今週のTFP的おすすめ映画
上映中のTFP的
おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
『Eno』

音楽、そしてアートにおいて常に革新的なクリエイションを続けてきた伝説的アーティスト Brian Eno (ブライアン・イーノ)。ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、アクティベスト、そのすべての分野で時代の先を走り続けている彼の真髄に迫る、完全ジェネラティヴ・ドキュメンタリー映画『Eno』がついに日本上陸を果たす。本作では、監督を務める Gary Hustwit (ギャリー・ハストウィット) が、アーティストの Brendan Dawes (ブレンダン・ドーズ) と共同開発した自動生成システム「Brain One (ブライアン・イーノのアナグラム)」を導入。制作過程では、Brian Eno への長時間のインタビューと500時間を超える貴重なアーカイブ映像を組み合わせることで、観るたびに構成や内容が変化する映画の常識を覆す全く新しい体験を実現させた。Brian Eno は、イギリスのバンド「ロキシー・ミュージック」の創設メンバーの1人として世界的注目を集め、プロデューサーとしては David Bowie (デヴィッド・ボウイ)、Talking Heads (トーキング・ヘッズ) といった名だたるアーティストのアルバムを手がけてきた。アンビエント・サウンドの第一人者であることや、「Windows 95」の起動音を制作するなど、その伝説は語り知れない。彼の内面へ迫り、映画の常識を覆すような体験へと導く本作をお見逃しなく。
公開日: 7月11日(金)
監督: Gary Hustwit (ギャリー・ハストウィット)
出演: Brian Eno
HP: enofilm.jp
『顔を捨てた男』

©2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
映画界の最前線を駆け抜けるスタジオ A24 が、気鋭の Aaron Schimberg (アーロン・シンバーグ) とタッグを組んだ作品をリリース。監督・脚本を務め描いたのは、顔に極端な変形を持つ、俳優志望エドワードの物語。彼は隣人であり劇作家を目指すイングリッドに惹かれながらも、自分の気持ちを閉ざして生きていた。ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の「新しい顔」を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」に似たカリスマ性のある男オズワルドだった。その出会いによって、エドワードの運命は大きく変わっていく。監督は、自身が口唇口蓋裂の矯正治療を受けた経験をインスピレーション源に、外見やアイデンティティをテーマとした独創的な世界観を表現。今回は「顔が変わればなりたい自分になれるのか?」という問い、SNS 社会によって加速していくルッキズムを痛烈に風刺。ブラックユーモアの先にあるのは、ありのままを受け入れるエドワードか、はたまた「顔」に苦しめられるエドワードか。現代を生きる我々の心に深く突き刺さる、究極の不条理劇。
公開日: 7月11日(金)
監督: Aaron Schimberg
出演: Sebastian Stan (セバスチャン・スタン)、Renate Reinsve (レナーテ・レインスベ)、Johnny Keating (ジョン・キーティング)
HP: different-man
『ストレンジ・ダーリン』

©2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.
「ホラーの帝王」という異名を持つ Stephen King (スティーヴン・キング) をはじめ、数々の小説家、映画監督から絶賛された新感覚ホラー映画。ストーリーは全6章で構成され、とある男女の出会いをきっかけに展開される。シリアルキラーによる事件の恐怖が各地で広がるなか、彼らはモーテルで一夜を過ごす。そしてたった一夜の過ちが、凶悪殺人犯のスパイラルに陥ることになる……。本作は時系列や場所を巧みに交差させ、随所に仕掛けられた罠が観客を予測不可能な展開へと導いていく。世界的ヒットを誇るアメリカのテレビドラマシリーズ『ハンガー・ゲーム』の監督である Francis Lawrence (フランシス・ローレンス) は「一瞬の名作は、秘密が台無しになる前に観る」とコメントを残し、いち早く本作を観ることを勧めている。ぜひスクリーンに足を運んで、計算し尽くされたストーリーテリングに惑わされてみては。
公開日: 7月11日(金)
監督: JT Mollner (J・T・モルナー)
出演: Willa Fitzgerald (ウィラ・フィッツジェラルド)、Kyle Gallner (カイル・ガルナー)、Madisen Beaty (マディセン・ベイティ)
HP: kadokawa/strangedarling
『夏の砂の上』

©︎2025映画「夏の砂の上」製作委員会
オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを手がけた待望作がついに上映。監督・脚本は次世代の日本映画界を担うだろうと期待が寄せられている玉田真也。監督自身の劇団「玉田企画」でも2022年に上演し、思い入れのある作品が映画として生まれ変わる。全編を通して撮影が行われたのは、長崎。雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏で、愛を見失った主人公・治を描く。彼は幼い息子を亡くした喪失感から、幽霊のように街を徘徊する日々を送っていた。働いていた造船所が潰れ、妻の恵子とも別居中。そんな治のもとにある日、妹の阿佐子が17歳の娘を連れて訪ねてくる。そして突然、治と17歳の優子との同居生活が始まることになる。治の妻・恵子役には松たか子、妹・阿佐子役には満島ひかり、姪・優子役には髙石あかりなど、豪華キャストが作品を彩る。愛を失った者、愛を見限った者、愛を知らない者……それぞれの痛みが観る者の胸を鋭く突き刺す、極上の人間ドラマを堪能してほしい。
公開日: 7月4日(金)
監督: 玉田真也
出演: オダギリジョー、髙石あかり、松たか子
HP: natsunosunanoue-movie
『ハイポ』

©︎2022 HYPOCHONDRIAC LLC. ALL RIGHTS RESERVED./Cinemago
気鋭のクィア監督 Addison Heimann (アディソン・ハイマン) が、自身が経験した病気不安症をインスピレーション源に制作したクィア・スリラー。実話をもとに、孤独を知る誰もが共感し得るストーリーをあえてスリラータッチで描き出した。主人公のウィルは、幼い頃、双極性障害を患う母親に無理心中を図られた過去を持つ。成人し、ゲイである自分を受け入れてくれる恋人と幸せな生活を送っていたある日、突然母親から「恋人を信用するな」というメッセージが届く。次第にウィルの精神は不安定になり、徐々に妄想に囚われていく……。LGBTQ+ の悩みは社会でも広く関心を持たれ、セクシャリティをテーマにした作品は数多く制作されている。そんな中でも本作は、ゲイという属性を持つ主人公を「個人」の物語として写し出し、クィア映画として新境地に到達。世界有数の国際映画祭でリリースされるやいなや「クィア映画であり、クィア映画でない」と革新的な評価を受けてきた。他人事にはできないウィルの背負う悩みが、狂気となって心を蝕む姿に目が離せない。
公開日: 7月4日(金)
監督: Addison Heimann
出演: Zach Villa (ザック・ビーヤ)、Devon Graye (デボン・グレイ)、Madeline Zima (マデリン・ジーマ)
HP: cine-mago.com/hypo
『ハルビン』

©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
1909年10月に中国・ハルビン駅で伊藤博文が暗殺された事件の裏側を、壮大なスケールで映し出した極限のサスペンス・エンターテイメント。1908年、現在の北朝鮮に位置するシナ山で、大韓議軍は劣勢にも関わらず日本軍に勝利。大韓議軍を率いるアン・ジュングンは、戦争捕虜たちを解放すると主張するが、これを機に大韓義軍の中で彼の信用が疑われてしまう。やがて、伊藤博文がハルビンを訪ねるという情報を得たアン・ジュングンは、仲間たちとともに抹殺を試みる。だが、彼らの動きを日本軍は察知。祖国独立のために闘う人々と、それを阻止しようとする人々による激しい攻防が繰り広げられる。アン・ジュングンを演じるのは、大ヒットドラマ「愛の不時着」でヒーローを務めた Hyun Bin (ヒョンビン)。また伊藤博文を日本人俳優リリー・フランキーが務めるなど、実力派が集結した。アジアを震撼させた大事件を臨場感満載に届ける本作を、ぜひスクリーンで体感してほしい。
公開日: 7月4日(金)
監督: Woo Min-ho (ウ・ミンホ)
出演: Hyun Bin、Park Jeong-Min (パク・ジョンミン)、Jo Woo-jin (チョ・ウジン)
HP: harbin-movie.jp
『キャンドルスティック』

年号が平成から令和に変わった2019年5月某日。マネーゲームに取り憑かれた天才ハッカーたちが大金を得ようと奔走する様子を描いた、日台共同によるマネーサスペンス。天才ハッカー、野原を演じるのは阿部寛。彼の計画をサポートする FX トレーダー杏子を菜々緒、台湾からは台湾からは『瀑布』のアリッサ・チア、『本日公休』のリン・ボーホンが出演。出自や身分が異なる10人の男女が挑むのは、金融機関の番人 AI を騙すこと。思いも寄らぬ黒幕のもと、さまざまな思惑が交錯し、手に汗握る駆け引きが展開される。映画タイトルのキャンドルスティックとは、金融商品の価格変動を視覚的に表した価格チャートの形式のこと。騙し騙され、金が回る世界の縮図で繰り広げられるコンゲームには、スリルと策略が渦巻く。ワールドワイドな規模で披露される予測不可能なストーリーに誰もが翻弄され、戦慄が走り、驚きの結末に酔いしれるはず。
公開日: 7月4日(金)
監督: 米倉強太
出演: 阿部寛、菜々緒、Sahel Rosa (サヘル・ローズ)
HP: candlestick.jp
『フォーチュンクッキー』

©2023 Fremont The Movie LLC
イラン系英国人監督 Babak Jalali (ババク・ジャラリ) が、Jim Jarmusch (ジム・ジャームッシュ) 監督作品をインスピレーション源に製作した作品。『Los Angeles Times』誌では「アメリカのインディペンデント映画を刷新した」とコメントされ、世界で話題を集めている。本作の主人公は、カリフォルニア州のフォーチュンクッキー工場で働く女性・ドニヤ。アパートと工場を往復するだけの単調な生活を送る彼女は、ある日、クッキーのメッセージを書く仕事を任される。一つだけ自分の電話番号を書いたものをこっそり紛れ込ませると、とある男性から「会いたい」とメッセージが届いて……。フォーチュンクッキーをきっかけに、孤独な女性が一歩踏み出す姿をユーモアたっぷりに描いた本作。オフビートな世界観がモノクロームの映像とマッチし、タイムレスな魅力を放つ。ドニヤ役を演じた Anaita Wali Zada (アナイタ・ワリ・ザダ) は、映画初出演にして初主演に抜擢。また大人気ドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」で一躍有名になり、今年も新たな出演作に期待が高まっている Jeremy Allen White (ジェレミー・アレン・ホワイト) がキーパーソンとして物語に華を添える。たった一言のメッセージが新たな運命を切り開いていくストーリーが、未来へのささやかな希望を照らす。
公開日: 6月27日(金)
監督: Babak Jalali
出演: Anaita Wali Zada、Jeremy Allen White、Gregg Turkington (グレッグ・ターキントン)
HP: mimosafilms.com/fortunecookie
『カーテンコールの灯』

©2024, Ghostlight LLC.
壊れた家族の再生、深く傷ついた心の癒し、現代では希薄になっている温かい交流など、普遍にして切実なテーマを、斬新なアイデアと心温まるユーモアで包み込んだ珠玉のヒューマンドラマ。物語の中心は、ある悲しい出来事を経験し、離れ離れになりかけている親子3人家族。建設作業員として働く父親のダンは、とある悲劇から家族とすれ違いの日々を送っていた。そんな時、とある出会いからアマチュア劇団の「ロミオとジュリエット」に参加することに。個性豊かな団員に囲まれ、自分の居場所を見出していくダン。すると突然ロミオ役に抜擢され、自身の過去の傷と重なる役に戸惑いながら、家族や仲間の思いを乗せた舞台がついに幕を開く。共同で監督を務めた Kelly O’Sullivan (ケリー・オサリバン) と Alex Thompson (アレックス・トンプソン) は、とある家族が希望のありかを探し求めていく軌跡を、誰もが知る「ロミオとジュリエット」に重ね合わせ、現実と虚構、実生活と演劇をクロスオーバーさせた。過去にもタッグを組んだ2人の持ち味がパワーアップされた、笑いと涙を誘う愛おしい一作をスクリーンで見届けて。
公開日: 6月27日(金)
監督: Kelly O’Sullivan、Alex Thompson
出演: Keith Kupferer (キース・カプフェラー)、Katherine Mallen Kupferer (キャサリン・マレン・カプフェラー)、Tara Mallen (タラ・マレン)
HP: amg-e.co.jp/curtaincall
『灰となっても』

©rather be ashes than dust limited
2019年、香港で起きた民主化を求める大規模な抗議運動を記録したドキュメンタリー。2014年に普通選挙の実施を要求して発生した雨傘運動に続き、香港では逃亡犯条例改正案に反対するデモなど、市民と警察の衝突は日を増すごとに激しさを増していった。街中には催涙弾、ゴム弾、火炎瓶の炎などが散乱。Alan Lau (アラン・ラウ) 監督は、その様子を最前線でカメラに収めた。香港の若い世代が持つ勇敢さと恐れを知らない心、一方で香港警察当局の冷酷さと残虐性をリアルに映し出していく。監督は「香港で何が起こったのか、そして香港の今後はどうなるのか知ってもらいたい」と語り、1000時間以上の映像から本作を制作。ジャーナリスト的な視点も持ちながら、ニュース報道のみでは伝えきれない現場の生々しい衝撃を突きつける。本作の原題『寧化飛灰』は、「塵として朽ちるよりも、灰となっても燃え尽きる方がいい」という意味。痛ましいほどに苦しい香港の抗議活動たちの人生が灰となっても、消えることのないように。今では自由に発言することの出来ない香港市民の真実の声と覚悟を込めた一作が、今放たれる。
公開日: 6月28日(土)
監督: Alan Lau
HP: ratherbeashesthandust.com
『メガロポリス』

©2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED
数々の傑作を生み出し、もはや伝説的ともいわれる名匠 Francis Ford Coppola (フランシス・フォード・コッポラ) が、構想に40年を費やした大作をリリース。自身の所有するワイナリーを売却し、私財186億円を投入したという『メガロポリス』は、2024年カンヌ国際映画祭で初披露され、鳴り止まぬスタンディングオベーションが起こり話題騒然となった。本作の背景にあるのは、近未来アメリカをローマ帝国に見立てた SF 世界。時は21世紀、アメリカ共和国の大都市ニューローマでは、富裕層と貧困層の格差が大きな社会問題となっていた。主人公の天才建築家カエサル・カティリナは、誰もが幸せに暮らすことのできる理想郷メガロポリスの開発を推進する。だが、その創造は一筋縄にはいかず、彼は絶体絶命の危機に直面。カエサルの運命の行方はどうなるのか。本作は単なるフィクションにとどまらず、現代の社会問題を色濃く反映。今を生きる我々に、人類の未来の在り方を鋭く問われているようだ。壮大な SF 叙事詩を圧倒的な映像美と、主演の Adam Driver (アダム・ドライバー) 率いる豪華俳優陣でお届け。Francis Ford Coppola の集大成が解き放たれる。
公開日: 6月20日(金)
監督: Francis Ford Coppola
出演: Adam Driver、Giancarlo Esposito (ジャンカルロ・エスポジート)、Nathalie Emmanuel (ナタリー・エマニュエル)
HP: hark3.com/megalopolis
『ルノワール』

©2025「RENOIR」製作委員会+International Partners
『PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミー賞日本代表として選出するなど、世界各国の映画祭でノミネートされた経歴を持つ早川千絵による最新作。バブル絶頂期にあった1980年代のある夏を舞台に、11歳の少女フキが大人の世界を垣間見ながら、人々のさまざまな感情に触れていく物語。フキは夏休むを迎え、得意の想像力を膨らませながら自由気ままな毎日を過ごしていた。一方母は仕事に追われ、父は闘病中。両親の間には、いつしか大きな溝が生まれ、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。子どもながらに見る周囲の大人たちの複雑な世界は、どこか刺激的で滑稽だった。少女があらゆる感情を捉え、少しずつ成長する様子を繊細な眼差しで切り取った本作。現在、期待の演技派俳優として注目されている鈴木唯は、フキが初めて触れていくあらゆる感情を巧みに表現。そして、1986年にデビューしてからあらゆる役柄を演じてきた石田ひかり、日本を代表する俳優の1人であるリリー・フランキー、数々の話題作に出演し、強い存在感放つ河合優実など、実力派たちが脇を固める。不完全な大人と子どもの間で揺れながら成長していく少女をみずみずしく描いた本作を、ぜひスクリーンで体感してほしい。
公開日:6月20日(金)
監督: 早川千絵
出演: 鈴木唯、石田ひかり、中島歩、河合優実、坂東龍汰
HP: happinet-phantom.com/renoir
『突然、君がいなくなって』

©Compass Films,Halibut,Revolver Amsterdam,MP Filmska Produkcija,Eaux Vives Productions,Jour2Fete,The Party Film Sales
北欧の島国・アイスランドの首都レイキャビクで、愛する人を失った女性の喪失感と、秘密を抱える孤独を描いたドラマ作品。美大生のウナには恋人ディッディがいる。だが、彼には遠距離恋愛中の恋人クララがいるため、2人の関係は秘密だった。ある日彼はクララに別れを告げに行くが、道中事故に巻き込まれる。ウナが誰にも真実を話すことができない孤独感、行き場のない気持ちに翻弄されるなか、クララがある思いをウナに打ち明けるのだった。愛する人を失ったことで近づいていく2人の距離。誰もが経験しうる誰もが経験しうる身近な人の不在、集団の中での個の儚く美しい繋がりを、狂おしいほどの緊迫感と繊細さで映し出した。監督は、これまで3つの長編作品で世界中の映画祭に招待され、注目を集めてきた Runar Runarsson (ルーナ・ルーソン)。北欧らしい白夜のひとときや海沿いを照らす幻想的な光、そしてアイルランドを代表する近代建築を16mmフィルムで捉えた。息を呑む映像美と、別れ、もどかしさを抱える主人公の姿が、観る者の心を鋭く貫く作品。
公開日:6月20日(金)
監督: Runar Runarsson
出演: Elin Hall(エリーン・ハットル)、Mikael Kaaber (ミカエル・コーバー)、Katla Njalsdottir(カトラ・ニャルスドッディル)
HP: bitters.co.jp/totsuzen
『親友かよ』

©2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
アジアの A24 と称されるタイの映画会社 GDH 559 が製作を手がけた、みずみずしい青春映画。高校生達が嘘から始まった映画づくりに熱中し、友情、恋、ものづくりへの初期衝動を経験していく様子を繊細に紡ぎ出す。物語に登場するのは、高校三年生たち。転校をしたペーは、隣の席になった人懐っこいジョーと出会うが、彼は不慮の事故で亡くなってしまう。ペーはある日ジョーのエッセイを見つけ、それをもとに短編映画を作ることに。「ジョーは親友だった」と嘘をつくペー、嘘を唯一知るポーケー、映画オタク達など、撮影は次第に学校全体を巻き込んでいく。そして、ジョーの思いもよらない秘密が明らかになる。徐々に壮大になっていく映画づくり奮闘記から一転し、親友の秘密を知った主人公が辿り着いた答えとは。青春のクライマックスを凝縮した本作は、観る者すべてを「2度と戻らないあの頃」へと誘い、ノスタルジーを掻き立てる。タイ発の注目作品であり、Atta Hemwadee (アッター・ヘムワディー) の監督デビュー作をぜひチェックしてみて。
公開日: 6月13日(金)
監督: Atta Hemwadee (アッター・ヘムワディー)
出演: Anthony Buisseret (アンソニー・ブイサレート)、Pisitpol Ekaphongpisit (ピシットポン・エークポンピシット)、Thitiya Jirapornsilp (ティティヤー・ジラポーンシン)
HP: notfriends.jp
『雪解けのあと』

2017年、ネパールの山岳地帯で命を落とした親友をめぐる、喪失と再生の山岳ドキュメンタリー。47日間にわたり遭難していた2人は、1人は救助され、もう1人は発見されるわずか3日前に亡くなった。そして本作を手がけた Lo Yi-Shan (ルオ・イシャン) 監督は、本来ならば彼らと同行するはずだった。19歳で亡くなったチュンは、40日を超す想像しがたい洞窟での野営で、イシャンへの手紙や人生に対する賛歌を数百ページにもわたって書き記していた。その記録は、生き延びたユエと残されたイシャンを苦しめたが、彼らを未来に踏み出す大きなきっかけでもあった。そしてイシャンは、チュンの見た風景と足跡を追うため、ネパールに1人旅立った。事故から7年後に完成した本作は、世界各地の映画祭に放たれるとたちまち深い感動を呼んだ。人を愛すること、大切な人の死を悼むことを赤裸々に綴った本作は、観る者の心を大きく動かし、その感動は深く静かに沁み渡るだろう。
公開日: 6月14日(土)
監督: Lo Yi-Shan (ルオ・イシャン)
HP: yukidokenoato.com
『国宝』

©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
『悪人』、『怒り』に続き吉田修一による小説を映像化してきた李相日監督が、今回は誰もみたことのない禁断の世界「歌舞伎」をテーマにした作品を実写化。本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。美しい顔を持つ喜久雄は、父を抗争で失った後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られる。そこで半二郎の実の息子、俊介に出会う。将来を約束された御曹司の俊介と、彼とは正反対の血筋を受け継ぐ喜久雄。2人はライバルとして互いを高め合うが、多くの出会いと別れによって彼らの運命は大きく変わっていく。主人公・喜久雄を演じるのは、美貌と圧倒的演技力を併せ持つ吉沢亮。そしてそのライバルである俊介には、アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を持つ横浜流星。さらに世界的俳優と名高い渡辺謙も顔を連ね、日本を代表する豪華俳優陣が集結した。美しい伝統芸能の世界の裏にある信頼と裏切り、歓喜と絶望。芸の世界にしがみつき、激動の時代を生き抜く者たちの壮絶な人生が、観る者の魂を震わせる。
公開日: 6月6日(金)
監督: 李相日
出演: 吉沢亮、横浜流星、高畑充希
HP: kokuhou-movie.com
『We Live in Time この時を生きて』

©2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
アカデミー賞®で3部門にノミネートされた『ブルックリン』で知られる John Crowley (ジョン・クローリー) 監督の最新作。限られた時間の尊さと儚さ、そして美しさを思い出させてくれる、愛に満ちた物語。主人公の一流シェフ、アルムートは、余命宣告を受ける。「最高に前向きな時間を過ごす」とパートナーのトビアスに誓い、一瞬一瞬を大切にしながら家族との日々を紡いでいく。さらに残された時間を輝かせるため、アルムートは型破りの挑戦に出る。自由奔放で愛くるしいアルムートを演じたのは、日本でも人気高い女優 Florence Pugh (フローレンス・ピュー)。そして慎重派のトビアスは、過去に2度アカデミー賞®にノミネートされた経歴を持つ Andrew Garfield (アンドリュー・ガーフィールド) が務めた。本作は、心がときめく素晴らしい日や最悪な日、その瞬間を、時間軸をシャッフルしながら描いていく。大切な人との時間は永遠ではなく、かけがえのない時間をどのように生きていくかという問いに対し、愛情表現豊かに応える本作に、背中を押される人は多いはず。
公開日: 6月6日(金)
監督: John Crowley (ジョン・クローリー)
出演: Florence Pugh、Andrew Garfield、Grace Delaney (グレース・デラニー)
HP: wlit.jp
『サブスタンス』

©2024 UNIVERSAL STUDIOS
『ゴースト ニューヨークの幻』でヒットしたスター女優 Demi Moore (デミ・ムーア) を主演に迎え、若さを再び手に入れようとする元トップ女優の波乱な運命を描いた異色のホラーエンターテイメント。主人公は、50歳の誕生日を迎えた元人気女優エリザベス。容姿の衰え、仕事の減少から、新しい再生医療「サブスタンス」を受けることに。自分の殻を破るように現れたのは、自分と上位互換の存在スーだった。エリザベスの経験を持ったまま若く美しい容姿のスーは一気にスターダムへと駆け上がる。一つの魂をシェアして生きる2人は1週間ごとに入れ替わる生活を送っていたが、スーがタイムシェアリングのルールを破り始める。弾けるような若さと美しさで Demi Moore に対峙したのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演歴のある Margaret Qualley (マーガレット・クアリー)。Demi Moore の圧倒的怪演と、予測不可能なラストが、観客をこれまでにない映画体験へと導く。
公開日: 5月16日(金)
監督: Coralie Fargeat (コラリー・ファルジャ)
出演: Demi Moore、Margaret Qualley、Dennis Quaid (デニス・クエイド)
HP: gaga.ne.jp/substance