今週のTFP的おすすめ映画
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おすすめ展覧会
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
10/2025
国立新美術館 「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」

1884年ローマで創業した宝飾品ブランドであり、世界5大ジュエラーにも数えられているBVLGARI (ブルガリ)。10年ぶりの日本開催となる本展「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」は、日本における過去最大規模の企画展として行われる。展覧会タイトルに含まれる「カレイドス」は、「美しい (カロス)」、「形態 (エイドス)」を意味するギリシャ語を由来としており、美と創造性が調和した、変化し続ける色彩世界を象徴する言葉となっている。メゾンが誇る豊かな色彩にフォーカスした展示は、ブルガリ・ヘリテージ・コレクションをはじめ約350点ものマスターピース、そして没入型のインスタレーションにより構成。集結したジュエリーは、メゾンの創造の歩みを辿りながら、イタリアと日本のアート、デザインに対する情熱を描き出している。また本展は、「色彩の科学」、「色彩の象徴性」、「光のパワー」という3つの章で展開されており、BVLGARI の色彩の魅力を解き明かす貴重な機会となる。第1章「色彩の科学」では、色彩の効果に科学的にアプローチし、厳選したアイコニックなジュエリーを通して色彩の相互作用を明らかにしていく。第2章「色彩の象徴性」では、色の文化的・象徴的な側面を深く掘り下げ、色彩の選択を通じてどのように意味や感情を伝えられるのかについて注目。最終章「光のパワー」では、我々が色を感知する際の光の役割に着目し、シルバーやゴールドといった反射する素材において光がどのように作用するかを観察する。BVLGARI が誇る色彩豊かなジュエリーを通してメゾンの物語を辿る本展。展覧会に足を運び、さながら万華鏡のように鮮やかな彩りの世界へ飛び込んでみてほしい。
場所: 国立新美術館
住所: 東京都港区六本木7-22-2
会期: 9月17日(水)~12月15日(月)休館日: 毎週火曜日
時間: 10:00-18:00 (毎週金・土は20:00まで) *入場は閉館30分前まで
入場料: 一般2300円、大学生1000円、高校生500円 *中学生以下は入場無料、障害者手帳をご持参の方 (付添の方1名を含む) は入場無料 *日時指定制
HP: www.nact.jp
松永圭太、橋本知成「The Shape of the Intangible 触れられないもののかたち Keita Matsunaga Tomonari Hashimoto」

1986年生まれ、岐阜県出身の陶芸家・松永圭太と、1990年生まれ、滋賀県信楽を拠点に活動する橋本知成。この二人の作品が一堂に会する展覧会「The Shape of the Intangible 触れられないもののかたち Keita Matsunaga Tomonari Hashimoto」は、まさに現代陶芸の新たな地平を切り拓く試みだ。松永圭太は泥漿 (粘土を液状化させたもの) を型に流し込む鋳込み成形という技法を用いた作品で知られる。近年は、アメリカのアートギャラリー Nonaka Hill (ノナカ・ヒル) で定期的に展覧会を開催するなど、精力的に活動を続けているアーティスト。橋本知成は、陶芸という枠に収まらず、特徴のある金属質な表情をもった作品群で高い評価を得ている。彼の作品の魅力は、インスタレーションが空間そのものと共鳴し、新たな風景を生み出すところにある。異なる技法と視点を持つ2人が織りなす、「The Shape of the Intangible 触れられないもののかたち Keita Matsunaga Tomonari Hashimoto」展では、「土」という共通の素材に光を当てた新作の立体作品が並ぶ。両氏がどのように、「触れられないもの」に「かたち」を与えるのか。「かたち」があるようで「かたち」にならないものの探求を表現する試みである本展。静謐でありながら、強い存在感を放つ作品を目の当たりにしてみて。
会場: 和光 本店地階 アーツアンドカルチャー
住所: 東京都中央区銀座 4-5-11
会期: 10月2日(木)~10月15日(水)
時間: 11:00-19:00
HP: www.wako.co.jp
河又明日香「Scentless Tendernes (無臭の優しさ)」

1998年生まれのアーティスト・河又明日香。企業でニットデザイナーを務めながら、ファッションクリエーションを学ぶ場 coconogacco (ここのがっこう) に通い自身の表現を探求した。本展は、2025年4月に富士吉田にて実施された coconogacco 修了展のポートフォリオレビューにおいて、写真家・金川晋とビジュアルアートブック専門の書店 flotsam books (フロットサムブックス) のオーナー・小林孝行による審査で優秀賞に選出されたことを記念して行われる。河又明日香による「Scentless (無臭の優しさ)」では、これまで研究してきた「傷や痕跡」「骨の構造」といったモチーフをもとに制作した作品を中心に紹介する。河又は、服を主張としてではなく「問いかけ」として投げかけ、編み物の余白を通じて言葉にならない感情にアプローチをかけてきた。見落とされそうなもの、壊れやすいものに触れながら、人が人であることの揺るぎなさを静かに確かめる本展。河又のイマジネイティブな世界観は、きっと観る者自身の感覚と美意識を呼び起こしてくれるはず。
会場: flotsam books
住所: 東京都杉並区和泉1-10-7
会期: 10月9日(木)~10月14日(火)
時間: 14:00-20:00
休廊日: 水曜定休
HP: www.flotsambooks.com
Life is beautiful「衣・食植・住 ”植物が命をまもる衣や家となり、命をつなぐ食となる”」

東京・祐天寺のレストラン babajiji house / eatrip kitchen (ババジジハウス / イートリップ) を主宰する料理人の野村友里。料理人として生産者と関わる中で、「食」の多くは「植物」であり、あらゆる生命の循環のベースとなる「土」にあるという意識を持つようになったという。本展のタイトル「Life is beautiful (ライフ・イズ・ビューティフル)」は、料理という生業がこの循環の一部となれるよう、現代にふさわしい「食」と「暮らし」の関係を見つめ直すという意味が込められたもの。2021年には、命をまもる「衣」を、2023年には安心して暮らす「住」をテーマにした展示を開催してきた。そして、シリーズの最終章となる本展では、私たちの衣食住のすべてに精通する「米」を「食」の視点から着目する。稲の収穫後に残る茎「稲わら」)に焦点を当て、伝統技法と現代的感性を融合させた衣服や家具などを制作するクラフトユニット・Straft (ストラフト)。土の力強さや温かみが感じさせる陶芸家・小野哲平。岐阜県多治見市を拠点に、型や手捻り、ろくろなど多様な手法で器や壺を生み出す陶芸家・故金あかり。そして田畑で土から育み食材を栽培することと、食のための器をつくることを地続きの行為として行う陶芸家・十場 天伸など、さまざまな表現者の作品を紹介。「日本人は、なぜお米を食べるのだろう?」という根源的な問いを見つめ、鑑賞者とともに「衣食住」の未来へと思いを巡らせるエキシビションとなる。都会の喧騒にいるとつい忘れがちになってしまう、「食」への感謝。本展を訪れることで、命を紡ぐ「衣食住」の本質がきっと見えてくるはず。
会場: GYRE GALLERY
住所: 東京都渋谷区神宮前5-10-1
会期: 10月10日(金)~11月27日(木)
時間: 11:00-20:00
HP: gyre-omotesando.com
ボアダムス「mapocy」

伝説的バンド BOREDOMS (ボアダムス) は、EYE (アイ) が中心となり1986年に結成された日本のオルタナティブ・ロックバンド。アメリカのロックバンド Nirvana (ニルヴァーナ) のオープニングアクトや同じくアメリカのロックバンド Sonic Youth (ソニック・ユース) との共演で知られている。世界のアンダーグラウンド音楽シーンで確固たる地位を築いたBOREDOMS は、創設者である EYE を中心に実験的なパフォーマンスを展開し続けてきた。今回のエキシビション「mapocy」は、ビジュアルアーティストとしても活躍する EYE の個展となる。展示されるのは、1990年代以降、数多くのアートワークを発表してきた彼の最新作品。建設現場などで使われる緑と黄色の「合板 (コンパネ)」を素材とし、セル・オートマトンのオートマタ理論から着想を得た世界では、LED、シンバル、大型木枠 (ポップコーン) などを用いたインスタレーション空間が広がる。彼の独創的な眼差しが光るエキシビションをぜひ覗いてみて。
会場: SAI
住所: 東京都渋谷区神宮前 6-20-10 RAYARD MIYASHITA PARK South 3F
会期: 10月9日(木)~10月29日(水)
時間: 11:00-20:00
HP: saiart.jp