agnès b.
with yuina kuroshima

アニエスべーと5人の表現者たち vol.1 黒島結菜

agnès b.
with yuina kuroshima

model: yuina kuroshima
photography: naoya matsumoto
styling: sumire hayakawa
hair & makeup: hiroko ishikawa
interview: tomoko ogawa
edit & ext: yuki namba

流行ではなく、スタイルを生み出す服がある。映画、音楽、アートをこよなく愛する一人の女性、Agnès Troublé (アニエス・トゥルブレ) によって1975年に誕生したブランド agnès b. (アニエスベー)。50年近くにわたり彼女が生み出してきた服には、人々のスタイルに馴染み、着る人の個性を引き立出す力が宿っている。

どんなに時代が移り変わろうとも、自分らしく、独創的であること。今回、agnès b. が大切にしてきたスピリットに共鳴する、独自のスタイルを持つ5人の表現者がagnès b.に袖を通し、それぞれの表現活動やオリジナリティについて語る。

第1回に登場するのは、ドラマや映画、舞台など、さまざまなフィールドで独自の存在感を放つ、女優の黒島結菜。芸歴12年になる彼女が歩んできた、これまでの自分の変化や、その中で見つけたオリジナリティとは。

agnès b.
with yuina kuroshima

アニエスべーと5人の表現者たち vol.1 黒島結菜

普段はカジュアルなスタイルが多いという黒島が袖を通したのは、1979年に誕生してから世界中で愛され続けているカーディガンプレッションを、上質なラムレザーで仕立てたもの。ベーシックなアイテムに選んだのは花びらのような襟が印象的なブラウス。カジュアルなモノトーンスタイルに合わせたのは、ゴールドの b. ロゴに思わずときめくミニサイズのショルダーバッグ。シンプルながらも主張を忘れない、アニエスベーの小粋なエッセンスが光る。

ジャケット¥297,000、ブラウス¥28,600、agnès b.× Dolmenパンツ¥44,000、バッグ¥34,100、シューズ参考商品/すべて agnès b. (アニエスベー)

−もともと人見知りな性格だったそうですが、さまざまな現場で異なるキャラクターを演じながら、変化していったのでしょうか?

そう思ってた頃からは、だいぶ変わりました。当時は、本当に私でいいのかなと自信が持てなかったんですけど、自分を呼んでくれているのにそう思うことが申し訳ないと感じるようになって。5年くらい前から、いただいた仕事一つひとつを楽しめるようにしようという意識に、ちょっとずつ変わってきました。今も、自信満々っていうわけではないんですけど、現場や人前に出ることに緊張することは減ってきましたし、苦手だと感じていたことも、やってみたら意外と楽しいと思えるようになりました。

−ドラマ、映画以外にも、定期的に舞台にも出演されていますが、それぞれで演技する上での楽しみとは?

舞台はより楽しいです。ドラマ、映画の現場と違って、稽古、本番とスケジュールも事前にきっちり決まってるので、意外と体力的にはそこまで大変じゃなくて。1日のルーティーンも作りやすいですし、バランスよくプライベートな生活と両立しながら集中できるので、個人的にすごく好きです。あとお芝居も、繰り返し演じても毎回やっぱり違って、新鮮さは失われないんですよね。むしろ何回もやったことで、口から勝手にセリフが出てくる頃になると、心の動きは本当に自由自在になれるというか。100%体に染みつくまで練習できる環境が舞台にはあるので、定期的にやっていきたいです。一方で、ドラマや映画は、作品として残り続けることがすごくいいなと。また、自分が思ってもいなかった演出や編集で、「こういう風に完成したんだ!」という驚きもありますし、残るものをみんなで作り上げたという感覚が得られるのが面白いなと。

−デビューから12年目になるそうですが、俳優を続けているモチベーションになっていることとは?

人と関わること、また再会できる喜びが大きいのかなと思います。現場は毎回変わりますし、スタッフもキャストも新しくなる中で、初めましての方もいれば、お互い変化している状態で再会する方もいて、新鮮さとまた一緒に仕事ができる喜びはありますね。お芝居は、昔よりはちょっとずつ自由になってきたとは感じますけど、やっぱり今でも難しいと思うし、考えるし、100%自分が思うようにはできなくて。でも、満足してしまったら、楽しめなくなる気もするので、反省しつつ、ちょっとずつ、ちょっとずつ進んでいくみたいな。それが面白くて続けているのかもしれないです。

−最近、自分について、新たに気づいたことはありましたか?

マネージャーさんともよく話すんですが、平常心でいられるようになったなと。いい影響は受けても、悪い影響にあまり左右されなくなって、自分の気持ちやペースを一定に保てるようになりました。客観的に冷静に自分のことも、人のことも見れるようになってきたことで、リスペクトしながらも、程よい距離感を保てるようになったというか。行き過ぎるとドライになってしまうから気をつけつつ、今のところはバランスがうまく取れていると思います。この仕事をしてると、いろんな人と関わるので、今、心地いい環境があることも実感していて、感謝してます。

− agnès b.にはどんな印象がありましたか?

小さい頃から、お母さんが大好きなブランドだったので、よく聞いていたんです。子どもの耳で「何なんだろう?」と思っていたけれど、名前もロゴもずっと染み付いていて、自分で初めて買ったお財布も agnès b.だったんです。だから、今回、この企画で声をかけていただけて、すごく嬉しいです。

−オリジナルなスタイルを持っているという点で agnès b.と共鳴する黒島さんですが、オリジナリティという言葉をどのように捉えていますか?

今は、SNSを通じて、どう見られたいかを簡単に自分でコントロールできる時代になっていきてますが、独特な雰囲気とか、この人はちゃんと自分があるなという感じは、理論的ではなく感覚的に受け取ることが多い気がします。かと言って、私が自分があるかと聞かれたら、あまりよくわからなくて。影響は受けやすいタイプなので、良い影響はどんどん受けていきたいし、自分のためにそういう人と積極的に付き合おうとはしています。きっと、自分のことをよくわかってることが大事なのかもしれないですね。

−周囲の人からは、どう表現されることが多いですか?

「強い」とはよく言われます。以前、「繊細な部分を持ち合わせてる強さがあって、ジブリのヒロインみたい」と言われたことがあって、それはすごくと嬉しかったです。あまり強すぎてもね、とも思いますけど(笑)。ただ、言うべき時はちゃんとはっきり言いたいし、相手の主張を受け入れるときがあってもいいと思いますし、柔軟でいたいですね。

バッグ ¥34,100/agnès b.(アニエスベー)