように、アコースティックデュオ・ハンバート ハンバートが主題歌を手がけた。本作は配信、パッケージ化を行わない予定。劇場に足を運べば、あなたの「ふつう」を少し広げてくれるかもしれない。

公開日: 12月6日(金)
監督: 竹林亮
HP: bighome-cinema.com

『フード・インク ポスト・コロナ』

©︎2023 Another Perfect Meal, LLC. All Rights Reserved

アメリカのフード・システムに鋭く切り込み、タブーとされていた食品業界の闇を暴いた『フード・インク』の続編が遂にリリース。本作では、新型コロナウイルスの世界的流行後に浮き彫りになった、アメリカのフード・システムの脆弱性を暴き出す。巨大食品企業の市場独占が以前より進み、個人農家の衰退と貧富の格差が広がった実態や、「超加工食品」による健康被害、今話題の米大統領選挙の争点となっている移民問題など、社会的格差を「食」の観点から浮き彫りにしていく。一方で解決策を求め、持続可能な未来を作り出そうと奮闘する農家や活動家、政治家たちの前向きな姿も。食料システムの主要な問題にカメラを向け、我々が抱えている危機を真正面から映し出すフード・ドキュメンタリー。前作に続き、ハーバード大学の教授でありジャーナリストの Michael Pollan (マイケル・ポーラン)、食に関する啓発記事が定評のあるジャーナリスト Eric Schlosser (エリック・シュローサー) が出演。

公開日: 12月6日(金)
監督: Robert Kenner (ロバート・ケナー)、Melissa Robledo (メリッサ・ロブレド)
出演: Michael Pollan、Gerardo Reyes-Chavez (ゲラルド・レイエス・チャベス)、Eric Schlosser
HP: unpfilm.com/foodinc2

『NO ハンブルク NO ビートルズ』

John Lennon (ジョン・レノン) が「僕らはリヴァプールで生まれ、ハンブルクで育った」と語るハンブルク時代を、元メンバー&関係者らが証言するドキュメンタリー。ハンブルクとは、ドイツ最大の港を持つ工業とサービス業の中心地。1963年の「プリーズ・プリーズ・ミー」のヒットを経て、1966年の6回目の訪問までを、元メンバーと関係者の証言やアーカイブ映像と音声、アニメーションなどを使って、まるで昨日のことかのように生き生きと蘇らせた。The Beatles とハンブルクのつながりは、メンバーが全員10代だった頃にまで遡る。バンドの資金も名声もなかった頃、彼らはストリップクラブでの演奏からスタートし、世界最大の赤線地区の真ん中で演奏した経験を経て、徐々にパフォーマンス力を身につけていった。バンドの初代ベーシストとして知られる Stuart Sutcliffe (スチュアート・サトクリフ) の死や、メジャーデビュー直前までドラマーとして活躍した Pete Best (ピート・ベスト) の脱退の理由など、さまざまなエピソードを披露。The Beatles の当時を知る者は口を揃えて言う。「ビートルズを作ったのはリヴァプールではない」と。

公開日: 12月6日(金)
監督: Roger Appleton (ロジャー・アプルトン)
出演: Pete Best (ピート・ベスト)、Alan Williams (アラン・ウィリアムズ
)、John Lennon (ジョン・レノン) *アーカイブ映像
HP: nohamburg-nobeatles.beatles-filmselection.com

『ザ・バイクライダーズ

©︎2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

ハリウッドの豪華スター陣が初共演を果たした話題作が、ついに日本上陸。1960年代にアメリカ・シカゴに実在したモーターサイクルクラブから着想を得た本作。モデルとなったのは、アメリカの写真家 Danny Lyon (ダニー・ライオン) が60年代のバイカー集団「Outlaws Motorcycle Club (アウトローズ・モータサイクル・クラブ)」の日常を描写した、本作タイトルと同名のファースト写真集だ。バイクを愛するアウトサイダーたちの唯一の居場所であるクラブは、予測不可能な形へと変貌していき、邪悪な犯罪組織へと発展していく。彼らの辿った反抗的な文化と、今では伝説となったモーターサイクルクラブの栄枯盛衰を描く。本作のストーリーテラーであるキャシー役には Jodie Comer (ジョディ・カマー)、異彩を放つベニー役には『エルヴィス』、『デューン 砂の惑星 PART2』などの Austin Butler (オースティン・バトラー)、カリスマ的リーダーのジョニー役には『マッド・マックス 怒りのデスロード』で知られる Tom Hardy (トム・ハーディ) など、錚々たる顔ぶれが集結。リアルな演出はさることながら儚さをも携えて、バイク映画の歴史に残る一作が誕生した。

公開日: 11月29日(金)
監督: Jeff Nichols (ジェフ・ニコルズ)
出演: Austin Butler、Jodie Comer、Tom Hardy
HP: the-bikeriders

『山逢いのホテルで

©︎GoldenEggProduction | Paraíso Production | Fox the Fox 2023

アルプスの山間に実在するホテルを舞台に、献身的な愛と現実逃避の夢の間で揺れる大人のラブストーリー。スイスの壮大な山脈に囲まれた小さな町で、障がいのある息子を1人で育てるクローディーヌ。仕立て屋を切り盛りする傍ら、毎週火曜日に山間のリゾートホテルで一人旅の男性客を選んでは、その場限りのアヴァンチュールを楽しむというもう一つの顔を持っていた。そんな中現れたとある男性との出逢いが、彼女の日常を大きく揺さぶることになる。本作で長編監督として華々しくデビューを果たしたのは、ファッションデザイナーとして活躍した経歴を持つ Maxime Rappaz (マキシム・ラッパズ)。繊細な眼差しで俳優たちの魅力を掬い取り、時間をかけて感情の変化を紡ぎ出す演出に、長編デビューとは思えない手腕を発揮。さらに、スイスの荘厳な自然と美しいホテルが、まるで絵画のような映像美を届ける。息子への母性と恋心の間で揺れるクローディーヌが最後に選んだ道を、ぜひスクリーンで見届けてほしい。

公開日: 11月29日(金)
監督: Maxime Rappaz
出演: Jeanne Balibar (ジャンヌ・バリバール)、Thomas Sarbacher (トーマス・サーバッハー)、Pierre-Antoine Dubey (ピエール=アントワーヌ・デュベ)
HP: mimosafilms.com/letmego

『ドリーム・シナリオ』

©︎2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

Nicolas Cage (ニコラス・ケイジ) を主演に迎え、世界中の映画ファンを虜にする制作スタジオ A24 と Ari Aster (アリ・アスター) 監督が製作陣に名を連ねた、平凡な大学教授と悪夢をめぐるスリラー作品。ある日、何百万人という人々の夢に一斉に大学教授・ポールが現れ、一躍有名人に。しかし、今度は夢の中でポールがさまざまな悪事を働き一気に炎上。人気絶頂の日々は一転し、まさに悪夢のような日常がスタートする。ポールの運命はどうなるのか。脇を添えるのは『ニューヨークの亡霊』、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』などに出演した Julianne Nicholson (ジュリアンヌ・ニコルソン)、『ノースマン 導かれし復讐者』で映画デビューを果たし着実にキャリアを積む Lily Bird (リリー・バード) など、豪華キャストたち。また、監督の Kristoffer Borgli (クリストファー・ボルグリ) は次回も A24 と Ari Aster 制作で、主演に Zendaya (ゼンデイヤ) と Robert Pattinson (ロバート・パティンソン) を迎えた新作『THE DRAMA (原題)』を発表する予定だ。映画界を牽引する彼らの作品に、今後も注目したい。

公開日: 11月22日(金)
監督: Kristoffer Borgli
出演: Nicolas Cage、Julianne Nicholson、Lily Bird
HP: dream-scenario

『チネチッタで会いましょう』

©︎2023 Sacher Film–Fandango–Le Pacte–France 3Cinema

イタリア人映画監督 Nanni Moretti (ナンニ・モレッティ) が、順風満帆と思っていた映画監督がさまざまなハプニングに見舞われ、大切なことに気づく様子をユーモラスに描く。そして、主演の映画監督・ジョヴァンニ役を Nanni Moretti 自身が務める。ジョヴァンニはプロデューサーである妻と協力しながら、溢れんばかりの新作のアイデアを引っ提げてチネタッタ撮影場所へ向かう。すると、畳み掛けるような災難が彼を襲うのであった。女優は演出に口を出し始め、プロデューサーは詐欺師だったと判明、妻には突然の別れを切り出される。映画の完成、そして家族の絆はいかに。変化の激しい時代に取り残され戸惑いながら、ジョヴァンニは何を見つけるのだろうか。本作の舞台であるチネチッタは『甘い生活』や『ローマの休日』など、数々の名作が生まれたローマの映画撮影所。ローマで育った Nanni Moretti ならではのイタリアへの賛歌と世界の名匠たちへの愛を表現し、映画の持つ魔法の力と可能性を探る。

公開日: 11月22日(金)
監督: Nanni Moretti
出演: Nanni Moretti、Margherita Buy (マルゲリータ・ブイ)、Silvio Orlando (シルビオ・オルランド)
HP: child-film.com/cinecitta

『Back to Black エイミーのすべて』

©︎2024 Focus Features, LLC. All Rights Reserved.

27歳の若さで早逝した稀代の歌姫 Amy Winehouse (エイミー・ワインハウス) の知られざる素顔に迫る音楽伝記映画。21世紀を代表するアーティストの1人と世界的に称賛された彼女が、ロンドン中心部カムデン・タウンで過ごしたアーティスト初期から大ヒットアルバム「バック・トゥ・ブラック」を発表しグラミー賞5部門受賞、一躍世界的スターの地位を獲得するまでのストーリー。本作のタイトルにも引用された「バック・トゥ・ブラック」は、パブで出会ったブレイクとの失恋を歌った曲。エイミーとブレイクは出会ってすぐに恋に落ちたが、彼は元カノと再び付き合い破局。そのショックから酒とドラッグに手を出し、エイミーは転落していくのであった。天賦の才能に恵まれながらも波乱に満ちた愛に苦悩した等身大の姿を描く。エイミーを演じるのはイギリス出身の女優 Marisa Abela (マリサ・アベラ)。そして「Rehab (リハブ)」や「Tears dry on their own (ティアーズ・ドライ・オン・ゼア・オウン)」など、エイミーの代表曲が多数登場。まるでライブのような臨場感を堪能してほしい。

公開日: 11月22日(金)
監督: Sam Taylor-Johnson (サム・テイラー=ジョンソン)
出演: Marisa Abela (マリサ・アベラ)、Jack O’Connell (ジャック・オコンネル)、Eddie Marsan (エディ・マーサン)
HP: btb-movie.com

『夜のまにまに』

©︎belly roll film

大阪府に実在する映画館、第七藝術劇場の協力のもと、映画館でのボーイミーツガールを描く。フリーターの新平は、失恋した日に訪れた映画館で佳純と出会う。意気投合し、夜の街で一緒に過ごしてからしばらく経ったある日、新平のバイト先のカフェで佳純が働き始める。その後佳純から「彼氏の浮気調査を手伝ってほしい」と頼まれ、探偵の真似事をする羽目に。強引な佳純に振り回されながら、徐々に彼女に惹かれていく。『きみはいい子』、『ちはやふる』シリーズで子役から活躍する加部亜門が新平を、『ココでのはなし』『走れない人の走り方』など、多くの作品で主演を飾った山本奈衣瑠が佳純を務める。そして監督は、前作『凪の憂鬱』が脚光を浴びた新進気鋭の磯部鉄平。「若手映像クリエイターの登竜門」と呼ばれる  SKIP シティ国際 D シネマ映画祭では3年連続受賞するほどの実力派監督が贈る、真面目だかどこか物憂げな青年と、破天荒なほど行動的な女性が織りなす、少しいびつなラブストリー。

公開日: 11月22日(金)
監督: 磯部鉄平
出演: 加部亜門、山本奈衣瑠、黒住尚生
HP: bellyrollfilm.com/mani

『アット・ザ・ベンチ』

©︎2024 Yoshiyuki Okuyama/Spoon Inc, All Rights Reserved.

ポカリスエットの広告や米津玄師の MV などで知られる映像監督・写真家の奥山由之が自主制作した、全5編のオムニバスムービー。第2編の脚本には8人組ユニット・ダウ90000の蓮見翔が、キャストには広瀬すず、仲野太賀、今田美桜、吉岡里帆、神木隆之介など錚々たる顔ぶれが集結。川沿いの芝生の真ん中にぽつんと置かれたベンチを巡って、訪れるさまざまな人たちの日常を写し出す。別れ話をするカップルとそこに割り込む男性、家出をした姉と、姉を探しにきた妹や、ベンチの撤去を計画する役所の職員たち。繰り広げられる等身大の会話は、まるで我々の日常の延長線上にあるかのようだ。また、本作は過去に動画配信プラットフォーム Vimeo (ヴィメオ) にて第1編、第2編が無料公開され反響を呼び、今回新たに3本のショートムービーが制作された。心地よい温度感と小さな違和感の調和を、スクリーンで楽しんでほしい。

公開日: 11月15日(金)
監督: 奥山由之
出演: 広瀬すず、仲野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、今田美桜、森七菜、草彅剛、吉岡里帆、神木隆之介
HP: spoon-inc.co.jp/at-the-bench

『オアシス』

©︎2024「オアシス」製作委員会

10代の頃から若手演技派として注目され、『渇き。』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-/-決戦-』などで共演歴のある清水尋也と高杉真宙。プライベートでも交流があるという2人が、裏社会を生きるかつての幼馴染というキャラクターで W 主演を務める。また、ヒロインの紅花には『サマーフィルムにのって』『まなみ100%』に出演し、着実にキャリアを積む伊藤万理華を抜擢。今最も旬な3人が集い、化学反応を起こす。清水演じる富井と高杉演じる金森はともに青春時代を過ごしていたが、「ある事件」をきっかけに別々の人生を歩んでいた。現在は地元の暴力団メンバー、犯罪組織の一員として対立していた2人だったが、「ある事件」から記憶障害になっていた紅花が現れる。彼女は新たな事件に巻き込まれ、3人の命懸けの逃避行が始まる。裏社会で生きることしか出来なかった若者の葛藤と暴走を描く、バイオレンス青春映画。

公開日: 11月15日(金)
監督: 岩屋拓郎
出演: 清水尋也、高杉真宙、伊藤万理華
HP: oasis–movie.com

『本心』

©2024 映画『本心』製作委員会

『舟を編む』『月』といった代表作が挙げられる石井裕也監督が、芥川賞受賞作家・平野啓一郎の同名小説を実写映画化。技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写した作品。工場で働く石川朔也は、急逝した母が「自由死」を選んでいたことを知る。彼は母の本心を知るため、仮想空間上に母のパーソナルデータを集約させ、VF (ヴァーチャル・フィギュア) を作成。母の親友であった三好と、ゴーグルをかければいつでも会える母と不思議な日常を過ごすうちに、VF は母の知られざる一面を曝け出していく。主演の石川朔也には池松壮亮を招き、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡といった日本映画界を牽引するキャストが顔を揃える。また母親役を演じる田中裕子は、生身の人間と VF という未知の2役に挑戦した。主人公は、母親の本心を知ることはできるのだろうか。リアルとヴァーチャル世界の共存、人間の尊厳といった問題を取り上げ、時代の変化に彷徨う人々の心と本質に迫る。

公開日: 11月8日(金)
監督: 石井裕也
出演: 池松壮亮、三吉彩花、水上恒司
HP: happinet-phantom.com/honshin

『動物界』

©2023 NORD-OUEST FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – ARTEMIS PRODUCTIONS

日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぎ、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞でさいた12部門ノミネートを果たした衝撃作。舞台は、人間の身体が徐々に動物化していく奇病が流行している近未来。突然変異によって生まれ変わった「新生物」は凶暴で施設に隔離されてしまう。主人公フランソワの妻ラナもその1人であった。ある日、移送中の事故により「新生物」が野に放たれ、フランソワと息子エミールはラナを探すが、次第にエミールにも変化が訪れて……。ファースト・シーンから観客を釘付けにする本作は、本国フランスでは観客動員100万人を超えるスマッシュヒットを記録。人種差別、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包するかつてないアニマライズ・スリラーが観る者を未知の世界へと誘う。

公開日: 11月8日(金)
監督: Thomas Cailley (トマ・カイエ)
出演: Romain Duris (ロマン・デュリス)、Paul Kircher (ポール・キルシェ)、Adele Exarchopoulos (アデル・エグザルコプロス)
HP: animal-kingdom.jp

『ルート29』

©2024「ルート29」製作委員会

『こちらあみ子』で高い評価を得た森井勇佑監督の最新作。『こちらあみ子』が大好きだったと語る綾瀬はるかが主演を飾り、他者との関わりを避けて生きるのり子と風変わりな女の子ハルとの旅を綴ったロードムービーを完成させた。のり子は鳥取の町で清掃員として働き、孤独な日常を過ごしていた。ある日、仕事先で訪れた病院の患者に頼まれ、ハルという少女を迎えに姫路へ向かうことに。ハルと出会い、姫路から鳥取までを一本道で繋ぐ国道29号線を進む2人の旅が始まった。道中でさまざまな人と出会い2人の仲は次第に深まっていき、孤独だったのり子の心を満たしていく。ハルを務めるのは『こちらあみ子』で強烈な個性を放った大沢一菜。さらに高良健吾、河井若葉、市川実日子ほか、実力派キャストたちが集結した。また、映画配信プラットフォーム U-NEXT (ユーネクスト) では、『ルート29 エピソード0 ~旅立つ前に~』を独占配信中。森井監督、大沢一菜と綾瀬はるかがインタビューに答え、それぞれの作品への思いや撮影中のエピソードなどを語っている。3人が織りなす柔らかな空気と赤裸々なトークを、ぜひ作品とともに楽しんでほしい。

公開日: 11月8日(金)
監督: 森井勇佑
出演: 綾瀬はるか、大沢一菜、伊佐山ひろ子
HP: route29-movie.com

『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

© & TM DC (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

2019年、世界中で旋風を巻き起こした『ジョーカー』の続編が遂に日本上陸。Todd Phillips (トッド・フィリップス) 監督と主演 Joaquin Phoenix (ホアキン・フェニックス) のタッグはそのままに、ジョーカーと恋に落ちる女性リー役として Lady Gaga (レディー・ガガ) が新たに参加する。コメディアンを夢見る心優しい少年が、理不尽な世の中の代弁者として生まれ変わり、時代の寵児となったジョーカー。前作から2年後の世界で謎めいたリーと出会い、彼らは惹かれあっていく。ジョーカーは悪のカリスマなのか、それともただの人間なのか。世界を狂乱の渦に包み込み、予想のつかない展開へと導いていく2人の結末とは。Todd Phillips 監督は、本作の制作において強いプレッシャーを感じたと語っている。前作のヒットを受けて高い期待を寄せられる本作の行方が楽しみだ。

公開日: 10月11日(金)
監督: Todd Phillips
出演: Joaquin Phoenix、Lady Gaga、Brendan Gleeson (ブレンダン・グリーソン)
HP: jokermovie

『HAPPYEND』

©Music Research Club LLC

世界的音楽家・坂本龍一の息子として知られるフィルムメーカー空音央監督による、初となる長編劇映画。作品の舞台は今から XX 年後、日本のとある都市。高校卒業間近のユウタとコウは、とあるいたずらが学校の大事件に発展し、生徒を四六時中監視する AI システムが学校に導入されてしまう。このことから、2人の関係に徐々に亀裂が生まれ始める。現代に蔓延する違和感を地続きで表現し、環境音やテクノが織り混ざった独特なサウンドで届けられる。目まぐるしく変わりゆく日常に、変わらない友情など存在するのだろうか。「ありえるかもしれない未来」をテーマに、新たな切り口でストーリーが展開する青春映画が誕生した。監督を務めた空音央は、日本とニューヨークの2拠点で活動し、黒沢清や Paul Thomas Anderson (ポール・トーマス・アンダーソン) も卒業生であるサンダンス映画祭のラボ出身。監督・俳優陣ともに若き才能が集結した本作を、ぜひお見逃しなく。

公開日: 10月4日(金)
監督: 空音央
出演: 栗原颯人、日高由起刀、林裕太
HP: bitters.co.jp/HAPPYEND

『ぼくのお日さま』

©2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS

舞台となるのは、雪の降り積もる田舎町。テレビドラマ「天狗の台所」で知られる越山敬達が小学六年生のタクヤを、本作で演技デビューを果たす中西希亜良がさくらを演じ、夢を諦めた荒川の役を池松壮亮が務める。吃音のあるタクヤはアイスホッケーが苦手で、練習中に怪我をしたある日、フィギュアスケートの練習をする少女・さくらに出会う。氷の上を滑るさくらに一目惚れをしたタクヤだったが、一方さくらはフィギュアスケートのコーチである荒川の存在が気になっている。そして、元フィギュアスケートの選手であり、恋人の住む街に引っ越してきた荒川は、タクヤの恋心に気づき、練習の面倒を見始める。3人の関係が深まるにつれて、街の雪が解けていく。美しい銀世界と主題歌であるハンバートハンバートの「ぼくのお日さま」がマッチし、登場人物たちを柔らかく包み込むような瑞々しい映画が完成した。2024年・第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション部門へ日本から唯一出品され、現在は世界中が注目する日本の若き才能・奥山大史監督の最新作は見逃せない。

公開日: 9月13日(金)
監督: 奥山大史
出演: 越山敬達、中西希亜良、池松壮亮
HP: bokunoohisama.com

『ナミビアの砂漠』

©2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

初監督作品『あみこ』では、若干19歳にして第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待され、日本だけでなく世界の映画界に名を轟かせた山中瑶子監督の最新作。そして主演には、現在話題沸騰中の河合優実を抜擢。そして彼女の恋人を演じるのは金子大地と寛一郎で、新進気鋭の俳優らが脇を固める。山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝えたという河合の夢が実現し、若き才能溢れる作品が誕生した。主人公は、やり場のない感情を抱えながら過ごす21歳のカナ。同棲をしている恋人のホンダは献身的だがどこか退屈で、刺激的な恋愛を求めてクリエイターのハヤシに惹かれ始める。やがてその環境の変化に追い詰めれられ、もがき、苦しみ、自分の居場所を見出していく。現代を生きる我々の抱える悩みを圧倒的エネルギーで描き切った青春ドラマが、先の見えない世の中に新しい風を吹き込む。

公開日: 9月6日(金)
監督: 山中瑶子
出演: 河合優実、金子大地、寛一郎
HP: namibia-movie

『ルックバック』

©︎藤本タツキ/集英社 (C)2024「ルックバック」製作委員会

『チェンソーマン』などで知られる漫画家・藤本タツキが、2021年に「少年ジャンプ+」にてリリースした同名読み切り漫画の劇場アニメ化が決定。本作は、著名なクリエイターをはじめ、数多くの漫画ファンから反響を呼び起こし、「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にも輝いたことで知られている。そんなファン待望である作品の監督・脚本・キャラクターデザインを務めるのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』をはじめ数多くの劇場大作に主要スタッフとして携わってきた押山清高。そして、主人公の藤野に声を吹き込むのは、ドラマ「不適切にもほどがある!」や映画『あんのこと』で現在最も注目を浴びる俳優・河合優実で、もう1人の主人公・京本役には『あつい胸騒ぎ』『カムイのうた』で目覚ましい活躍を見せる吉田美月喜を抜擢。クラスからも称賛され、漫画の腕前に自信を持つ小学4年生の藤野と、一方で引きこもりで学校に来られない同い年の京本。正反対な2人の少女が、漫画へのひたむきな思いで繋がり、ある日すべてを転覆させるような事件が起こる。共鳴し合う少女たちの行先を、ぜひ見届けてみて。

公開日: 6月28日(金)
監督: 押山清高
出演: 河合優実、吉田美月喜
HP: lookback-anime.com