今週のTFP的おすすめ映画
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おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
『箱の中の羊』
©2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.
『怪物』『万引き家族』の是枝裕和監督が、綾瀬はるかとお笑いコンビ「千鳥」の大悟を主演に迎え、亡き息子の姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の物語をオリジナル脚本で描いた長編映画。物語の舞台は少し先の未来。建築家の甲本音々とその夫で工務店の2代目社長を務める健介は、2年前に亡くした息子・翔の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。翔と同じ笑顔と声をした彼を音々が喜んで迎える一方で、健介は戸惑いを隠しきれず硬い表情を浮かべる。家族の時間は少しずつ動き出すが、やがて予期せぬ事態が起こり、夫婦が息子の死に対してそれぞれ抱えていた想いがあらわになっていく。そんな中、翔はひそかにヒューマノイドの仲間たちとつながりはじめる。夫婦の亡き息子・翔役には、オーディションで選ばれた桒木里夢を抜擢。音々の妹・小滝亜利寿役で清野菜名、健介が経営する工務店タマケンの従業員・日高玄役で寛一郎などが共演。人間とヒューマノイド、その境界線を静かに問いかけながら、家族とは何かを見つめ直す是枝裕和監督最新作。喪失の先にある希望と痛みを繊細に描き出す本作は、観る者の心に深い余韻を残してくれる。
公開日: 5月29日(金)
監督: 是枝裕和
出演: 綾瀬はるか、大悟、桒木里夢
HP: gaga.ne.jp/hakononakanohitsuji
『マテリアリスト 結婚の条件』
Copyright 2025 © Adore Rights LLC. All Rights Reserved
『パスト ライブス 再会』の Celine Song (セリーヌ・ソン) が監督・脚本を手がけ、Dakota Johnson (ダコタ・ジョンソン) や Pedro Pascal (ペドロ・パスカル) などの豪華キャストが集結。現代の婚活市場を舞台に男女の三角関係を美しい映像でつづったラブストーリー。ニューヨークの結婚相談所で、マッチメーカーとして働くルーシーは、多くのカップルの結婚を成立させ、「天性の婚活カウンセラー」と上司から絶賛される。そんな彼女自身は、恋愛を感情だけではなく、資産価値で判断するマテリアリスト (物質主義者) であり、このまま独身を貫こうと考えていた。仕事一筋の多忙な日々を送っていた彼女は、マッチングさせたカップルの結婚式で出会った裕福な投資家ハリーから情熱的なアプローチを受ける。その一方で、ルーシーはその披露宴でウェイターをしていた元恋人ジョンと再会。ジョンとは互いに愛し合っていたが、俳優を目指してアルバイトを転々とする彼との貧乏な暮らしに耐えきれず破局したのだった。家柄も人柄も学歴も完璧なハリーとの交際に踏み出すルーシーだったが、夢を諦めないジョンへの思いも再燃してしまう。そんな中、クライアントが事件に巻き込まれ、ルーシーは仕事でも恋愛でも岐路に立たされる。本作で主演を飾るのは、Luca Guadagnino (ルカ・グァダニーノ) 監督の『サスぺリア』などで知られる Dakota Johnson (ダコタ・ジョンソン)。さらに、『キャプテン・アメリカ』シリーズの Chris Evans (クリス・エバンス) や、Ari Aster (アリ・アスター) 監督の『エディントンへようこそ』の Pedro Pascal (ペドロ・パスカル) などが名を連ねる。恋愛、結婚、そして人生の選択といった、現代を生きる人々のリアルな価値観を映し出しながら、心の奥に残る愛のかたちを描いた本作。洗練された映像と繊細な感情表現が交差する、余韻深いラブストーリーがスクリーンに放たれる。
公開日: 5月29日(金)
監督: Celine Song
出演: Dakota Johnson、Chris Evans、Pedro Pascal
HP: happinet-phantom.com/materialists
『ジェイムズ・ブッカー 愛すべきピアノ・ジャンキー』
(C)2016 BAYOU MAHARAJAH,LLC (C)Anton Corbijn
『Bayou Maharajah』や『Buckjumping』などの長編ドキュメンタリー映画で知られる Lily Keber (リリー・キーバー) が手がけ、天賦の才に恵まれながらも薬物中毒や精神疾患を抱え43歳で早逝した孤高のピアニスト James Booker (ジェイムズ・ブッカー) の生涯を描いた音楽ドキュメンタリー。1939年にニューオーリンズで生まれたジェイムズ・ブッカーは、クラシックからジャズ、R&B、ロックなどのジャンルを横断するパフォーマンスで数々の大物ミュージシャンたちと共演し、ソロ活動でも高く評価された。その一方で、薬物・アルコール中毒や躁うつ病など多くの問題を抱える破天荒な人物としても知られ、1983年にヘロインとアルコール常習による腎不全で43歳でこの世を去った。本作では、James Booker 本人の貴重な演奏シーンをふんだんに盛り込みながら、Dr. John (ドクター・ジョン)、Allen Toussaint (アラン・トゥーサン)、Charles Neville (チャールズ・ネビル) らニューオーリンズを代表するミュージシャンたちが思い入れを込めて語り、ニューオーリンズと音楽の神に愛された男の人生をひも解いていく。才能に溢れ、薬物に溺れた天才ピアニストの全貌に迫ったドキュメンタリーを見逃すな。
公開日: 5月29日(金)
監督: Lily Keber
出演: James Booker、Dr. John、Harry Connick Jr. (ハリー・コニック・ジュニア)
HP: james-booker.com
『日泰食堂』
香港の離島・長洲にある小さな食堂を舞台に、そこに集う島民たちの姿を通して変わりゆく世界を見つめたドキュメンタリー。香港島から船で南西に30分ほどの場所に位置する小さな島・長洲。漁村としても知られるこの島の港には色とりどりの船が浮かび、穏やかな時間が流れる。そんな島にある小さな食堂「日泰食堂」は、島民たちでいつも賑わっている。島の人々はこの店に集まっては、ビールを片手にトランプやマージャンに興じる。しかし、社会の変化や市民の熱気は香港から離れた島にも伝わり、食堂の常連客たちも無関心ではいられない。テレビを見つめる店主、懸命に情報を追う若者たちなど、それぞれの立場や距離感で、時代のうねりを受け止めていく。やがて世界中を覆ったパンデミックは、この食堂にも大きな影響を及ぼしていく。監督は、本作が初の長編ドキュメンタリー作品となる Frankie Sin (フランキー・シン)。長洲出身で自身も日泰食堂に通い詰めていた Frankie Sin 監督が、家族のように接していた人たちが時代の変化とどのように向き合い、日々の営みを重ねてきたのかを丁寧に映し出す。
公開日: 5月30日(土)
監督: Frankie Sin
HP: nittai-shokudo.com
『OXANA 裸の革命家・オクサナ』
© 2024 – Rectangle Productions – 2.4.7. Films – Hero Squared – France 3 Cinéma – Tabor Ltd
ウクライナのフェミニスト活動団体「FEMEN (フェメン)」の共同創設者として知られる活動家で芸術家の Oksana Shachko (オクサナ・シャチコ) の人生を描いたドラマ。監督は、2020年の長編デビュー作『スラローム 少女の凍てつく心』でスポーツ界における性暴力の実態を描き国際的に注目を集めたフランスの新鋭 Charlene Favier (シャルレーヌ・ファビエ) が手がけた。2002年、ウクライナ西部の街フメリニツキー。アルコール依存症の父とそれを献身的に支える母と暮らすオクサナはイコン画を描いて家計を支えていたが、教会からの不当な扱いや根深い男尊女卑がはびこる社会の理不尽に耐えきれなくなり家を飛び出す。2008年、街頭討論で出会った仲間たちとともにフェミニスト活動団体「FEMEN」を結成した彼女は、翌年、首都キーウでセックスツーリズム撲滅を訴えるなかで注目を集めるために上半身を脱ぎ、自らの身体を「戦闘服」として使う表現にたどり着く。やがて活動は国境を越え、2011年にはベラルーシでルカシェンコ政権に抗議して拘束と拷問を受け、モスクワではプーチンへの抗議で重傷を負う。「FEMEN」に対する監視と弾圧が激化するなか、オクサナは政治難民としてパリへ逃れる決断を迫られる。本作の主演を務めるのは、戦禍のウクライナでオンラインオーディションにより見いだされた映画初主演となる Albina Korzh (アルビーナ・コルジ)。Oksana Shachko を単に英雄としてではなく、迷い、傷つき、立ち上がり続けたひとりの人間として描いた本作。彼女の軌跡を通して、自由とは何か、闘うとはどういうことかを観る者に問いかける、いまの時代にこそ観るべき作品が誕生した。
公開日: 5月22日(金)
監督: Charlene Favier
出演: Albina Korzh、Maryna Koshkina (マリア・コシュキナ)、Lada Korovai (ラダ・コロバイ)
HP: cinema.starcat.co.jp/oxana
『ヴィヴァルディと私』
©2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS
18世紀初頭、作曲家 Antonio Vivaldi (アントニオ・ヴィヴァルディ) がベネチアのピエタ院にバイオリン教師として赴任した実話を題材に、孤独な少女の成長と、己の才能が評価されることを渇望する Antonio Vivaldi の内なる野望を映し出したドラマ。1716年、ベネチアのピエタ院にて、母の姿も愛情も知らないまま育ったチェチリアは、毎晩こっそりベッドから抜け出しては宛名のない母への手紙をつづっていた。ピエタ院から出て外の世界で暮らすには、母が迎えに来るか、貴族と結婚するしかない。そんな中、ピエタ院にバイオリン教師として赴任したアントニオ・ヴィヴァルディは、チェチリアの卓越したバイオリン技術を見出した。チェチリアはヴィヴァルディのもとで厳しい練習に耐えながらバイオリンの腕を磨き、いつしか2人は心を通わせるようになる。しかし、ピエタ院がチェチリアの結婚相手に定めた将校が戦争から戻り、やがて事件が起こる。イタリアのテレビドラマ『アート・オブ・ジョイ』で注目された Tecla Insolia (テクラ・インソリア) がチェチリア、『眠れる美女』の Michele Riondino (ミケーレ・リオンディーノ) がヴィヴァルディを演じた。監督・脚本を手がけたのは、イタリアを代表するオペラ演出家である Damiano Michieletto (ダミアーノ・ミキエレット)。音楽に情熱を捧げ、それぞれの夢を追い求める師弟の姿を描いた物語がスクリーンに放たれる。
公開日: 5月22日(金)
監督: Damiano Michieletto
出演: Tecla Insolia、Michele Riondino、Andrea Pennacchi (アンドレア・ペンナッキ)
HP: vivaldi.ayapro.ne.jp
『いろは』
©2026 BLUE.MOUNTAIN
『ぜんぶ、ボクのせい』『ある船頭の話』などで知られる川島鈴遥と、『アイスと雨音』で注目を集めた森田想が姉妹役を演じ、長崎県を舞台に2人の旅路を描いたロードムービー。監督は『おいしくて泣くとき』で知られ、長崎県佐世保市出身である横尾初喜が手がける。実家の茶舗を手伝いながら暮らしているものの、将来が不透明で今の自分に納得のいかない22歳の伊呂波。ある日、5年ぶりに自由奔放で恋愛体質な姉・花蓮が帰ってくる。そんないつも人生を大胆に選んできた姉は「妊娠したが、父親が誰かわからない」という問題を抱えていた。心当たりは御曹司、DV気質の年上男性、借金を抱えた元恋人の3人いるという。半ば強引に父親捜しに同行させられた伊呂波は、姉とともに長崎県内を巡るなかで、姉の恋愛の裏側にある孤独と承認欲求を目の当たりにし、強く見えていた姉が本当は誰よりも「愛されたい」と願っていたことを知る。そして伊呂波自身もまた、恋愛をしないことで傷つくことから逃げていた自分に気づく。川島鈴遥が消極的で内向的な伊呂波の揺れ動く心情を繊細に体現し、森田想は自由奔放に見えながらも心の奥に不安と孤独を抱えた姉・花蓮をリアルに演じた。父親探しの中で、ぶつかり合いながら、時に共鳴する姉妹の関係性。自分を好きになれない全ての女性へ贈る等身大のロードムービーが、観る者の心にそっと寄り添う。
公開日: 5月22日(金)
監督: 横尾初喜
出演: 川島鈴遥、森田想、遠藤健慎
HP: iroha2026.com
『スマッシング・マシーン』
©2025 Real Hero Rights LLC
日本中を熱狂させた総合格闘技の祭典「PRIDE (プライド)」の創成期に活躍した格闘家 Mark Kerr (マーク・ケアー) の知られざる軌跡を、プロレスラーのザ・ロックとしても知られる俳優 Dwayne Johnson (ドウェイン・ジョンソン) が主演・製作を務めて映画化。『アンカット・ダイヤモンド』など、兄である Josh Safdie (ジョシュ・サフディ) との共同監督作で高く評価されてきた Benny Safdie (ベニー・サフディ) が長編単独初監督を務めた。1997年に総合格闘技デビューし、無敗のまま頂点へとのぼりつめた マーク・ケアー。UFCでの連覇を経て日本の PRIDE でも快進撃を見せた彼は、「霊長類ヒト科最強の男」の異名で恐れられる存在となるが、その重圧は彼の心を静かに蝕んでいた。マーク・ケアー は徐々に鎮痛剤への依存を深め、恋人ドーンとの関係も悪化していく。やがて初めての敗北を経験した彼は、ついに自らの弱さと向き合い、人生の再起をかけてもう一度リングに立つことを決意する。本作は、2002年の同名ドキュメンタリーに感銘を受けた Dwayne Johnson が自ら映画化権獲得に動き、屈強な男にのぞく繊細な一面を丁寧に演じた。ケアーの恋人ドーンを Emily Blunt (エミリー・ブラント) が演じ、日本からも大沢たかお、石井慧、光浦靖子、布袋寅泰が出演。人間が持つ「脆さと再生力」を描く、知られざる真実の物語がスクリーンに映し出される。
公開日: 5月15日(金)
監督: Benny Safdie
出演: Dwayne Johnson、Emily Blunt、Ryan Bader (ライアン・ベイダー)
HP: happinet-phantom.com/a24/smashingmachine
『ボタニスト 植物を愛する少年』
©2025 MONOLOGUE FILMS ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms
新疆ウイグル自治区の辺境の村を舞台に、植物と対話する少年の成長を詩的な映像美でつづったドラマ。新疆ウイグル自治区出身の Jing Yi (ジン・イー) 監督が長編映画を初めて手がけ、自身の幼少期の記憶を出発点に、マジカルリアリズムを織り交ぜた独自の映像世界で描き出す。新疆北部の草原地帯にある小さな村。祖母と暮らすカザフ族の少年アルシンは、植物を観察し記録することに多くの時間を費やしており、周囲からは「植物学者 (ボタニスト) 」と呼ばれている。彼にとって植物は単なる自然ではなく、失踪した叔父に教わった世界観そのものだった。ある日、漢民族の少女メイユーが村にやって来る。明るく自由な彼女の存在はアルシンの静かな日常に変化をもたらすが、やがてメイユーは上海へ引っ越すことになり、アルシンは再び孤独と向き合うことになる。現実と幻想が交錯していくなか、アルシンは自分が何を探しているのかを少しずつ知りはじめていく。本作は、主人公アルシン役の Yesl Jahseleh (イェスル・ジャセレフ) をはじめ、キャストには演技経験のない素人俳優たちを起用。少年の心を繊細に映し出す本作品。雄大な自然美と詩的な映像と響き合う音楽が、観る者を静かな感動へと誘う。
公開日: 5月15日(金)
監督: Jing Yi
出演: Yesl Jahseleh、Ren Zihan (レン・ズーハン)、Jalen Nurdaolet (ジャレン・ヌルダオレット)
HP: www.reallylikefilms.com/botanist
『ザ・コラール 希望を紡ぐ歌』
©GERONTIUS PRODUCTIONS LIMITED 2025
世界的演出家でもある『英国万歳!』の Nicholas Hytner (ニコラス・ハイトナー) が監督を務め、『教皇選挙』の Ralph Fiennes (レイフ・ファインズ) を主演に迎えた本作。戦争により存続危機にある合唱団が、前代未聞の試みによって新たな希望を見いだしていくさまを描いたヒューマンドラマ。第1次世界大戦下のイギリス北部ヨークシャー。徴兵で多くの団員を失い、存続の危機にあった合唱団が、若者や町の人々を迎え入れ、再び歩み出そうとしていた。そんな合唱団の指揮者に、敵国ドイツで活動していた医師ヘンリー・ガスリーが選ばれる。偏見と不信を背負いながら、彼は退役軍人、売春婦、敬虔なボランティア、徴兵を控えた少年たちなどの寄せ集めの団員たちと向き合い、失われたつながりや希望を取り戻していく。やがて彼らは、前代未聞の挑戦に乗り出す。しかし再び徴兵通知が届き始め、ようやく芽生えた平穏は、戦争の影にのみ込まれていく。合唱団の指揮者を務めることになる医師ヘンリー・ガスリーを Ralph Fiennes が演じ、厳格だが偏屈な男の複雑な内面を体現。そのほか、Roger Allam (ロジャー・アラム) や Mark Addy (マーク・アディ) などイギリスの実力派キャストが共演した。音楽を通して希望を紡いでいく人々の姿を描いた悲喜劇が、スクリーンに放たれる。
公開日: 5月15日(金)
監督: Nicholas Hytner
出演: Ralph Fiennes、Roger Allam、Mark Addy
HP: longride.jp/choral
『廃用身』
©2025 N.R.E.
現役医師の作家・久坂部羊が2003年に発表した同名デビュー小説を、染谷将太が主演を務めて映画化したヒューマンサスペンス。監督・脚本は『家族X』『三つの光』などで国内外から注目を集めてきた𠮷田光希が務めた。デイケア施設「異人坂クリニック」に通う高齢者の間では、院長の漆原糾が考案した画期的な治療が密かに広まっていた。コストパフォーマンスに優れた介護を目指すその医療行為は、麻痺などにより回復見込みがない手足のことを意味する「廃用身」をめぐるもので、「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の好ましい副作用が現れたという。噂を聞きつけた編集者の矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ、漆原に本の出版を打診する。しかし、デイケアに関する内部告発が週刊誌に流出し、さらに患者宅で衝撃的な事件が起こったことで、すべてが暗転していく。理想を追い求めるあまり合理性と狂気の狭間へと踏み込んでいく医師・漆原を染谷将太が怪演し、編集者・矢倉を北村有起哉、漆原の治療で人生を取り戻した高齢者・岩上を六平直政、漆原の妻・菊子を瀧内公美が演じる。理想と狂気の境界が揺らいでいく先に待ち受ける衝撃の結末を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
公開日: 5月15日(金)
監督: 𠮷田光希
出演: 染谷将太、北村有起哉、瀧内公美
HP: haiyoshin.com
『ママと神さまとシルヴィ・バルタン』
©2024 GAUMONT – EGÉRIE PRODUCTIONS – 9492-2663 QUÉBEC INC.
(FILIALE DE CHRISTAL FILMS PRODUCTIONS INC.) – AMAZON MGM STUDIO
内反足を抱える少年が、パワフルな母の愛と大好きな Sylvie Vartan (シルヴィ・バルタン) の歌の力で奇跡へと導かれていく姿を実話をもとに描き、フランスでロングランヒットを記録したヒューマンドラマ。1963年のパリにて、生まれつきの内反足である6人兄弟の末っ子であるロランは、ひとりで歩くことはできないと医師から宣告されてしまう。しかしポジティブな母エステルは決して希望を捨てず、家族や周囲の人々を巻き込みながら治療法を求めて奔走する。長く孤独な治療の間、ロランの心を鮮やかに救ってくれたのは、絶大な人気を誇る歌手シルヴィ・バルタンの歌声だった。母・エステルを『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』の Leila Bekhti (レイラ・ベクティ)、大人になった息子ロランをコメディ俳優の Jonathan Cohen (ジョナタン・コエン) が演じ、『バルバラ セーヌの黒いバラ』の Jeanne Balibar (ジャンヌ・バリバール)、『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』の Joséphine Japy (ジョセフィーヌ・ジャピ) が共演。さらに、主人公ロランの「生涯のアイドル」である Sylvie Vartan が本人役で登場し、歌声も披露する。監督・脚本は、『人生、ブラボー!』『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』の Ken Scott (ケン・スコット)。生きる力をまっすぐに描き出した、母の愛と音楽の温もりに心満たされる感動作を、ぜひチェックしてみて。
公開日: 5月15日(金)
監督: Ken Scott
出演: Leila Bekhti、Jonathan Cohen、Jeanne Balibar
HP: klockworx.com/mamakami_movie
『未来』
©2026 映画「未来」製作委員会 ©湊かなえ/双葉社
ベストセラー作家・湊かなえの集大成と評された同名小説を、『ラーゲリより愛を込めて』『護られなかった者たちへ』の瀬々敬久監督が映画化したミステリードラマ。複雑な家庭環境で育ちながらも、祖母の期待に応えて教師になる夢をかなえた篠宮真唯子。ある日、彼女の教え子である佐伯章子のもとに、「20年後のわたし」と名乗る人物から手紙が届く。半信半疑のまま返事を書くことで、父を亡くした悲しみや心を閉ざした母との孤独な日々に耐える章子だったが、母の恋人からの暴力や、いじめ、そして信じがたい事実が彼女を追い詰めていく。深い絶望のなか、章子は唯一の友人である亜里沙と「親を殺す」という禁断の計画を企てる。そんな章子を救おうとする真唯子は、社会の理不尽さに押しつぶされそうになりながらも手を差し伸べる。複雑な過去を抱えながらも子どもたちに寄り添おうとする教師・真唯子を黒島結菜、過酷な現実のなかで懸命に生きる少女・章子を山﨑七海、章子の両親・良太と文乃を松坂桃李と北川景子がそれぞれ演じた。人の善意と悪意が交錯するなかで、かすかな希望の在処を問いかける物語を、劇場にて見届けてほしい。
公開日: 5月8日(金)
監督: 瀬々敬久
出演: 黒島結菜、山﨑七海、坂東龍汰
HP: mirai-movie.jp
『シンプル・アクシデント/偶然』
©LesFilmsPelleas
イランの巨匠 Jafar Panahi (ジャファル・パナヒ) が手がけ、不当に刑務所に投獄された人々が復讐を試みる姿を、スリリングかつユーモラスに描いたサスペンススリラー。かつて不当な理由で投獄されたワヒドは、自分を拷問した看守と思われる男と偶然出会う。咄嗟に強引な手段で男を拘束し、穴を掘って男を埋めようとするワヒドだったが、男のIDカードを見ると復讐すべき相手と名前が違っていた。投獄中、目隠しをされていたワヒドは、男の顔を見たことがなかった。男は本当に復讐の相手なのか。確信が持てなくなったワヒドは、ひとまず復讐を中断し、同じ男に拷問された友人を訪ねることに。『チャドルと生きる』『熊は、いない』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『人生タクシー』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している Jafar Panahi 監督は、本作でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したことから、3大映画祭すべてで最高賞を受賞する快挙を成し遂げた。監督自身が二度にわたって投獄された経験と、同房で出会った人々のリアルな声から着想を得て製作された本作が、フィクションの枠を超え、現実の緊張感と切実さを鋭く映し出す。
公開日: 5月8日(金)
監督: Jafar Panahi
出演: Vahid Mobasseri (ワヒド・モバシェリ)、Mariam Afshari (マルヤム・アフシャリ)、Ebrahim Azizi (エブラヒム・アジジ)
HP: simpleaccident.com
『霧のごとく』
©2025 Mandarin Vision Co,, Ltd. All Rights Reserved.
『1秒先の彼女』『熱帯魚』などで知られる台湾の Chen Yu-Hsun (チェン・ユーシュン) 監督が、1950年代の台湾で多くの市民が反政府の疑いをかけられ逮捕・処刑された『白色テロ』の時代を背景に描いた希望と再生の物語。1950年代、戒厳令下の台湾。嘉義で暮らす少女・阿月 (アグエー) は、反政府分子として捕らえられた兄が台北で処刑されたことを知る。わずかな金と兄の形見の時計を手にひとり台北へ向かう阿月だったが、兄の遺体を引き取るには高額な手数料が必要だった。途方に暮れていたところを怪しい男に騙され、遊郭に売り飛ばされそうになった彼女は、人力車の車夫・趙公道 (ザオ・ゴンダオ) に助けられる。中国・広東出身の彼は、国民党軍の兵士として台湾に渡って以来、故郷へ帰ることもかなわず、その日暮らしの生活を送っていた。白色テロで軍の仲間を失い人生に行き場を見いだせずにいた公道は、阿月の思いに心を動かされ、手を差し伸べることを決意する。『アメリカから来た少女』の Caitlin Fang (ケイトリン・ファン) が阿月、『香港の流れ者たち』の Will Or (ウィル・オー) が趙公道を演じ、台湾の人気歌手で俳優としても活躍する 9m88 (ジョウエムバーバー) が共演。切実な時代を背景に、喪失と痛みを抱えた者たちが寄り添いながら一歩を踏み出す姿が、静かな余韻とともにスクリーンに放たれる。
公開日: 5月8日(金)
監督: Chen Yu-Hsun
出演: Caitlin Fang、Will Or、9m88
HP: www.afoggytale.com
『旅立ちのラストダンス』
©2024 Emperor Film Production Company Limited ALL RIGHTS RESERVED
『Mr.Boo!』シリーズで日本でも人気を集めた香港の喜劇王 Michael Hui (マイケル・ホイ) と、香港を代表するコメディアンで『毒舌弁護人 正義への戦い』など俳優としても活躍する Dayo Wong (ダヨ・ウォン) が32年ぶりに共演を果たし、香港映画歴代興行収入第1位を塗り替える大ヒットを記録したヒューマンドラマ。香港の葬儀業界を舞台に、「家族」「伝統」「死生観」といった普遍的なテーマを丁寧に描き出す。ウエディングプランナーのトウサンはコロナ禍で多額の負債を抱え、やむを得ず葬儀業者に転職するが、結婚式と葬式は大きく異なり、さまざまな困難に直面してしまう。利益を追求したいトウサンに対し、ともに葬儀を取り仕切る厳格な道士・マン師匠は伝統を重んじており、2人は絶えず衝突する。しかしマン師匠やその娘マンユッと関わるうちに、マン師匠に対するトウサンのわだかまりは少しずつ消えていく。やがてトウサンは、マン師匠が葬儀で行う道教の伝統的な儀式「破地獄」の真の意味に気づきはじめる。葬儀業者トウサンをDayo Wong、マン道士を Michael Hui が演じ、監督は、脚本家出身で本作が長編監督第3作となる Anselm Chan (アンセルム・チャン) が手がけた。「他者を助けることで自分も救われる」というテーマを掲げ、圧倒的なリアリティの中で、生と死、そして人と人との絆のあり方を静かに浮かび上がらせる。
公開日: 5月8日(金)
監督: Anselm Chan
出演: Dayo Wong、Michael Hui、Michelle Wai (ミシェル・ワイ)
HP: lastdance-movie.com











