ai hashimoto & taishi nakagawa
The Fashion Post
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橋本愛と中川大志。心地いい空気が満ちるふたりの場合は〈前編〉

今をときめくふたりの俳優が共演すると聞きつけ、取りつけた取材当日。それは、まだまだ底冷えが厳しい、初春の朝だった。映画『早乙女カナコの場合は』で、橋本愛が演じたのは周囲の目を気にせずにはいられない生真面目なヒロイン。その恋人であり、世間でいうところのダメ男を怪演したのが、中川大志だ。

本作の撮影以来の再会となったふたりは、お互い揃って金髪にイメージチェンジしていたことに驚く。澄みきった冬の日差しに透ける髪に目を細めながら、慣れた様子でカメラの前に現れると、その場は心地よい空気感に包まれていった。

スタイルを持つふたりの場合は、どんな着こなしをみせてくれるのか。この春の最旬ルックのマリアージュとともに、まもなく公開を控える『早乙女カナコの場合は』について話を聞いた。

ai hashimoto & taishi nakagawa

model: ai hashimoto & taishi nakagawa
photography: michi nakano
styling: naomi shimizu (ai) & daisuke kawachi (taishi)
hair & make up: yumi narai (ai) & kuboki (taishi)
interview, text & edit: manaha hosoda

Ai:ニット ¥319,000、中に着たミニドレス ¥214,500、ポロシャツ ¥165,000、ベルト ¥91,300、スカート ¥357,500 *すべて予定価格/すべて MIU MIU (ミュウミュウ)

Taishi:カーディガン ¥181,500、セーター ¥140,800、パンツ ¥192,500/すべて Jil Sander by Lucie and Luke Meier (ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク·メイヤー)

—『早乙女カナコの場合は』というタイトルにある通り、主役は早乙女カナコですが、登場人物全員のキャラクターが際立っていると感じました。橋本さんは自身が演じた役についてどう捉えていましたか?

橋本:キャラクターそれぞれが主人公に見えるほど粒立っていて、群像劇のような作品になることを目指していたので、そう言っていただけて嬉しいです。カナコに共感できる部分はたくさんありますが、あえて挙げるなら、彼女が男性恐怖症であるという点ですね。私もその感覚に見覚えがあります。性的な目線を向けられることを忌避して、あえて女性らしさを排することで男社会に迎合したり。

—中川さんはいかがでしょうか?ロングヘアで印象が違ったので、最初気づきませんでした(笑)。

中川:携帯のCMぶりですね(笑)。今回、どう役作りをするかはかなり迷いました。見た目の奇抜さや、彼の持つ言葉の強さ、そしてカナコを巻き込んでいくエネルギーは重要な要素でした。ただ、そのエネルギーの源になっているのは、彼の弱さや脆さだと思ったので、そこを軸にすることを考えていました。20代というのは、そういった自分の内面に潜在的に気づいていても、気づかないふりをすることがありますよね。その頃の気持ちを振り返りながら役に向き合いました。

—確かに一見するとエキセントリックなキャラクターたちですが、そういう人間の弱さや幼さについて考えると、誰しも共感できるところがあるのではないかと思いました。

橋本:カナコが自意識に振り回されているところにも、過去の自分と重なる部分がありました。仕事を始めた頃は、他人からどう見られているかを気にしすぎていたので、とても懐かしい気持ちになりましたね。

中川:自分の理想と実際の周囲からの見られ方のギャップに気づくことで、それが行動や発言の根底になっていく。それも時が流れるにつれて、メッキがはがれていくんですよね。派手なことをすればするほど、裏腹にそのキャラクターの人間らしさが際立ち、魅力的にみえるようになればいいなと思いながら演じていました。

〈あらすじ〉
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも3年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。⻑津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして二人の恋の行方は。