ヴェトモン・フィーバーに困惑する私、おかしいですか?
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ヴェトモン・フィーバーに困惑する私、おかしいですか?
Is Vetements Really A New Trend? I Mean, REALLY?
セレブリティからファッション業界人、トレンドに敏感な東京キッズまで、誰もが Vetements (ヴェトモン) に夢中。そんな中、一つの疑問が浮かんできた。
Vetements (ヴェトモン) フィーバーは続く。正直パリのアングラブランドとしてデビューした頃、ここまでの大きなムーブメントとなることをどれだけの人が予想していただろう。とにかく毎シーズンランウェイショーは大きな話題となり、店舗に並べば即完売、ついには他のヤングデザイナーからメゾンまで「ヴェトモン的な」シルエットを果敢に取り入れるまでに至った。
中でも大きなニュースとなったのは、昨年7月のパリ オートクチュール 期間中に発表された2016-17年秋冬 コレクション。COMME des GARÇONS (コムデギャルソン) や Brioni (ブリオーニ)、ロゴスウェットの元ネタになった Champion (チャンピオン)、そして Manolo Blahnik (マノロ・ブラニク) から Dr. Martens (ドクター・マーチン) など18ものブランドとのコラボ大合戦という度肝を抜くコレクションは、ファッションブランドのあり方そのものに疑問を呈するほどの物議を醸した。
そして半年経った今月、ついに話題のコラボシリーズが店頭に並ぶタイミングがやってきた。厳密に言うと取扱店舗でも予約完売が大半のようだが…
個人的に気になっていた Manolo とのコラボによる腰まであるサテンのサイハイブーツは、ラグジュアリー eコマースサイトの「NET-A-PORTER (ネッタポルテ)」限定での展開。お値段 $4339 (約50万円) ということで、Rihanna (リアーナ) とのコラボと肩を並べるほどの驚愕の価格設定。しかしながら、こちらも発売から数時間後にサイトを見たところ全て完売していた。
比較的手の届く Dr. Martens のエンジニアブーツには、左右それぞれの踵部分に「BORDER」、「LINE」の文字が配されており、値段は $652 (約7万円)。こちらは国内唯一の正規取扱店舗である Addition Adelaide (アディッション・アデライデ) では予約完売とのことで、聞きしに勝る話題性を見せつける結果となった。
時に、今回のコレクションでコラボブランドの一つとして注目を集めた Juicy Couture (ジューシー・クチュール) といえば10年ほど前に Paris Hilton (パリス・ヒルトン)、ないし Nicole Richie (ニコール・リッチー) が着用し、LA セレブブームを巻き起こした時の事を思い出さないだろうか。
そう、いつの時代も、ファッション好きがこぞって集める「コレクターズ・アイテム」は存在するのだ。かの Juicy Couture ブームの事を思い返してみれば、当時他に流行ったのは Von Dutch (ヴォンダッチ) や Ed Hardy (エド・ハーディ) の刺繍キャップ、Pringle (プリングル) の塩ビのボストン、 そして Dior (ディオール) の「サドル・バッグ」。奇妙なことに、これらの「懐かしの」ブランドたちが、今セレブリティたちが愛用するイット・アイテムとして再燃している。
そこで一つ疑問が浮かぶ。果たしてこれは、ミレニアル世代が飛びついた “新しいトレンド” なのだろうか。それとも2000年代ファッションのリバイバルというテイでクールなパリキッズに騙されているのか。ひいて言えば、その先に “投資価値” はあるのか…考えれば考えるほど、煙に巻かれるような気分になりながら、「ショッピングバッグに追加」ボタンをポチッとするか否かをかれこれ1時間考えている。
NET-A-PORTER HP: www.net-a-porter.com