今週のTFP的おすすめ映画
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おすすめ展覧会
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
三部正博「PORTRAIT IN LANDSCAPE」

三部正博は、1983年生まれ東京都出身の写真家。広告やファッション誌、カタログに加え、美術、建築の分野においてもコミッションワークを手掛ける。2015年頃よりライフワークとして撮りためている「ランドスケープ」では、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさを記録している。今回発表されるのは、「ランドスケープ」の延長である「PORTRAIT IN LANDSCAPE (ポートレート イン ランドスケープ)」。同氏を含めた4組の遺影を展示する。本プロジェクトは、三部の父親が亡くなり慌てて準備した遺影と、記憶の中にいる父親との差異に違和感を覚えたことがきっかけとなり、スタートしたもの。三部が思いを馳せるのは、
場所: SAN ROOM KYOTO
住所: 京都府京都市上京区室町頭町293-5
会期: 9月12日(金)~9月23日(火) *9月18日(木)休廊
時間: 13:00-19:00
HP: 3be.in
国際芸術祭「あいち2025」

2010年から3年ごとに開催されており、今年で6回目を迎える「あいち」の国際芸術祭。本展は、国内外から多数のアーティストが参加する、国内最大規模のアートイベントである。舞台芸術などを含めた、多様な現代美術の潮流を「あいち」から発信することが目的とされている。今回は、シリア出身の詩人 Adonis (アドニス) の詩から着想を得た「灰と薔薇のあいまに」をテーマのもと、多様なバックグランドを持つ全61組が「あいち」に集結。杉本博司やアメリカ人アーティストの Simone Leigh (シモーヌ・リー) などをはじめ国内出身26組を含むアジアのアーティストに加え、先住民族にルーツを持つ作家や、さまざまな理由で出身地域とは異なる場所で活動しているアーティストのように、自らの社会的・文化的アイデンティティを見つめ直しながら表現を模索するアーティストも数多く参加する。世界各地で活躍する彼らの多様な挑戦は、これまで欧米中心に紡がれてきた歴史を解きほぐし、複雑化していく世の中を新たな切り口から考えるきっかけを与えてくれるだろう。
場所: (1)愛知芸術文化センター
(2)愛知県陶磁美術館
(3)瀬戸内市のまちなか
住所: (1)愛知県名古屋市東区東桜1丁目13-2
(2)愛知県瀬戸市南山口町234番地
会期: 9月13日(土)~11月30日(日)
時間: (1)10:00-18:00 *金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで
(2)9月末まで 9:30~17:00、10月以降は9:30-16:30 *入館は閉館の30分前まで
休館日: (1)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日、9/16(火)、11/25(火)は臨時開館
(2)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日
HP: aichitriennale.jp
Soh Souen「Keep Me Together」

1995年生まれの美術作家 Soh Souen (ソー・ソウエン)。「生」にまつわる事象に目を向け、絵画、インスタレーション、パフォーマンスなど多岐にわたる表現を展開してきた。最新個展「Keep Me Together」では、「点描」を用いた彼の代表作「tie」シリーズを中心に、その表現を深化・展開させた作品群を紹介。ドット状に描いたこの「tie」シリーズは、証明写真を起点に「個」や「アイデンティティ」を見る者に問いかける。本展にて特に注目したいのは、自己と他者の境界を解体する「わたしたち」について深化させた新作絵画。また、身体において、他者が入り込んでくる身体の開口部を点描で描いた「身体の穴を穴だらけに描くシリーズより」によって、身体の自律と非自律の関係性を表現した作品も並ぶ。本展では、彼が追求してきた「個」と「身体」のはざま、そして「生」への問いかけに触れながら、静謐でありながらも緊張感を孕んだ空間を体感することができる。
場所: LURF GALLERY 2F
住所: 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob 1
会期: 9月11日(木)~10月13日(月)
時間: 11:00-19:00
HP: lurfgallery.com
国立新美術館「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現1989-2010」

小沢剛『ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京』2001年 Cプリント
国立国際美術館蔵 ©Tsuyoshi Ozawa
日本のアートシーンを彩った革新的な表現にフィーチャーする本展「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現」。昭和から平成に移りゆく新しい時代の幕開けとなった1989年から2010年までの間に、日本ではどのようなアートが生まれ、発信されたのかを検証する企画展だ。本展では、国内外の50を超えるアーティストの作品を、3つのテーマで紹介する。1章「過去という亡霊」では、戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求を。2章「自己と他者と」では、自他の眼差しの交換の中でアイデンティティやジェンダー、文化的ヒエラルキーを問う実践を。3章「コミュニティの持つ未来」では、既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築の可能性を探るプロジェクトを紹介。これら3つのレンズを通すことで、鑑賞者は一面的なものでなく、複数の視点で捉え、深く思索を巡らせることができる。国立新美術館と香港のグローバルミュージアム M+ (エムプラス) の協働キュレーションにより、ナショナリティという枠を超えた国際的な視座から、日本の変化に富んだ時代を見つめ直すエキシビションとなっている。
会場: 国立新美術館
住所: 東京都港区六本木7-22-2
会期: 9月3日(水)~12月8日(月)
時間: 10:00-18:00 *毎週金・土曜日は20:00まで
休館日:毎週火曜日 *ただし9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
HP: www.nact.jp
田部井美奈「光と図形と、その周辺」

埼玉県生まれ、アートディレクター兼グラフィックデザイナー・田部井美奈。2003年よりグラフィックデザイナー・服部一成に師事した後、2014年に独立して田部井美奈デザインを設立。独立後、自分にしかできないビジュアル表現を探求し、写真の持つ「光と影」という偶然の現象を二次元の紙面上に落とし込んでいく実験的なアプローチを展開。そのアプローチから仕上げられた本やパッケージには、凛とした品位のなかに明るいやさしさがあり、華美ではないにもかかわらず、見る者の目を惹きつける魅力が溢れている。2018年から追求する「光と図形」シリーズ最新作が公開される本展は、空間ごと作品を体感できる貴重な機会である。合わせて、制作過程を物語る断片も同時に鑑賞できるのも見どころの一つだ。これまでに手掛けてきたブックデザインやパッケージ、ポスターなどのグラフィックデザインも展示予定だ。個性的でありながらも、作品群が一体となって、美しく見えるデザインは、まさにタベミナイズムといえる。本展「光と図形と、その周辺」を通じ、タベミナイズムの深淵に触れてみてほしい。
会場: ギンザ・グラフィック・ギャラリー
住所: 東京都中央区銀座7-7-2 DNP 銀座ビル 1F/B1F
会期: 9月5日(金)~10月22日(水)
時間: 11:00-19:00
休廊日: 日・祝
HP: www.dnpfcp.jp
永井天陽、川谷光平 「Playful Prayer」

1991年埼玉県生まれの彫刻家・永井天陽。物や出来事へのささやかな疑いをきっかけに、人が無意識に抱く感覚や常識、認識への問いをテーマに活動してきた。どのような素材、技術を織り交ぜることで「まだ誰もみたことがないもの」を創作できるか。その可能性を探求し続けている。1992年生まれ、島根県出身のフォトグラファー・川谷光平。東京を拠点に、商業プロジェクトと作品制作を軸に活動の幅を広げてきた。近い距離感から色鮮やかに被写体を捉える独自の作風は国内外から注目を集める。永井と川谷による2人展「Playful Prayer」。本展では、彫刻と写真という異なる表現を通して、見過ごされがちな日常に新たな境界線を引き、視覚的なコントラストを生み出すことで、当たり前とされる認識に対して疑問を投げかける。物質性と像、実体と虚構。そのはざまに意識的に身を置く彼らの姿勢は、彫刻や写真が役割や定義を超越し、新しい表現領域を切り拓いてきた歴史への応答といえるだろう。SNS やニュースなどを通し「見ること」、そこから生まれる「知ること」、「信じること」の倫理に対し、小さくも確かな抵抗を示す本展。2人が紡ぐその疑問は、日常生活を省みる機会を与えてくれるに違いない。
会場: H BEAUTY&YOUTH (エイチ ビューティー&ユース)
住所: 東京都港区南青山3-14-17
会期: 8月29日(金)~11月26日(水)予定
時間: 平日12:00-20:00 休日11:00-20:00
HP:united-arrows-global.com
川内倫子 「いまここ」

1972年生まれ、滋賀県出身の写真家・川内倫子。2023年に、ソニーワールドフォトグラフィーアワードの Outstanding Contribution to Photography (特別功労賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を獲得し、国内外で数多くの展覧会を行っている。今回は、詩人・谷川俊太郎の詩に川内の作品を織り込んだ写真絵本『いまここ』(23年) を中心に構想された写真、映像が紹介される。この本は、「いまここ」の楽曲提供者であるミュージシャン・原田郁子が川内の写真展に訪れた際、谷川の詩の世界観とのつながりを感じたことがきっかけとなり生まれた。展覧会では、言葉、写真、そしてデザインが交錯し、見る人々に問いかけや思索、新たな感覚をもたらす同作品を、空間全体で体験できる。また、本展の初日には、川内と原田による音楽会も開催予定で、『いまここ』を深く味わえる絶好の機会となる。
会場: starnet ZONE
住所: 栃木県芳賀郡益子町益子3278-1
会期: 9月6日(土)~9月15日(月)
時間: 11:00-17:00
休廊日: 水・木
HP: www.starnet-bkds.com
「上田義彦 いつも世界は遠く、」

1957年、兵庫県生まれの写真家・上田義彦。都市、自然の風景、ポートレイト、広告写真など幅広い分野で活躍し、国内外で高い評価を得てきた。瞬間を捉える感性と卓越した技術で、時代とともに変容する作風でありながら一貫して普遍的な美が作品に込められている。公立美術館において、約20年ぶりの個展となる本展では、代表作から未発表の初期作品、最新作まで自ら現像とプリントを手掛けた約500点を通じ、40年の軌跡を辿ることができる。これまで展示の機会の少なかった映像作品、チベットの人々を記録した最新作は特に見どころ。上田のすべてが紡がれた大回顧展。二度とないこのチャンスにぜひ足を運んでほしい。
会場: 神奈川県立近代美術館 葉山
住所: 神奈川県三浦郡葉山町一色 2208-1
会期: 7月19日(土)~11月3日(月)
時間: 9:30-17:00
休館日: 月
HP: www.moma.pref.kanagawa.jp
「ペドロ・コスタ インナーヴィジョンズ」

1958年ポルトガル生まれの鬼才 Pedro Costa (ペドロ・コスタ) 映画監督。日本のスクリーンに幾度も登場した彼の映像作品の魅力は、静寂な夜のシーンや、暗闇と明暗の強いコントラスト、そしてアフリカの移民たちの過酷な日々にフォーカスし、社会構造に鋭く切り込んでいるところにある。総合開館30周年の記念展となる「インナーヴィジョンズ」は、東京では初めての美術館での個展であると同時に、日本最大規模となるエキシビジョンである。本展は、同氏が10代の頃に出会い深い影響を受けた、ミュージシャン Stevie Wonder (スティービィー・ワンダー) のアルバム『Innervisions (インナービジョンズ)』(73年) と同名のタイトルがつけられた。音楽を通じて、社会と個人の関係に迫ったこのアルバムの美学は、Pedro Costa の映像制作のアプローチとも深く響き合っている。今回展示されるのは、ポルトガルで暮らすアフリカ系移民の歴史を照らし出した『Horse Money (ホースマネー)』(14年) など、同氏の作品において重要な役割を担う、移民労働者 Ventura (ヴェントゥーラ) をはじめとする登場人物や、彼らが生きる場所に関わる映像作品に加え、東京都写真美術館が所持するコレクションが公開される。Pedro Costa の映像表現とその背景に介在する歴史的・社会的問題に触れることで本タイトルについて考えを深める機会となる。この特別な展覧会では、映画が持つ力と同氏の世界観の奥行きを新たな角度から楽しむことができるはず。
会場: 東京都写真美術館
住所: 東京都目黒区三田1-13-3
会期: 8月28日(木)~12月7日(日)
時間: 10:00-18:00 *木・金 20:00まで、8月28日(木)~9月26日(金)の木、金は21:00まで
休館日: 月 *月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館
HP: topmuseum.jp
「開館30周年記念展 日常のコレオ」

ジョナタス・デ・アンドラーデ《Jogos Dirigidos (Directed Games)》2019 年
東京都現代美術館の開館30周年を祝し、開催されるエキシビション「日常のコレオ」。本展は、アーティスト、鑑賞者とともに、現代美術を通してこれからの社会を多角的に思考するプラットフォームの構築を目指し、作品展示に加え、鑑賞者参加型のパフォーマンスやワークショップも展開する。国内外で活動する幅広い世代のアーティスト約30名が集う。展覧会では、様々な都市における人々の営みや身振りに目を向け、それを生み出す創造性やユーモアについて考えを膨らませた。そして、日常に内在し、互いに絡み合う文化的、政治的、経済的諸力の関係を掘り下げながら、社会構造に組み込まれ不可視化された暴力や抑圧を作品群に浮かび上がらせている。タイトルに含まれる「コレオ=コレオグラフィー (振付)」は、社会のルールや規範にただ従うだけでなく、そうした統制に対する批判的な考えを通して、日常を振り返り、新たな場や生き方を創造するアプローチを指している。本展は、アーティストと鑑賞者が、視点を共有しながら、それぞれの「日常」の域を問い直す契機を創出する場となる。忙しない日常の中で、社会に流されてしまいそうになる現代人。彼らの作品群は、そんな目まぐるしい社会について再考する機会を提示してくれるはず。
場所: 東京都現代美術館
住所: 東京都江東区三好4丁目1−1
会期: 8月23日(土)~11月24日(月)*8・9月の毎金曜日は21:00まで
時間: 10:00-18:00
休館日: 月(祝日の場合は翌平日)
HP: www.mot-art-museum.jp
「Polylog」

©2025 Polylog/Vacant
「POLYLOG (ポリローグ)」とは、東京・代々木上原を拠点とするクリエイティブ・プラクティスの Vacant (ヴァカント) が提案する「文化的対話」の場である。人それぞれが持つ多層的な文化体験を、他者との対話を通じて再発見し、自らの文化との関係を深めていくことを目的として活動している。本展は、2025年10月に刊行予定の『Vacant/Edition #2 ”Polylog” Issue』に先駆けて、本書内で Vacant のディレクションを行う永井祐介と会話を交わした6名のアーティストによるグループ展だ。登場するのは、韓国・ソウル出身のアーティスト Hyoweon Baek (ベック・ヒョワン)、スウェーデン出身のアーティスト Jon Koko (ヨン・ココ)、北海道・札幌生まれのフォトグラファー牧口英樹、京都府出身で陶芸作家として活躍する明主航、東京都出身の左官である大橋和彰、静岡出身のフォトグラファー佐内正史など、以前 Vacant/Centre (ヴァカント/センター) にて展覧会を開催した経験を持つ作家たち。Vacant/Centre では、見る者が参加アーティストとのコミュニケーションを重ね、展示がどのように構想され、現れていったのかというプロセスを辿りながら、作品を鑑賞できる。多様なアーティストと対話することのできる本展は、新しい文化を発見するきっかけをもたらしてくれるはず。
場所: Vacant/Centre
住所: 東京都渋谷区神宮前3-20-13
会期: 8月22日(金)~9月22日(月)
時間: 13:00-18:00
休廊日: 火、水、木
HP: www.vacant.vc
坂本龍一 + YCAM「Forest Symphony」

©山中慎太郎 (Qsyum!)
音楽家・アーティストの坂本龍一と山口情報芸術センター [YCAM] が手掛けるサウンドインスタレーション作品「Forest Symphony (フォレスト・シンフォニー)」。東日本大震災以降、坂本が構想していた本展は、樹木が発する微弱な生体電位をもとに生成した音を用いたプロジェクトだ。YCAM InterLab は、生体電位や周囲の環境 (温度・湿度・照度・気圧) を計測するデバイスを開発し、世界各地の樹木に設置。会期中、そのデータがインターネットを通じて会場に送られ、坂本のディレクションによるアルゴリズムで音楽へ変換される。環境情報を映像化したビジュアルも加わり、季節や天候に応じて変化する「森のような空間」が出現する。会場は「雪舟庭」で知られる常栄寺。自然や名跡の新たな魅力を感じられる場となるだろう。
場所: 常栄寺
住所: 山口県山口市宮野下2001-1
会期: 8月8日(金)~11月30日(日)
時間: 10:00-16:30
HP: www.ycam.jp
scopic measure #17 : マヤ・エリン・マスダ「Ecologies of Closeness 痛みが他者でなくなるとき」

《Pour Your Body Out》(2023年)京都芸術センター
撮影:Takuya Matsumi
ベルリンを拠点に活動する、気鋭アーティストのマヤ・エリン・マスダ。映像や液体を用いた作品を通して、人間中心の社会が自然や動植物に与えてきた影響を再考し、「クィア・エコロジー」という視点から、国家が生命や出生を管理する「生政治」とテクロノジーの関係を探求し続けている。本展では、放射線による皮膚の変容や、汚染に晒された動物や土地に起こる変化にまつわるリサーチをもとに制作した新作を主軸に展示。その他、チェルノブイリや福島での原発事故や核にまつわる問題に着目したインスタレーション作品「Pour Your Body Out (ポア ユア ボディ アウト)」(23-25年) も展示される。これらの作品は、目に見えにくい「毒性」とともに生きざるを得ない現実を浮かび上がらせ、人間とその影響を受ける存在との奇妙で親密な関係性を描き出す。「クィア・エコロジー」の視点から出発した、美しさとグロテスクが交錯する複層的な空間に、ぜひ足を運んでみて。
場所: 山口情報芸術センター [YCAM] スタジオB
住所: 山口県山口市中園町7-7
会期: 7月5日(土)~11月2日(日)
時間: 10:00-19:00
HP: www.ycam.jp
「浅間国際フォトフェスティバル2025」

世界中から注目を集める日本最大規模の写真の祭典、浅間国際フェスティバル。本展は、町おこしの一環として設立された複合施設 MMoP (モップ) を活かし、長野県・浅間山麓の地域を舞台に2018年よりスタートした、写真文化を発信する国際的なアートフォトの祭典だ。作品の展示だけでなく、ワークショップや写真教室など、写真の楽しさを提案してくれる体験型のイベントや、長野らしいフードやクラフトなどを堪能できるマルシェイベントなども実施。フェスティバルならではの大型展示、広大な敷地を活かしたユニークな展示手法を五感で楽しめる場になっている。今年のテーマは、「UNSEEN WORLDS まだ見ぬ世界へ」。本展では、このテーマに基づきグローバルなアーティストが個性豊かな作品を展示する。ラインナップするそれらのアートフォトは、「まだ見ぬ世界」への扉を開き、見る者の世界観、価値観を問い直すきっかけを与えてくれる。町を巡りながら五感でアートを楽しむ、新たな回遊体験を楽しんでみて。
場所: MMoP
住所: 長野県北佐久郡御代田大字馬瀬口1794-1
会期: 8月2日(火)~9月30日(火)
時間: 10:00-17:00*最終入場 16:30
入場料: 入場無料*屋内展示鑑賞チケット 1,200円 (会期中何度でも使用可、中学生以下無料)
HP: asamaphotofes.jp
永戸鉄也「RAREMETAL」

アートディレクター・永戸鉄也は、コラージュ、写真、映像作品を制作し、個展やグループ展を通して継続的に作品を発表している。彼はこれまでに、印刷物やデジタルデータのコラージュに留まらず、立体的な物質どうし、あるいは異なるグループに属する人々を組み合わせるなど、コラージュの可能性を押し広げるような作品、プロジェクトを手掛けてきた。地殻中の存在量が少ない非鉄金属を意味する、レアメタルをテーマにするこのプロジェクトは、アパレル、作品、テキスト、印刷物の境を曖昧にし混在させるという、永戸らしい新たな実験的制作活動である。本展にて展開されるのは、百貨店という場をモチーフに創出された生活に寄り添った家具や雑貨の作品。また、永戸作品のアーカイブから厳選したグラフィックをアパレルアイテムに落とし込んだコレクションも展示販売される。アパレルアイテムに昇華された永戸作品を、ぜひ楽しんでみて。
場所: 伊勢丹新宿 メンズ館1階 プロモーション
住所: 東京都新宿区新宿3-14-1
会期: 8月6日(水)~9月30日(火)
時間: 10:00-20:00
HP: www.mistore.jp
アラン・シャーラー、Ryota 「yami to hikari 闇と光 -The dark and the light」

©Alan Schaller
1988年、ロンドン生まれの現代におけるモノクローム写真のアイコンと評される Alan Schaller (アランシャーラー)。若い世代を中心に、人気を博すバンド ONE OK ROCK (ワンオクロック) のベーシストでありながら、写真家としても独自の審美眼を持つ Ryota。本展は、友人であるこの2人が、モノクロームの世界を紹介する初の共演展だ。写真表現の原点とも言えるモノクロームフォトグラフィーの色彩を排した世界だからこそ際立つ、光と影、構図、そして被写体の本質。そんなモノクローム表現を現代的な視点で再解釈し、それぞれのアーティストが映し出した作品群が展示される。白黒写真の無限の可能性を、「視点の変化」、「写真の持つ普遍的な力」、「創造とつながりの喜び」のテーマとともに追求していく。モノクロームの「レトロ」、「昔ながら」といったイメージを覆す本展では、「白と黒」の美しさを存分に堪能できるはず。
場所: ライカギャラリー表参道
住所: 東京都渋谷区神宮前5-16-15
会期: 7月25日(金)~9月28日(日)
時間: 11:00-19:00
休館日: 月
HP: leica-camera.com
「LA MUSEUM NANA KOMATSU」

2002年創業のヴィンテージショップ LAILA (ライラ) が手掛けるオンラインミュージアム LA MUSEUM (ラ・ミュージアム)。今回のオンライン展覧会では、『余命10年』(22年)や、『糸』(20年)、また2025年8月に公開を控える『8番出口』にも出演する、女優・小松菜奈が被写体として登場。本展にて彼女が纏ったのは、現在同サイトで公開中の「1950s-2010s History of Modern Fashion Desgin」展から抜粋された歴史的衣服たち。イギリス、フランス、アメリカ、ベルギー、日本など多様な文化背景を持つ、才能溢れるデザイナーたちによって創作されたワードローブを、3D になった小松菜奈が自由自在なポーズとともに、紹介している。生きた人体がマネキン役を演じ、袖を通すことで服自体の持つシルエットを最大限引き出すことが可能に。フィジカルな美術館では実現し得ない本展は、ファッションシーンに新たな解釈、大いなる可能性を見出すことになるだろう。ヴァーチャルミュージアムだからこそ、体験できるこの空間は、きっと見る者の胸を躍らせてくれる。
場所: LA MUSEUM
会期: 7月18日(金)~2026年1月11日(日)
HP: www.la-museum.com/lp
YAYOI KUSAMA 「INFINITY- SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」

大阪・関西万博の開催に合わせ、ESPACE LOIUS VUITTON OSAKA (エスパス ルイ・ヴィトン大阪) にて開かれる、日本を代表するアーティスト草間彌生の個展「INFINITY- SELECTED WORKS FROM THE COLLECTION」。アヴァンギャルドなアートにより、強烈なインパクトを与える彼女の世界観。強迫的に反復されるモチーフは、彼女の表現手法であり、創作の主題でもあった。本展では草間彌生の美学をテーマに、国際的なアートシーンで登場した初期の作品から近年にいたるまで、長い年月に及ぶ作品群を紹介する。草間彌生の代名詞でもある水玉模様によるインスタレーションや、絵画作品が一堂に会する貴重な機会になっている。注目作である「無限の鏡の間-ファルスの原野」は、草間の“無限の鏡の間”シリーズ第1作であり、鑑賞者を果てしない水玉の空間へと誘うインスタレーションだ。同シリーズは、鏡張りの部屋の中に様々な作品を配置することで、無限に広がる空間を演出したものであり、世界的に人気を集めている。数々のコラボレーションを展開するこのタッグ。なかでも今回は、彼女の軌跡をたどることができるまたとないチャンスなので近くを訪れた際は、ぜひ足を運んでみて。
場所: エスパス ルイ・ヴィトン大阪
住所: 大阪市中央区心斎橋筋2-8-16 ルイ・ヴィトン メゾン 大阪御堂筋 5F
会期: 7月16日(水)~2026年1月12日(月)
時間: 12:00-20:00
HP: www.espacelouisvuittontokyo.com
三島由紀夫「永劫回帰に横たわる虚無 三島由紀夫生誕100年=昭和100年展」

1925年東京生まれの、昭和を代表する作家・三島由紀夫。三島由紀夫の作品群は“ミシマ文学”と称され、数多くが外国語に翻訳されており、国際的な評価も高い。本展は、三島由紀夫の生誕100周年、そして昭和100周年を祝う記念展として実施。展示では、デビュー作「仮面の告白」と遺作『豊饒の海』を軸に、戦後日本美術が抱えてきた“空虚”と、そこからの再生をテーマに構成されている。本展の背景には、フランスの哲学者 Roland Barthes (ロラン・バルト) の考えがある。彼は、天皇のようなシンボルが存在する日本に注目し、「表徴の帝国」と表現した。女形、すき焼き、礼儀、作法、パチンコ、学生運動も表徴で、その裏側に存在する意味に集約されず、純粋に存在自体が重要であること、そして日本文化の自由度を提起した。Roland Barthes が語った「表徴の帝国」としての日本、そして三島由紀夫が遺した”空虚な国”という視点を手掛かりに、美の風景を浮かび上がらせる本展。三島由紀夫という偉大な作家は、今を生きる世代にも多大なる影響を与える存在になるだろう。
場所: GYRE GALLERY
住所: 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3階
会期: 7月15日(火)~9月25日(木)
休館日: 8月18日(月)
時間: 11:00-20:00
HP: gyre-omotesando.com
企画: 飯田高誉 (スクールデレック芸術社会学研究所 所長)
agnès b. 「Versailles d'agnès b.ーアニエスのヴェルサイユ」

本展「Versailles d’agnès b.ーアニエスのヴェルサイユ」にて展示されるのは、同ブランドのデザイナー Agnes Troublé (アニエス・トゥルブレ) が撮り下ろしたヴェルサイユ宮殿の写真たち。宮殿とその庭園が誇る時代を超えた威厳を彼女らしい視点で捉えた、日本初公開の写真シリーズが公開される。彼女のレンズが捉えるのは、ヴェルサイユの歴史的な威厳への賛美ではなく、そこに秘められた詩的な美しさである。映し出された写真は、一般的なヴェルサイユのイメージを覆す、新たな視点が満ちた作品に。訪れた者たちの目には、見過ごされがちな細部の繊細な美しさや、光の変化、そしてその場の空気感が体現されている。本展では、彼女が撮り下ろした写真シリーズを紹介。これらの作品は、歴史的な威厳を放つ宮殿を Agnes Troublé のまなざしを通して、新たな視点から見ることができる。Agnes Troublé にとって深い思い出が詰まった特別な場所。本展は、そんなヴェルサイユの新しい視点を提供してくれる貴重な場となるはず。
場所: (1)agnès b. 青山店
(2)agnès b. 祇園店
住所: (1)東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山1階
(2)京都府京都市東山区祇園町南側570番地128
会期: (1)7月18日(金)~8月24日(日)
(2)8月29日(金)~9月30日(火)
時間: (1)11:00-20:00
(2)10:00-18:00
HP: www.agnesb.co.jp
「ルイジ・ギッリ 終わらない風景」

イタリアを代表する写真家のひとりである Luigi Ghirri (ルイジ・ギッリ)。30歳の頃から本格的に写真制作に取り組み、カラー写真による実験的な表現を追求。イタリアや旅先の風景、アーティストのスタジオ、自宅の室内、美術品、看板やポスターなど多様な視覚の断片により構成された作品は、多くの人を惹きつける。東京都写真美術館総合開館30周年展にふさわしい本展で紹介されるのは、活動初期の代表作から晩年の作品たち。活動初期の代表作「コダクローム」や「静物」シリーズから、彼が生まれ育ったイタリア北部の都市・レッジョ・エミリアアなど欧州の風景、画家 Giorgio Morandi (ジョルジョ・モランディ)、 建築家 Aldo Rossi (アルド・ロッシ) のアトリエを撮影したシリーズを含む約130 点を展示。写真家として過ごした20年間の軌跡に迫る。
場所: 東京都写真美術館
住所: 東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
会期: 7月3日(木)~9月28日(日)
時間: 10:00~18:00/木・金 10:00~20:00/8/14(木)~9/26(金) 10:00~21:00
HP: https://topmuseum.jp
「flotsam zines tour 2025」

東京・代田橋に構える flotsam books (フロットサムブックス) が主催の「flotsam zines tour 2025」。2022年に初めて開催された本企画。今回は総勢150組を超えるアーティストが参加し、日本16箇所を巡回して ZINE の販売をする。本企画のルールは、1年以内に制作されたものであること、販売価格3,000円以内であること、レターパックに入るサイズであること以外特になし。審査も参加費も一切ないため、ZINE 本来の雑多で自由な魅力を直に体感できる。 flotsam books にてスタートし、6月上旬から10月上旬にかけて書店やギャラリー、ショップをツアー形式で巡る予定だ。インディペンデントな集いでは、日本のアートブックシーンを存分に味わえるはず。
場所: flotsam booksから全国各地
住所: 東京都杉並区和泉1-10-7
会期: 6月13日(金)~6月15日(日)から巡回
時間: 14:00-20:00
HP: flotsambooks.com
ライアン・ガンダー「ユー・コンプリート・ミー」

イギリス出身の Ryan Gander (ライアン・ガンダー) は、絵画、彫刻、映像、テキスト、VRインスタレーションから建築、出版物や書体、儀式、パフォーマンスに至るまで、幅広く活動するアーティスト。多元的な作品と実践を通して国際的な評価を確立してきた彼は、作家としてのアクションだけでなく、テレビ番組の制作・出演を通じて芸術や文化の普及にも携わっており、現代におけるアーティスト像を更新し続けている。日本国内でも高い人気を誇る彼の作品を一堂にお目にかかれる本展では、日本初公開の新作を含む全18点を展示。なかでも特に注目したいのは、世界的に人気の高い「アニマトロニクス」シリーズである。本シリーズは、幼い子供の声を用いており、彼と子供たちとの間でどのような信頼とコミュニケーションがあるのか、という視点から作品を展開している。また、箱根のポーラ美術館にて開催される本展では、Ryan Gander が生み出した不思議な動物たちと出会うことができる。自然溢れるポーラ美術館にて、Ryan Gander の世界感を存分に楽しんでみて。
場所: ポーラ美術館
住所: 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285土
会期: 5月31日(土)~11月30(日)
時間: 9:00-17:00
HP: www.polamuseum.or.jp