ミューズの肖像。鈴木親が撮る小松菜奈 vol.2
いつの時代も、銀幕には有無を言わさぬ吸引力を持って、大衆を魅了するミューズの姿があった。 Audrey Hepburn (オードリー・ヘップバーン)、Grace Kelly (グレース・ケリー)、Anna Karina (アンナ・カリーナ)……名前を挙げ出せばきりがないが、彼女たちを収めた写真たちは、今もなお色褪せることのない魅力を証明する。
現代における、そうしたミューズのひとりに間違いなく数えられるのは、小松菜奈だろう。初の長編映画となった『渇き。』で多数の新人賞を受賞し、Martin Scorsese (マーティン・スコセッシ) の『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー、『糸』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞に輝き、一歩一歩着実に進みながらも、時にはダイナミックに階段を駆け上がる彼女が再び、写真家の鈴木親とタッグを組む。
今回、披露するのは最新のファッションに囲まれながら、古着をこよなく愛する彼女だからこそ着こなすことのできるミックススタイリング。常に変化し続ける東京の街にあっても、道ゆく人々が変わらず木々や花に目をとめるように。時代を超えても変わることのない美しさ、そこに宿る真価を捉える(第2回/全4回)。
nana komatsu
model: nana komatsu
photography & videography: chikashi suzuki
styling: hisato tasaka
hair: tsubasa
make up: kie kiyohara
edit & text: manaha hosoda
今回のお題は、どこまで自由にミックスを楽しめるか。ウィメンズだけでなく、メンズウェアも織り交ぜて。これまでに数え切れないほどの洋服に身を包んできた小松だからこそ、どんなアイテムも自在に着こなす。今年、Dries Van Noten (ドリス・ヴァン・ノッテン) 本人の引退は、間違いなくファッションの世界を大きく揺るがしたニュースだった。ベルギーのアントワープ出身の Dries Van Noten は、1986年にブランドをスタートし、「Antwerp 6」として以降のファッションに大きな影響を与えた。鮮烈なプリントづかい、精巧なテーラリング、独自の感性によって生み出されるコレクションの数々は、まさにファッションの夢を具現化する。小松が袖を通したのは、「The elegance of the unexpected (予期せぬもののエレガンス)」と題された2024年秋冬メンズコレクション。イマジネーションがひろがるエレガントなピースには、岡本太郎のアートワークがプリントされたTシャツを忍ばせて、”予想外の”組み合わせを楽しんで。