Interview With Peter Philips

Dior(ディオール)から登場する新リップ「ルージュ ディオール リキッド」が誕生。Peter Philips (ピーター・フィリップス) が語るビハインド・ストーリー

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Dior(ディオール)から登場する新リップ「ルージュ ディオール リキッド」が誕生。Peter Philips (ピーター・フィリップス) が語るビハインド・ストーリー

Interview With Peter Philips

「ルージュ ディオール リキッド」と、新フレグランス「ミス ディオール オードゥ パルファン」のセレブレーションパーティのために、来日したディオール メイクアップ クリエイティブ&イメージ ディレクターの Peter Philips (ピーター・フィリップス) に、新たな「ルージュ ディオール」とディオールが描く未来について語ってもらった。

©︎ Dior

©︎ Dior

リップスティックの定番をDior(ディオール)の「ルージュ ディオール 999」に決めている人も多いだろう。1953年の発売以来、女性をエンパワメントするアイコニックなリップスティックとして君臨し続ける「ルージュ ディオール」から新コレクション「ルージュ ディオール リキッド」が9月1日に発売される。「ルージュ ディオール リキッド」(限定4色を含む全24色)に加えて、9月29日には、ダブル エフェクトのリップスティック「ルージュ ディオール ダブル」(全10色)もお目見えする。その革新的なデザイン、なめらかで軽やかなつけ心地、長持ちする仕上がりと大胆な発色はどれをとってもディオールのアイコニックなリップの伝統とモダニティを継承するクリエイティビティだ。今回は、「ルージュ ディオール リキッド」と、新フレグランス「ミス ディオール オードゥ パルファン」のセレブレーションパーティのために、来日したディオール メイクアップ クリエイティブ&イメージ ディレクターの Peter Philips (ピーター・フィリップス) に、新たな「ルージュ ディオール」とディオールが描く未来について語ってもらった。

12時間大胆な発色が続くティント リキッド ルージュ

「エレクトリック メタル」、「ヌード ベルベット」、「ロック マット」、「ポップ サテン」のカラーカテゴリーと、メタリック、サテン、マットの3通りのニュアンスが叶う「ルージュ ディオール リキッド」(9月1日(金)新発売)は、濃密なリキッドなのにもかかわらず、塗っていないかのような軽やかな付け心地にまず驚く。配合されたミネラル ワックスとジェル、スキンケア効果もある2種類のオイルの絶妙なブレンドが唇を潤い続け、付けたての仕上がりが12時間も持続するという。また、それぞれのニュアンスに含まれる「エクストリーム シェード」4色は、神秘的なダークカラーの「908 ブラック マット」から、情熱と自信に満ちた「901 オックスブラッド マット」、官能的なダークプラムの「895 ファブ サテン」や虹色のグリッター「601 ホログラム」まで、ディオールらしいロックなモードを完成する。

―「ルージュ ディオール リキッド」を生み出したキッカケは?

YouTubeで、若い女性がマットブラックやマットブルーのリキッドルージュをつけている動画を見たんだ。一瞬にしてパッと発色するのを見て感銘を受けたんだけど、実際にその商品をつけてみると1時間後には唇が乾くしあまりきれいじゃなかった。だから、唇にのせた途端にキレイに発色しながらも、付け心地がよくロングラスティングするリップ製品を開発しようと思ったんだ。それに、マットだけではなく、サテン、ベルベットやメタルのニュアンスも作りたかったしね。すべての女性が好きな1本を見つけられるために24色展開にしたんだよ。

―メタリックカラーのリップを試したことがない女性は案外多いと思います。

©︎ Dior

©︎ Dior

このキャンペーンビジュアルでナタリー・ポートマンが付けているのは、「979 プワゾン メタル」。「ルージュ ディオール リキッド」はとても繊細な煌きなので、化粧直しをするときは一度リキッドを落としてから付け直したほうがよいと思う。重ね塗りするよりも美しい仕上がりになるんだ。それから、マルチシェードの「601 ホログラム」は、ほかのリップカラーの上に乗せてハイライトとしても使える自信作。ちなみに、メタリックなリップにするときはアイメイクをメタリックにしないこと。チョコレートやシャンパンカラーなどのアイメイクがシックだよ。

―仕上がりや発色が美しいだけではなく、パッケージから色味が見えてとても機能的だと思います。

そうなんだ。カラーと仕上がりが一目見て分かるようにと、パッケージやネーミングにもこだわった。マットな仕上がりなら、「クラッシュ “マット”」というようにカラーネームの最後に“マット”とつけている。メタリックなら最後に「XX メタル」というふうにね。

1本でマットとメタリックが叶うリップスティック「ルージュ ディオール ダブル」

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続き、9月29日(金)に新発売されるリップスティックが「ルージュ ディオール ダブル」。宝石が散りばめられたかのようなメタリックの芯を囲むのは、ふんわりとしたマットな外枠。唇に一塗りすると、唇の輪郭がマットに縁どられ中央は光をたたえて、センシュアルなグラデーションが現れる。明るく洗練されたレッド、ピュアなピンク、鮮烈なパープル ピンクという4つのカラーファミリーからなる全10色のなかでも“イット”シェードと呼ばれる4色は、シグネチャーレッドである999を基にした「999 マット メタル」、ホワイトゴールドが煌く「288 ミス クラッシュ」、パープルのメタルが輝く「992 プワゾン パープル」、ダーク ブラウンとライト ピンクのコントラストがユニークな「510 ジャングル ベージュ」。さらに、それぞれの“イット”シェードにコーディネートされたヴェルニ(全4色)も登場する。

―「ルージュ ディオール ダブル」が誕生した経緯は?

ディオールの昔の広告をリサーチしてコラージュを作っていたら、若い社員やインターン達が90年代のリップスティックの広告を見て、「これ、最新のリップスティックなの?」とおもしろい反応があってね。僕にとってはヴィンテージだったんだけど(笑)。90年代のリンダ・エヴァンジェリスタを覚えているかい? 唇の輪郭を濃い色のリップペンシルで縁取って、中央を淡いリップカラーにするメイク。そこからインスピレーションを得て最初に作ったのが「510 ジャングル ベージュ」なんだ。

現代のメイクアップと未来のディオール

―ランウェイでのクリエイティブで斬新なメイクアップに加えて、押すとマスカラ液が出てくる「マスカラ ディオールショウ パンプ&ボリューム」など、機能的な製品を多く発表していらっしゃいます。そのインスピレーションの源は?

すべての女性が美しくなるようなクリエイションを心がけているよ。ノルウェーだろうが、南米だろうが、東京だろうがどこに住んでいようとも、肌の色が異なっていようとも、女性の誰もが自分に似合う製品を必ず見つけられるように、という想いを大切にしているんだ。

―ファッションもコスメティックスも一つの大きな流行があるというよりは、スタイルが多様化している時代だと思います。そのなかでディオールはどのように“美”にアプローチしているのでしょうか?

ディオールが提唱するビューティーは“個人の美しさ”を引き立てるものだと思っている。ディオールは、「これを身につけたら美しくなれるよ」と女性に押し付けはしない。レッドからブラック、マットからメタルまで様々なカラーやニュアンスを提供することによって、女性がその日の気分や自分らしいスタイルにあった製品を選べるようなラインナップにしているんだ。いまは、SNSを通して世界中の人々が“自分らしさ”を表現している。美の定義が多様化している現代は本当に素晴らしい時代だと思うよ。

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―20年前はインターネットの時代、過去10年はSNSの時代だと言われていますよね。現在の若い女性たちはもはやデパートには行かず、SNSで新製品やレビューをチェックしてからオンラインで化粧品を買っています。こういった時代の変化のなかで、未来のディオールをどのように考えていますか?

確かに、デパートの化粧品カウンターに訪れる人が減ったと言う人もいるかもしれない。だけど、化粧品へのアプローチが変わっただけなんじゃないかな。ディオールに関しては、お客様の数が年々増え続けているという事実もある。ただ、ディオールが提供する“ラグジュアリー”は、対面式のサービスも含んでいるんだ。オンラインでディオール製品を買っていた若い世代がある日、店舗でサービスを受けて、その付加価値を発見するということもあるかもしれない。“製品の価格以上”のラグジュアリー体験を提供する、それがディオールなんだ。今年70周年を迎えるディオールは、昨年2016年、オートクチュール及びウィメンズ・レディ・トゥ・ウェアとアクセサリー部門に初の女性アーティスティック ディレクターであるマリア・グラツィア・キウリを起用した。人種や国籍を飛び越えた“コスモポライトな美しさ”、そして、“自分らしい美しさ”を追求するマリア・グラツィア・キウリとピーター・フィリップス。この二人が、「女性の笑顔をドレスアップする」ディオールのDNAを今後どのように昇華していくのか、目が離せない。

<プロフィール>
Peter Philips (ピーター・フィリップス)
ベルギーのアントワープ生まれのメイクアップ・アーティスト。アントワープ王立学校にてファッションデザインを学び、その最終学年時にパリコレクションのバックステージを体験したことをきっかけにメイクアップの道に転向する。Dries Van Noten (ドリス・ヴァン・ノッテン) や Fendi (フェンディ) との仕事で注目を浴び、Peter Lindbergh (ピーター・リンドバーグ) や Inez van Lamsweerde (イネス・ヴァン・ラムズウィード) など人気フォトグラファーとのコラボも果たした。2008年より Chanel (シャネル) のコスメティック部門のクリエイティブディレクターとして商品開発やキャンペーンビジュアル、ランウェイのメイクに関わり、ヴェルニのネイルエナメルなど数々のヒット商品を生み出した。2014年、パルファン・クリスチャン・ディオールのクリエイティブ&イメージディレクターに就任。彼の手がけるコスメはランウェイから誕生したアイテムとして注目を集めている。