Social media platforms: marketing top five

ソーシャル・メディア・プラットホーム - 【マーケティング・トップ5】

Social media platforms: marketing top five
Social media platforms: marketing top five
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ソーシャル・メディア・プラットホーム - 【マーケティング・トップ5】

Social media platforms: marketing top five

*この記事はファッション・ライフスタイルの最新情報と2年先のトレンド分析を提供する世界最大級のオンラインリサーチサービス『WGSN』に、2012年3月に掲載された記事の日本語版です。『WGSN』の詳細はこちらから。

提供: WGSN  文: Rachel Arthur (レイチェル・アーサー)

*この記事はファッション・ライフスタイルの最新情報と2年先のトレンド分析を提供する世界最大級のオンラインリサーチサービス『WGSN』に、2012年3月に掲載された記事の日本語版です。『WGSN』の詳細はこちらから。

『Facebook (フェイスブック) 』から『Pinterest (ピンタレスト) 』まで、どのソーシャル・メディア・プラットホームが自分のブランドにとって最適か?ファッション・マーケター向けにいま最も重要な5つのSNSについて考察する。グローバル規模でますます混戦きわまるソーシャル・メディア業界。さまざまな異なるプラットホームをバランスよく使いこなし、ほぼ毎日のように出現する新しいソーシャル・サービスに目を向けなければならない今日。たとえ世界で最もデジタルに強いマーケターにとっても、この作業は大変なはずだ。

消費者との関係がかつてないほどのスピードでインタラクティブかつインターナショナルになっているいま、どのSNSが自分のブランドにとって一番効果的であるかを知ることは必要不可欠。『Facebook』のグローバル・マーケティング・ソルーションズ バイスプレジデントであるCarolyn Everson (キャロリン・エバーソン) 氏は、「努力して作れば顧客はついてくる」というモットーはもはやオンライン上では通用しないと言う。いまはブランド側が自ら顧客のいるところに“出向く”ことが必要なのだ。出向く場所はもちろん『Twitter (ツイッター) 』から『Pinterest』まで、すべてのプラットホームを意味している。かつては実験的な試みにすぎなかったソーシャル・メディア。しかし現在はもうすでにコミュニケーション戦略の中核を担う存在となっており、どのSNSを使ってブランディングを行い、ターゲット層にリーチをするのがベストなのかを見きわめることが重要になってきている。そしてここでのキーワードは「量より質」。すべてのSNSに手をだすより、2~3のSNSを巧みに使いこなすほうが適切だ。

今回、世界のファッション業界で最も重要かつ影響力のある次の5つのSNSに焦点を当ててみた。『Facebook』『Twitter』『Tumblr (タンブラー) 』『Instagram (インスタグラム) 』、そして『Pinterest』。それぞれの得意分野と最も有効な活用方法を検討してみる。

Facebook

<クイック・統計ガイド>
2011年12月の時点で、『Facebook』の月間アクティブユーザー数は8億4,500万人。毎日のアクティブユーザー数は4億8,300万人。トラフィックの80%以上は米国とカナダ以外の地域からきていて、ユーザーのフレンド数とファンページの「いいね!」数は平均でそれぞれ130と80。そして日々20億の投稿に「いいね!」がおされ、コメントが寄せられている。

(Left) Burberry on Facebook (Center) Macy's on Facebook (Right) Dior on Facebook
(Left) Burberry on Facebook (Center) Macy’s on Facebook (Right) Dior on Facebook

『Facebook』は純粋に規模の面から見て、マーケターにとって最も重要なソーシャル・メディアだ。すでにファッション業界の住人にとっては目新しい存在ではないが、2012年3月に新たにタイムラインが導入され、ブランドにとっての重要度がさらに上がった。

よりビジュアル重視の体験が可能になったいま、どのようにブランドのストーリーを伝えるかが鍵となる。新しいタイムラインの導入の際に、「今回の目的は、 各ページを消費者がより入り込める、密な内容にするためです。消費者の人生すべてを包み込むため、十分な大きさを持つ入れ物を用意しました。それはまるで真っ白なキャンバスのようでもあります」とEverson氏は語っている。

結果として、ファッション・ブランドは、これまで以上に“コンテンツ”という鍵となるバズワードについて考えなければならなくなった。シーズンを通してブランド情報やキャンペーン情報を定期的に配信したり、ブランドのヘリテージをうつくしく伝える機会としても活用できる『Facebook』。タイムラインを使えばユーザーはブランドがいつ設立されたのかを調べることもできる。ブランドの歴史やストーリーを伝えられるコンテンツを充実させることが大切だ。

ブランドをリサーチするためにチェックする場所として、最初に見るところのひとつに『Facebook』がよくあげられるという事実からも、コンテンツを充実させることの重要性が見えてくる。Burberry (バーバリー)、Macy’s (メイシーズ)、Dior (ディオール)、そしてLouis Vuitton (ルイ ヴィトン) などがすでに新しいタイムラインにうまく対応している模範的なアパレル企業だ。

そしていつも覚えておきたいのは、投稿したコンテンツがユーザーのニュース・フィードにも表示されるということ。邪魔にならないよう、ユーザーにとって役に立つ・興味がわくコンテンツを配信する必要がある。『Facebook』が『Twitter』と大きく異なるのはこの点だ。前者はユーザーに友達と共有できるソーシャル・スペースを提供し、後者はより積極的に情報を発する場となっている。

したがって、エンターテインメントや教育、情報にせよ、『Facebook』ではみんなが読みたい・見たい内容を投稿することが大切。商品のプロモーションは必要最低限にとどめておくべきだ。商品の宣伝ではなく、なにが好きで、何者なのかをハッキリさせることが大事。これを続ければ最も重要な目的であるユーザー (消費者) とのつながりや交流が生まれるようになってくるだろう。

Twitter

<クイック・統計ガイド>
2012年2月の時点で、推定ユーザー数5億人で、毎日100万人のペースで増え続けている。4.5日ごとに10億ツイート以上が発せられている。『Twitter』に関する主要国は米国 (推定ユーザー数1億人以上)、ブラジル (推定ユーザー数3,330万人以上)、そして日本 (推定ユーザー数2,990万人以上)。

(Left) DKNY on Twitter (Center) asos on Twitter (Right) Reiss on Twitter
(Left) DKNY on Twitter (Center) asos on Twitter (Right) Reiss on Twitter

もはや言うまでもないが、『Twitter』はすでにもっとも重要性の高いSNSのひとつになっていて、ニュース・ジャーナリズムからスタンダップ・コメディ、ライブ・イベントまですべてのことに影響を与える存在になっている。ファッション・ブランドにとっても、使うことがある意味義務化されたと言えるほどの媒体だ。会話に参加しなくても会話が展開し続けるSNSでもある。

『Twitter』の有効活用法については本当にいろいろな例があるが、一番成功した作戦は、 つねにツイッターをチェックする体制づくりだ。Drapers (ドレイパーズ) が開催した2012年度eコマース会議で登壇に立ったReiss (リース) のeコマース・ディレクターであるDan Lumb (ダン・ラム) は、ブランドについていつでも、どのような内容でもつぶやくことができるという『Twitter』の性質上、週末もチェックして活用することの重要性を説いていた。

DKNYはおそらく最も『Twitter』を有効活用しているブランドだろう。同ブランドのグローバル・コミュニケーション シニアバイスプレジデント、Aliza Licht (アリザ・リヒト) 氏が“DKNY PR Girl”というペンネームで運用しているアカウントでは、パーソナルなツイートやブランドに対する意見が実質毎日24時間発信されている。「邪魔にならない自然な会話になっています」と彼女は言う。

十分に練られたコンテンツを配信する『Facebook』や『Tumblr』とは異なり、『Twitter』はブランドにそのときどき、その瞬間の考えやニュースを発信する機会を与えるソーシャル・メディアだ。Licht氏はこれを“つねに流れる意識のフロー”と呼んでいる。フォロワーを増やすために大切な点はパーソナリティ。売りたいモノではなく、本当に好きなことに焦点を当てたおもしろく、ウソのないコンテンツをつぶやけば、ユーザーもシェアをしてくれる可能性が高くなるだろう。

リツイートの影響力も無視することはできない。フォロワーが興味を示し、注目してくれているということだからだ。また、一方通行の会話ではなく、フォロワー (消費者) も巻き込んだ会話になったということでもある。

『Twitter』上でユーザーと交流をすることはもはや必須。このプラットホームはターゲット層に関する情報の宝庫となっているのだ。例えば、ある特定の商品についての質問をつぶやけば、有意義な回答を得られる可能性がある。個人向けに特化したカスタマー・サービスにもなりえるだろう。実際にasos (エイソス) のようなリテーラーがそのような活用をしている。ひとりひとりのフォロワーの話に耳をかたむけ、対応することは、ブランド・ロイヤルティを高める手助けにもなる。

Tumblr

<クイック・統計ガイド>
月間インプレッション数150億。ユーザー数は全世界に1億2,000万人。ユーザーの1日平均滞在時間は30分以上。米国内からのアクセスは全体の40-45%あまりで、ヨーロッパと南米が『Tumblr』にとって急成長をとげているエリア。

(Left) Oscar de la Renta on Tumblr (Right) McQ on Tumblr
(Left) Oscar de la Renta on Tumblr (Right) McQ on Tumblr

多くの面で、『Tumblr』は『Twitter』上コンテンツを拡張させる機会を与えてくれる。後者ほどはパーソナルではないが、ある意味より洗練された印象を持つ前者は、会社が提供しているモノをより詳細に説明したり、その舞台裏を見せるのに理想的なプラットホームだ。さらに良いことに、それをすべてビジュアルで表現することができる。

『Tumblr』のコンテンツは圧倒的にイメージが主流となっていて、Oscar de la Renta (オスカー・デ・ラ・レンタ) やMcQ (マックキュー)、Topshop (トップショップ) などが有効活用している例と言える。共有できるうつくしいクリエイティブな作品を所有するブランドにとっては、直接消費者と交流ができるとても魅力的なSNSだ。実際、『Tumblr』ではテキストからオーディオ、ビデオ、引用文、リンクなどといったものを簡単に投稿することが可能だが、アップロードされたコンテンツの50%は写真だという。

また、使いやすさと、積極的にシェアをしてくれる熱心な消費者たちのコミュニティの存在も、ファッション業界で一番人気のブログ用プラットホームとなっている所以だ。

『Facebook』や『Twitter』とは異なり、『Tumblr』ではユーザーがページ・コンテンツを完全にコントロールできる。したがって自社のスタイルを簡単に組み込みやすく、ウェブサイトの延長線上のようなものを作ることができるのだ。

 そして『Tumblr』とその他のSNSと連動させることも簡単で、自動で『Facebook』や『Twitter』にフィードを流したり、『Instagram』からコンテンツを持ってくることもできる。しかし、Anthropologie (アンソロポロジー) のコミュニティ・マネジャーであるKelly Thurman (ケリー・サーマン) が言うように、同じコンテンツを重複しすぎないことも大切。フォロワーは多数のプラットホームを使用している可能性が高く、ソーシャル・メディア別に固有のコンテンツも用意しておくことが必要だ。

Instagram

<クイック・統計ガイド>
現在のユーザー数は全世界で推定2,500万人 (2011年12月の時点では1,500万人)。毎日450万画像がアップロードされている。

(Left) Burberry on Instagram (Center) Oscar de la Renta on Instagram (Right) Bergdorf Goodman on Instagram
(Left) Burberry on Instagram (Center) Oscar de la Renta on Instagram (Right) Bergdorf Goodman on Instagram

 (Left) Burberry on Instagram (Center) Oscar de la Renta on Instagram (Right) Bergdorf Goodman on Instagram
(Left) Burberry on Instagram (Center) Oscar de la Renta on Instagram (Right) Bergdorf Goodman on Instagram

『Instagram』は自身で写真を撮り、共有できるソーシャル・メディア。昔ながらの暗室で現像したかのように写真を加工できるフィルター機能がついている。

おそらく、『Twitter』のビジュアル版と理解するのがよいだろう。美的にすぐれた観点からリアルタイムで個人の写真をすばやく、そして簡単にシェアすることができ、ショーの後のバックステージや、アイテムの接写、 いまユーザを取りまいているものを撮ることもできる。BurberryやOscar de la Renta、Bergdorf Goodman (バーグドルフ グッドマン) などが『Instagram』を有効活用している例になる。

このアプリ内でフォロワーを増やすことができるが、『Twitter』『Facebook』『Tumblr』といったその他のプラットホームにも簡単にコンテンツを流すことも可能だ。ある意味『Tumblr』の代わりともとらえることができるし、他のSNSを補完するものととらえることもできる。

そして他の多くのプラットホームとは違い、『Instagram』では商品のうつくしいイメージを控えめに宣伝することも可能だ。Club Monaco (クラブ モナコ) がよい例で、同ブランドは従業員に発売されたばかりのアイテムや、もうすぐセールになるアイテムを着させた写真を投稿している。また、Oscar de la Rentaのコミュニケーションズ・ディレクターのErika Bearman (エリカ・ベアーマン) も彼女のルックを日々投稿している。

たいていのブランドにとって、インスピレーションを与えたりブランドの認知度を高めることが主な目的だが、たのしいプロモーションやコンテストなどを行い消費者との交流を深めるために使うブランドもある。例えば、H&Mは「#MarniatHM」のハッシュタグを使ってフォロワーに好きな画像を投稿させ、Marni (マルニ) とのコラボレーション・ラインからのアイテムをプレゼントするというプロモーションを行っていた。

Pinterest

<クイック・統計ガイド>
2012年1月の時点で、史上最速のスピードでユーザー数1,000万人を突破、そのときの月間ユニーク・ユーザー数は1,170万人だった。ユーザーの87%は女性で、25歳から54歳までの年齢層が80%を占めている。

(Left) Kate Spade on Pinterest (Right) Nordstrom on Pinterest
(Left) Kate Spade on Pinterest (Right) Nordstrom on Pinterest

ソーシャル・メディアの世界ではまだ赤子のようなSNSだが、急速に人気と影響力を増してきているため、トップ5入りとなった (設立は2010年初頭だが、有名になったのは2011年中期ごろ)。

いまでは多くのアパレル・リテーラーにとって、『Facebook』『Stumbleupon』『Google』『Twitter』とならぶ流入元トップ5のひとつになっている『Pinterest』。英国のeコマースサイトMy-wardrobe (マイ・ワードローブ) にとっては、広告やオーガニック検索を除いた場合、最も大きな流入元になっているという。実際にどれほど購入のキッカケにつながったかという数字は発表されてはいないが、ブランド側にとって価値が大きいSNSであることは間違いない。

ピンボードやスクラップブックのバーチャル版ともいうべきこのSNSでは、ユーザーはインターネット上にある画像の中から好きなモノを集め、“ボード”と呼ばれる場所に保存することができる。発見とインスピレーションのためのソーシャル・メディアとなっていて、ユーザーは気に入った他のユーザーをフォローすることができ、彼らの画像を自分のボードに“リピン”することができる。

これはブランドにとって、好きなモノから新商品までを投稿できるよい機会になる。ユーザーはテーマごとに検索をするため、シーズン毎にコンテンツを作るのではなく、ウェディングやフェスティバルといったイベントや、アート、インテリア、カラーといった別のカテゴリーでコンテンツを作る方がよい。

『Pinterest』にアカウントを持つファッション・ブランドの中で最もフォロワー数が多いのはKate Spade (ケイト スペード)。同SNSを使って本当にすぐれたブランディングをしているブランドで、投稿するすべての内容が、「live colorfully」「dress colorfully」「travel colorfully」「think colorfully」などといったカテゴリーでブランドの価値観をうまく表現している。LnA、Nordstrom (ノードストローム)、Oscar de la Rentaなどのアカウントにも注目したい。

それぞれ別のコンテンツを持つボードを複数抱えることができるという点で、『Pinterest』は『Tumblr』や『Instagram』とは異なる。抱えるボード数には制限がなく、毎回ピン (投稿) するごとに『Twitter』や『Facebook』と共有させるかどうかのオプション選択もすることができる。

<最後に…>

動画は今日のファッション・マーケターにとって欠かせない武器だが、配信方法も同じくらい重要だ。ソーシャル・メディアの戦略をたてるときは『YouTube (ユーチューブ) 』がすごく大切になってくるだろう。このメディアはもはや、ただたんに動画をアップロードするだけのサイトではなく、ブランディングをするためのスペースになっているからだ。うまくいけば、ユーザーの商品購入の動機づけになるばかりでなく、動画のシェアもしてくれる可能性がある。BurberryRalph Lauren (ラルフ ローレン)、Tory Burch (トリー バーチ) といったブランドの『YouTube』ページが模範例になるだろう。