今週のTFP的おすすめ映画
TFP的
おすすめ映画
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
7/2025
『Eno』

音楽、そしてアートにおいて常に革新的なクリエイションを続けてきた伝説的アーティスト Brian Eno (ブライアン・イーノ)。ミュージシャン、プロデューサー、ヴィジュアル・アーティスト、アクティベスト、そのすべての分野で時代の先を走り続けている彼の真髄に迫る、完全ジェネラティヴ・ドキュメンタリー映画『Eno』がついに日本上陸を果たす。本作では、監督を務める Gary Hustwit (ギャリー・ハストウィット) が、アーティストの Brendan Dawes (ブレンダン・ドーズ) と共同開発した自動生成システム「Brain One (ブライアン・イーノのアナグラム)」を導入。制作過程では、Brian Eno への長時間のインタビューと500時間を超える貴重なアーカイブ映像を組み合わせることで、観るたびに構成や内容が変化する映画の常識を覆す全く新しい体験を実現させた。Brian Eno は、イギリスのバンド「ロキシー・ミュージック」の創設メンバーの1人として世界的注目を集め、プロデューサーとしては David Bowie (デヴィッド・ボウイ)、Talking Heads (トーキング・ヘッズ) といった名だたるアーティストのアルバムを手がけてきた。アンビエント・サウンドの第一人者であることや、「Windows 95」の起動音を制作するなど、その伝説は語り知れない。彼の内面へ迫り、映画の常識を覆すような体験へと導く本作をお見逃しなく。
公開日: 7月11日(金)
監督: Gary Hustwit (ギャリー・ハストウィット)
出演: Brian Eno
HP: enofilm.jp
『顔を捨てた男』

©2023 FACES OFF RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
映画界の最前線を駆け抜けるスタジオ A24 が、気鋭の Aaron Schimberg (アーロン・シンバーグ) とタッグを組んだ作品をリリース。監督・脚本を務め描いたのは、顔に極端な変形を持つ、俳優志望エドワードの物語。彼は隣人であり劇作家を目指すイングリッドに惹かれながらも、自分の気持ちを閉ざして生きていた。ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の「新しい顔」を手に入れる。過去を捨て、別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」に似たカリスマ性のある男オズワルドだった。その出会いによって、エドワードの運命は大きく変わっていく。監督は、自身が口唇口蓋裂の矯正治療を受けた経験をインスピレーション源に、外見やアイデンティティをテーマとした独創的な世界観を表現。今回は「顔が変わればなりたい自分になれるのか?」という問い、SNS 社会によって加速していくルッキズムを痛烈に風刺。ブラックユーモアの先にあるのは、ありのままを受け入れるエドワードか、はたまた「顔」に苦しめられるエドワードか。現代を生きる我々の心に深く突き刺さる、究極の不条理劇。
公開日: 7月11日(金)
監督: Aaron Schimberg
出演: Sebastian Stan (セバスチャン・スタン)、Renate Reinsve (レナーテ・レインスベ)、Johnny Keating (ジョン・キーティング)
HP: different-man
『ストレンジ・ダーリン』

©2024 Miramax Distribution Services, LLC. ALL rights reserved.
「ホラーの帝王」という異名を持つ Stephen King (スティーヴン・キング) をはじめ、数々の小説家、映画監督から絶賛された新感覚ホラー映画。ストーリーは全6章で構成され、とある男女の出会いをきっかけに展開される。シリアルキラーによる事件の恐怖が各地で広がるなか、彼らはモーテルで一夜を過ごす。そしてたった一夜の過ちが、凶悪殺人犯のスパイラルに陥ることになる……。本作は時系列や場所を巧みに交差させ、随所に仕掛けられた罠が観客を予測不可能な展開へと導いていく。世界的ヒットを誇るアメリカのテレビドラマシリーズ『ハンガー・ゲーム』の監督である Francis Lawrence (フランシス・ローレンス) は「一瞬の名作は、秘密が台無しになる前に観る」とコメントを残し、いち早く本作を観ることを勧めている。ぜひスクリーンに足を運んで、計算し尽くされたストーリーテリングに惑わされてみては。
公開日: 7月11日(金)
監督: JT Mollner (J・T・モルナー)
出演: Willa Fitzgerald (ウィラ・フィッツジェラルド)、Kyle Gallner (カイル・ガルナー)、Madisen Beaty (マディセン・ベイティ)
HP: kadokawa/strangedarling
『夏の砂の上』

©︎2025映画「夏の砂の上」製作委員会
オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを手がけた待望作がついに上映。監督・脚本は次世代の日本映画界を担うだろうと期待が寄せられている玉田真也。監督自身の劇団「玉田企画」でも2022年に上演し、思い入れのある作品が映画として生まれ変わる。全編を通して撮影が行われたのは、長崎。雨が一滴も降らない、からからに乾いた夏で、愛を見失った主人公・治を描く。彼は幼い息子を亡くした喪失感から、幽霊のように街を徘徊する日々を送っていた。働いていた造船所が潰れ、妻の恵子とも別居中。そんな治のもとにある日、妹の阿佐子が17歳の娘を連れて訪ねてくる。そして突然、治と17歳の優子との同居生活が始まることになる。治の妻・恵子役には松たか子、妹・阿佐子役には満島ひかり、姪・優子役には髙石あかりなど、豪華キャストが作品を彩る。愛を失った者、愛を見限った者、愛を知らない者……それぞれの痛みが観る者の胸を鋭く突き刺す、極上の人間ドラマを堪能してほしい。
公開日: 7月4日(金)
監督: 玉田真也
出演: オダギリジョー、髙石あかり、松たか子
HP: natsunosunanoue-movie
『ハイポ』

©︎2022 HYPOCHONDRIAC LLC. ALL RIGHTS RESERVED./Cinemago
気鋭のクィア監督 Addison Heimann (アディソン・ハイマン) が、自身が経験した病気不安症をインスピレーション源に制作したクィア・スリラー。実話をもとに、孤独を知る誰もが共感し得るストーリーをあえてスリラータッチで描き出した。主人公のウィルは、幼い頃、双極性障害を患う母親に無理心中を図られた過去を持つ。成人し、ゲイである自分を受け入れてくれる恋人と幸せな生活を送っていたある日、突然母親から「恋人を信用するな」というメッセージが届く。次第にウィルの精神は不安定になり、徐々に妄想に囚われていく……。LGBTQ+ の悩みは社会でも広く関心を持たれ、セクシャリティをテーマにした作品は数多く制作されている。そんな中でも本作は、ゲイという属性を持つ主人公を「個人」の物語として写し出し、クィア映画として新境地に到達。世界有数の国際映画祭でリリースされるやいなや「クィア映画であり、クィア映画でない」と革新的な評価を受けてきた。他人事にはできないウィルの背負う悩みが、狂気となって心を蝕む姿に目が離せない。
公開日: 7月4日(金)
監督: Addison Heimann
出演: Zach Villa (ザック・ビーヤ)、Devon Graye (デボン・グレイ)、Madeline Zima (マデリン・ジーマ)
HP: cine-mago.com/hypo
『ハルビン』

©︎2024 CJ ENM Co., Ltd., HIVE MEDIA CORP ALL RIGHTS RESERVED
1909年10月に中国・ハルビン駅で伊藤博文が暗殺された事件の裏側を、壮大なスケールで映し出した極限のサスペンス・エンターテイメント。1908年、現在の北朝鮮に位置するシナ山で、大韓議軍は劣勢にも関わらず日本軍に勝利。大韓議軍を率いるアン・ジュングンは、戦争捕虜たちを解放すると主張するが、これを機に大韓義軍の中で彼の信用が疑われてしまう。やがて、伊藤博文がハルビンを訪ねるという情報を得たアン・ジュングンは、仲間たちとともに抹殺を試みる。だが、彼らの動きを日本軍は察知。祖国独立のために闘う人々と、それを阻止しようとする人々による激しい攻防が繰り広げられる。アン・ジュングンを演じるのは、大ヒットドラマ「愛の不時着」でヒーローを務めた Hyun Bin (ヒョンビン)。また伊藤博文を日本人俳優リリー・フランキーが務めるなど、実力派が集結した。アジアを震撼させた大事件を臨場感満載に届ける本作を、ぜひスクリーンで体感してほしい。
公開日: 7月4日(金)
監督: Woo Min-ho (ウ・ミンホ)
出演: Hyun Bin、Park Jeong-Min (パク・ジョンミン)、Jo Woo-jin (チョ・ウジン)
HP: harbin-movie.jp
『キャンドルスティック』

年号が平成から令和に変わった2019年5月某日。マネーゲームに取り憑かれた天才ハッカーたちが大金を得ようと奔走する様子を描いた、日台共同によるマネーサスペンス。天才ハッカー、野原を演じるのは阿部寛。彼の計画をサポートする FX トレーダー杏子を菜々緒、台湾からは台湾からは『瀑布』のアリッサ・チア、『本日公休』のリン・ボーホンが出演。出自や身分が異なる10人の男女が挑むのは、金融機関の番人 AI を騙すこと。思いも寄らぬ黒幕のもと、さまざまな思惑が交錯し、手に汗握る駆け引きが展開される。映画タイトルのキャンドルスティックとは、金融商品の価格変動を視覚的に表した価格チャートの形式のこと。騙し騙され、金が回る世界の縮図で繰り広げられるコンゲームには、スリルと策略が渦巻く。ワールドワイドな規模で披露される予測不可能なストーリーに誰もが翻弄され、戦慄が走り、驚きの結末に酔いしれるはず。
公開日: 7月4日(金)
監督: 米倉強太
出演: 阿部寛、菜々緒、Sahel Rosa (サヘル・ローズ)
HP: candlestick.jp