今週のTFP的おすすめ映画
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おすすめ展覧会
「今、観るべき」「今からでも観れる」映画を月替わりでご紹介。東京都心で公開中の映画を中心に、
The Fashion Post (ザ・ファッションポスト) 編集部おすすめの作品を、大型シネコンからミニシアターまでセレクト (毎週火曜更新)。
9/2025
三部正博「PORTRAIT IN LANDSCAPE」

三部正博は、1983年生まれ東京都出身の写真家。広告やファッション誌、カタログに加え、美術、建築の分野においてもコミッションワークを手掛ける。2015年頃よりライフワークとして撮りためている「ランドスケープ」では、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさを記録している。今回発表されるのは、「ランドスケープ」の延長である「PORTRAIT IN LANDSCAPE (ポートレート イン ランドスケープ)」。同氏を含めた4組の遺影を展示する。本プロジェクトは、三部の父親が亡くなり慌てて準備した遺影と、記憶の中にいる父親との差異に違和感を覚えたことがきっかけとなり、スタートしたもの。三部が思いを馳せるのは、
場所: SAN ROOM KYOTO
住所: 京都府京都市上京区室町頭町293-5
会期: 9月12日(金)~9月23日(火) *9月18日(木)休廊
時間: 13:00-19:00
HP: 3be.in
国際芸術祭「あいち2025」

2010年から3年ごとに開催されており、今年で6回目を迎える「あいち」の国際芸術祭。本展は、国内外から多数のアーティストが参加する、国内最大規模のアートイベントである。舞台芸術などを含めた、多様な現代美術の潮流を「あいち」から発信することが目的とされている。今回は、シリア出身の詩人 Adonis (アドニス) の詩から着想を得た「灰と薔薇のあいまに」をテーマのもと、多様なバックグランドを持つ全61組が「あいち」に集結。杉本博司やアメリカ人アーティストの Simone Leigh (シモーヌ・リー) などをはじめ国内出身26組を含むアジアのアーティストに加え、先住民族にルーツを持つ作家や、さまざまな理由で出身地域とは異なる場所で活動しているアーティストのように、自らの社会的・文化的アイデンティティを見つめ直しながら表現を模索するアーティストも数多く参加する。世界各地で活躍する彼らの多様な挑戦は、これまで欧米中心に紡がれてきた歴史を解きほぐし、複雑化していく世の中を新たな切り口から考えるきっかけを与えてくれるだろう。
場所: (1)愛知芸術文化センター
(2)愛知県陶磁美術館
(3)瀬戸内市のまちなか
住所: (1)愛知県名古屋市東区東桜1丁目13-2
(2)愛知県瀬戸市南山口町234番地
会期: 9月13日(土)~11月30日(日)
時間: (1)10:00-18:00 *金曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで
(2)9月末まで 9:30~17:00、10月以降は9:30-16:30 *入館は閉館の30分前まで
休館日: (1)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日、9/16(火)、11/25(火)は臨時開館
(2)月曜日 *月曜日が祝休日の場合は翌火曜日
HP: aichitriennale.jp
Soh Souen「Keep Me Together」

1995年生まれの美術作家 Soh Souen (ソー・ソウエン)。「生」にまつわる事象に目を向け、絵画、インスタレーション、パフォーマンスなど多岐にわたる表現を展開してきた。最新個展「Keep Me Together」では、「点描」を用いた彼の代表作「tie」シリーズを中心に、その表現を深化・展開させた作品群を紹介。ドット状に描いたこの「tie」シリーズは、証明写真を起点に「個」や「アイデンティティ」を見る者に問いかける。本展にて特に注目したいのは、自己と他者の境界を解体する「わたしたち」について深化させた新作絵画。また、身体において、他者が入り込んでくる身体の開口部を点描で描いた「身体の穴を穴だらけに描くシリーズより」によって、身体の自律と非自律の関係性を表現した作品も並ぶ。本展では、彼が追求してきた「個」と「身体」のはざま、そして「生」への問いかけに触れながら、静謐でありながらも緊張感を孕んだ空間を体感することができる。
場所: LURF GALLERY 2F
住所: 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob 1
会期: 9月11日(木)~10月13日(月)
時間: 11:00-19:00
HP: lurfgallery.com
国立新美術館「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現1989-2010」

小沢剛『ベジタブル・ウェポン-さんまのつみれ鍋/東京』2001年 Cプリント
国立国際美術館蔵 ©Tsuyoshi Ozawa
日本のアートシーンを彩った革新的な表現にフィーチャーする本展「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現」。昭和から平成に移りゆく新しい時代の幕開けとなった1989年から2010年までの間に、日本ではどのようなアートが生まれ、発信されたのかを検証する企画展だ。本展では、国内外の50を超えるアーティストの作品を、3つのテーマで紹介する。1章「過去という亡霊」では、戦争、被爆のトラウマ、戦後問題に向き合い続ける探求を。2章「自己と他者と」では、自他の眼差しの交換の中でアイデンティティやジェンダー、文化的ヒエラルキーを問う実践を。3章「コミュニティの持つ未来」では、既存のコミュニティとの関わりや新たな関係性の構築の可能性を探るプロジェクトを紹介。これら3つのレンズを通すことで、鑑賞者は一面的なものでなく、複数の視点で捉え、深く思索を巡らせることができる。国立新美術館と香港のグローバルミュージアム M+ (エムプラス) の協働キュレーションにより、ナショナリティという枠を超えた国際的な視座から、日本の変化に富んだ時代を見つめ直すエキシビションとなっている。
会場: 国立新美術館
住所: 東京都港区六本木7-22-2
会期: 9月3日(水)~12月8日(月)
時間: 10:00-18:00 *毎週金・土曜日は20:00まで
休館日:毎週火曜日 *ただし9月23日(火・祝)は開館、9月24日(水)は休館
HP: www.nact.jp
田部井美奈「光と図形と、その周辺」

埼玉県生まれ、アートディレクター兼グラフィックデザイナー・田部井美奈。2003年よりグラフィックデザイナー・服部一成に師事した後、2014年に独立して田部井美奈デザインを設立。独立後、自分にしかできないビジュアル表現を探求し、写真の持つ「光と影」という偶然の現象を二次元の紙面上に落とし込んでいく実験的なアプローチを展開。そのアプローチから仕上げられた本やパッケージには、凛とした品位のなかに明るいやさしさがあり、華美ではないにもかかわらず、見る者の目を惹きつける魅力が溢れている。2018年から追求する「光と図形」シリーズ最新作が公開される本展は、空間ごと作品を体感できる貴重な機会である。合わせて、制作過程を物語る断片も同時に鑑賞できるのも見どころの一つだ。これまでに手掛けてきたブックデザインやパッケージ、ポスターなどのグラフィックデザインも展示予定だ。個性的でありながらも、作品群が一体となって、美しく見えるデザインは、まさにタベミナイズムといえる。本展「光と図形と、その周辺」を通じ、タベミナイズムの深淵に触れてみてほしい。
会場: ギンザ・グラフィック・ギャラリー
住所: 東京都中央区銀座7-7-2 DNP 銀座ビル 1F/B1F
会期: 9月5日(金)~10月22日(水)
時間: 11:00-19:00
休廊日: 日・祝
HP: www.dnpfcp.jp
永井天陽、川谷光平 「Playful Prayer」

1991年埼玉県生まれの彫刻家・永井天陽。物や出来事へのささやかな疑いをきっかけに、人が無意識に抱く感覚や常識、認識への問いをテーマに活動してきた。どのような素材、技術を織り交ぜることで「まだ誰もみたことがないもの」を創作できるか。その可能性を探求し続けている。1992年生まれ、島根県出身のフォトグラファー・川谷光平。東京を拠点に、商業プロジェクトと作品制作を軸に活動の幅を広げてきた。近い距離感から色鮮やかに被写体を捉える独自の作風は国内外から注目を集める。永井と川谷による2人展「Playful Prayer」。本展では、彫刻と写真という異なる表現を通して、見過ごされがちな日常に新たな境界線を引き、視覚的なコントラストを生み出すことで、当たり前とされる認識に対して疑問を投げかける。物質性と像、実体と虚構。そのはざまに意識的に身を置く彼らの姿勢は、彫刻や写真が役割や定義を超越し、新しい表現領域を切り拓いてきた歴史への応答といえるだろう。SNS やニュースなどを通し「見ること」、そこから生まれる「知ること」、「信じること」の倫理に対し、小さくも確かな抵抗を示す本展。2人が紡ぐその疑問は、日常生活を省みる機会を与えてくれるに違いない。
会場: H BEAUTY&YOUTH (エイチ ビューティー&ユース)
住所: 東京都港区南青山3-14-17
会期: 8月29日(金)~11月26日(水)予定
時間: 平日12:00-20:00 休日11:00-20:00
HP:united-arrows-global.com
川内倫子 「いまここ」

1972年生まれ、滋賀県出身の写真家・川内倫子。2023年に、ソニーワールドフォトグラフィーアワードの Outstanding Contribution to Photography (特別功労賞)を受賞するなど、国際的にも高い評価を獲得し、国内外で数多くの展覧会を行っている。今回は、詩人・谷川俊太郎の詩に川内の作品を織り込んだ写真絵本『いまここ』(23年) を中心に構想された写真、映像が紹介される。この本は、「いまここ」の楽曲提供者であるミュージシャン・原田郁子が川内の写真展に訪れた際、谷川の詩の世界観とのつながりを感じたことがきっかけとなり生まれた。展覧会では、言葉、写真、そしてデザインが交錯し、見る人々に問いかけや思索、新たな感覚をもたらす同作品を、空間全体で体験できる。また、本展の初日には、川内と原田による音楽会も開催予定で、『いまここ』を深く味わえる絶好の機会となる。
会場: starnet ZONE
住所: 栃木県芳賀郡益子町益子3278-1
会期: 9月6日(土)~9月15日(月)
時間: 11:00-17:00
休廊日: 水・木
HP: www.starnet-bkds.com