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「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
『フォーチュンクッキー』

©2023 Fremont The Movie LLC
イラン系英国人監督 Babak Jalali (ババク・ジャラリ) が、Jim Jarmusch (ジム・ジャームッシュ) 監督作品をインスピレーション源に製作した作品。『Los Angeles Times』誌では「アメリカのインディペンデント映画を刷新した」とコメントされ、世界で話題を集めている。本作の主人公は、カリフォルニア州のフォーチュンクッキー工場で働く女性・ドニヤ。アパートと工場を往復するだけの単調な生活を送る彼女は、ある日、クッキーのメッセージを書く仕事を任される。一つだけ自分の電話番号を書いたものをこっそり紛れ込ませると、とある男性から「会いたい」とメッセージが届いて……。フォーチュンクッキーをきっかけに、孤独な女性が一歩踏み出す姿をユーモアたっぷりに描いた本作。オフビートな世界観がモノクロームの映像とマッチし、タイムレスな魅力を放つ。ドニヤ役を演じた Anaita Wali Zada (アナイタ・ワリ・ザダ) は、映画初出演にして初主演に抜擢。また大人気ドラマシリーズ「一流シェフのファミリーレストラン」で一躍有名になり、今年も新たな出演作に期待が高まっている Jeremy Allen White (ジェレミー・アレン・ホワイト) がキーパーソンとして物語に華を添える。たった一言のメッセージが新たな運命を切り開いていくストーリーが、未来へのささやかな希望を照らす。
公開日: 6月27日(金)
監督: Babak Jalali
出演: Anaita Wali Zada、Jeremy Allen White、Gregg Turkington (グレッグ・ターキントン)
HP: mimosafilms.com/fortunecookie
『カーテンコールの灯』

©2024, Ghostlight LLC.
壊れた家族の再生、深く傷ついた心の癒し、現代では希薄になっている温かい交流など、普遍にして切実なテーマを、斬新なアイデアと心温まるユーモアで包み込んだ珠玉のヒューマンドラマ。物語の中心は、ある悲しい出来事を経験し、離れ離れになりかけている親子3人家族。建設作業員として働く父親のダンは、とある悲劇から家族とすれ違いの日々を送っていた。そんな時、とある出会いからアマチュア劇団の「ロミオとジュリエット」に参加することに。個性豊かな団員に囲まれ、自分の居場所を見出していくダン。すると突然ロミオ役に抜擢され、自身の過去の傷と重なる役に戸惑いながら、家族や仲間の思いを乗せた舞台がついに幕を開く。共同で監督を務めた Kelly O’Sullivan (ケリー・オサリバン) と Alex Thompson (アレックス・トンプソン) は、とある家族が希望のありかを探し求めていく軌跡を、誰もが知る「ロミオとジュリエット」に重ね合わせ、現実と虚構、実生活と演劇をクロスオーバーさせた。過去にもタッグを組んだ2人の持ち味がパワーアップされた、笑いと涙を誘う愛おしい一作をスクリーンで見届けて。
公開日: 6月27日(金)
監督: Kelly O’Sullivan、Alex Thompson
出演: Keith Kupferer (キース・カプフェラー)、Katherine Mallen Kupferer (キャサリン・マレン・カプフェラー)、Tara Mallen (タラ・マレン)
HP: amg-e.co.jp/curtaincall
『灰となっても』

©rather be ashes than dust limited
2019年、香港で起きた民主化を求める大規模な抗議運動を記録したドキュメンタリー。2014年に普通選挙の実施を要求して発生した雨傘運動に続き、香港では逃亡犯条例改正案に反対するデモなど、市民と警察の衝突は日を増すごとに激しさを増していった。街中には催涙弾、ゴム弾、火炎瓶の炎などが散乱。Alan Lau (アラン・ラウ) 監督は、その様子を最前線でカメラに収めた。香港の若い世代が持つ勇敢さと恐れを知らない心、一方で香港警察当局の冷酷さと残虐性をリアルに映し出していく。監督は「香港で何が起こったのか、そして香港の今後はどうなるのか知ってもらいたい」と語り、1000時間以上の映像から本作を制作。ジャーナリスト的な視点も持ちながら、ニュース報道のみでは伝えきれない現場の生々しい衝撃を突きつける。本作の原題『寧化飛灰』は、「塵として朽ちるよりも、灰となっても燃え尽きる方がいい」という意味。痛ましいほどに苦しい香港の抗議活動たちの人生が灰となっても、消えることのないように。今では自由に発言することの出来ない香港市民の真実の声と覚悟を込めた一作が、今放たれる。
公開日: 6月28日(土)
監督: Alan Lau
HP: ratherbeashesthandust.com
『メガロポリス』

©2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED
数々の傑作を生み出し、もはや伝説的ともいわれる名匠 Francis Ford Coppola (フランシス・フォード・コッポラ) が、構想に40年を費やした大作をリリース。自身の所有するワイナリーを売却し、私財186億円を投入したという『メガロポリス』は、2024年カンヌ国際映画祭で初披露され、鳴り止まぬスタンディングオベーションが起こり話題騒然となった。本作の背景にあるのは、近未来アメリカをローマ帝国に見立てた SF 世界。時は21世紀、アメリカ共和国の大都市ニューローマでは、富裕層と貧困層の格差が大きな社会問題となっていた。主人公の天才建築家カエサル・カティリナは、誰もが幸せに暮らすことのできる理想郷メガロポリスの開発を推進する。だが、その創造は一筋縄にはいかず、彼は絶体絶命の危機に直面。カエサルの運命の行方はどうなるのか。本作は単なるフィクションにとどまらず、現代の社会問題を色濃く反映。今を生きる我々に、人類の未来の在り方を鋭く問われているようだ。壮大な SF 叙事詩を圧倒的な映像美と、主演の Adam Driver (アダム・ドライバー) 率いる豪華俳優陣でお届け。Francis Ford Coppola の集大成が解き放たれる。
公開日: 6月20日(金)
監督: Francis Ford Coppola
出演: Adam Driver、Giancarlo Esposito (ジャンカルロ・エスポジート)、Nathalie Emmanuel (ナタリー・エマニュエル)
HP: hark3.com/megalopolis
『ルノワール』

©2025「RENOIR」製作委員会+International Partners
『PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭でカメラドール特別賞を受賞し、同年のアカデミー賞日本代表として選出するなど、世界各国の映画祭でノミネートされた経歴を持つ早川千絵による最新作。バブル絶頂期にあった1980年代のある夏を舞台に、11歳の少女フキが大人の世界を垣間見ながら、人々のさまざまな感情に触れていく物語。フキは夏休むを迎え、得意の想像力を膨らませながら自由気ままな毎日を過ごしていた。一方母は仕事に追われ、父は闘病中。両親の間には、いつしか大きな溝が生まれ、フキの日常も否応なしに揺らいでいく。子どもながらに見る周囲の大人たちの複雑な世界は、どこか刺激的で滑稽だった。少女があらゆる感情を捉え、少しずつ成長する様子を繊細な眼差しで切り取った本作。現在、期待の演技派俳優として注目されている鈴木唯は、フキが初めて触れていくあらゆる感情を巧みに表現。そして、1986年にデビューしてからあらゆる役柄を演じてきた石田ひかり、日本を代表する俳優の1人であるリリー・フランキー、数々の話題作に出演し、強い存在感放つ河合優実など、実力派たちが脇を固める。不完全な大人と子どもの間で揺れながら成長していく少女をみずみずしく描いた本作を、ぜひスクリーンで体感してほしい。
公開日:6月20日(金)
監督: 早川千絵
出演: 鈴木唯、石田ひかり、中島歩、河合優実、坂東龍汰
HP: happinet-phantom.com/renoir
『突然、君がいなくなって』

©Compass Films,Halibut,Revolver Amsterdam,MP Filmska Produkcija,Eaux Vives Productions,Jour2Fete,The Party Film Sales
北欧の島国・アイスランドの首都レイキャビクで、愛する人を失った女性の喪失感と、秘密を抱える孤独を描いたドラマ作品。美大生のウナには恋人ディッディがいる。だが、彼には遠距離恋愛中の恋人クララがいるため、2人の関係は秘密だった。ある日彼はクララに別れを告げに行くが、道中事故に巻き込まれる。ウナが誰にも真実を話すことができない孤独感、行き場のない気持ちに翻弄されるなか、クララがある思いをウナに打ち明けるのだった。愛する人を失ったことで近づいていく2人の距離。誰もが経験しうる誰もが経験しうる身近な人の不在、集団の中での個の儚く美しい繋がりを、狂おしいほどの緊迫感と繊細さで映し出した。監督は、これまで3つの長編作品で世界中の映画祭に招待され、注目を集めてきた Runar Runarsson (ルーナ・ルーソン)。北欧らしい白夜のひとときや海沿いを照らす幻想的な光、そしてアイルランドを代表する近代建築を16mmフィルムで捉えた。息を呑む映像美と、別れ、もどかしさを抱える主人公の姿が、観る者の心を鋭く貫く作品。
公開日:6月20日(金)
監督: Runar Runarsson
出演: Elin Hall(エリーン・ハットル)、Mikael Kaaber (ミカエル・コーバー)、Katla Njalsdottir(カトラ・ニャルスドッディル)
HP: bitters.co.jp/totsuzen
『親友かよ』

©2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
アジアの A24 と称されるタイの映画会社 GDH 559 が製作を手がけた、みずみずしい青春映画。高校生達が嘘から始まった映画づくりに熱中し、友情、恋、ものづくりへの初期衝動を経験していく様子を繊細に紡ぎ出す。物語に登場するのは、高校三年生たち。転校をしたペーは、隣の席になった人懐っこいジョーと出会うが、彼は不慮の事故で亡くなってしまう。ペーはある日ジョーのエッセイを見つけ、それをもとに短編映画を作ることに。「ジョーは親友だった」と嘘をつくペー、嘘を唯一知るポーケー、映画オタク達など、撮影は次第に学校全体を巻き込んでいく。そして、ジョーの思いもよらない秘密が明らかになる。徐々に壮大になっていく映画づくり奮闘記から一転し、親友の秘密を知った主人公が辿り着いた答えとは。青春のクライマックスを凝縮した本作は、観る者すべてを「2度と戻らないあの頃」へと誘い、ノスタルジーを掻き立てる。タイ発の注目作品であり、Atta Hemwadee (アッター・ヘムワディー) の監督デビュー作をぜひチェックしてみて。
公開日: 6月13日(金)
監督: Atta Hemwadee (アッター・ヘムワディー)
出演: Anthony Buisseret (アンソニー・ブイサレート)、Pisitpol Ekaphongpisit (ピシットポン・エークポンピシット)、Thitiya Jirapornsilp (ティティヤー・ジラポーンシン)
HP: notfriends.jp
『ラ・コシーナ 厨房』

©COPYRIGHT ZONA CERO CINE 2023
ニューヨークの大型レストランの厨房で目まぐるしく働く人々のストレス、新たなトラブルに見舞われる緊張感をリアルに照らしたドラマ作品。メガホンをとったのは、気鋭のメキシコ人監督 Alonso Ruizpalacios (アロンソ・ルイスパラシオス)。約70年前の戯曲「調理場」を原作に、今も昔も変わらない国同士の格差と埋まらない溝を盛り込んだ。ストーリーは、いつもと変わらぬ忙しい1日から始まる。その日の朝、前日の売上金の一部が消えたことが判明し、店の全フタッフに盗難の容疑がかけられる。全スタッフのストレスは爆発寸前。無事に1日が終えられるのだろうか……。本作の見どころは、監督が一貫して用いてきたドキュメント手法。厨房内を行き交う見事なカメラワークで魅せる14分間ノーカットシーンは圧巻だ。ヒリヒリとスタッフを追い詰めていく空気感は、スクリーンを超えて劇場をも包み込むだろう。
公開日: 6月13日(金)
監督: Alonso Ruizpalacios
出演: Raul Briones (ラウル・ブリオネス)、Rooney Mara (ルーニー・マーラ)、Anna Diaz (アンナ・ディアス)
HP: sundae-films.com/la-cocina
『舟に乗って逝く』

©2023 Fractal Star Film Production Co., Ltd., Infinina Media Co., Ltd.
1994年生まれの若手監督チェン・シャオユーが長編監督・脚本デビュー。台湾の Edward Yang (エドワード・ヤン) 監督を愛し、日本の小津安二郎監督に影響され、チベットの名匠 Pema Tseden (ペマ・ツェテン) 監督に指導を受け、「真実」を描くことの大切さを本作に込めた。彼が舞台にえらんだのは、自身の故郷・徳清。たくさんの運河があり、かつては舟が生活の要だった町を背景に家族の物語を紡ぎ上げた。主人公の母親は舟で嫁入りをし、自分の居場所としてこの地に根付いてきた。そんな母がある日、重い病気に見舞われ余命宣告を受ける。その治療を巡って、アメリカ人の夫とともに上海で暮らす長女と、旅のガイドをしながら風来坊のように暮らす弟の意見は食い違う。老齢の母とそれぞれの事情を抱える娘と息子、そして周囲の家族たちをリアルに捉えていく。誰にでも訪れる、極限まで現実と地続きで描かれる本作は、観る者に圧倒的な共感を与えるだろう。
公開日: 6月13日(金)
監督: チェン・シャオユー
出演: ゴー・ジャオメイ、リウ・ダン、ウー・ジョウカイ
HP: fune.moviola.jp
『雪解けのあと』

2017年、ネパールの山岳地帯で命を落とした親友をめぐる、喪失と再生の山岳ドキュメンタリー。47日間にわたり遭難していた2人は、1人は救助され、もう1人は発見されるわずか3日前に亡くなった。そして本作を手がけた Lo Yi-Shan (ルオ・イシャン) 監督は、本来ならば彼らと同行するはずだった。19歳で亡くなったチュンは、40日を超す想像しがたい洞窟での野営で、イシャンへの手紙や人生に対する賛歌を数百ページにもわたって書き記していた。その記録は、生き延びたユエと残されたイシャンを苦しめたが、彼らを未来に踏み出す大きなきっかけでもあった。そしてイシャンは、チュンの見た風景と足跡を追うため、ネパールに1人旅立った。事故から7年後に完成した本作は、世界各地の映画祭に放たれるとたちまち深い感動を呼んだ。人を愛すること、大切な人の死を悼むことを赤裸々に綴った本作は、観る者の心を大きく動かし、その感動は深く静かに沁み渡るだろう。
公開日: 6月14日(土)
監督: Lo Yi-Shan (ルオ・イシャン)
HP: yukidokenoato.com
『国宝』

©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
『悪人』、『怒り』に続き吉田修一による小説を映像化してきた李相日監督が、今回は誰もみたことのない禁断の世界「歌舞伎」をテーマにした作品を実写化。本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。美しい顔を持つ喜久雄は、父を抗争で失った後、上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎に引き取られる。そこで半二郎の実の息子、俊介に出会う。将来を約束された御曹司の俊介と、彼とは正反対の血筋を受け継ぐ喜久雄。2人はライバルとして互いを高め合うが、多くの出会いと別れによって彼らの運命は大きく変わっていく。主人公・喜久雄を演じるのは、美貌と圧倒的演技力を併せ持つ吉沢亮。そしてそのライバルである俊介には、アカデミー賞をはじめ数々の受賞歴を持つ横浜流星。さらに世界的俳優と名高い渡辺謙も顔を連ね、日本を代表する豪華俳優陣が集結した。美しい伝統芸能の世界の裏にある信頼と裏切り、歓喜と絶望。芸の世界にしがみつき、激動の時代を生き抜く者たちの壮絶な人生が、観る者の魂を震わせる。
公開日: 6月6日(金)
監督: 李相日
出演: 吉沢亮、横浜流星、高畑充希
HP: kokuhou-movie.com
『We Live in Time この時を生きて』

©2024 STUDIOCANAL SAS – CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
アカデミー賞®で3部門にノミネートされた『ブルックリン』で知られる John Crowley (ジョン・クローリー) 監督の最新作。限られた時間の尊さと儚さ、そして美しさを思い出させてくれる、愛に満ちた物語。主人公の一流シェフ、アルムートは、余命宣告を受ける。「最高に前向きな時間を過ごす」とパートナーのトビアスに誓い、一瞬一瞬を大切にしながら家族との日々を紡いでいく。さらに残された時間を輝かせるため、アルムートは型破りの挑戦に出る。自由奔放で愛くるしいアルムートを演じたのは、日本でも人気高い女優 Florence Pugh (フローレンス・ピュー)。そして慎重派のトビアスは、過去に2度アカデミー賞®にノミネートされた経歴を持つ Andrew Garfield (アンドリュー・ガーフィールド) が務めた。本作は、心がときめく素晴らしい日や最悪な日、その瞬間を、時間軸をシャッフルしながら描いていく。大切な人との時間は永遠ではなく、かけがえのない時間をどのように生きていくかという問いに対し、愛情表現豊かに応える本作に、背中を押される人は多いはず。
公開日: 6月6日(金)
監督: John Crowley (ジョン・クローリー)
出演: Florence Pugh、Andrew Garfield、Grace Delaney (グレース・デラニー)
HP: wlit.jp
『MaXXXine マキシーン』

©2024 Starmaker Rights LLC. All Rights Reserved.
今、世界が最も注目するスタジオ A24 が贈る、80年代ハリウッドの暗黒面を描くスターダム・スリラー・エンターテイメント。本作は『X エックス』『Pearl パール』に続く最新作で、本スタジオ初となる三部作シリーズのラストを飾る。ストーリーの舞台は、1985年ハリウッド。ポルノ界で人気を集めた女優マキシーンは本物のスターになるため、LA を訪れていた。一方その頃、ニュースでは連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」の報道がやまない。彼女の周りでも女優仲間が次々と殺される事件が相次ぎ、その恐怖の影は、マキシーンにも忍び寄るのだった。本作のストーリーは、『X エックス』で描かれたテキサスでの凄惨な猟奇的殺人事件の現場から、ただ一人逃げのびた主人公マキシーンの6年後からはじまる。主演には、同作ではマキシーン役を、『Pearl パール』では無垢なシリアル・キラー、パール役の両方を演じた Mia Goth (ミア・ゴス) を抜擢。大胆不敵なニューヒロインがハリウッドで暴れ回り、観客を魅了。さらに、『TENET テネット』で知られる Elizabeth Debicki (エリザベス・デビッキ)、Netflix超人気ドラマ「エミリー、パリへ行く」シリーズで主演を務めた Lily Collins (リリー・コリンズ) など、自ら「本シリーズの大ファン!」と表明する最旬豪華キャストが名を連ねる。A24 発の最も爽快で最もクールなニューヒロインの誕生を、ぜひ劇場で見届けて。
公開日: 6月6日(金)
監督: Ti West (タイ・ウェスト)
出演: Mia Goth、Elizabeth Debicki、Moses Sumney (モーゼス・サムニー)
HP: happinet-phantom.com/maxxxine
『年少日記』

©ALL RIGHTS RESERVED (C) 2023 ROUNDTABLE PICTURES LIMITED
現代中国を舞台に、厳格な家庭環境と競争社会の中で育った少年の心の傷と、その後の人生を写し出すドラマ作品。中華版アカデミー賞とも呼ばれる金馬奨にて、観客賞と最優秀新人監督賞を受賞した話題作だ。ストーリーは、高校教師のチェンが、生徒の自殺をほのめかす遺書を発見することから展開される。その内容と彼の幼少期が重なり、チェンは自身の過去と向き合い始める。それは自分とは対照的な兄の記憶だった。弁護士である父に育てられ、勉強もピアノも上手にできなかった兄は家庭内で常に叱責され、体罰を受けていた。兄の苦しみを目の当たりにしながらも何もできなかった自分を責め続けていたチェンは、少年の遺書をどのように受け止めるのだろうか。本作で監督デビューを果たした Nick Cheuk (ニック・チェク) は、苛烈な競争を強いられる子ども達のプレッシャー、家庭内暴力など社会問題に鋭く切り込み、痛切な苦しみを繊細に表現。本作は観る者にとって、過去の後悔や家族との関係、現代社会の在り方を深く考えるきっかけを与えてくれる作品になるだろう。
公開日: 6月6日(金)
監督: Nick Cheuk
出演: Lo Chun-yip (ロー・ジャンイップ)、Ronald Cheng (ロナルド・チェン)、Sean Wong (ショーン・ウォン)
HP: klockworx.com/nensyonikki
『我来たり、我見たり、我勝利せり』

©2024 Ulrich Seidl Filmproduktion GmbH
資本主義の終末的世界を極度にシニカルなユーモアで描く、「胸クソ」映画の最高峰がオーストリアから日本に上陸。「ユーモアは危険な時に最高に力を発揮する」という信念を持つ気鋭の監督デュオ Daniel Hoesl (ダニエル・ヘースル) と Julia Niemann (ユリア・ニーマン) が、観る者に笑いと怒りを同時に起こさせる。本作でフォーカスするのは、莫大な富を持ち、幸福で充実した生活を送るマイナート家。一家の長であるアモンは、趣味である狩りに興じる。だが、狩りの対象は動物ではなく、人間だった。そして父親の傍若無人な振る舞いを目の当たりにしながら、着実に上級国民としての振る舞いを身につけている娘パウラは、ある日、父親と狩りに行きたいと言い始める。本作は、金持ちの無敵さを極限まで押し上げ、歯止めがないシステムの結末と、自分の行動に責任を持たない世界の危険性を表現。だがしかし、富を持つ者が支配力を持ち、法で裁くことができないような世界は、我々にとって他人事ではないかもしれない。その挑発的な視点、人間への深い洞察力を受け継ぐ若き才能たちが活躍するオーストリア映画から目が離せない。
公開日: 6月6日(金)
監督: Daniel Hoesl、Julia Niemann
出演: Laurence Rupp (ローレンス・ルップ)、Ursina Lardi (ウルシーナ・ラルディ)、Olivia Goschler (オリビア・ゴシュラー)
HP: hark3.com/vvv
『秋が来るとき』

©2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME
カンヌ、ベルリン映画祭の常連、Francois Ozon (フランソワ・オゾン) 監督の最新作。フランス映画の名匠が新たに手がけたのは、自然豊かなフランス・ブルゴーニュの秋を舞台とした人生ドラマ。監督が幼い頃に毎年訪れていた町で、彼自身の思い出を着想源に制作した。主人公は80歳の女性ミシェル。たまの休暇に孫と会うことを楽しみに、家庭菜園をし、親友と森を散歩しながら語らう日々。彼女はささやかな日常を守り抜くため、ある秘密を守り抜く決心をする。美しいブルゴーニュの景観を背景に、後ろめたい過去を抱えつつも人生の終盤を生き抜く強さ、親友を信じる絆と愛情を繊細に写し出す。そしてサスペンス的な要素も垣間見える演出は、成熟した大人や映画ファンに新たな感覚をもたらすだろう。また、キャスト陣には新旧のオゾン・ファミリーが一堂に集結。熟練の演技力が光る、Francois Ozon ファン必見の一作。
公開日: 5月30日(金)
監督: Francois Ozon
出演: Helene Vincent (エレーヌ・バンサン)、Josiane Balasko (ジョジアーヌ・バラスコ)、Ludivine Sagnier (リュディビーヌ・サニエ)
HP: longride.jp/akikuru
『マリリン・モンロー 私の愛しかた』

©2023-FRENCH CONNECTION FILMS
長年に渡りセクシーアイコンとして知られるマリリン・モンロー。彼女のスキャンダラスで野心的な生涯を新たな見解で辿ってゆくドキュメンタリーが誕生した。マリリン・モンローは幼い頃性的虐待を受けた過去を乗り越え、モデルとしてのキャリアをスタート。ヌード写真が流出したピンチもチャンスに変え、女優としてさまざまな賞を獲得したが、人気絶頂期にすべてを捨てて演技を一から学び直した。そして、当時では珍しかった個人プロダクションを設立するなど、常に男性優位の社会で戦い続けた。女優として、ファッションアイコンとして、そして自らのイメージを完璧にコントロールしたビジネスウーマンとしての多彩な才覚は、現在再評価されつつある。マリリン・モンローの素顔と色褪せることのない魅力、力強い人生を紐解く、時代を超えたドキュメンタリー作品。
公開日: 5月30日(金)
監督: Ian Ayres (イアン・エアーズ)
出演: Marilyn Monroe (マリリン・モンロー)、Tony Curtis (トニー・カーティス)、Jerry Lewis (ジェリー・ルイス)
HP: marilynmonroe.ne.jp
『サブスタンス』

©2024 UNIVERSAL STUDIOS
『ゴースト ニューヨークの幻』でヒットしたスター女優 Demi Moore (デミ・ムーア) を主演に迎え、若さを再び手に入れようとする元トップ女優の波乱な運命を描いた異色のホラーエンターテイメント。主人公は、50歳の誕生日を迎えた元人気女優エリザベス。容姿の衰え、仕事の減少から、新しい再生医療「サブスタンス」を受けることに。自分の殻を破るように現れたのは、自分と上位互換の存在スーだった。エリザベスの経験を持ったまま若く美しい容姿のスーは一気にスターダムへと駆け上がる。一つの魂をシェアして生きる2人は1週間ごとに入れ替わる生活を送っていたが、スーがタイムシェアリングのルールを破り始める。弾けるような若さと美しさで Demi Moore に対峙したのは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演歴のある Margaret Qualley (マーガレット・クアリー)。Demi Moore の圧倒的怪演と、予測不可能なラストが、観客をこれまでにない映画体験へと導く。
公開日: 5月16日(金)
監督: Coralie Fargeat (コラリー・ファルジャ)
出演: Demi Moore、Margaret Qualley、Dennis Quaid (デニス・クエイド)
HP: gaga.ne.jp/substance
『ガール・ウィズ・ニードル』

©NORDISK FILM PRODUCTION / LAVA FILMS / NORDISK FILM PRODUCTION SVERIGE 2024
現在は「幸せの国」として知られるデンマークで、第1次世界大戦直後に起こった連続殺人事件を描く。舞台は首都のコペンハーゲン。お針子として働くカロリーネは、アパートの家賃が支払えず困窮していた。やがて勤め先の工場長と恋に落ちるも、身分違いの恋は実らず、妊娠していたにも関わらず捨てられ、さらに失業。ある日、表向きはキャンディショップを経営、裏では養子縁組斡旋所を経営している女性ダウマと出会う。カロリーネは乳母の役割を引き受け、2人の絆は強まっていくが、やがて彼女は悪夢のような世界を知ることになる。監督・脚本を手掛けたのは『波紋』『スウェット』といった鋭い視点の作品で世界的注目を集める Magnus von Horn (マグヌス・フォン・ホーン)。漆黒の映像美と徐々に闇が色濃くなる展開、心理的恐怖を煽る音響で、観客を妖しくも魅力的な闇の世界へと誘う。2024年カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映されると話題騒然、ポーランド映画祭では過去最多の11冠を受賞。本当の罪とは何なのか、怪物は誰なのか。人間の闇と光に迫る、新たなゴシック・ミステリー。
公開日: 5月16日(金)
監督: Magnus von Horn
出演: Vic Carmen Sonne (ビク・カルメン・ソンネ)、Trine Dyrholm (トリーヌ・ディルホム)、Besir Zeciri (ベシーア・セシーリ)
HP: transformer.co.jp/needlemovie
『クィア/QUEER』

©2024 The Apartment S.r.l., FremantleMedia North America, Inc., Frenesy Film Company S.r.l. © Yannis Drakoulidis
『君の名前で僕を呼んで』では、ひと夏の恋を詩的に描いた Luca Guadagnino (ルカ・グァダニーノ) 監督が新たに手がけたのは、あまりに一途に、大切な人と愛を分かち合いたいと切望する男の物語。舞台は1950年代、メキシコシティ。退屈な日常を過ごすアメリカ人駐在員のウィリアム・リーは、若く美しくミステリアスな青年ユージーン・アラートンに一目で恋に落ちる。ユージーンを求めれば求めるほど孤独が増していくリーは、2人で奇跡の体験をしようと、ユージーンを幻想的な南米への旅へと誘い出す。愛を見つけ、途方も無い孤独に溺れるリーを演じるのは、『007』シリーズの主人公、ジェームズ・ボンドの鎧を脱ぎ捨てた新生 Daniel Craig (ダニエル・クレイグ)。そしてユージーン役には、映画ファンの中で話題沸騰中の Drew Starkey (ドリュー・スターキー) を抜擢。一心に愛を求め、もがき、惹かれ合う2人。誰もが彼らの情熱と葛藤に、翻弄されるはず。
公開日: 5月9日(金)
監督: Luca Guadagnino
出演: Daniel Craig、Drew Starkey、Jason Schwartzman (ジェイソン・シュワルツマン)
HP: gaga.ne.jp/queer