Chanel (シャネル) 専属調香師オリヴィエ・ポルジュ インタビュー、新作フレグランス「ガブリエル シャネル」の香りが生まれるまで
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Chanel (シャネル) 専属調香師オリヴィエ・ポルジュ インタビュー、新作フレグランス「ガブリエル シャネル」の香りが生まれるまで
Interview With Olivier Polge
Chanel (シャネル) が、「CHANCE (チャンス)」以来実に14年ぶりとなる新しいフレグランス「ガブリエル シャネル」を発売した。今回は Gabrielle Chanel (ガブリエル・シャネル) という女性の名を冠し生まれた「香り」へのこだわりを4代目 Chanel の専用調香師である Olivier Polge (オリヴィエ・ポルジュ) のインタビューから紐解く。
Chanel (シャネル) が、「CHANCE (チャンス)」以来実に14年ぶりとなる新しいフレグランス「ガブリエル シャネル」を発売した。今年 Chanel は、メゾンの創始者のファーストネーム “ガブリエル” を讃え、様々なキャンペーンをローンチ。最新フレグランス「ガブリエル シャネル」の誕生は、彼女の名を冠したハンドバッグ「ガブリエル ドゥ シャネル」に続く “ガブリエル イヤー” にふさわしいニュースとして世界中で話題を呼んでいる。
今回は Gabrielle Chanel (ガブリエル・シャネル) という女性の名を冠し生まれた「香り」へのこだわりを4代目 Chanel の専用調香師である Olivier Polge (オリヴィエ・ポルジュ) のインタビューから紐解く。
—「ガブリエル シャネル」を調香するにあたり、どのようなブリーフィングがありましたか。
Chanel において、クリエイションに対してのブリーフィングは存在しません。調香師には、完全なる自由が与えられています。 この香りは、純粋に、新しい女性向けフレグランスをつくりたいという私自身の願いから生まれました。
—“ガブリエル” というネーミングは、香りのクリエイションにどのような影響を与えましたか。
“ガブリエル” はインスピレーションの源ではありません。香りを生み出している過程で、“ガブリエル” という名は自然にやってきました。
—この香りは、どのような調香ですか。
白い花を中心に展開していく、私自身の思考の連なり……。
—インスピレーションについて教えてください。
Chanel のすべてのフレグランスに花々の存在がありますが、今回は、白い花を扱うことにしました。変化や輝きや光の揺らめ きを見つけるため、フローラルノートを奥深くまで掘り下げました。
—ボトルもインスピレーションの1つでしたか。
はい。ボトルは香りと完璧に調和しています。Sylvie Legastelois (シルヴィ ・ルガストロワ) (パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者) と、綿密に協力しながら取り組みました。お互いに得るものがありました。
—既存の Chenal の女性用フレグランスと、どのように釣り合いをとりましたか。
Chanel の全てのフレグランスと同じように、この香りも本質的には「フローラル」です。メゾンのフレグランスの歴史にこれまで記されてきた、すべての花と向き合いました。そして、想像上の花、より広い意味での白い花が生まれるように、その花々をアレンジしました。
—お父様である3代目調香師の Jacques Polge (ジャック・ポルジュ) と、この調香について話し合いましたか。
新しく手掛けるどのクリエイションでも、自分の取り組みについて定期的にディスカッションしています。フィードバックや意見を得るための、貴重な機会です。
—クリエイションをいつから開始し、完成するまでにどのくらいの歳月を費やしましたか。試作は何回繰り返しましたか。
それは、秘密です。Chanel のフレグランス クリエイションの秘密の1つです。
—香りが完成したとわかったのは、いつですか。
それはもう直感の話ですから、説明は難しいですね。
—「CHANCE」が登場してから今回の新しい香りが生まれるまで、なぜ14年もかかったのですか?
14年の間、様々なことに取り組んできました…けれども、メゾンはその時間を体現しなければなりません。我々は、複雑かつ非 常に興味深い状態にあります。我々は自らの歴史の価値を世界に知らしめながら、一方では、その歴史の新しい一章を記さなければならないのです。
—香りのコンポジションこの香りは、Chanel のフレグランスの想像豊かなアプローチをどのように引き継いでいますか。
この香りはジャスミンを想わせるフローラルノートで、Chanel のフレグランスのクリエイティブなアプローチに、きわめて忠実です。
—「ガブリエル シャネル」を一文で表すとしたら? 3つのフレーズでも構いません。
フローラル、ルミナス、そして、太陽のようなフレグランス。
—どのようにしてフルーティなノートを呼び起こしたのですか。
香りは、サブファセットから、そのフルーティな印象を引き出すことができます。例えば、イランイランからは西洋ナシのイメージを、 ジャスミンからはジャムのようなフルーティさを。
—“ブーケ” のコンポジションについて教えてください。
私が最も重要だと感じ、焦点を当てたかったのは、この想像上の白い花でした。そのブーケは、基本的にオレンジフラワー、 イランイラン、ジャスミン、チュベローズの4つの花で構成されています。
—ルミナス フローラルをつくったのはなぜですか。これは、Chanel のフレグランスにとって新しいことですか?
「ガブリエル シャネル」は、Chanel のフレグランスによく用いられる花々で構成されています。けれども、そのとり入れ方はまったく新しく、それにより光輝くようなトーンが生まれました。今という時代のムードを、色濃く反映していると思います。
—メインとなる香料について教えてください。そして、それぞれの原料の特徴、どこにあるかについても。また、その原料は稀少なものですか。
毎年、我々は素晴らしいクオリティをもつ原料を選び出しています。オレンジフラワーは、主にチュニジア。ジャスミンはエジプト、 イランイラン (シャネル独自の抽出による、特別なもの) はコモロ。そしてチュベローズは、グラースの畑で栽培しています。
—このフレグランスは、どのような意味で型破りなのでしょうか。
真に型破りであるということは、揺るぎない強さをもち、確固たるパーソナリティを持っている、ということではないかと私は思います。私がいつも白い花々から感じていることです。
—このフレグランスから、どんな女性が心に浮かびましたか。
白い花々を愛するすべての女性たちです!
—マドモアゼル シャネルは、今回の香りを気に入ると思いますか。
私が今回選んだ香料は、彼女が生み出したフレグランスでもしばしば用いられてきました。例えば、ジャスミン、イランイラン、 そしてオレンジフラワー。ですから、この香りはメゾンに忠実であると思います。彼女が気に入ってくれると嬉しいですね。
<プロフィール>
Olivier Polge (オリヴィエ・ポルジュ)
Chanel 4代目専属調香師。3代目の専属調香師として Chanel に招かれた Jacques Polge を父親にもつフレグランス業界のサラブレッド。生まれながらにしてアーティスティックな感性をもつ Olivier はIFF (インターナショナル フレーバー アンド フレグランス社) に入社。2009年に International Perfume Award、2010年に Prix International du Parfum を受賞するなど才能を開花させ、2015年より Chanel の4代目専属調香師に就任。
問い合わせ先/シャネル (香水・化粧品) 0120-525-519
HP: www.chanel.com