What networks "think" - The changing landscape of Japanese female fashion magazines.

PORTRAITS | Jul 2, 2012 3:00 PM
世界の自動車王ことHenry Ford (ヘンリー・フォード) の有名な言葉に、「もし顧客になにが欲しいかとたずねていたなら、彼らは速い馬が欲しいと答えていただろう」という言葉がある。マーケティングの仕事に携わる者が、マーケティング・レポートや消費者の見識の有効性を疑問視する際によく引用する言葉だ。これは大きな間違いだと思う。ラグジュアリーやファッション・プロダクトのマーケティングは、100年前の車の発明とはわけが違う。シーズン毎に変化するテイストのマーケティングはより複雑で、全く異なるレベルのものだ。人々が欲しいモノを知っているからといって、それを提供すれば成功するとは限らない。彼らになにが欲しいかを聞いてはダメだ。それについてどう思うかを聞いて、それから決断をする。簡略化は危険かつ不便で、結果的に損害が大きくなる可能性がある。

文: Helge Fluch (ヘルゲ・フルフ)

世界の自動車王ことHenry Ford (ヘンリー・フォード) の有名な言葉に、「もし顧客になにが欲しいかとたずねていたなら、彼らは速い馬が欲しいと答えていただろう」という言葉がある。マーケティングの仕事に携わる者が、マーケティング・レポートや消費者の見識の有効性を疑問視する際によく引用する言葉だ。これは大きな間違いだと思う。ラグジュアリーやファッション・プロダクトのマーケティングは、100年前の車の発明とはわけが違う。シーズン毎に変化するテイストのマーケティングはより複雑で、全く異なるレベルのものだ。人々が欲しいモノを知っているからといって、それを提供すれば成功するとは限らない。彼らになにが欲しいかを聞いてはダメだ。それについてどう思うかを聞いて、それから決断をする。簡略化は危険かつ不便で、結果的に損害が大きくなる可能性がある。

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Photography: Guwashi999 via flickr

消費者が考えていることが彼らにとってのリアリティ。ブランドが知っておくべき現実だ。若い消費者は一体なにを考えているのか、ある特定のファッションブランドについてどう思っているのか、雑誌やSNS、インターネットをどのように活用しているのかを知りたくて、過去2年間にわたって彼らのネットワークの中に入って調査をしてみた。私たちの会社はある意味日本の大学内のネットワークの一部にうまくとけこむことができている。そのおかげで、さまざまなコネクションを持ち、オピニオンリーダー的な存在で、大学の有力なサークルのメンバーである学生たちとのつながりができ、彼らからいろいろな情報を提供してもらい、つながりたい人物への橋渡し的な役割も担ってもらっている。

日本の雑誌市場はつねに流動的で最近の動向がまさにそれを証明してくれている。ロサンゼルスや海外の人気ブロガーから発信される西欧のセレブリティ・スタイルの人気にあやかり、『Gisele (ジゼル)』や『Glitter (グリッター)』といった雑誌や、ポスト・ギャル的立ち位置の『ViVi (ヴィヴィ)』『Sweet (スウィート)』、そしてゴシップ誌が、こぞってどこのセレブがなにを着ていたかについての情報を読者に向けて流し続けている。米国の人気ドラマ「Gossip Girl (ゴシップ・ガール)」のスターたちはたくさんの雑誌の表紙をかざっている。もちろん、『Vogue Girl (ヴォーグ・ガール)』や『Elle Girl (エル・ガール)』、『NYLON (ナイロン)』などといった雑誌も重要で、日本の若い女性消費者たちに影響を与えている。

2/5ページ:日本の大学生はたくさんのお金を買い物につぎ込んでいる。多くの人は彼らのパワーを過小評価していると思う。

©VOGUE Girl

水原希子、長谷川潤、ローラ、『ViVi』に登場するさまざまなスタイル、どう『ViVi』が女性モデルを育てるのか、『JJ (ジェイジェイ)』のおしゃP問題、『Vogue Girl』『Elle Girl』『Tokyo ViVi (トウキョウ・ヴィヴィ)』の違いなど、海外のファッション系PR・マーケティング会社には知られていない日本のファッションに関する深いレベルでの情報がまだまだたくさんある。ブランド側が知りたい情報の多くは消費者レベルのネットワークに埋もれてしまっていて表にはなかなか出てこない。どのように彼らの意見が形成され、毎月のように変わる若い消費者の本当の気持ちや考え、雑誌やブランドは本当はどのように思われているのか、オピニオンリーダーたちがどのようにたくさんの若い日本人女性たちの行動に影響を与えているのか。これらの問いを私たちは答えたい。彼らの本音を知りたい。そのための唯一の方法として、私たちは彼らのネットワークに長期間入り込み、生の情報を直接入手する努力をしている。

なぜこれらの問いが重要なのか?答えを知るブランドが、本当はだれを相手にしているのかがわかるからだ。どういう層が記事広告を見て、どのように思っているのかを知ることによって、マイクロターゲティングやカスタマープロファイリング可能になり、決断理由が明確になる。マーケティング予算も正当化できる。

日本の大学生はたくさんのお金を買い物につぎ込んでいる。多くの人は彼らのパワーを過小評価していると思う。彼らがファッションに使う毎月のお金は平均で4万円以上。毎月20万円を使う学生もいる。私たちは、学生間のブランドイメージに大きな影響力を与え、毎日総額50万円以上の価値があるファッションで身を固めるおしゃれ学生たちに会い、話を聞いた。Hermès (エルメス) のハンドバッグを所有し、Alexander McQueen (アレキサンダー マックイーン) のドレスを着て女子会に参加し、春休みにはニューヨークに行ってMarc Jacobs (マーク ジェイコブス) で買い物をし、毎月ファッション誌を15冊読み、Bloglovin (ブログラヴィン) でファッションブロガー30人をフォローし、パリのデザイナー事情に精通している学生たちとも話をした。彼らはすでに、Olivier Theyskens (オリヴィエ・ティスケンス) がデザインするTheory (セオリー)、Acne (アクネ)、Giuseppe Zanotti (ジュゼッペザノッティ)、Thakoon (タクーン) などが日本の雑誌で紹介されはじめる前に、これらのブランドのことを知っていて、数カ月以内に日本で人気がでるとわかっていた。

3/5ページ:読者の多くはファション誌の裏側を気付いている?

©ViVi

調査を続けるうちに、ファッションに興味のあるおしゃれ学生たちは同級生に大きな影響を与えていることに気づいた。また、ファッション誌の裏側のお金の流れにとても詳しい学生もいて、どのように編集ページが書かれ、そして広告との関係性についても知っているようだ。彼らはモデルたちに影響を受けていることを認識していて、これからも影響を受け続けたいと思っている。ある特定のブランドが雑誌への広告出稿をやめたり、雑誌の力が弱まっていることにも気づいてしまう。『JJ』が抱えている問題にも気づいているようだ。人気モデルのトリンドル玲奈が『JJ』から『ViVi』に移籍した際、彼らの間で話題になり、『JJ』の影響力が低下しているという意見が彼らの間で固まった。女性のファッショニスタたちは同誌からいくつかの有力ブランドが広告出稿をとりやめたことにも気づきはじめている。

 

もうひとつの例として、長谷川潤が『ViVi』から『GLAMOROUS (グラマラス)』に移籍した際、彼女のスタイルが好きだった学生たちは『GLAMOROUS』も読みはじめ、さらに、『ViVi』が一番の人気モデルだった長谷川潤の代わりをだれが務めるのかを注目していたそうだ。同誌はモデルを“育てる場所”として機能していて、読者の多くは登場するモデルをチェックするために購入している。将来のスターモデルを輩出する媒体として認知されているのだ。最近の例でいうと、ローラがそうだ。長谷川潤が同誌を卒業をしてから、数カ月の間、読者たちは大きく空いた穴が埋められるのかどうか不安に感じていたようだが、『ViVi』は積極的にこの変化に対応を試み、モデルのキャリアを構築するというユニークなセールスポイントを維持することができた。

©ViVi / ©GLAMOROUS

4/5ページ:『non-no (ノンノ)』の読者の45%以上は『mina (ミーナ)』を読み、『GLAMOROUS』の読者の49%は『ViVi』を、34%は『Sweet』を読んでいる。

1,500人を超えるリサーチ対象者と、300人を超える女性に対して買い物習慣やメディアの使い方に関するインタビューを行うことによって、ライフスタイルとメディアの相関性を導き出すことができた。下の図“Japanese female magazine map”は、日本市場に出まわるほとんどの女性誌をグラフで表している。横軸は雑誌と読者のスタイルの方向性、縦軸は年齢別のカテゴリーとなっている。

雑誌はコンテンツを変えることで立ち位置を変えることができる。そして中長期的に読者層も変わる。スタイルの方向性を変える一番簡単な方法は、取り扱うブランドやモデルを変えること。雑誌は必ずしも特定の年齢層のみに読まれているわけではなく、『Sweet』のようなメジャー誌は18歳の女子大生から36歳の子持ちの母までにも読まれている。

Japanese female magazine map

Japanese female magazine map

また、ある特定の雑誌を読む女性はその他の似たようなスタイルの雑誌を読む傾向があり、統計的に以下のことがわかっている。

– ある雑誌の読者は同じ方向性の雑誌も読む傾向がある。例えば、『non-no (ノンノ)』の読者の45%以上は『mina (ミーナ)』を読み、『GLAMOROUS』の読者の49%は『ViVi』を、34%は『Sweet』を読んでいる。

– 独特のパターンを持つさまざまなスタイルの雑誌の間にもつながりがあり、日本人女性がどのように自身のスタイルを決めるか、誌面上で表現されるブランドイメージを吸収するかがわかる。

– 口コミによって、読まない雑誌の内容についての情報も他の人から入手している。

– さまざまなスタイルを持つ各雑誌グループのメッセージは読者によく理解されている。読者がスタイリッシュでファッションに対する興味があればあるほど雑誌が発信するメッセージは理解され、登場するブランドの認知度も高い。

私たちは日本の雑誌市場の複雑さをブランド側に示したいと同時に、俯瞰すれば簡単に雑誌と読者の相互関係を理解できるということも示したい。ここにあるマップを最大限に活用すれば、どのスタイルグループにリーチをすれば最も効率よくブランドイメージを保ち、発信できるかがわかると思う。

5/5ページ:ViViとGLAMOROUSマガジンマップを紹介

ViVi magazine map

ViVi magazine map


矢印はポスト・ギャルスタイルとハイファッションの関係性を示している。『ViVi』読者の19%は『Vogue (ヴォーグ)』を読む一方、『Vogue』の若い読者層の約36%が『ViVi』を読む。大学に通うファッショニスタ (特に芸術系の学校に通うファッショニスタ) は『Spring (スプリング)』『Cutie (キューティ)』『Fudge (ファッジ)』などといったストリートスタイルか、『ViVi』『Sweet』『GLAMOROUS』『Glitter』などといったポスト・ギャルスタイルの雑誌にかたよる傾向があり、その上で『Vogue』『Elle (エル)』『Spur (シュプール)』などといったハイファッション誌や、『Elle Girl』や『Vogue Girl』などといった姉妹誌も合わせて読んだりもする。

また、『ViVi』の読者で独創的なファッショニスタの割合は低いが (多くはまわりに溶け込むために主流のスタイルをフォローしている)、ネットワーク内で高い影響力を持つ女子たちは、ほとんどがiPhoneを所有し、ファッションブログを書いたりフォローしたりしている。

GLAMOROUS magazine map

GLAMOROUS magazine map


このグラフは、『GLAMOROUS』読者の49%が『ViVi』を読んでいるというおもしろい事実を示している。このことがわかれば、あるおもしろいマーケティング戦略が可能になる。まず『ViVi』で2カ月の間記事広告を出し、その次の月に『GLAMOROUS』で同じメッセージを少しだけ変えてタイアップをする。『GLAMOROUS』読者の49%は『ViVi』で2カ月間にわたって掲載された記事広告を知っているので、されに彼らに同じメッセージを伝えることができる。1冊より2冊の雑誌を使ったほうがより効果的なアプローチができる。このような戦略は、ターゲット層と彼らの読む雑誌との関係性を知っていないとできないだろう。

 

Helge Fluch (ヘルゲ・フルフ) / Japan Access (ジャパン・アクセス) 設立者兼CEO。1976年フィンランドの首都ヘルシンキ生まれ。5歳からドイツで幼少期をすごし、ミュンヘンのルートヴィヒ・ マクシミリアン大学を卒業し、慶応義塾大学で訪問研究生として日本学、政治学、経済学を学ぶ。そして過去5年にわたり日本のラグジュアリー市場における消費を研究している。また、W. David Marx (デーヴィッド・マークス) の研究に影響され、雑誌と日本の若者の消費者動向の関係性に興味を持ち、Japan Accessを設立して企業にオピニオンリーダーやファッショニスタのネットワークから得られる情報を提供している。

これまでに富裕層向けのプロジェクトを手がけ、ラグジュアリー戦略、ブランド・メディア戦略、ファッション・マーケティング、オピニオンリーダー・マーケティングを行っている。専門は18歳から32歳までの消費者市場、エリート大学のネットワーク、ファッションとラグジュアリー消費におけるオピニオンリーダーの役割を専門としている。また、パートナー会社Root&Partners (ルート&パートナーズ) とともに、6,600人からなる富裕層ネットワークにアクセスし、消費者動向のリサーチやエクスクルーシブなイベントの運営を行っている。

HP: http://www.hnwijapanaccess.com
BLOG: http://www.hnwimarketingjapan.com

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