TFP Recommends Exhibitions

【開催中】 今週のTFP的おすすめ展覧会

©︎ Marton Perlaki

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【開催中】 今週のTFP的おすすめ展覧会

TFP Recommends Exhibitions

現在開催中の展覧会や写真展、アートイベントから、The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) のおすすめを毎週ピックアップ。今週はどこへ行こう。毎週火曜日更新。

※新型コロナウイルスの感染予防の取り組みに関する最新の情報については、各施設の公式サイトにてご確認をお願いします。

12月17日〜12月23日

「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」

Photo by Neo Sora ©2017 Kab Inc.

本展は、坂本龍一が生前に東京都現代美術館のために遺した展覧会構想をもとに、坂本の創作活動における長年の関心事であった「音と時間」をテーマにした作品を展示する。会場には、未発表の新作と、これまでの代表作から成る没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりを、美術館屋内外の空間に展開。映画監督・アーティストの Apichatpong Weerasethakul (アピチャッポン・ウィーラセタクン)、Carsten Nicolai (カールステン・ニコライ)、真鍋大度、高谷史郎、Zakkubalan、岩井俊雄、中谷芙二子など7名のアーティストとのコラボレーションを通して、坂本の創作活動の軌跡を辿るとともに、類稀なアーティストの一面を広く紹介する。

場所: 東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F ほか
住所: 東京都江東区三好4-1-1
会期: 2024年12月21日 (土)〜2025年3月30日 (日)
時間: 10:00-18:00 (展示室入場は閉館の30分前まで)
入場料: 一般 ¥2,400/大学生・専門学校生・65 歳以上 ¥1,700/中高生 ¥960、小学生以下無料
休館日: 月 (1月13日、2月24日は開館)、12月28日〜1月1日、1月14日、2月25日
HP: www.mot-art-museum.jp

アントニー・ケアンズ「MaViCa CTY」

©︎ Antony Cairns, Courtesy of Akio Nagasawa Gallery

Antony Cairns (アントニー・ケアンズ) は、1980年ロンドン生まれのアーティストで、ヨーロッパや米国、日本など世界各地で作品を発表し、現在はロンドンを拠点に活動する。本展では、ヴィンテージのカメラを、喜多俊之デザインのシャープ製テレビに接続して展示。アントニーはここ数年、SonyのFD2000初期型デジタルカメラを収集しており、これを現代のデジタルメディアとしての写真技術を変えた先駆的なカメラと考えている。今回の作品では、「夜の都市風景」をテーマに、スライドショーとしてさまざまな大都市の景観が映し出される。カメラの内蔵エフェクトを利用して、画像に抽象的な層を重ねている。また、古いメディアを再利用して、映像の美学と技術を融合させることで、観客に特定の感情を引き起こすような効果を生み出す。会場でぜひご覧あれ。

場所: Akio Nagasawa Gallery Aoyama
住所: 東京都港区南青山5-12-3 Noirビル2F
会期: 2024年12月5日 (木)~2025年2月1日 (土)
時間: 11:00-13:00 / 14:00-19:00
入場料: 無料
休廊日: 日〜水、祝日 *12月28日 (土)〜2025年1月6日 (月)は冬期休廊
HP: www.akionagasawa.com

佐野虎太郎「GOLEM DRAPE ENGINE」

1998年生まれのアーティスト・佐野虎太郎は、コンピューターの計算能力を応用した新しい衣服の設計手法を研究する傍ら、慶應義塾大学環境情報学部在学中に Synflux 株式会社を創業。「惑星のためのファッション」を目指すスペキュラティヴデザインラボラトリーとして、持続可能なファッションのシステムデザインに取り組んでいる。本展では、LLM (大規模言語モデル) を用いてファッションデザインの新たなシルエットを追求する佐野の研究開発を2日間限定で一般公開する。情報環境のなかで身体と美の観念を再定義し、生成プロセスそのものをファッションデザインとして提示しようとするこの試みは、ファッションデザインのプロセスそのものをラディカルに問い直し、身体をハイブリッドな存在として拡張する実践の場となるだろう。会期中には、人工生命・生成AIを扱う若手リサーチャー、技術開発を扱うファッションデザイナーとの全2部構成のトークイベントも開催する。

場所: WHITEHOUSE
住所: 東京都新宿区百人町1丁目1-8
会期: 2024年12月20日 (金)〜12月21日 (土) *2日目は全二部に渡るトークイベントを開催
・第一部 (17:00-18:30):キョウダカンジ+吉田崇英+佐野虎太郎+原ちけい
・第二部 (19:00-20:30):大坪岳人+川崎和也+長見佳祐+佐野虎太郎+原ちけい
時間: 12:00-21:00
入場料: 無料
HP: 7768697465686f757365.com

マートン・ペルラキ「The Third Hand」

©︎ Marton Perlaki

ハンガリーで生まれ、現在はパリを拠点に活動しているヴィジュアルアーティスト、Marton Perlaki (マートン・ペルラキ) は、主に写真を使った表現活動を行う。本展は、イギリスのデザインスタジオ OK-RM (オーケー アールエム) がデザインを担当した書籍『The Third Hand』の刊行したもので、インスタレーション作品を展示。彼は、さまざまなイメージ制作の境界線を曖昧にし、それらを融合させながら、クリエイティブなプロセスやそれらが生まれる環境の一端を作品に取り入れる。タイトルの「The Third Hand (第三の手)」が意味するのは、作品を作る行為は静かだが強力な影響力を及ぼす未知の力のこと。創作活動のなかで、一連のステップをまったく同じように踏んでも、結果は違ってくることを指示する。この強力なマジックは、彼のプロセスにおいて重要な役割を果たすという。今回の展覧会では、書籍のページ上で提示される方法と、空間で実験される方法とで、どのようなレイヤーが生まれるのか。ペルラキの写真の域に留まらない、雄大な作品をぜひ会場で楽しんで。

場所: POST
住所: 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 2024年11月24日(日)〜2024年12月28日(土)
時間: 11:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月
HP: post-books.info

再開館記念「不在」 ―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ロイ・フラー嬢》、1893年、リトグラフ/紙、フランス国立図書館蔵

本展は、2023年4月から設備メンテナンスのために長期休館していた三菱一号館美術館の再開館記念として開催されるもの。19世紀末にパリで活躍したHenri de Toulouse-Lautrec (アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック) (1864-1901) の作品を改めて展示し、そこにフランスのアーティスト、Sophie Calle (ソフィ・カル) の作品を展示する。カルは長年にわたり、「喪失」や「不在」について考察を巡らせていることから、今回の協働にあたり、「不在」という主題を提案。一方、トゥールーズ=ロートレックもまた、「人間だけが存在する。風景は添え物に過ぎないし、それ以上のものではない。」と、「不在」と表裏一体の関係にある「存在」について興味深い言葉を残している。本展では、両者の作品を「不在」というテーマで展示。ソフィ・カルから投げかけられた「不在」という主題を通して、当事者が関わることができない展覧会や美術館活動の「存在」について考える。

場所: 三菱一号館美術館
住所: 東京都千代田区丸の内2丁目6-2
会期: 2024年11月23日 (土)〜2025年1月26日 (日)
時間: 10:00-18:00 (祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20時まで) *入館は閉館の30分前まで。年末年始の開館時間は美術館サイト、SNS等でご確認ください
入館料: 一般 ¥2,300、大学生 ¥1,300、高校生 ¥1,000
休館日: 月曜日、 年末年始 (12/31と1/1) *ただし、12月30日と1月13日・20日は開館
HP: mimt.jp/ex/LS2024

石井麻希、石田恵嗣「Shake Hands」

本展は、ベルリンを拠点に活動する現代美術家の石井麻希と、広島を拠点とする石田恵嗣の二人展。石井麻希は、アイデンディティの不確実性やメディアの役割に関する批評的な視点を持ち、映像やインスタレーションを通じて「他者」との関係を模索している。彼女の作品には、動物や自然環境といった「非人間」の視点を取り入れるための実験的なアプローチが反映されており、そのプロセスで彼女が協働する動物コミュニケーションとの対話も、作品の重要な一部を形成する。石田恵嗣は、童話や絵本といった出版物など物語形式を出発点に、個人の経験や時代にとらわれない物語性を追求。彼が描く異世界の風景は、単なるファンタジーを超えて現実と非現実の境界を曖昧にし、観る者に新たな時間性と空間性の認識を持たせる。本展では、異なる表現形式の2人の作品を展示することで、「異界の視点」を探るふたりの作品が、互いに呼応しあうことで予期せぬ対話が生まれている。⽯井と⽯⽥は、ともに既成の認識を超えた「物語」と「他者」を扱うという点で共鳴し、彼らの作品は鑑賞者に対して、たんに視覚的な美しさを提供するだけでなく、⾃⼰を取り巻く世界の枠組みそのものを問い直すきっかけを与えるだろう。

場所: parcel
住所: 東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-1
会期: 2024年12月14日 (土)〜2025年1月19日 (日)
時間: 14:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月、火
HP: parceltokyo.jp

石井麻希「あなたに必要のないものはわたしの宝」

本展では、同時期に parcel で開催中の展示の「裏側」となるインスタレーション作品を展示。parcel の展示が表舞台の人工的な要素を扱うのに対し、Capsule ではその「内面」を探るような内容となっており、音楽や映像、立体作品を織り混ぜて展開する。今回の展示では、作家自身がアイデンティティを模索するために参加したヒーリング体験で見えた光と闇の世界がベースとなる。感情の矛盾をテーマにした映像作品、内面を見つめるインスタレーション、祈りのような音楽が呼応する空間作品が並ぶ。

場所: Capsule
住所: 東京都世田谷区池尻2-7-12 B1F
会期: 2024年12月14日 (土)~1月12日 (日)
時間: 12:00-19:00 *土日のみ開廊 12:00-19:00 (1月4・5日除く)
入場料: 無料
HP: capsule-gallery.jp

安野谷昌穂「法天地在|POTENTIAL」

ペインティングやドローイング、コラージュ、パフォーマンスなど、多岐にわたる手法で表現し続けるアーティスト・安野谷昌穂。「自分自身とは何か」、「世界とは何か」という根源的な問いを探求する安野谷は、芸術を通じて目に見えない世界を言語化する。本展では、変化変容する「いま」を駆け抜ける私達それぞれが必要としている物事や視点に着目。未発表の新作を展示する。年内の第一期と年始の第二期では展示スペースの拡張、作品の追加、変更などを行う予定だ。

場所: HARUKAITO by ISLAND
住所: 東京都渋谷区神宮前6-12-9 BLOCK HOUSE 2F
会期: 2024年12月1日 (日)〜12月22日 (日) / 2025年1月11日 (土)〜1月26日 (日)
時間: 13:00-19:00
入場料: 無料 *オープニングレセプション11月30日 (土)18:00-20:00
休館日: 月、火、水
IG: www.instagram.com

「現在地のまなざし 日本の新進作家 vol.21」

千賀健史〈HIJACK GENI〉より 2021年 作家蔵 ©Kenji Chiga

「日本の新進作家」展は、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来のある作家を発掘するために、新しい創造活動の展開の場として2002年より継続して開催されている。21回目となる本展では、社会、環境、人と人との関係性を自身の立ち位置から問い直し、写真を通じて世界の断片を提示する5名の作家たちの試みを紹介する。展示するのは、大田黒衣美、かんのさゆり、千賀健史、金川晋吾、原田裕規の5名。写真をとりまく環境が大きく変化する今、それぞれの手法と視点を持って写真というメディアを選び取った作家たちは、自身の感性にしたがって世界と向き合い、独自の視点で思考を深めて作品として提示する。

場所: 東京都写真美術館
住所: 東京都目黒区三田1丁目13−3 恵比寿ガーデンプレイス内
会期: 2024年10月10日 (木)〜2025年1月19日 (日)
時間: 10:00-18:00 (木曜日・金曜日は20:00まで、1月2日と3日は18:00まで)
入場料: 一般 ¥800、学生 ¥640、高校生・中学生・65歳以上 ¥400
休館日: 月曜日 *月曜日が祝日の場合は月曜日開館し翌日休館、年末年始休館 (12月29日〜1月1日)
HP: topmuseum.jp

瀧本幹也「MONACO Azur」「MONACO Gracieux」

Leica Gallery Tokyo © Mikiya Takimoto

瀧本幹也は、広告写真やCM映像、映画作品撮影をはじめ国内外での作品発表や出版など多彩な活動を続ける写真家。東京と京都の2カ所にて開催される本展は、コート・ダジュールに面した世界で2番目に小さな国であるモナコの地を舞台に、モナコ特有の紺碧の海や空、優雅な空間を切り取った32枚の写真を厳選して公開する。ライカギャラリー東京では17点、ライカギャラリー京都では15点を展示。瀧本幹也が切り撮る世界から語られる言葉、視線の先に綴られる作品をぜひ会場でチェックして。

場所: (1)ライカギャラリー東京 (ライカ銀座店 2F)
(2)ライカギャラリー京都 (ライカ京都店 2F)
住所: (1)東京都中央区銀座 6-4-1 2F
(2)京都府京都市東山区祇園町南側 570-120 2F
会期: (1)2024年12月6日 (金)〜2025年3月9日 (日)
(2)2024年12月7日 (土)〜2025年3月9日 (日)
時間: 12:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月
HP: leica-camera.com

ジョアンナ・タガダ・ホフベック「Dessins & Peintures Ed. 03 (Late Autumn)」

フランス人アーティスト Johanna Tagada Hoffbeck (ジョアンナ・タガダ・ホフベック) は、ダンスのバックグラウンドを持ち、リズムや動きを楽しむ美術家。国内3ヶ所で開催される個展シリーズ「Dessins & Peintures」の各会場では、それぞれ異なる新作のドローイング「dessin」とペインティング「peinture」を展示。東塔堂にて開催する本展では、抽象作品に焦点を当てる。今回の展覧会では、新作のペインティングやドローイングを通して、過去10年間のスケッチブックに収められた抽象作品をさらに探求する過程を展示。過去作品の一部は2024年に Chose Commune から出版された書籍『Carnets』にも掲載されており、『Carnets』の元となったスケッチブック原本の展示セクションも用意する。会場にて、無反射ガラスで額装されたサイン入りの作品を販売。この機会をお見逃しなく。

場所: 東塔堂 | Totodo
住所: 東京都渋谷区鶯谷町5-7-1F
会期: 2024年11月21日 (土)〜12月21日 (土)
時間: 12:00-20:00
入場料: 無料
休館日: 日
HP: totodo.jp/hpgen

インゲヤード・ローマン「Hemma」

本展では、スウェーデンを代表するデザイナーであり、陶芸家の Ingegerd Råman (インゲヤード・ローマン) が昨年の夏に、VAGUE KOBE のために制作した陶芸作品を展示販売する。そのほかにも、有田焼ブランド「2016/」のためにデザインした器や木村硝子で発表されたプロダクトも並ぶ。タイトルの「Hemma (ヘンマ)」は、スウェーデン語で「我が家」や「ホーム」を意味し、その響きには優しさと温もりが込められている。VAGUE KOBE 代表の柳原照弘が、20代の頃に訪れた北欧のカーテンのない窓越しに見える家族の団欒の光景。そこで見えたキャンドルで灯された美しい器や家具は、初めてインゲヤードのアトリエに訪れたときの光景にも重なるという。日常に寄り添うデザインの在り方に深く感銘を受けた柳原が、その光の景色を再現する。今回の展示では、そんなシーンを、東京・南青山に店舗を構え、アートと自然の調和を追求するギャラリーショップ「ATELIERMO (アトリエ・エムオー)」がセレクトした家具や調度品が彩りを添える。Pierre Jeanneret (ピエール・ジャンヌレ)、Charlotte Perriand (シャルロット・ペリアン)、George Nakashima (ジョージ・ナカシマ) などの名だたるヴィンテージ家具やオブジェ、絵画がインゲヤードの作品と響き合い、それぞれのシーンに異なる趣を加える。

場所: VAGUE KOBE
住所: 兵庫県神戸市中央区海岸通9-2 4F
会期: 2024年11月29日 (金)〜2025年1月27日 (月)
時間: 12:00-18:00
入場料: 無料
休館日: 火、水、木
HP: tystudio.fr/vague

木村和平「IRON RIBOON」

本展は、写真家の木村和平による新作写真集『IRON RIBBON』の発売を記念したもの。本作「Iron Ribbon」は、過去数年間、さまざまな写真制作の合間に、伝統のあるホテルやその周辺でパートナーを撮影した写真で構成されている。木村は、クラシカルなホテルが好きで、観光名所や郷土料理、風景よりも、ホテルの好みで目的地を決めていた。10代のころに、通っていたセレクトショップで見つけた中場信次のチョーカーに興味を持ったという。見た目はしなやかで可愛らしいのに、触ると硬く、鋭利で、冷たい。当時の自分にとっては高価なものだったが、迷うことなく購入した。好みが変わっても、木村はその鉄のリボンを手放すことはなく、手にした時からずっと同じ熱量を注いできた。木村は、そんな鉄のリボンを、自身のパートナーの長い髪と静かな背中、冷静さ、独自の品と意思の強さに鉄のリボンとの共通点を見出し、今回作品を制作した。

場所: THE BOOK END
住所: 兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 海岸ビルヂング302
会期: 2024年12月5日 (木)〜12月23日 (月)
時間: 11:00-18:00
入場料: 無料
休館日: 火、水
HP: the-book-end.com

ルイ・ネメス「Chromatic Studies」

ロンドンのセントラル・セント・マーチンズを卒業後、アーティストとして活動する Lui Nemeth (ルイ・ネメス)。Christopher Nemeth (クリストファー・ネメス) の娘であり、現在はアーティスト活動と並行しながら、ファッションブランド Christopher Nemeth のクリエイティブディレクションなども手掛けている。創作プロセスに深く根ざした独自の視点で現代絵画にアプローチするルイ・ネメスは、物理的な形や物体が意図的に排除し、内面の奥深くにある表現しがたいものを模索する創作アプローチが印象的だ。本展では、昨年からのアイデアを引き継ぎ更に発展させた作品を披露。彼女がもつ感情の風景を描き出したこれらの作品は、感情をリアルに映し出す手段であり、また音楽のように特定の意味を探ることなく直感的に伝わるものだと捉えている。即興的に色が重なり合い、やがて色は独自の感情を持ち、それらが重なり合うことで、人間の複雑さへと発展する多層的な表現を会場で感じてほしい。

場所: The Mass
住所: 東京都渋谷区神宮前5-11-1
会期: 2024年11月21日 (木)〜12月21日 (土)
時間: 12:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月、火
HP: themass.jp/gallery1

ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ「Dance Floor as Study Roomーしたたかにたゆたう」

「Dance Floor as Study Room—したたかにたゆたう」新作のための制作スチル ©︎ wendelien van oldenborgh

オランダの現代美術を代表するアーティストのひとり、wendelien van oldenborgh (ウェンデリン・ファン・オルデンボルフ) の新作を発表する展覧会。ファン・オルデンボルフはこれまで映像作品やインスタレーションを通じて、人種差別、ジェンダー問題、歴史、植民地主義などの支配的言説や権力構造に対峙する作品を発表してきた。特に近年は、日本とオランダ、そしてインドネシアにゆかりのある女性アーティストのリサーチを進めており、その中には山口ともゆかりの深い、女優で映画監督の田中絹代や、作家の林芙美子が含まれる。本展では、こうしたアーティストたちに焦点をあて制作した脚本による新作とこれまでに制作された作品のほか、多様な文化や社会を表す装置として、会場をダンスフロアに見立てたインスタレーションを展開する。

場所: 山口情報芸術センター[YCAM]スタジオA
住所: 山口県山口市中園町7-7
会期: 2024年11月30日 (土)〜2025年3月15日 (土)
時間: 10:00〜19:00
入場料: 無料
休館日: 火 (祝日の場合は翌日)、12月29日 (日)〜1月3日 (金)、2月26日 (水)〜3月6日 (木)
HP: www.ycam.jp/events

シュー・ジェン、ルー・ピンユアン、リー・ハンウェイ「Competitive Meditation」

中国を代表するアーティストの徐震 (シュー・ジェン) と、彼が主宰する「MadeIn Gallery」に所属する陸平原 (ルー・ピンユアン)、李漢威 (リー・ハンウェイ) を迎えたグループ展。MadeIn Gallery は2014年に上海に設立され、「芸術や文化における無限の可能性を追求する」という強い理念のもと、世界最大級のアートフェア「アート・バーゼル」や「フリーズ・ロサンゼルス」など国際的な舞台で活躍を続けている。陸平原は、2012年からフィクションを軸に創作活動を行うアーティストであり、美術史や古典文学、個人的な体験などからインスピレーションを得て、巨大なファンタジーの世界を構築し、人間と宇宙の間に存在する可能性を再発見しようと試みる。李漢威は、テクノロジーを新たなメディアと捉え、それがどのように私たちの知覚、コミュニケーション、アイデンティティの構築に介入し、さらに支配するかを作品を通じて表現。今回展示する「Witness (目撃者)」シリーズの新作において、李はAIマッピング、指紋認証、CGレンダリング、3Dプリントなど、高度なアルゴリズムに依存する情報処理技術を駆使し、人間と機械の境界線がますます曖昧になる現象を探求する。本グループ展では、徐の最新作を含むすべての作品が、日本で初公開となる。絵画そのものの本質的な価値が、進化し続けるメディアによって揺さぶられる現代において、水墨画、切り絵、禅画、2Dと3Dのデジタルプリントなどの形式を通して、絵画がもつ「不確かさ」をテーマと照応させている。

場所: PARCEL
住所: 東京都中央区日本橋馬喰町 2-2-1 DDD HOTEL 1F
会期: 2024年11月23 日 (土) ‒ 2025年1月12日 (日)
時間: 14:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月・火・祝日
HP: parceltokyo.jp

山谷佑介「ONSEN」

山谷佑介 「ONSEN #042」、2022 年 C プリント 64 x 96 cm © Yusuke Yamatani

本展のタイトル「ONSEN」は、写真家の山谷佑介が約15年前から行う野湯 (のゆ、やとう) と呼ばれる自然の中に自噴する整備されていない温泉巡りをテーマとしたもの。東京・六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムにて開催される本展では、「ONSEN」シリーズの新たな試みとして、ルーメンプリント作品を展示。山谷は野湯探しの道中に同行者の間で交わされた「たわいのない会話」を録音し、その言葉を、日本、アメリカ、中国、フランス、インド、ロシアなど世界各地から収集した、様々な時代の印画紙にプリント。有効期限を過ぎ⻑らく眠り続けた印画紙は、それぞれの場所で保管されていた状態により、カビや感光ムラ、薬品の違いによりさまざまな表情を見せる。15年にも及ぶ山谷の温泉への熱量を是非会場でご覧になってほしい。

場所: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム
住所: 東京都港区六本木5丁目17−1 AXISビル 2F
会期: 2024年11月15日 (金)〜12月14日 (土)
時間: 12:00-19:00
入場料: 無料
休館日: 月、日
HP: www.takaishiigallery.com

「アレック・ソス 部屋についての部屋」

アレック・ソス《Anna, Kentfield, California》 〈I Know How Furiously Your Heart is Beating〉より 2017年 東京都写真美術館蔵 ⓒAlec Soth

Alec Soth (アレック・ソス) は、国際的な写真家集団「マグナム・フォト」の正会員であり、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材とした、写真で物語を紡ぎだすような作品で、世界的に高い評価を受けてきた。本展には、初めて出版されたシリーズであり、初期を代表する「Sleeping by the Mississippi」から、今秋刊行の最新作「Advice for Young Artists」まで出品。30年に及ぶソスの歩みを単に振り返るのではなく、選ばれた出品作品のほぼすべてが屋内で撮影されているように、「部屋」をテーマにこれまでのソスの作品を編み直す、東京都写真美術館独自の試みとなる。ソスの作品に登場するさまざまな部屋や、その空間にたたずむ人々に意識を向けることで、果たして何が見えてくるのか。多くの支持を得るアレック・ソスの表現の魅力を探る。

場所: 東京都写真美術館
住所: 東京都目黒区三田1丁目13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
会期: 2024年10月10日 (木)〜2025年1月19日 (日)
時間: 10:00-18:00 (木曜日・金曜日は20:00まで、1月2日と3日は18:00まで)
入場料: 一般 ¥800、学生 ¥640、高校生・中学生・65歳以上 ¥400
休館日: 月曜日 *月曜日が祝休日の場合は月曜日開館し翌平日休館、年末年始休館 (12月29日〜1月1日)
HP: topmuseum.jp

ウェイド・ガイトン「Thirteen Paintings」

Image by: © Wade Guyton Photo Courtesy Matthew Marks Gallery

現在ニューヨークを拠点に活動している Wade Guyton (ウェイド・ガイトン)。創作に用いるメディアと素材は、写真や彫刻、映像、書籍、紙に描いたドローイングなど多岐にわたり、厳密なコンセプトに基づく作品を手がけている。最も知られているのは、大型キャンバスにインクジェットプリンターを使って制作した作品であり、モノクロのイメージ、炎、「X」や「U」の文字、『ニューヨーク·タイムズ』のウェブページといった象徴的なモチーフが繰り返し登場する。ガイトンとその作品はデジタル時代の到来をめぐる芸術議論において重要な役割を果たしている。アーティストにとって初の日本での展覧会となる本展では、2022年に製作された13点のパネルからなる大判絵画作品「Untitled」を展示。これらは制作途中の作品から滴るインクやプリントの際に生じるズレなどのイメージも作品の構成要素となっている。ウェイド・ガイトンの作品を実際にご覧になってほしい。

場所: エスパス ルイ·ヴィトン東京
住所: 東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ·ヴィトン表参道ビル7階
会期: 2024年10月31日 (木)〜2025年3月16日 (日)
時間: 12:00-20:00
入場料: 無料
休館日: ルイ·ヴィトン 表参道店に準ずる
HP: www.espacelouisvuittontokyo.com

京都 ddd ギャラリー第244回企画展「アイデンティティシステム 1945年以降 西ドイツのリブランディング」

20世紀初め、Peter Behrens (ペーター・ベーレンス) をはじめとするドイツのデザイナーたちは、後に「コーポレート・デザイン」として知られることになる例を世界で初めてつくり、それに続くバウハウスも、システマティックなデザイン手法をカリキュラムに含めていた。そして、第二次世界大戦の終戦から数年後、西ドイツは、それまで切り開いてきたデザインの原則を再びたどり、デザイン教育機関として強い影響力を持っていたウルム造形大学や、多くの若いグラフィックデザイナーたちが、1960年代初めにシステマティックなデザインの新たな解釈を形成。それらは、ルフトハンザ航空や1972年のミュンヘンオリンピック、その他多数の企業や組織、イベントのためのビジュアル・アイデンティティに繋がったという。本展では、「コーポレート・デザイン」の代表的なポスターやビジュアル・アイデンティティの使用例、企業などの独自のコンセプトが示された貴重なデザイン・マニュアルなどを紹介。コンセプト・スケッチや印刷サンプルといった貴重な資料を通して、手作業で仕上げられたデザインの質の高さを見ることができる。

会場: 京都 ddd ギャラリー
住所: 京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町 620 COCON 烏丸 3F
会期: 2024年10月24日 (木)〜2025年1月13日 (月・祝)
時間: 火曜~金曜11:00-19:00、土日祝11:00-18:00
入場料: 無料
休廊日 : 月曜日 (祝日・振替休日の場合はその翌日)、祝日の翌日 (土日は開館)、年末年始 2024年12月29日 (日)〜2025年1月3日 (金)
HP: www.dnpfcp.jp

ソール・ライター「Saul Leiter」

「ニューヨークが生んだ伝説」と呼ばれる写真家の Saul Leiter (ソール・ライター)。1950年代からファッション・フォトグラファーとして活躍しながら、50代で表舞台から完全に姿を消し、以降は自宅周辺からほとんど離れることなく自らの美意識に従い淡々と生きたライターは、2006年にドイツのシュタイデル社が刊行した初の写真集『Early Color』により「カラー写真のパイオニア」として再び注目された。以降、世界各地で展覧会の開催や写真集の刊行が続き、2013年の没後もその評価はさらに高まり続け、没後なお“発展途上の写真家”であり続ける稀有なアーティストだ。本展では、没後に発掘されたポジをソール・ライター財団監修のもと、新たにプリントされた作品44点を日本で初めて展示。「写真はしばしば重要な瞬間をとらえるものとして扱われるが、本当に写真がとらえているのは、終わることのない世界の小さな断片と思い出なのだ」と語っていたライターの生み出した唯一無二の色彩の世界を存分に体験できる貴重な機会となる。

会場: art cruise gallery by Baycrew’s
住所: 東京都港区虎ノ門2-6-3 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3F SELECT by BAYCREW’S 内
会期: 2024年10月25日 (金)〜2025年1月13日 (月)
時間: 11:00-20:00 (最終入場は19:30まで)
入場料: 無料
HP: artcruisegallery.com

オリヴィエ・サイヤール CHAUSSEUR ET POÈTE「LES ÉGARÉS」

現在 J.M. WESTON (ジェイエム ウェストン) のアーティスティック・イメージ&カルチャー・ディレクターでありながら、世界的に著名なキュレーターとしても知られる Olivier Saillard (オリヴィエ・サイヤール) による巡回展。彼が本展でフィーチャーするのは、日の目を浴びなかった「プロトタイプ」のシューズたち。本展のタイトル「失われしもの」と題され取り揃えられたシューズは、草案という立場で工場内の箱に仕舞われ、孤独な運命を辿ることに。ラフスケッチのようなそれらにはデザインの軌跡が残され、数ヶ月後、数年後にはフレッシュさを纏って生まれ変わることもある。Olivier Saillard は、まるで忘却の彼方で彷徨っているままのような靴紐、靴底とアッパーに垣間見えるソール用ワックスと、韻を踏んだ詩や散文に共通の要素を見出した。歩くことと夢を見ることは密接な関係にあり、J.M. WESTON は本展を通じて、靴職人は詩人のようであるというメッセージを伝えている。毎シーズンのコレクション制作の中で、一度は見捨てられたシューズたちが新たな命が吹き込まれる瞬間を、ぜひその目で確かめてみてはいかが。

場所: J.M. WESTON 青山店
住所: 港区南青山5-11-5 住友南青山ビル 1階
会期: 2024年11月2日 (土)〜年末頃迄
時間: 11:00-20:00
入場料: 無料
休館日: なし
HP: jmweston.jp

「フェミニズムと映像表現」

ダラ・バーンバウム《テクノロジー/トランスフォーメーション:ワンダーウーマン》1978-79年、Courtesy Electronic Arts Intermix (EAI), New York

1960年代から1970年代にかけて、テレビの普及やヴィデオ・カメラの登場によってメディア環境が急速に変化すると、作家たちは新しいテクノロジーを自らの表現に取り入れはじめた。同じ頃、世界各地に社会運動が広がり、アメリカでは公民権運動、ベトナム反戦運動などの抗議活動が展開。そのなかで「フェミニズム」も大衆的な運動となり、男性優位の社会構造に疑問を投げかけ、職場や家庭での平等を求める女性が増えた。主題や形式の決まっている絵画などに比べると、ヴィデオは比較的自由で未開拓な分野だったため、社会的慣習やマスメディアの一方的な表象に対する抵抗を示すことにも有効だったという。展示するのは、アメリカ出身の Martha Rosler (マーサ・ロスラー)、韓国出身の現代アーティスト Su ja Gim (キムスージャ)をはじめ、塩田千春、Joan Jonas (ジョーン・ジョナス)、出光真子など、フェミニズムと映像を語る上で欠かせないアーティストたち。本展では、こうした時代背景を起点とする1970年代から現代までの女性作家による映像表現を、4つのキーワードを通じて紹介する。

会場: 東京国立近代美術館2Fギャラリー4
住所: 東京都千代田区北の丸公園3−1
会期: 2024年9月3日 (火)~12月22日 (日)
時間: 10:00–17:00 (金曜・土曜は10:00-20:00) *入館は閉館30分前まで
休廊日: 月曜日 (ただし9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開館)、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日
入場料: 一般¥500、大学生¥250 *高校生以下および18歳未満、65歳以上、「MOMATパスポート」をお持ちの方、障害者手帳をお持ちの方とその付添者 (1名) は無料
HP: www.momat.go.jp

YOSHIROTTEN Otemachi One RING PARK「光色の窓」

本展は、三井物産株式会社・三井不動産株式会社の開発によりオープンした大手町の「Otemachi One」にて開催されるもの。同施設からオファーを受けた YOSHIROTTEN (ヨシロットン) が、年間を通して「RING PARK」という全3回のパブリックアートのシリーズ作品を発表していく。今回のコンセプトは「RING PARK」。大手町の「O」をモチーフにした4つの「O」の重なり合いは、大手町に集まる人々が出会い交差し繋がる様子、そして4つの季節などを表している。発表される作品「光色の窓 / Prism Window」は、主に Otemachi One 1Fオフィスロビーで展開される。35m x 9m の巨大な窓ガラスを透明なキャンバスのように活用し、館内の憩いの場所を鮮やかに彩るように展示。YOSHIROTTEN にとっても過去最大サイズになるこの作品は、あらゆる光や波長が動き重なる様子を表現している。同空間には、メイングラフィックを用いたベンチも作品の一部として設置され、地下 LED 柱では、映像作品を放映。12月25日まで展示されるので、近くに立ち寄った際は是非足を運んでほしい。

場所: Otemachi One
住所: 東京都千代田区大手町 1 丁目 2-1 Otemachi One 1F 堀口珈琲前 オフィスロビー (大手町駅 C4、C5 出口直結)
会期: 2024年9月2日 (月)〜12月25日 (水)
時間: 12:00-18:00
休廊日 : 日、月、祝日
HP: otemachi-one.com