才能と直感を信じて邁進する、23歳のフォトグラファー Olivia Bee (オリヴィア・ビー)
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才能と直感を信じて邁進する、23歳のフォトグラファー Olivia Bee (オリヴィア・ビー)
Interview with Olivia Bee
10代前半から写真作品をオンライン上に投稿し、15歳という若さで写真家としてのキャリアをスタート。Converse (コンバース) を筆頭に錚々たるブランドから仕事が舞い込み、18歳の時に Hermès (エルメス) から依頼を受けて制作した映像作品が話題に—。この信じがたいサクセスストーリーを体現してきたのが、ニューヨーク在住の写真家 Olivia Bee (オリヴィア・ビー) だ。彼女は写真と映像を軸に、ファッション・ブランドをはじめとした様々なクライアント・ワークを手がけながら、自分自身や友人、恋人を被写体としたガーリーでノスタルジックな作品を世に送り出している。これまでの経歴に奢ることなく、才能と感性を信じて進化し続ける彼女の姿勢は、どのようにして養われたのだろうか。「天才少女」から「大人」への転換期を経て、一層輝きを増す Olivia Bee にインタビューを行った。
*You’ll find the English text after the Japanese.
この作品が生まれる過程にはどんな背景があるのだろう?そんな好奇心からスタートした、TFP がいま気になる国内外のクリエイターの作品のアイディアを紐解くインタビュー連載。ファッション、アート、文学、音楽、映画などの分野から、彼らが何を考えて制作したのかクリエイター自身の言葉で作品ごとに解説してもらった。時代の変化に敏感な表現者たちが何を感じ取り意識的にアウトプットしているのか、すこし彼らの脳内をのぞいてみよう。
10代前半から写真作品をオンライン上に投稿し、15歳という若さで写真家としてのキャリアをスタート。Converse (コンバース) を筆頭に錚々たるブランドから仕事が舞い込み、18歳の時に Hermès (エルメス) から依頼を受けて制作した映像作品が話題に—。
この信じがたいサクセスストーリーを体現してきたのが、ニューヨーク在住の写真家 Olivia Bee (オリヴィア・ビー) だ。彼女は写真と映像を軸に、ファッション・ブランドをはじめとした様々なクライアント・ワークを手がけながら、自分自身や友人、恋人を被写体としたガーリーでノスタルジックな作品を世に送り出している。これまでの経歴に奢ることなく、才能と感性を信じて進化し続ける彼女の姿勢は、どのようにして養われたのだろうか。「天才少女」から「大人」への転換期を経て、一層輝きを増す Olivia Bee にインタビューを行った。
—幼い頃からものづくりは好きでしたか?また、初めてカメラに触れた時の記憶があれば教えて下さい。
私はこれまでの人生でずっとものづくりをしてきたし、アートは自分の感情を表現するために必要不可欠な存在なの。8歳の時に、面白半分で初めてカメラを触っていたのを覚えているけれど、写真がライフワークになったのは11歳からだった。
—10代でキャリアをスタートさせたそうですが、これまでの写真制作において一貫していることと、変化したことは何ですか?
とても若くして商業的なフォトグラファーとして働いた後には、特に、自分の直感を信じ続けることが大切だと思っている。直感に従って作品を作ることで仕事に繋がっていくし、全てはバランスだから。私はとにかく自分を信じ続けているし、成長していくためにはそれが何よりも重要になってくるの。
—たくさんの若手フォトグラファーが存在する中で、あなたが多くの著名ブランドに選ばれてきた理由はどこにあると思いますか?
私の作品はどれも若い人たちに関するものだったけれど、それがとても雄弁だったからだと思う。
—被写体の選定はどのように行っていますか?また、映像、スチール含め、自身がたびたび作品に登場しますが、その意図を教えて下さい。
自分が愛する人たちを撮影しているし、そうした写真には信頼が伴っていると思う。自分自身を撮影していたのは、当初は常に近くにいる1人の人間として自分を捉えていたということと、他の人の写真を撮らせてもらうことに、ちょっとナーバスになっていたから。でも徐々に、被写体になってくれる人たちが私自身を映し出してくれるようになり、私も心の中でその全員を演じるようになった。悲しい時には、自分自身が生み出してきた写真が、私を愛し続けてくれる唯一の存在だと感じることがあるの。
—尊敬する写真家と、同世代で気になる写真家をそれぞれ挙げて下さい。
Nan Goldin (ナン・ゴールディン) の誠実さや、Gregory Crewdson (グレゴリー・クルードソン) の栄光とシネマティックな表現、Harley Weir (ハーレイ・ウィアー) の官能性、Ren Hang (レン・ハン) の遊び心と奇抜さが大好き。(Ren Hangに向けて) ご冥福をお祈りします。
—これまでに何本も長編映像を手がけていますが、この先、映画を撮る構想はありますか?
ちょうど今脚本を書いているところで、映画を撮ることが私の夢なの!
インタビューに加えて、彼女の主観的な視点でお気に入りの作品を選んでもらい、普段は語られることのないそれぞれのストーリーについて解説してもらった。
1.Kids in Loveシリーズ (2008〜2014年)
『Kids in Love』は、私が10代の時に作ったシリーズ作品。自分の周りで起こっている世界を直接的に記録したものだから、どの写真も私が経験した瞬間を捕らえている。大半の作品は2008年から2014年に渡って、オレゴン州のポートランドで撮影し、パリとニューヨークで撮影した写真も1点ずつ入っているの。これらの写真は、私の心の中に大切に残っているわ。
2. Untitled, (T-Shirt Weather Heaven), 2013
Hermès の映像作品を撮り終えた火曜日に、バスタブの中に入れて撮影した魚を家に持ち帰ったの。(被写体の)彼女はボーイフレンドと一緒にLAまでドライブをしたんだけど、残念ながら魚たちはその車の中で死んでしまったわ。
3. Il Est Pour Nous (2012年)
『Il Est Pour Nous』は、2012年に Hermès から依頼を受けて作った映像作品。当時のボーイフレンド、Cooper が、私と一緒に出演してくれた。Hermès が30枚のスカーフを郵送してくれて、私がやりたいように作っていいという最高のプロジェクトだったわ。脚本、監督、出演、キャスティング、ロケハン、編集、スタイリング、セットデザインの全てを自分で手がけたの。今となっては、これが自分の優れた代表作とは言えないけれど、とっても大好きな作品。
<プロフィール>
Olivia Bee (オリヴィア・ビー)
オレゴン州ポートランド出身の写真家。現在はニューヨーク・ブルックリンに拠点を置くが、スーツケースと共にあらゆる場所を飛び回る生活を送っている。幼い頃から日々自然と関わり、アート制作に情熱を注ぐように。また、中学生になってからは、自分で考案したものや、自身の日常生活を写真に収めて、オンライン上に投稿。ソーシャルメディアを通して彼女の作品にいち早く目をつけたConverseは、Oliviaが15歳の時に仕事を依頼し、それが彼女にとって初めての広告撮影となった。以降、Hermèsや Levi’s、Adidas、Cacharel、Nike、Roger Vivier といった数々のブランド・ワークを手がけ、『The New York Times Magazine』や『New York Magazine』『Le Monde』『Vogue.com』などの媒体でも撮影を行うように。さらに、Atlantic Records や Interscope Records から選出されたミュージシャンのコンテンツを制作するなど、あらゆる方面で活躍。これまでに、ニューヨークの Agnès Bと、マドリッドの Bernal Espacio で個展を開催している。23歳になった彼女は現在、世界中で写真を撮影し、他者との関係や愛、アメリカ、そして自然世界への探求を続けている。
Instagram: @oliviabee
HP: oliviabee.com
—Did you like to make things as a child? Also, can you tell us about the first time you remember touching a camera?
I have been making things my entire life. Art is necessary to process my emotions. I remember picking up a camera just for fun when I was 8, but it wasn’t until I was 11 that it was really my way of breathing.
—You have been working as a photographer since you were in your teens. What creative philosophies that you have maintained since the beginning of your career? In contrast, have there been any changes in your creative approach?
I think it is so important, especially after working as a photographer commercially so young, to make sure that I always trust my gut and that I make work to make work in addition to it being my job. It’s all a balance. I just have to keep trusting myself. That’s become even more important as I’ve progressed.
—With so much young photographer out there, what do you think is the reason so many world-leading brands choose your work?
My work came from a young person talking about young people, but it was eloquent.
—How do you choose subjects in your personal projects? You have often appeared in your works. What is the intent behind it?
I take pictures of people I love. These photographs come with trust. The photographs of myself initially came from me being the one who was always around, and I was a little bit nervous to ask to take photographs of others. Then they became the way I self reflected, and also how I played all of the characters in my mind. Sometimes when I feel really sad I feel like the photographs I make of myself are the only thing that will always love me.
—Which established photographer and young photographer do you respect the most?
I love Nan Goldin for her honesty, Gregory Crewdson for his glory and cinema, Harley Weir for her sensuality, Ren Hang for his playfulness and strangeness. Rest in paradise.
—You have shot a couple of short films, and do you have any plan to shoot a movie in a future?
Yes, I am writing! That’s my dream!
1. Kids in Love, 2008-2014
Kids in Love is a group of photographs that I made when I was a teenager. They were direct documentation of my world as it unfolded around me. I experienced those moments. Most of the photographs were made in Portland, Oregon from 2008-2014. One photograph from Paris, one from New York. These photographs are dear to my heart.
2. Untitled, (T-Shirt Weather Heaven), 2013
After we made a video for Hermès, Tuesday brought home the fish we shot with in a bathtub. She drove down to LA with her boyfriend and they died in the car :(
3. Il Est Pour Nous, 2012
Il Est Pour Nous is a film I wrote and directed for Hermes in 2012. My boyfriend at the time, Cooper, stars in it with me. It was an amazing project where Hermes sent me 30 scarves in the mail and I just made whatever I wanted to. I wrote, directed, starred in, casted, location scouted, edited, styled, set designed the whole thing. I don’t think it’s a great representation of my work anymore, but I love it!
<Profile>
Olivia Bee is a photographer from Portland, Oregon, now with a bedroom in Brooklyn, New York, but with a life out of a suitcase that takes her nearly everywhere. Growing up, Olivia was encouraged to engage with nature and to make art every day. In middle school, she started photographing her life, the one she dreamt up, and the one she lived, and posting the results online. After the recognition her pictures received on social media, Converse commissioned Olivia, at the age of fifteen, to shoot her first ad. She has since gone on to shoot for brands such as Hermès, Levi’s, Adidas, Cacharel, Nike, and Roger Vivier, and editorial features for publications such as The New York Times Magazine, New York Magazine, Le Monde, and Vogue.com, as well as creating content for select musicians on Atlantic Records and Interscope Records, and her photography has been featured in two solo shows at Agnès B, New York, and Bernal Espacio, Madrid. Now twenty-three, she takes photographs all over the world and continues to explore our relationships to others, love, America, and the natural world.
HP: oliviabee.com