TFP Recommended Movies

【上映中】 今週のTFP的おすすめ映画

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【上映中】 今週のTFP的おすすめ映画

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「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を週替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。

11月5日〜11月11日

『本心』

©2024 映画『本心』製作委員会

『舟を編む』『月』といった代表作が挙げられる石井裕也監督が、芥川賞受賞作家・平野啓一郎の同名小説を実写映画化。技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を鋭く描写した作品。工場で働く石川朔也は、急逝した母が「自由死」を選んでいたことを知る。彼は母の本心を知るため、仮想空間上に母のパーソナルデータを集約させ、VF (ヴァーチャル・フィギュア) を作成。母の親友であった三好と、ゴーグルをかければいつでも会える母と不思議な日常を過ごすうちに、VF は母の知られざる一面を曝け出していく。主演の石川朔也には池松壮亮を招き、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡といった日本映画界を牽引するキャストが顔を揃える。また母親役を演じる田中裕子は、生身の人間と VF という未知の2役に挑戦した。主人公は、母親の本心を知ることはできるのだろうか。リアルとヴァーチャル世界の共存、人間の尊厳といった問題を取り上げ、時代の変化に彷徨う人々の心と本質に迫る。

公開日: 11月8日(金)
監督: 石井裕也
出演: 池松壮亮、三吉彩花、水上恒司
HP: happinet-phantom.com/honshin

『動物界』

©2023 NORD-OUEST FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – ARTEMIS PRODUCTIONS

日本でも話題となった『落下の解剖学』を凌ぎ、フランスのアカデミー賞と呼ばれるセザール賞でさいた12部門ノミネートを果たした衝撃作。舞台は、人間の身体が徐々に動物化していく奇病が流行している近未来。突然変異によって生まれ変わった「新生物」は凶暴で施設に隔離されてしまう。主人公フランソワの妻ラナもその1人であった。ある日、移送中の事故により「新生物」が野に放たれ、フランソワと息子エミールはラナを探すが、次第にエミールにも変化が訪れて……。ファースト・シーンから観客を釘付けにする本作は、本国フランスでは観客動員100万人を超えるスマッシュヒットを記録。人種差別、ルッキズム、感染症など現代的なテーマを内包するかつてないアニマライズ・スリラーが観る者を未知の世界へと誘う。

公開日: 11月8日(金)
監督: Thomas Cailley (トマ・カイエ)
出演: Romain Duris (ロマン・デュリス)、Paul Kircher (ポール・キルシェ)、Adele Exarchopoulos (アデル・エグザルコプロス)
HP: animal-kingdom.jp

『ルート29』

©2024「ルート29」製作委員会

『こちらあみ子』で高い評価を得た森井勇佑監督の最新作。『こちらあみ子』が大好きだったと語る綾瀬はるかが主演を飾り、他者との関わりを避けて生きるのり子と風変わりな女の子ハルとの旅を綴ったロードムービーを完成させた。のり子は鳥取の町で清掃員として働き、孤独な日常を過ごしていた。ある日、仕事先で訪れた病院の患者に頼まれ、ハルという少女を迎えに姫路へ向かうことに。ハルと出会い、姫路から鳥取までを一本道で繋ぐ国道29号線を進む2人の旅が始まった。道中でさまざまな人と出会い2人の仲は次第に深まっていき、孤独だったのり子の心を満たしていく。ハルを務めるのは『こちらあみ子』で強烈な個性を放った大沢一菜。さらに高良健吾、河井若葉、市川実日子ほか、実力派キャストたちが集結した。また、映画配信プラットフォーム U-NEXT (ユーネクスト) では、『ルート29 エピソード0 ~旅立つ前に~』を独占配信中。森井監督、大沢一菜と綾瀬はるかがインタビューに答え、それぞれの作品への思いや撮影中のエピソードなどを語っている。3人が織りなす柔らかな空気と赤裸々なトークを、ぜひ作品とともに楽しんでほしい。

公開日: 11月8日(金)
監督: 森井勇佑
出演: 綾瀬はるか、大沢一菜、伊佐山ひろ子
HP: route29-movie.com

『ドゥーム・ジェネレーション』

©1995 UGC and the teen angst movie company

1990年代、アメリカでニュー・クィア・シネマムーブメントを牽引した Gregg Araki (グレッグ・アラキ) による作品がデジタルリマスター版にてリバイバル公開。彼の代表3部作として知られる「ティーン・アポカリプス・トリロジー」から2作が今回劇場公開され、そのうちの一本を TFP でご紹介。ストーリーは、とあるカップルと怪しげな男の3人による刺激的な逃避行。ロサンゼルスのクラブを楽しんだジョーダンとエイミーが車の中で過ごしていると、ハンサムで危険な男グザヴィエと出会う。そして彼が起こした事件を発端に3人での奇妙な逃亡がスタートし、奇妙な三角関係へとねじれていくのだった。監督の Gregg Araki は、彼なりのパンクロックなやり方で「史上最もクィアな異性愛映画」を作りたかったと語っている。約30年前の作品とは思えないほどパワフルでロマンチックなロードムービー。

公開日: 11月8日(金)
監督: Gregg Araki
出演: James Duval (ジェームズ・デュバル)、Rose McGowan (ローズ・マッゴーワン)、Johnathon Schaech (ジョナサン・シェック)
HP: greggaraki-movie.com

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

© Hilary Bronwyn Gayle

ハリウッド黄金期に『ローマの休日』をはじめ、数多く有名作品の脚本を手がけながらも投獄にまで陥った脚本家 Dalton Trumbo (ダルトン・トランボ) の生涯を描いた伝記ドラマ。トランボは作家としての才能が花開き、ハリウッドの俊英の1人として知られる脚本家だ。しかし、戦時下のアメリカで「赤狩り」が行われ、共産党員であった彼は投獄されてしまう。刑期を終えた後も偽名を利用して脚本を書き続け、アカデミー賞を2度も受賞。「ハリウッド・ブラックリスト」に名前が載り表舞台での活動が危うい中、周りの人々は彼を支え続けた。トランボの強い信念により、死後に『ローマの休日』のアカデミー原案賞は彼に贈られたという事実は、1人でも多くの人々に知れ渡るべきだろう。本作でトランボを演じた Bryan Cranston (ブライアン・クランストン) は第88回 アカデミー賞®主演男優賞にノミネートされ、共演者には Elle Fanning (エル・ファニング)、『アウトサイダー』などで知られる Diane Lane (ダイアン・レイン) が名を連ねる。

公開日: 11月1日(金)
監督: Jay Roach (ジェイ・ローチ)
出演: Bryan Cranston、Diane Lane、Helen Mirren (ヘレン・ミレン)
HP: 12cinemarelay.com

『ゴンドラ』

© VEIT HELMER-FILMPRODUKTION,BERLIN AND NATURA FILM,TBILISI

『ツバル TUVALU』『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』で知られるドイツ出身の Veit Helmer (ファイト・ヘルマー) 監督が、2つの古いゴンドラと2人の乗組員を中心に映画の魔法に満ちた物語を展開する。山の谷間を繋ぐゴンドラで乗組員として働くのは、イヴァとニノ。行ったり来たりするだけの変わり映えのない道のりだが、2人は奇想天外なアイデアを思いつく。それはゴンドラに衣替えをして、ニューヨーク行きの飛行機にしたり、火星へと向かうロケットに見立てることだった。そんなある日、2人の優しい悪戯が周囲の人々を巻き込む事態へと発展してしまう。本作の特徴は、本編に一切セリフがないこと。 必要最小限な要素だけで完成させ、セリフが無いからこそ生まれる映画的瞬間が見どころだと Veit Helmer は語っている。また、本編に登場するゴンドラは「ジョージアで最も長い距離をつなぐゴンドラ」と呼ばれ、現在は新しい車体が使われている。映画に収められた貴重な姿と、小コーカサス山脈の豊かな自然にも注目。

公開日: 11月1日(金)
監督: Veit Helmer
出演: Nini Soselia (ニニ・ソセリア)、Mathilde Irrmann マチルデ・イルマン、Zuka Papuashvili (ズカ・パプアシビリ)
HP: moviola.jp/gondola

『ノーヴィス』

©The Novice, LLC 2021

『セッション』をはじめ、数々のハリウッドメジャー作品にサウンド・クリエイターとして参加した Lauren Hadaway (ローレン・ハダウェイ) が、満を持してメガホンを取り初監督作品をリリース。彼女自身が大学時代に打ち込んだボート競技・ローイングの経験をもとに脚本と編集も手がけ、『セッション』や『ブラックスワン』を彷彿とさせるダークでスリリングな作品が完成した。主人公のアレックスは大学女子ボート部に入部し、ストイックに練習に励んでいた。そして、スポーツ万能な同期のジェイミーとレギュラーの座を狙って熾烈な争いを繰り広げる。やがてアレックスの闘争心と執着心は増幅していく。怒涛のラスト8分間、手に汗握る体験に期待したい。主演を飾るのは『エスターファースト・キル』の Isabelle Fuhrman (イザベル・ファーマン)。撮影前の6週間、毎朝4時に起き1日6時間の水上トレーニングを行うことで、過酷なロケに耐えられるよう精神と肉体を鍛えたという。妥協のない彼女の迫真の演技を、スクリーンで見届けて。

公開日: 11月1日(金)
監督: Lauren Hadaway
出演: Isabelle Fuhrman、Dilone (ディロン)、Amy Forsyth (エイミー・フォーサイス)
HP: novice-movie.com

『アイミタガイ』

©2024「アイミタガイ」製作委員会

作家・中條ていの連作短編集『アイミタガイ』を実写映画化。小さな巡り合わせが連鎖し、幸せの歯車が動き出すような心温まる群像劇。ウェディングプランナーとして働く梓は、親友・叶海の訃報が届いてからも変わらずメッセージを送り続けていた。一方叶海の両親は遺品整理をしている最中スマホを見つけ、それには新しいメッセージが届いていた。梓が送っていた読まれるはずのないメッセージに一斉に既読がつき、思いもよらなかった人々が繋がり始める。タイトルの「アイミタガイ」とは、「相身互い」のこと。「同じ境遇同士の者が助け合う」という意味の言葉であり、誰かを想ってしたことは巡り巡って見知らぬ誰かも救うだろうという思いが込められている。梓役には黒木華を、梓の恋人・澄人役には中村蒼、叶海役には藤間爽子を抜擢。本作の撮影は三重県・桑名を中心に行われ、地方の町に根ざした撮影が行われた。人が生きている手触りが感じられるよう演出にこだわり、何気ない毎日を優しく照らすような物語が紡がれた。

公開日: 11月1日(金)
監督: 草野翔吾
出演: 黒木華、中村蒼、藤間爽子
HP: aimitagai.jp

リトル・ワンダーズ

© RILEY CAN YOU HEAR ME? LLC

子ども達が体験する大冒険を純粋無垢な彼らの目線で写し出した、わくわくが止まらないネオ・アドベンチャー映画が誕生。ストーリーの中心となるのは、いたずら好きな3人組「不死身のワニ団」のメンバーであるアリス、ヘイゼル、ジョディ。彼らはある日、ゲームで遊ぶ代わりとしてママの大好きなブルーベリーパイを手に入れようと出かけるが、必要な卵を謎の男に横取りされる。男を追いかけた3人が遭遇したのは、魔女率いる謎の集団「魔法の剣一味」。怪しい企みに巻き込まれながらも、森で出会った魔女の娘を仲間に悪い大人に立ち向かう3人は、無事にパイを手に入れることができるのか。本作が長編デビューとなるWeston Razooli (ウェストン・ラズーリ) 監督は、16mmフィルムで撮影を行うことでレトロフューチャーな世界観を作り込んだ。愛くるしいキャラクターとどこか懐かしさを覚える映像美が、大人も子どもも夢中になる体験へと誘う。

公開日: 10月25日(金)
監督: Weston Razooli
出演: Lio Tipton(リオ・ティプトン)、Charles Halford (チャールズ・ハルフォード)、Skyler Peters (スカイラー・ピーターズ)
HP: littlewonders

サタンタンゴ

Jim Jarmusch (ジム・ジャームッシュ) や Gus Van Sant (ガス・ヴァン・サント) など数多くの映画監督に影響を与えながらも、56歳の若さで映画監督を引退したハンガリーの異才 Tarr Bela (タル・ベーラ)。ルーヴル美術館やニューヨーク近代美術館でも上映された7時間18分の大作が、制作から30年を記念して再びスクリーンに蘇る。舞台となるのは、経済的に行き詰まり終末的な様相を纏っているハンガリーの村。降り続く雨と泥に覆われ村人同士が疑心暗鬼になるなか、1年半前に亡くなったはずのイリミアーシュが帰ってくる出来事が起きる。シュミットとクラーネルは村人達の貯金を持ち逃げする計画を立てていたが、イリミアーシュが帰ってきたことで彼らの計画も思い通りにはいかない。果たしてイリミアーシュは、村の救世主なのか、それとも……。デビュー以来、一貫して人間、そして世界を凝視し続けてきた Tarr Bela が、閉鎖的な環境で自由を求め、幻想を抱き、未来を信じ、世界に幻滅し、それでも歩き続ける人間の根源的な姿を詩的に描く。準備に9年、撮影に2年、完成まで4年かけ、驚異的な長回しで描かれる美しき映像目次録。そしてなんと、本作が上映されるシネマート新宿にて10月31日(木)11時40分の回終了後、Tarr Bela 監督本人がティーチインに登壇。鑑賞後の余韻が冷めやらぬ観客にどのようなメッセージを投げかけるのか。詳細は、下記に記載の公式 X をチェック。

公開日: 10月25日(金)
監督: Tarr Bela
出演: Víg Mihály (ヴィーグ・ミハーイ)、Horváth Putyi (ホルヴァート・プチ)、Derzsi János (デルジ・ヤーノシュ)
公式X: TarrBela_jp

『徒花 ADABANA』

©2024「徒花 ADABANA」製作委員会 / DISSIDENZ

主人公は、裕福な家庭で育ち、自身もまた幸せな家庭を築いている新次。順風満帆かと思われた彼は死をも伴う可能性のある病気に罹り、病院で療養生活を送っていた。ある日、病気への不安から「それ」の存在との面会を懇願。「それ」とは、一部の上流階級層にだけ持つことが許された、病気の人間に提供される全く同じ見た目の「もう1人の自分」であった。死や生命の価値といったテーマを近未来的に表現したのは、『赤い雪 Red Snow』で注目を集めた甲斐さやか監督。「それ」にのめり込んでいく新次役には井浦新、彼のケアを担当する臨床心理士のまひろ役には水原希子、新次の脳裏に焼きついて離れない海辺で知り合った女性役には三浦透子を抜擢し、物語を底の見えない冷ややかな空気で包み込む。タイトルの「徒花」とは、「無駄な花」を意味する言葉。「満たされた空虚」を改めて見つめ直そうとする、甲斐さやかの新しい試みに期待が膨らむ。

公開日: 10月18日(金)
監督: 甲斐さやか
出演: 井浦新、水原希子、三浦透子
HP: adabana-movie.jp

『国境ナイトクルージング』

©2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES

舞台となるのは、中国の東北地方、北朝鮮の国境に位置する街・延吉。母からのプレッシャーに心を壊したエリート社員、オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーター、そして勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人の3人が偶然この街で出会い、極寒の延吉をクルーズする。お互いを深入りせずにこの瞬間をひたすら楽しむ、という暗黙のルールのもと気ままな生活をともに過ごすうちに、凍りついた孤独はじわりと解けていく。挫折を経験し、閉塞感の中で生きていた3人が心を通わせ、喜びを取り戻す繊細な感情を叙情的に写し出した。監督は、2007年に短編映画『AH MA』でシンガポール人として初のカンヌ国際映画祭で受賞し、その後も精力的な活動を続ける Anthony Chen (アンソニー・チェン) 監督。パンデミック中の葛藤をぶつけ、監督自らが中国の若者へ贈るラブレターだと語る至極の青春映画が完成した。

公開日: 10月18日(金)
監督: Anthony Chen
出演: Zhou Dongyu (チョウ・ドンユイ)、Liu Haoran (リウ・ハオラン)、Qu Chuxiao (チュー・チューシャオ)
HP: kokkyou-night.com

『まる』

©2024 Asmik Ace, Inc.

『かもめ食堂』『彼らが本気で編むときは、』で知られる荻上直子監督が監督・脚本を手がけ、27年ぶりに映画単独主演を務める堂本剛、そして綾野剛、吉岡里帆といった日本を代表する俳優が集結。堂本演じる主人公の沢田は、美大を卒業したのちアートで独立する道に敗れ、人気現代美術家のアシスタントをしている。変わり映えのない毎日を送っていたある日事故に遭い、職を失ってしまう。家に帰ると部屋の床に蟻を見つけ、沢田はそれに導かれるように◯ (まる)を描き、そこから彼の人生は奇想天外な展開を繰り広げる。本作で堂本は、自身のクリエイティブプロジェクト「.ENDRECHERI. 」として音楽を担当。主演と音楽というセルフコラボレーションで、表現の新境地に挑戦した。綾野剛は沢田の隣の部屋に住む売れない漫画家、吉岡里帆は沢田と同じアトリエで働く現代美術家のアシスタントの役を演じている。監督・俳優陣ともに豪華なキャスティングで、予測できないドラマ作品を作り上げた。

公開日: 10月18日(金)
監督: 荻上直子
出演: 堂本剛、綾野剛、小林聡美
HP: maru.asmik-ace.co.jp

『ジョイランド わたしの願い』

©2022 Joyland LLC

パキスタンの新鋭 Saim Sadiq (サーイム・サーディク) 監督の初長編作品であり、パキスタン映画として初出品となったカンヌ国際映画祭では「ある視点」審査員賞とクィア・パルム賞を受賞。本国では保守系団体からの反発により上映禁止となったが、世界中からの支持を受け見事上映が実現したという、まさに映画のような奇跡を巻き起こした。文化・芸術の中心である大都市ラホールで、保守的な中流家庭に生まれたハイダルとその妻、ムムターズと穏やかな夫婦生活を営んでいた。そんな中、ハイダルはトランスジェンダー女性ビバと出会い、パワフルな生き方に惹かれ、やがて夫婦生活にも波紋を呼ぶことになる。パキスタンの伝統的な価値観に縛られていた2人の、自分らしさを解放する喜びや葛藤を写し出す。

公開日: 10月18日(金)
監督: Saim Sadiq (サーイム・サーディク)
出演: Ali Junejo (アリ・ジュネージョー)、Rasti Farooq (ラスティ・ファルーク)、Alina Khan (アリーナ・ハーン)
HP: joyland-jp.com

『グレース』

ロシア南西部の辺境で、旅をしながら生活をする父・娘の親子を描いたロードムービー。無愛想な目をした16歳の娘と寡黙な父は、移動映画館での野外上映とポルノ映画の海賊版 DVD を若者に密売しながら赤いバンで北上する日々を送っていた。車内には重苦しい沈黙が漂い、窓の外には荒涼とした風景が続く。母も友人もおらず、自分を守る家も確立された未来もなく、移動をした先で出会う人々には生ぬるい共感や哀れみを投げかけられる日々。思春期の少女はやり場のない感情を沸々と溜め込み、やがて放浪生活を抜け出すためのある行動に出ることになる。本作には、直接的な描写はないが映像の至る所に政治的な雲行きの悪さが感じられる。語らずして語るように訴えかける映像が評価され、2023年のカンヌ国際映画祭で上映された唯一のロシア映画として大きな反響を呼んだ。ソ連崩壊後から時間が止まったようなロシア辺境の停滞と不穏を背景に、思春期の不安を抱える少女の成⻑を追った本作を、ぜひスクリーンで体感してみてはいかがだろうか。

公開日: 10月19日(土)
監督: Ilya Povolotsky (イリヤ・ポヴォロツキー)
出演: Maria Lukyanova (マリア・ルキャノヴァ)、Gela Chitava (ゲラ・チタヴァ)、Eldar Safikanov (エルダル・サフィカノフ)
HP: grace.twentyfirstcity.com

『ジョーカー フォリ・ア・ドゥ』

© & TM DC (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

2019年、世界中で旋風を巻き起こした『ジョーカー』の続編が遂に日本上陸。Todd Phillips (トッド・フィリップス) 監督と主演 Joaquin Phoenix (ホアキン・フェニックス) のタッグはそのままに、ジョーカーと恋に落ちる女性リー役として Lady Gaga (レディー・ガガ) が新たに参加する。コメディアンを夢見る心優しい少年が、理不尽な世の中の代弁者として生まれ変わり、時代の寵児となったジョーカー。前作から2年後の世界で謎めいたリーと出会い、彼らは惹かれあっていく。ジョーカーは悪のカリスマなのか、それともただの人間なのか。世界を狂乱の渦に包み込み、予想のつかない展開へと導いていく2人の結末とは。Todd Phillips 監督は、本作の制作において強いプレッシャーを感じたと語っている。前作のヒットを受けて高い期待を寄せられる本作の行方が楽しみだ。

公開日: 10月11日(金)
監督: Todd Phillips
出演: Joaquin Phoenix、Lady Gaga、Brendan Gleeson (ブレンダン・グリーソン)
HP: jokermovie

『若き見知らぬ者たち』

©2024 The Young Strangers Film Partners

前作『佐々木、イン、マイマイン』で評価され、注目を集めている内山拓也監督の最新作。連続テレビ小説「ひよっこ」でお茶の間に広く知られ、ドラマ「今日から俺は!!」でブレイクし、数々のドラマ・映画に出演する磯村勇斗を主演に招き、日本、フランス、韓国、香港合作で本作を手がけた。主人公の風間彩人は亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人との小さな幸せを掴みたいと考えているが、とある夜に彼らのささやかな日常が奪われる事件が起こる。内山監督が前作で表現した閉塞感や自意識が爆発するパッション、マインドは本作にも受け継がれ、1人の青年の生き様がリアリティ満載に描かれている。あらゆる理不尽にまみれても、自分の正義を守り懸命に生きようとする、名もなき人々の魂の叫びをスクリーンに焼きつけた本作を、ぜひ体感してほしい。

公開日: 10月11日(金)
監督: 内山拓也
出演: 磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大
HP: youngstrangers.jp

『リュミエール』

© 1976 FONDS JEANNE MOREAU POUR LE THÉ TRE, LE CINÉMA ET L’ENFANCE. TOUS DROITS RÉSERVÉS

Francois Truffaut (フランソワ・トリュフォー)、Luis Buñuel (ルイス・ブニュエル) といった名匠たちの作品に出演したフランスの名女優 Jeanne Moreau (ジャンヌ・モロー) が監督・主演を務める作品。40代で初めて監督に挑戦した彼女は「私は女たちを称賛している。ありのままを彼女たちに示そうと思った。」とコメントを残している。そんな本作のストーリーは、サラ、ラウラ、ジュリエンヌ、キャロリーヌという世代の違う4人の女優たちが南フランスの別荘で過ごす休暇を描く。Jeanne Moreau 含む女優たちの悩みや欲望、葛藤が等身大に写し出され、率直な台詞や飾り気のない姿が印象的だ。そして、自ら女優という役を演じ、映画産業の第一線で活躍してきた彼女ならではの視点も、Jeanne Moreau の半生を物語るようだ。本作は Jeanne Moreau の監督デビュー作であり、日本で上映されるのは初めて。フランスを代表する名女優のクリエイティビティと演技力が光る本作が日本初上陸となるこの機会に、映画館に足を運んでみては。

公開日: 10月11日(金)
監督: Jeanne Moreau
出演: Jeanne Moreau、Lucia Bos (ルチア・ボゼー)、Francine Racette (フランシーヌ・ラセット)
HP: jeannemoreau.espace-sarou.com

『最後の乗客』

©Marmalade Pictures, Inc.

宮城県出身で NY 在住の堀江貴監督が、故郷のために立ち上げたプロジェクトの一環として自主映画を制作。とある日本の平穏な地方都市を舞台に、タクシードライバーと乗客が迎える不思議な一夜を捉えた。タクシーの運転手である遠藤が閑散とした夜の住宅街を流していると、人気のない県道脇に若い女性が立っていた。さらに、何もない路上に小さな女の子と母親の二人連れも突如姿を現す。3人と秘密を乗せたタクシーが向かう先には、想像を超える展開が待ち受けていた。ありふれた日常を夜の闇が覆い隠していくミステリアスな展開と衝撃のラストが反響を呼び、世界各地の映画祭で絶賛され、遂に日本でも全国公開がスタート。遠藤役には数々の映画、舞台、ドラマで活躍する実力派俳優の冨家ノリマサ、遠藤みずき役にはそして元 AKB48メンバーであり、現在は俳優として活動する岩田華怜を抜擢。また、本作品の重要なシーンに度々登場する「卵おにぎり」は作品の公式 HP にレシピが載っているため、本作を鑑賞した後、作って食べてみてはいかがだろうか。

公開日: 10月11日(金)
監督: 堀江貴
出演: 岩田華怜、冨家ノリマサ、長尾純子
HP: lastpassenger

『二つの季節しかない村』

©2023 NBC FILM/ MEMENTO PRODUCTION/ KOMPLIZEN FILM/ SECOND LAND / FILM I VAST / ARTE FRANCE CINEMA/ BAYERISCHER RUNDFUNK / TRT SİNEMA / PLAYTIME

『雪の轍』でパルムドールを受賞したトルコの名匠 Nuri Bilge Ceylan (ヌリ・ビルゲ・ジェイラン) 監督の最新作。トルコ・アナトリア東部の雄大な自然と人間の卑小さを対比させたドラマ。雪深い町で美術教師として働くサメットは順風満帆な生活を送っていたが、ある日女生徒に「不適切な接触をした」と告発される。狭い町では途端にその噂が広まり、サメットは窮地に立たされてしまう。プライドが高く、独りよがりで、屁理屈を並べ、他人へ敬意を払おうとしない主人公の姿は、親しまれるキャラクターではないがどこか他人事とは思えないはず。我々の心を見透かすように現代社会の生きづらさを投影し、映画と現実の境界を取り払う本作で新たな映画体験を味わってほしい。本作の撮影地となったインジェス村は、大地を深く覆う雪の季節が終わればすぐに強い日差しが差し込み、黄色く枯れた草花が顔を出す。厳しい自然のなかにある小さな社会で生きる孤独な男の顛末をリアルに描く。

公開日: 10月11日(金)
監督: Nuri Bilge Ceylan
出演: Deniz Celiloglu (デニズ・ジェリオウル)、Merve Dizdar (メルベ・ディズダル)、Musab Ekici (ムサブ・エキチ)
HP: bitters.co.jp/2kisetsu

『HAPPYEND』

©Music Research Club LLC

世界的音楽家・坂本龍一の息子として知られるフィルムメーカー空音央監督による、初となる長編劇映画。作品の舞台は今から XX 年後、日本のとある都市。高校卒業間近のユウタとコウは、とあるいたずらが学校の大事件に発展し、生徒を四六時中監視する AI システムが学校に導入されてしまう。このことから、2人の関係に徐々に亀裂が生まれ始める。現代に蔓延する違和感を地続きで表現し、環境音やテクノが織り混ざった独特なサウンドで届けられる。目まぐるしく変わりゆく日常に、変わらない友情など存在するのだろうか。「ありえるかもしれない未来」をテーマに、新たな切り口でストーリーが展開する青春映画が誕生した。監督を務めた空音央は、日本とニューヨークの2拠点で活動し、黒沢清や Paul Thomas Anderson (ポール・トーマス・アンダーソン) も卒業生であるサンダンス映画祭のラボ出身。監督・俳優陣ともに若き才能が集結した本作を、ぜひお見逃しなく。

公開日: 10月4日(金)
監督: 空音央
出演: 栗原颯人、日高由起刀、林裕太
HP: bitters.co.jp/HAPPYEND

『エストニアの聖なるカンフーマスター』

©Homeless Bob Production / White Picture / Neda Film / Helsinki Filmi

エストニアのアカデミー賞といわれる EFTA (Estonian Film and Television Awards 2024) では11部門にノミネート、作品賞をはじめとする最多9部門を受賞した話題作が日本に上陸。若くして「映画の神童」と呼ばれ、ダークファンタジー『ノベンバー』で知られる Rainer Sarnet (ライナル・サルネット) 監督が、最作ではメタルとカンフーに魅入られた男の成長という奇想天外な青春コメディに挑戦した。物語が繰り広げられるのは、ポップカルチャーが禁じられたソ連占領下のエストニア。ある日、国境警備の任に就く青年ラファエルの前に、3人のカンフーの達人が現れる。彼らと出会ったことが転機となり、ラファエルはブラック・サバスの音楽やカンフーに熱狂。そして、さらに山奥の修道院でカンフーを扱う僧侶たちに遭遇し、即座に弟子入りを申し込み、彼の人生が大きく変わっていくことになる。制限された世界で自分らしさを見出していくラファエルの姿は、悩みを抱えて生きる現代人の心を大きく揺さぶるだろう。

公開日: 10月4日(金)
監督: Rainer Sarnet
出演: Ursel Tilk (ウルセル・ティルク)、Ester Kuntu (エステル・クントゥ)、Kaarel Pogga (カレル・ポガ)
HP: estonia-kungfumaster

『ロール・ザ・ドラム!』

©2018 POINT PROD / RTS / TELECLUB

1970年、スイス・ヴァレー州の小さな村モンシュ。ここで実際に起きた出来事をベースに、伝統と革新がぶつかり合う地元のブラスバンドの対立を、ユーモアとウィットに満ちたタッチで描く。本作の主人公は、ワイン醸造家のアロイス。地元で活動するブラスバンドの指揮者として、村で開かれる音楽祭に参加するため日々練習に励んでいる。しかし、アイロスの方針に納得のいかない楽団のメンバーがプロの音楽家を呼び、新たな楽団を発足。この事件が、やがて村を巻き込む大騒動へと発展していく。劇中の音楽は、これまでスイス映画賞で3度最優秀音楽賞に輝いた Nicolas Rabeus (ニコラ・ラベウス) が担当。オリジナル楽曲に加え、伝統的なブラスバンドの楽曲を巧みにアレンジし、本作の世界観に彩りを添える。また、ワインの名産地であるヴァレー州の美しい自然と、参政権を求めて闘う女性たちが着こなす70年代のスイスのファッションも、本作の魅力として楽しんでほしい。

公開日: 10月4日(金)
監督: François-Christophe Marzal (フランソワ=クリストフ・マルザール)
出演: Pierre Mifsud (ピエール・ミフスッド)、Pascal Demolon (パスカル・ドゥモロン)、Sabine Timoteo (ザビーネ・ティモテオ)
HP: culturallife.co.jp/roll-the-drum

『柔らかい殻』

©MCMXC National Film Trustee Company Limited All Rights Reserved

1990年にイギリスの鬼才 Philip Lidley (フィリップ・リドリー) 監督が放った初長編監督作品が、監督監修のもとリマスタリングされ、デジタルリマスター版で蘇る。Philip Lidley は、本作が高く評価されたのち『聖なる狂気』『ハートレス』をリリースし、劇作家・画家・小説家としても活躍。本作では、幼い少年を通して世界の恐怖と不思議を写し、悪魔のような子供時代を表現した。主人公は、気弱な父と厳しい母と3人で暮らすやんちゃな少年・セス。とあるいたずらをきっかけに友人のイーブンが亡くなり、セスの父親に容疑がかけられてしまう。巻き起こる悲劇の連鎖が絵画のような美しい映像で届けられ、観る者に強烈なイメージを焼き付ける。また、俳優は『ロード・オブ・ザ・リング』三部作で話題を呼んだ Viggo Mortensen (ヴィゴ・モーテンセン)、『アバウト・タイム 愛おしい時間について』『gifted ギフテッド』といった話題作に出演した Lindsay Duncan (リンジー・ダンカン) が登場。現在では名優として知られる彼らのキャリア初期の演技にも注目したい。

公開日: 10月4日(金)
監督: Philip Lidley
出演: Viggo Mortensen、Lindsay Duncan、Jeremy Cooper (ジェレミー・クーパー)
HP: yawarakaikara2024.jp

『私は憎まない』

©Filmoption

平和と人間の尊厳を追求するガザ出身医師 Izzeldin Abuelaish (イゼルディン・アブラエーシュ) 博士に密着したドキュメンタリー作品。アブラエーシュ博士はガザ地区の貧困地域に生まれ、パレスチナ人としてイスラエルにある病院の産婦人科で働いていた。イスラエル人、パレスチナ人どちらの赤ちゃんの誕生にも携わり、病院では命が平等であるように、外の世界でも人々は平等であると考えている。しかし2009年、イスラエル軍の侵攻により彼の3人の娘と姪が殺されてしまう。だがアブラエーシュ博士は、復讐心や憎しみを向けるのではなく、赦しと和解の意志を示し続けた。現在はパレスチナ侵攻、ハマスによるイスラエルの攻撃が勃発するガザ地区。彼の信念に向き合うべく Tal Barda (タル・バルダ) 監督はカメラを回した。戦争の残酷さと人間の尊厳を伝える本作は、文部科学省選定作品にも選ばれている。世界中の人々を感動させたアブラエーシュ博士の想いが、1人でも多くの人々に届くと嬉しい。

公開日: 10月4日(金)
監督: Tal Barda (タル・バルダ)
出演: Izzeldin Abuelaish (イゼルディン・アブラエーシュ)
HP: unitedpeople.jp/ishall

『Cloud クラウド』

©2024 「Cloud」 製作委員会

インターネットの世界で広がった憎悪が日常を脅かす様子を描くサスペンススリラー。メガホンを取ったのは、『スパイの妻』で第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞し、今年はセルフリメイク作品『蛇の道』を発表するなど、目覚ましい活躍を見せている黒沢清監督。現代社会ならではのテーマで、見えない悪意と隣り合わせの恐怖を写し出した。物語の主人公は、転売ヤーとして真面目に働く吉井。世間から忌み嫌われる職業に就く彼は、知らず知らずのうちに憎悪の粒をばら撒き、ネット社会の闇を吸って成長していた。誹謗中傷やフェイクニュースといった悪意のスパイラルが発生し、大きな集団へと姿を変える。そしてその集団狂気はインターネットの世界を飛び越え、吉井の日常を破壊することになる。日本映画界を牽引する菅田将暉を吉井役に、彼の恋人・秋子役には古川琴音、吉井の先輩・村岡役には窪田正孝をそれぞれ抜擢し、冷徹なサスペンスと激しいガンアクションが繰り広げられる。

公開日: 9月27日(金)
監督: 黒沢清
出演: 菅田将暉、古川琴音、奥平大兼
HP: cloud-movie.com

『憐れみの3章』

©2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『哀れなるものたち』の Yorgos Lanthimos (ヨルゴス・ランティモス) 監督と Emma Stone (エマ・ストーン) が3度目のタッグを組み、新たな作品をリリース。また Emma Stone だけでなく、『哀れなるものたち』 から Willem Dafoe (ウィレム・デフォー) と Margaret Qualley (マーガレット・クアリー) が登場し、さらに『パワー・オブ・ザ・ドッグ』で知られる実力派俳優の Jesse Plemons (ジェシー・プレモンス)、同監督作品『女王陛下のお気に入り』に出演した Joe Alwyn (ジョー・アルウィン) など、豪華俳優が顔を揃える。本作は、愛と支配を巡る3つの物語をおさめたアンソロジー。選択肢を取り上げられ、自分の人生を取り戻そうと奮闘する男、海難事故から帰還するも別人のようになってしまった妻を恐れる警官、奇跡的な能力を持つ特別な人物を懸命に探す女という、奇想天外なストーリーを描く。ダークかつスタイリッシュな雰囲気を纏った物語にユーモラスを交え、観る者を未知の興奮へと誘う。

公開日: 9月27日(金)
監督: Yorgos Lanthimos
出演: Emma Stone、Jesse Plemons、Willem Dafoe
HP: searchlightpictures.jp/movies/kindsofkindness

『Viva Niki タロット・ガーデンへの道』

©2024 Niki Film Project All Rights Reserved. ©撮影 松本路子

これまで数多くの女性アーティストの写真を手掛けてきた日本人写真家、エッセイストの松本路子が、20世紀を代表する造形作家 Niki de Saint Phalle (ニキ・ド・サンファル) に迫るドキュメンタリー。1930年にフランスにて生まれ、女性として生まれた苦悩を経てカラフルで解放的な作品を発表。代表的な女性像「ナナ」シリーズや、集大成ともいえる彫刻庭園「タロット・ガーデン」を制作した。本作は、世界各地でアーティスト・ポートレートを撮影し、1981年から10年以上ニキの写真を撮影してきた松本がニキとの作品にもう一度向き合い、彼女の軌跡を辿っていく。イタリア・トスカーナにある「タロット・ガーデン」を再訪し、ヨーロッパ各地、アメリカ、 日本国内でニキ作品を松本自ら撮影して回った。さらにゆかりのある8人のインタビューに加え、ニキの家族を撮影、監督によるモノローグなどが含まれている。2人の女性アーティストが丁寧な交流を重ね、親しみのこもった視点でニキの作品を深く掘り下げる。

公開日: 9月25日(水)
監督・撮影・脚本: 松本路子
出演: Camille Morineau (カミーユ・モリノー)、Roger Nellens (ロジェ・ネレンヌ)、Marina Karella (マリナ・カレラ)
HP: nikifilm-project.com

『西湖畔(せいこはん)に生きる』

©Hangzhou Enlightenment Films Co., Ltd.

釈迦の十大弟子のひとり・目連が地獄に堕ちた母親を救う物語「目連救母」をヒントに、現代的な解釈で書き上げたオリジナル・ストーリー。本作の舞台となるのは、最高峰の中国茶・龍井茶の生産地で知られる西湖。茶畑で茶摘みの仕事をしていた母・タイホアが居場所を奪われ、違法ビジネスの地獄に堕ちてしまう。息子であるムーリエンは、母を救うことができるのか。監督は、長編2作目となる中国出身の Gu Xiaogang (グー・シャオガン)。キャストは、注目の人気俳優の Wu Lei (ウー・レイ) と Jiang Qinqin (ジアン・チンチン) が共演し、Jiang Qinqin は本作にてアジア・フィルム・アワード最優秀主演女優を受賞した。また、音楽には『花様年華』など Wong Kar Wai (ウォン・カーウァイ) 監督とコラボした実績を持つ作曲家・梅林茂を招き、映像美・音響美を追求。一流の俳優陣、スタッフ陣が集結した至極の一本を、ぜひ体感してほしい。

公開日: 9月27日(金)
監督: Gu Xiaogang
出演: Wu Lei、Jiang Qinqin、Chen Jianbin (チェン・ジエンビン)
HP: moviola.jp/seikohan

『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』

©2023 KGB Films JG Ltd

自身の名を冠したブランド John Galliano (ジョン・ガリアーノ) をはじめ、名だたるビッグメゾンに抜擢、現在では Maison Margiela (メゾン マルジェラ) のクリエイティブ・ディレクターを務める世界的デザイナー John Galliano。「ファッション界の至宝」と称えられた彼だったが、その人生は輝かしい側面だけではなかった。2011年、反ユダヤ主義的な暴言を吐く動画が拡散され、有罪判決とブランドからの解雇を受けた。目が回るような仕事量の中で蓄積された心の深い闇が今、本人の口から暴かれる。さらに、作中には Anna Wintour (アナ・ウィンター)、トップモデルの Kate Moss (ケイト・モス) や Naomi Campbell (ナオミ・キャンベル) なども登場し、華やかなファッション界の裏側について赤裸々に語る様子が収められている。天才デザイナーの栄光、そして墜落に迫るドキュメンタリー作品。

公開日: 9月20日(金)
監督: Kevin Macdonald (ケヴィン・マクドナルド)
出演: John Galliano (ジョン・ガリアーノ)、Kate Moss (ケイト・モス)、Naomi Campbell (ナオミ・キャンベル)、Anna Wintour (アナ・ウィンター)
HP: jg-movie.com

『本日公休』

©2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

台湾の新進気鋭監督 Fu Tien-Yu (フー・ティエンユー) が、自身の母をモデルに描き、実家の理髪店で撮影も行った心温まるヒューマンドラマ。台中の下町で40年に渡り理髪店を営む店主のアールイ。彼女はいつものように店に立ち、お馴染みのシャボンの香りが漂う店内で小気味良いハサミの音を響かせている。ある日アールイは店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理容道具を手に、古びた愛車で出張散髪に向かう。店では母の不在を案じる子どもたちが集まる一方、アールイは道中で思わぬ出会いが起こっていた。いつもと変わらぬ日常のような、少し変わったとある1日を全編やわらかな雰囲気で写し出す。家族間の関係や老いを受け入れる感情など、繊細ながらもリアルな視点が現代的だ。主演のアールイを演じたのは、『客途秋恨』で知られる名優 siao-Fen (ルー・シャオフェン)。本作で24年ぶりにスクリーン復帰を果たし、色褪せることのない演技力を発揮している。

公開日: 9月20日(金)
監督: Fu Tien-Yu (フー・ティエンユー)
出演: Hsiao-Fen (ルー・シャオフェン)、Meng-Po Fu (フー・モンボー)、Annie Chen (アニー・チェン)
HP: zaziefilms.com/dayoff

『パリのちいさなオーケストラ』

© Easy Tiger / Estello Films / France 2 Cinema

現在でも精力的に活動の場を広げているディヴェルティメント・オーケストラを立ち上げた女性の実話をもとに制作したヒューマンドラマ。本作では、パリの名門音楽院へ編入したアルジェリア系の女性が指揮者になる夢を叶えるため奮闘する姿を描く。パリ近郊の音楽院でヴィオラを学んでいたザイアは、パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入が認められるが、クラスには指揮者を目指すエリートばかり。超高級楽器を持つ名家の生徒たちから厳しい扱いを受ける中、世界的指揮者に気に入られ指導を受けることになったザイア。世界で女性指揮者はわずか6%という狭き門への道がわずかに拓き始めるのだった。本作のモデルとなった実際の人物ザウア・ジウアニは、貧富の垣根を越え、上流階級出身の生徒と移民の多いパリ近郊の地元の友人をまとめたオーケストラを結成。フランス国内だけでなく、世界中の音楽家が注目する感動の実話が遂に映像化される。また、本作の主要キャスト以外には現役音楽家をキャストに抜擢した圧巻の演奏シーンにも期待。

公開日: 9月20日(金)
監督: Marie-Castille Mention-Schaar (マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール)
出演: Oulaya Amamra (ウーヤラ・アマムラ)、Lina El Arabi (リナ・エル・アラビ)、Niels Srestrup (ニエル・アレストリュプ)
HP: parisorchemovie.com

『ぼくのお日さま』

©2024「ぼくのお日さま」製作委員会/COMME DES CINEMAS

舞台となるのは、雪の降り積もる田舎町。テレビドラマ「天狗の台所」で知られる越山敬達が小学六年生のタクヤを、本作で演技デビューを果たす中西希亜良がさくらを演じ、夢を諦めた荒川の役を池松壮亮が務める。吃音のあるタクヤはアイスホッケーが苦手で、練習中に怪我をしたある日、フィギュアスケートの練習をする少女・さくらに出会う。氷の上を滑るさくらに一目惚れをしたタクヤだったが、一方さくらはフィギュアスケートのコーチである荒川の存在が気になっている。そして、元フィギュアスケートの選手であり、恋人の住む街に引っ越してきた荒川は、タクヤの恋心に気づき、練習の面倒を見始める。3人の関係が深まるにつれて、街の雪が解けていく。美しい銀世界と主題歌であるハンバートハンバートの「ぼくのお日さま」がマッチし、登場人物たちを柔らかく包み込むような瑞々しい映画が完成した。2024年・第77回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション部門へ日本から唯一出品され、現在は世界中が注目する日本の若き才能・奥山大史監督の最新作は見逃せない。

公開日: 9月13日(金)
監督: 奥山大史
出演: 越山敬達、中西希亜良、池松壮亮
HP: bokunoohisama.com

『ヒューマン・ポジション』

©Vesterhavet 2022

ノルウェーのフィヨルドに囲まれた美しい港町・オーレスン。「ノルウェーで最も美しい街」と称される監督の故郷で、写真集をめくるように優しく美しい物語が誕生した。主人公のアスタは病気を患っていたが、地元新聞記者の仕事に復帰。再スタートを切った彼女を家で癒してくれるのは一匹の猫と、彼女のライヴ。古い映画を観たりボードゲームをしたり、穏やかな毎日はアスタにとって何より大切なひとときだった。とある日、ライヴが見つけた難民の強制送還の記事がきっかけに、アスタの日常も動き始める。本作は大胆な演出を排除し、アスタとライヴの生活を静かに見守るように展開される。何かを声高に叫ぶわけではなく心拍数を安定させながら、心乱さず高揚へと導いていく。青くてノスタルジックな雰囲気漂うノルウェーの夏、そして白夜の季節。うっとりするような静けさの中、夢のような時間を丁寧な筆致で切り取った。人生のちいさな一歩を踏み出す、優しさに満ちたスローシネマ。

公開日: 9月14日(土)
監督: Anders Emblem (アンダース・エンブレム)
出演: Amalie Ibsen Jensen (アマリエ・イプセン・ジェンセン)、Maria Agwumaro (マリア・アグマロ)、Lars Halvor Andreassen (ラース・ハルヴォー・アンドレアセン)
HP: position.crepuscule-films.com

『ナミビアの砂漠』

©2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

初監督作品『あみこ』では、若干19歳にして第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待され、日本だけでなく世界の映画界に名を轟かせた山中瑶子監督の最新作。そして主演には、現在話題沸騰中の河合優実を抜擢。そして彼女の恋人を演じるのは金子大地と寛一郎で、新進気鋭の俳優らが脇を固める。山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝えたという河合の夢が実現し、若き才能溢れる作品が誕生した。主人公は、やり場のない感情を抱えながら過ごす21歳のカナ。同棲をしている恋人のホンダは献身的だがどこか退屈で、刺激的な恋愛を求めてクリエイターのハヤシに惹かれ始める。やがてその環境の変化に追い詰めれられ、もがき、苦しみ、自分の居場所を見出していく。現代を生きる我々の抱える悩みを圧倒的エネルギーで描き切った青春ドラマが、先の見えない世の中に新しい風を吹き込む。

公開日: 9月6日(金)
監督: 山中瑶子
出演: 河合優実、金子大地、寛一郎
HP: namibia-movie

『チャイコフスキーの妻』

©HYPE FILM – KINOPRIME – LOGICAL PICTURES – CHARADES PRODUCTIONS – BORD CADRE FILMS – ARTE FRANCE CINEMA

「白鳥の湖」「くるみ割り人形」など、数々の名曲を生み出した天才作曲家ピョートル・チャイコフスキー。本作は女性の権利が著しく制限されていた19世紀後半のロシアを舞台に、これまでロシアではタブー視されていた真実を写し出す。同性愛者だという噂の絶えなかったチャイコフスキーは、世間体を守るため彼の熱狂的ファンであったアントニーと結婚。女性への恋愛感情を抱いたことのない彼との結婚生活は瞬く間に破綻し、アントニーは孤独の闇に堕ちていく。「世紀の悪妻」と謳われたアントニーの残酷な結末とは。本作のメガホンをとったのは、舞台演出家として経験を積んだのち、現在はロシアからドイツに移住し主に映画制作を行っている Kirill Serebrennikov (キリル・セレブレンニコフ)。『インフル病みのペトロフ家』などで知られ、本作は第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて上映された。鬼才演出家、そして映画監督の顔も持つ彼が大胆な解釈で、歴史に埋もれたアントニーナの実像を暴く。観る者の心をかき乱す、ラストに放たれる狂乱のダンスシーンもお見逃しなく。

公開日: 9月6日(金)
監督: Kirill Serebrennikov (キリル・セレブレンニコフ)
出演: Alyona Mikhailova (アリョーナ・ミハイロワ)、Odin Lund Biron (オーディン・ランド・ビロン)、Filipp Avdeev (フィリップ・アブデーエフ)
HP: mimosafilms.com/tchaikovsky

『箱男』

©2024 The Box Man Film Partners

生前はノーベル文学賞に最も近いと言われた小説家、安部公房の生誕100年を記念して同名長編小説を映画化。常にジャパン・インディ・シネマの最前線を走り、数多くのヒット作を生み出してきた石井岳龍監督が、安部公房本人から直接映像化を託されたことから本作が誕生した。ストーリーは、謎に包まれた存在「箱男」を巡る物語。段ボールをすっぽりと被り、町中を徘徊しながら一方的に世界を覗き見る「箱男」と呼ばれる者がいた。そして、カメラマンである「わたし」は偶然見かけた「箱男」に心を奪われ、自らも段ボールを被り「箱男」としての人生を歩み始める。すると、存在を乗っ取ろうとする偽りの「箱男」や、段ボールを被り完全犯罪に利用する軍医、「わたし」を誘惑する謎の女性が出現。犯罪を目論む者たちと「箱男」の行方はどうなっていくのか。安部公房のダークな世界観をビジュアルに落とし込み、緊張感に包まれた戦いが繰り広げられる。

公開日: 8月23日(金)
監督: 石井岳龍
出演: 永瀬正敏 浅野忠信 白本彩奈
HP: happinet-phantom.com/hakootoko

『Chime』

©Roadstead

柴咲コウを主演に迎えたセルフリメイク『蛇の道』や『CURE キュア』で知られる黒沢清監督のオリジナル中編作品。メディア配信プラットフォーム Roasted のオリジナル作品第一弾として制作された本作が、東京のミニシアター Stranger (ストレンジャー) 配給で劇場上映される。主人公は、料理教室の講師として働く松岡卓司。とある料理レッスンで生徒の1人である田代が、「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と奇妙な発言をする。そして別の日には「僕の脳の半分は差し替えられて、機械なんです」と言い出し、驚くべき行動を起こす。料理教室というありふれた日常で生まれる、後を引くサスペンス・ホラー。『サマーフィルムにのって』など、舞台や映画、ドラマで活躍する小日向星一が田代を演じ、ストーリーを不穏な空気へと包み込む。

公開日: 8月2日(金)
監督: 黒沢清
出演: 吉岡睦雄、小日向星一、天野はな
HP: roadstead.io/chime

『マミー

©︎2024digTV

1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入し、67人がヒ素中毒を発症、小学生を含む4人が死亡した事件「和歌山毒物カレー事件」を題材としたドキュメンタリー作品。事件発生から四半世紀が経ち、事件を多角的に検証していく内容となっている。事件が起きた年の12月、和歌山県警はヒ素混入による殺人と殺人未遂容疑で林眞須美を逮捕。当時から彼女は容疑を否認しており、2009年に最高裁で死刑が確定した後の現在でも獄中から無実を訴え続けている。本作では目撃証言、科学鑑定の反証を試み、保険金詐欺事件との関係を紐解く。ヒ素を使った保険金詐欺の実態を眞須美の夫である健治が語り、確定死刑囚として生きてきた彼女の息子が胸の内を吐露。捜査や裁判、事件の報道に関わった人々のもとを訪ね歩き、事件の輪郭を描いていくが、真実には辿り着けるのだろうか。事件当時に過熱化したマスコミ取材の実態や人間の在り方、家族との交流など、あらゆる観点からその事実を探ると合わせ鏡のように観る者の業や欲望も映し出すようだ。日本を震撼させた事件から社会の歪みまで暴露する、衝撃のドキュメンタリー。

公開日: 8月3日(土)
監督: 二村真弘
HP: mommy-movie.jp

『ルックバック』

©︎藤本タツキ/集英社 (C)2024「ルックバック」製作委員会

『チェンソーマン』などで知られる漫画家・藤本タツキが、2021年に「少年ジャンプ+」にてリリースした同名読み切り漫画の劇場アニメ化が決定。本作は、著名なクリエイターをはじめ、数多くの漫画ファンから反響を呼び起こし、「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にも輝いたことで知られている。そんなファン待望である作品の監督・脚本・キャラクターデザインを務めるのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』をはじめ数多くの劇場大作に主要スタッフとして携わってきた押山清高。そして、主人公の藤野に声を吹き込むのは、ドラマ「不適切にもほどがある!」や映画『あんのこと』で現在最も注目を浴びる俳優・河合優実で、もう1人の主人公・京本役には『あつい胸騒ぎ』『カムイのうた』で目覚ましい活躍を見せる吉田美月喜を抜擢。クラスからも称賛され、漫画の腕前に自信を持つ小学4年生の藤野と、一方で引きこもりで学校に来られない同い年の京本。正反対な2人の少女が、漫画へのひたむきな思いで繋がり、ある日すべてを転覆させるような事件が起こる。共鳴し合う少女たちの行先を、ぜひ見届けてみて。

公開日: 6月28日(金)
監督: 押山清高
出演: 河合優実、吉田美月喜
HP: lookback-anime.com

『関心領域』

©︎Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.

イギリスで映画、CM、ミュージックビデオなどを手がけるフィルムメーカー Jonathan Glazer (ジョナサン・グレイザー) が、イギリス人作家 Martin Louis Amis (マーティン・エイミス) の小説をもとに制作。2023年第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリ、第96回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した。1945年、アウシュビッツ収容所でユダヤ人が強制労働、ホロコーストを受ける隣で、幸せに暮らす家族を描いた物語。子どもや夫婦の仲睦まじい生活が映し出される中、煙突から立ち上る煙、かすかに聞こえる会話、そして不穏な気配で壁の向こう側にある収容所の存在を秀逸に表現した。壁を隔てた2つの世界に違いはあるのだろうか。平和に暮らす家族と、そうでない者にはどのような差があるのか。本作は、観る者に問いかける。スクリーンの中の世界と我々の違いとは。世界を震撼させた作品が、ついに日本上陸を果たす。

公開日: 5月24日(金)
監督: Jonathan Glazer (ジョナサン・グレイザー)
出演: Christian Friedel (クリスティアン・フリーデル)、Sandra Huller (サンドラ・ヒュラー)
HP: happinet-phantom.com/thezoneofinterest