今週のTFP的おすすめ映画
TFP的
おすすめ展覧会
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
9/2025
CHANEL「la Galerie du 19M Tokyo」
2021年、CHANEL (シャネル) が立ち上げた複合施設 le19M (ル ディズヌフエム)。この施設は、ファッション、インテリアを極めた約700人の職人が伝統技術を継承、発展させるために集ったユニークな複合施設である。今回、その思想を日本に伝えるプロジェクトとして開催される「la Galerie du 19M Tokyo」。本展は3つの章で構成され、工房の技術を映し出す没入型インスタレーション「le Festival (ル フェスティバル)」、日本とフランスの約30人の職人やアーティストによる作品を紹介する「Beyond Our Horizons (ビヨンド・アワー・ホライズンズ)」、そして創設100周年を迎える刺繍アトリエ・ Lesage (ルサージュ) の歴史をたどる「Lesage 刺繍とテキスタイル、100年の物語」が展開される。日本とフランスの伝統的な手仕事に敬意を表し、芸術、工芸、文化が垣根を越えて対話を追求し続ける le19M の姿勢を体現した「la Galerie du 19M Tokyo」展。この刺激的で遊び心溢れる自由な旅へ足を運んでみて。
会場: 東京シティビュー・森アーツセンターギャラリー
住所: 東京都港区6-10-1
会期: 9月30日(火)~10月20日(月)
時間: 10:00-18:30 (最終入館17:30) *毎週金曜日・土曜日・祝前日は19:30まで (最終入館18:30)
HP: www.chanel.com
「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」
2025年で7回目を迎える日本最大級の都市型アートフェスティバル T3 (ティースリー)。本イベントは、東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアを舞台にフェスティバル、フェア、育成事業の3つの柱をベースに展開される。主軸となるのは、東京の都市空間を活用して国際的なアーティストの作品を紹介し、写真を通じた文化観光の促進を目指す都市型芸術祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」。このコンテンツは、「庭/Garden」をテーマに、4つの企画展により構成されている。「City as Garden (シティ・アズ・ガーデン)」と題した企画展では、アメリカ・ニューヨーク出身のフォトグラファー Stephen Shore (スティーブン・ショア) やオランダ出身のフォトグラファー Melissa Schriek (メリッサ・シュリーク) が個展形式で出展。また、同時開催される「T3 PHOTO ASIA」は、アジアのギャラリーやアーティストが集結するアートフォト市場を形成し、グローバルな写真文化を牽引するアートフェアとなっている。今年は台湾をゲスト国に迎え、その豊かな写真遺産とアジアのクリエイティブ・コミュニティにおける存在感にスポットライトを当てた。セクションの1つである Masters (マスターズ) 展では、中国の伝説的な作家 Lang Jingshan (ラン・ジンシャン) のヴィンテージ・プリントの展示が行われる。都会の喧騒を忘れさせてくれる特別な写真展。東京に国際的アーティストの作品が一堂に会するこの機会をお見逃しなく。
会場: 東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場
住所: 東京都中央区八重洲
会期: 10月4日(土)~10月27日(月)
HP: t3photo.tokyo
「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル ― ハイジュエリーが語るアール・デコ」
絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット 1924年 プラチナ、エメラルド、ルビー、オニキス、イエローダイヤモンド、ダイヤモンド ヴァン クリーフ&アーペル コレクション © Van Cleef & Arpels
1906年にパリのヴァンドーム広場で誕生したハイジュエリー メゾン Van Cleef & Arpels (ヴァン クリーフ&アーペル)。世界5大ジュエラーの1つに数えられ、メゾンのシグネチャーである四つ葉のクローバーをモチーフにした「Alhambra (アルハンブラ)」コレクションは幸運のシンボルとして人気を博している。本展は、Van Cleef & Arpels のハイジュエリー作品を通じて「現代装飾美術・産業美術国際博覧会 (アール・デコ博覧会)」の100周年を祝す記念展。メゾンは、1925年に開催されたアール・デコ博覧会の宝飾部門においてグランプリを受賞しており、大きな話題となった。本展は、その博覧会の影響を大いに受けたという朝香宮邸 (現・東京都庭園美術館) を舞台に100年の時を経て、固い絆で結ばれた両者が出会う特別なエキシビションとなっている。会場に並ぶのは、グランプリに選ばれた作品の1つ「絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット」 (1924年) や、メゾンの「パトリモニー コレクション」を中心とした歴史的な作品群。Van Cleef & Arpels に今なお引き継がれる匠の技の数々にはぜひ注目したい。アール・デコ博覧会100周年を記念する祝祭的な本展では、2つの美が織りなすハーモニーを感じさせてくれるはず。
会場: 東京都庭園美術館
住所: 東京都港区白金台5-21-9
会期: 9月27日(金)~2026年1月18日(日)
休館日: 毎週月曜日および年末年始(12月28日–1月4日) *祝日の月曜日(10月13日、11月3日、24日、
時間: 10:00-18:00 *11月21日(金)、22日(土)、28日(金)、29日(土)、12月5日(金)、6日(土)は20:00まで (入館はいずれも閉館の30分前まで)
入場: 予約制
HP: art.nikkei.com
藤岡亜弥「Life Studies」
©Aya Fujioka
1972年生まれ、広島県出身の写真家・藤岡亜弥。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、台湾に渡り、その後ヨーロッパやブラジルなど世界を横断しながらカメラを用いて記録し続けてきた。代表作として、終戦後70年が経過した広島の今を捉えた作品集『川はゆく』がある。2007年から約5年間にわたって滞在したニューヨークにて撮影した写真をもとに制作された新刊写真集『Life Studios (ライフ ストゥディオス)』の刊行を記念した本展。藤岡がニューヨークのカオスティックな暮らしの中で、移ろう光を収めたスナップが紹介される。本シリーズからカラーとモノクロを織り交ぜた写真集収録168点から厳選し、さらに未収録作品も加えた35作品での構成に仕上がった。写真弘社の創業75年を祝し、新設されるギャラリー KOSHA KOSHA AKIHABARA (コウシャ コウシャ 秋葉原) にて開催される。ギャラリーのこけら落としとなる「Life Studies」を通して藤岡が持つ独特の眼差しを、ぜひ肌で感じてみて。
会場: KOSHA KOSHA AKIHABARA
住所: 東京都千代田区 東神田3-2-3
会期: 9月26日(金)~11月8日(土)
休廊日: 日・月
時間: 10:00-18:00
HP: www.shashinkosha.co.jp
LA MUSEUM「THE [DINNER] JEANS CLASSICS」
2002年創業のヴィンテージショップ LAILA (ライラ) が手掛けるオンラインミュージアム LA MUSEUM (ラ・ミュージアム)。今回の展覧会では、 N.HOOLYWOOD (N.ハリウッド) のデザイナー・尾花大輔が長年にわたりコレクションしてきた「ディナージーンズ」を公開。もともと作業着ジーンズが、ポケットに刺繍やセンタープレスを施すことでドレッシーなアイテムへと昇華した過程に、尾花は強く魅了され、収集するようになったという。「ディナージーンズ」という一言では、その多様性を捉えきれない本アイテムの多様性や、ジーンズのバックグラウンドをたっぷりと堪能することができるエキシビションとなっている。また、オンライン展覧会に合わせ、実際に手に取ることのできるオフライン展示も、東京と大阪で実施する。それぞれ異なる視点から、このジーンズの奥深さを感じ取れる機会となる。新しい芸術鑑賞のプラットフォームを通じて、ファッションの歴史そして息遣いを紐解いてみては。
場所: (1)LA MUSEUM
(2)Mister hollywood
(3)the newly
住所: (2)東京都渋谷区神宮前4-13-16 Mister hollywood 3F
(3)大阪府大阪市西区南堀江1-14-5 Mister hollywood Osaka 3F
会期: (1)9月25日(木)~
(2)9月25日(木)~10月5日(日)
(3)10月12日(日)~10月19日(日)
時間: (1)12:00スタート
(2)12:00-20:00
(3)12:00-20:00
HP: www.la-museum.com
松岡一哲 「もっと深くて鋭くて、危なくて、たまらなく美しいやつ。 普通じゃないもの。」
Ittetsu Matsuoka, “bird”, 2025, C-print © Ittetsu Matsuoka / Courtesy of Taka Ishii Gallery Photography / Film
1978年生まれ、岐阜県出身の写真家・松岡一哲。旅先で出会った風景や身近な人々、ヌード、偶然映り込んだ抽象的なイメージなど幅広いモチーフをスナップショットで撮影された作品で知られる。長年愛用しているフィルムカメラ「Olympus μ (オリンパスミュー)」で捉えられた写真群は、淡い色調と浮遊感のある独特の作風を紡ぎ出している。そして、見過ごされてしまう場所や、切り取られない部分にも美しさが宿ることを、観る者の心にそっと灯してくれる。本展では、同氏が今年撮影した作品を中心に、これまで一貫して示してきた自身の写真観を、さらに色濃く反映させた近作30作を紹介する。強く確かな美しさを追求した個展で、松岡の「美」の世界観をその肌で感じてみて。
会場: タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルム
住所: 東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
会期: 9月6日(土)~10月11日(土)
時間: 12:00-19:00
HP: www.takaishiigallery.com
永井天陽、川谷光平「The Garden」
1991年生まれの彫刻家・永井天陽。物や出来事へのささやかな疑いをきっかけに、人が無意識に抱く感覚や常識、認識への問いをテーマに活動してきた。どのような素材、技術を織り交ぜることで「まだ誰もみたことがないもの」を創作できるか。その可能性を探求し続けている。1992年生まれのフォトグラファー・川谷光平。東京を拠点に、商業プロジェクトと作品制作を軸に活動の幅を広げてきた。近い距離感から色鮮やかに被写体を捉える独自の作風は国内外から注目を集める。二人展「The Garden」では、庭をテーマにしたエキシビションを実施。どこか懐かしさを帯びた空間に、彫刻と写真の新作が展示される。「見る」という行為に着目した本展では、庭を単なる風景の要素としてではなく、鑑賞者に新しい視点を与えるモチーフとして捉えている。彫刻と写真で描く「庭」の世界は、日常を省みる機会、そして違う角度から捉え直すきっかけを与えてくれるはずだ。
会場: parcel
住所: 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル 2F
会期: 9月20日(土)~10月19日(日)
休廊日: 月・火・祝日
時間: 14:00-19:00
HP: parceltokyo.jp
ホンマタカシ「PORTRAIT OF J」
日本を代表する写真家・ホンマタカシ。微細な変化を繊細な眼差しで切り取った数々の写真は高い評価を得ている。今回恵比寿のブックショップ POST (ポスト) にて開催される展示会は、同氏の最新作品集「PORTRAIT OF J (ポートレート オブ ジェイ)」の刊行を記念したもの。本書に掲載している写真群を用いたスライドショーと音楽を合わせたインスタレーションが紹介される。作品集では、2002年から近年までの間に撮影された111人の日本人のポートレイトを収録。プリツカ―賞受賞建築家である磯崎新や、1968年から1970年にかけて発行された伝説的写真雑誌『PROVOKE (プロヴォーク)』の共同発案・創刊者である中平卓馬など、ホンマにとってキーパーソンとなった人物から受けた影響に敬意を表しながら、同時に現在も活躍するあらゆる世代の幅広い職業や人生経験を写し取り、ポートレイトという形で表現している。特筆すべき点は、主に都市部を中心に馴染みのある場所で撮影されており、一般の一個人にも着目している点である。同氏が映し出す現代日本の肖像は、人々の心に迫るアーカイブとなるだろう。
会場: POST
住所: 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
会期: 9月12日(金)~9月28日(日)
休廊日: 月
会期: 11:00-19:00
HP: post-books.info
小浪次郎「I.D 1986」
1986年生まれ、現在ニューヨークを拠点に活動するフォトグラファー・小浪次郎。ファッションブランドの広告ビジュアル、著名人の撮影などを幅広く手掛け、その鋭い視線で切り取る写真は、世界中のクリエイターから注目を集めている。彼の活動において、一貫しているのは、被写体との出会いを瞬時に捉える洞察力と生の強度であり、どの一枚にもリアリティとエネルギーが刻まれている。小浪の軌跡を辿ることのできる個展「I.D 1986」では、初期の一枚から東京での作品、ニューヨークで近年撮影した作品まで、100点以上を紹介。展示される写真群は、個々に力強い存在感を放ちながらも、同時にひとつのインスタレーションとして構成されている。また、会場では本展と同タイトルの作品集、agnès b. (アニエスべー) とのコラボレーションによるアーティストTシャツも発売される。ファッションフォトとはまた違う、アート性のある美しい写真群、そして1986年から始まった小浪の道を鑑賞できるエキシビション。この贅沢なひとときを agnès b. の世界観とともに楽しんでみて。
会場: agnès b. galerie boutique
住所: 東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F
会期: 9月19日(金)~11月2日(日)
休廊日: 月 *10月13日(月)除く
時間: 12:00-19:00
HP: www.agnesb.co.jp
「ポメラート、ヘルムート・ニュートン&1980年代」
Helmut Newton, Pomellato, Paris, 1982 Copyright Helmut Newton Foundation / Trunk Archive
1967年、イタリア・ミラノにて創業されたジュエリーメゾン・Pomellato (ポメラート) が贈る「ポメラート、ヘルムート・ニュートン&1980年代」展。本展は、ファッションフォトグラファーの巨匠として知られる Helmut Newton (ヘルムート・ニュートン) に焦点を当てたメゾン初の単独個展。紹介されるのは、同氏によるモノクロ作品と、Pomellato が1980年代に発表したチェーンやカラージャムストーンといったシグネチャーピース。Helmut Newton のレンズを通し刺激的な視点でメゾンのビジョンを映し出した写真群は、当時の女性像を見事に捉えている。女性のエンパワーメントと大胆な芸術表現が花開いた時代を、心ゆくまで体感できる貴重な機会となる。1980年代と Pomellato を紐解くエキシビションをぜひ覗いてみて。
会場: OMOTESANDO CROSSING PARK
住所: 東京都港区南青山 5-1-1
会期: 9月18日(木)~10月6日(月)
時間: 11:00-20:00 *9月18日(木)のみ16:00クローズ
HP: pomellato.my.site.com
蓮沼執太、灰野敬二「う た」
旺盛な実験精神と心地良いポップネスを共存させた楽曲で注目を集める音楽家兼アーティスト・蓮沼執太。彼は、音楽を視覚表現へ拡張させるような展覧会やパフォーマンスなど、多岐にわたる活動を展開する。独自の音楽を探求してきたミュージシャン・灰野敬二。灰野は、日本の前衛音楽の先駆者であり、50年に渡り最前線で活躍するミュージシャンで知られる。本展は、2人が手掛けた1つのアルバム『う た』を基に構成。アルバムの音楽的、空間的拡張を模索するサウンド・インスタレーションとなっている。会場に配されたスピーカーから再生される音楽は、実際にギャラリーでレコーディングされた即興演奏を再構築したものであり、空間に残された機材が、その演奏の痕跡として確認できる。そして、映像作家・清水花が制作した映像は、2人が紡ぐサウンドを「聴くこと」から「見ること」へゆるやかに繋げてくれる。また、展示会初日には2人によるライブ・パフォーマンスが行われる予定だ。音と空間の共鳴が一度きりの場を生み出す本展を、ぜひ堪能してみて。
会場: 隙間
住所: 東京都台東区蔵前3-11-2
会期: 9月20日(土)~9月28日(日)
時間: 12:00-19:00
HP: sukima.henderscheme.com
「LES SIX SPRING/Summer 2026: THE BETRAYAL OF CHRIST」
日本人クリエイター集団が設立したファッションブランド LES SIX (レシス)。ロンドンやニューヨークで長く活躍していたデザイナー・川西遼平を中心に、仕立て職人、彫金師、ジュエラー、職人、革織人、グラフィックデザイナー、クリエイティブディレクターなど異なるバックグラウンドを持つクリエイターで構成されている。本展は、川西による「現代アメリカをファッションという表現で写し出す」プロジェクトの最終章として、写真展という形式で行われる。本作のモチーフとなったのは、宗教画における代表的なテーマ「ユダの裏切り(キリストの捕縛)」。そして、写真に登場する人物が纏うのは、アメリカ建国の1776年から2025年までの服飾をもとにデザインされた最新コレクション。宗教絵画を忠実に再現しながら、新しいビジュアル表現として写真に落とし込んだ。撮影を手掛けたのは、東京を中心に活動するフォトグラファー・薄井一儀。プロジェクトの集大成であり、社会背景に対する批評を表現したコレクション。世界的に注目される精鋭ブランドの解像度を高める特別な写真展をお見逃しなく。
会場: flotsam books
住所: 東京都杉並区和泉1-10-7
会期: 9月18日(木)~9月23日(火)
休廊日: 水
時間: 14:00-20:00
HP: www.flotsambooks.com
三部正博「PORTRAIT IN LANDSCAPE」
三部正博は、1983年生まれ東京都出身の写真家。広告やファッション誌、カタログに加え、美術、建築の分野においてもコミッションワークを手掛ける。2015年頃よりライフワークとして撮りためている「ランドスケープ」では、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさを記録している。今回発表されるのは、「ランドスケープ」の延長である「PORTRAIT IN LANDSCAPE (ポートレート イン ランドスケープ)」。同氏を含めた4組の遺影を展示する。本プロジェクトは、三部の父親が亡くなり慌てて準備した遺影と、記憶の中にいる父親との差異に違和感を覚えたことがきっかけとなり、スタートしたもの。三部が思いを馳せるのは、
場所: SAN ROOM KYOTO
住所: 京都府京都市上京区室町頭町293-5
会期: 9月12日(金)~9月23日(火) *9月18日(木)休廊
時間: 13:00-19:00
HP: 3be.in
国際芸術祭「あいち2025」
2010年から3年ごとに開催されており、今年で6回目を迎える「あいち」の国際芸術祭。本展は、国内外から多数のアーティストが参加する、国内最大規模のアートイベントである。舞台芸術などを含めた、多様な現代美術の潮流を「あいち」から発信することが目的とされている。今回は、シリア出身の詩人 Adonis (アドニス) の詩から着想を得た「灰と薔薇のあいまに」をテーマのもと、多様なバックグランドを持つ全61組が「あいち」に集結。杉本博司やアメリカ人アーティストの Simone Leigh (シモーヌ・リー) などをはじめ国内出身26組を含むアジアのアーティストに加え、先住民族にルーツを持つ作家や、さまざまな理由で出身地域とは異なる場所で活動しているアーティストのように、自らの社会的・文化的アイデンティティを見つめ直しながら表現を模索するアーティストも数多く参加する。世界各地で活躍する彼らの多様な挑戦は、これまで欧米中心に紡がれてきた歴史を解きほぐし、複雑化していく世の中を新たな切り口から考えるきっかけを与えてくれるだろう。
場所: (1)愛知芸術文化センター
(2)愛知県陶磁美術館
(3)瀬戸内市のまちなか
住所: (1)愛知県名古屋市東区東桜1丁目13-2
(2)愛知県瀬戸市南山口町234番地
会期: 9月13日(土)~11月30日(日)
時間: (1)10:00-18:00 *金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで
(2)9月末まで 9:30~17:00、10月以降は9:30-16:30 *入館は閉館の30分前まで
休館日: (1)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日、9/16(火)、11/25(火)は臨時開館
(2)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日
HP: aichitriennale.jp
Soh Souen「Keep Me Together」
1995年生まれの美術作家 Soh Souen (ソー・ソウエン)。「生」にまつわる事象に目を向け、絵画、インスタレーション、パフォーマンスなど多岐にわたる表現を展開してきた。最新個展「Keep Me Together」では、「点描」を用いた彼の代表作「tie」シリーズを中心に、その表現を深化・展開させた作品群を紹介。ドット状に描いたこの「tie」シリーズは、証明写真を起点に「個」や「アイデンティティ」を見る者に問いかける。本展にて特に注目したいのは、自己と他者の境界を解体する「わたしたち」について深化させた新作絵画。また、身体において、他者が入り込んでくる身体の開口部を点描で描いた「身体の穴を穴だらけに描くシリーズより」によって、身体の自律と非自律の関係性を表現した作品も並ぶ。本展では、彼が追求してきた「個」と「身体」のはざま、そして「生」への問いかけに触れながら、静謐でありながらも緊張感を孕んだ空間を体感することができる。
場所: LURF GALLERY 2F
住所: 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob 1
会期: 9月11日(木)~10月13日(月)
時間: 11:00-19:00
HP: lurfgallery.com
国立新美術館「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現1989-2010」
小沢剛『ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京』2001年 Cプリント
国立国際美術館蔵 ©Tsuyoshi Ozawa
日本のアートシーンを彩った革新的な表現にフィーチャーする本展「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現」。昭和から平成に移りゆく新しい時代の幕開けとなった1989年から2010年までの間に、日本ではどのようなアートが生まれ、発信されたのかを検証する企画展だ。本展では、国内外の50を超えるアーティストの作品を、3つのテーマで紹介する。1章「過去という亡霊」では、戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求を。2章「自己と他者と」では、自他の眼差しの交換の中でアイデンティティやジェンダー、文化的ヒエラルキーを問う実践を。3章「コミュニティの持つ未来」では、既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築の可能性を探るプロジェクトを紹介。これら3つのレンズを通すことで、鑑賞者は一面的なものでなく、複数の視点で捉え、深く思索を巡らせることができる。国立新美術館と香港のグローバルミュージアム M+ (エムプラス) の協働キュレーションにより、ナショナリティという枠を超えた国際的な視座から、日本の変化に富んだ時代を見つめ直すエキシビションとなっている。
会場: 国立新美術館
住所: 東京都港区六本木7-22-2
会期: 9月3日(水)~12月8日(月)
時間: 10:00-18:00 *毎週金・土曜日は20:00まで
休館日:毎週火曜日 *ただし9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
HP: www.nact.jp
田部井美奈「光と図形と、その周辺」
埼玉県生まれ、アートディレクター兼グラフィックデザイナー・田部井美奈。2003年よりグラフィックデザイナー・服部一成に師事した後、2014年に独立して田部井美奈デザインを設立。独立後、自分にしかできないビジュアル表現を探求し、写真の持つ「光と影」という偶然の現象を二次元の紙面上に落とし込んでいく実験的なアプローチを展開。そのアプローチから仕上げられた本やパッケージには、凛とした品位のなかに明るいやさしさがあり、華美ではないにもかかわらず、見る者の目を惹きつける魅力が溢れている。2018年から追求する「光と図形」シリーズ最新作が公開される本展は、空間ごと作品を体感できる貴重な機会である。合わせて、制作過程を物語る断片も同時に鑑賞できるのも見どころの一つだ。これまでに手掛けてきたブックデザインやパッケージ、ポスターなどのグラフィックデザインも展示予定だ。個性的でありながらも、作品群が一体となって、美しく見えるデザインは、まさにタベミナイズムといえる。本展「光と図形と、その周辺」を通じ、タベミナイズムの深淵に触れてみてほしい。
会場: ギンザ・グラフィック・ギャラリー
住所: 東京都中央区銀座7-7-2 DNP 銀座ビル 1F/B1F
会期: 9月5日(金)~10月22日(水)
時間: 11:00-19:00
休廊日: 日・祝
HP: www.dnpfcp.jp
永井天陽、川谷光平 「Playful Prayer」
1991年埼玉県生まれの彫刻家・永井天陽。物や出来事へのささやかな疑いをきっかけに、人が無意識に抱く感覚や常識、認識への問いをテーマに活動してきた。どのような素材、技術を織り交ぜることで「まだ誰もみたことがないもの」を創作できるか。その可能性を探求し続けている。1992年生まれ、島根県出身のフォトグラファー・川谷光平。東京を拠点に、商業プロジェクトと作品制作を軸に活動の幅を広げてきた。近い距離感から色鮮やかに被写体を捉える独自の作風は国内外から注目を集める。永井と川谷による2人展「Playful Prayer」。本展では、彫刻と写真という異なる表現を通して、見過ごされがちな日常に新たな境界線を引き、視覚的なコントラストを生み出すことで、当たり前とされる認識に対して疑問を投げかける。物質性と像、実体と虚構。そのはざまに意識的に身を置く彼らの姿勢は、彫刻や写真が役割や定義を超越し、新しい表現領域を切り拓いてきた歴史への応答といえるだろう。SNS やニュースなどを通し「見ること」、そこから生まれる「知ること」、「信じること」の倫理に対し、小さくも確かな抵抗を示す本展。2人が紡ぐその疑問は、日常生活を省みる機会を与えてくれるに違いない。
会場: H BEAUTY&YOUTH (エイチ ビューティー&ユース)
住所: 東京都港区南青山3-14-17
会期: 8月29日(金)~11月26日(水)予定
時間: 平日12:00-20:00 休日11:00-20:00
HP:united-arrows-global.com
川内倫子 「いまここ」
1972年生まれ、滋賀県出身の写真家・川内倫子。2023年に、ソニーワールドフォトグラフィーアワードの Outstanding Contribution to Photography (特別功労賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を獲得し、国内外で数多くの展覧会を行っている。今回は、詩人・谷川俊太郎の詩に川内の作品を織り込んだ写真絵本『いまここ』(23年) を中心に構想された写真、映像が紹介される。この本は、「いまここ」の楽曲提供者であるミュージシャン・原田郁子が川内の写真展に訪れた際、谷川の詩の世界観とのつながりを感じたことがきっかけとなり生まれた。展覧会では、言葉、写真、そしてデザインが交錯し、見る人々に問いかけや思索、新たな感覚をもたらす同作品を、空間全体で体験できる。また、本展の初日には、川内と原田による音楽会も開催予定で、『いまここ』を深く味わえる絶好の機会となる。
会場: starnet ZONE
住所: 栃木県芳賀郡益子町益子3278-1
会期: 9月6日(土)~9月15日(月)
時間: 11:00-17:00
休廊日: 水・木
HP: www.starnet-bkds.com











