アートの歴史を通して、不条理な現代社会へのアンチテーゼを提唱する「理由なき反抗展 I LOVE ART 14」が開催
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アートの歴史を通して、不条理な現代社会へのアンチテーゼを提唱する「理由なき反抗展 I LOVE ART 14」が開催
Exhibition 'Rebel Without Cause' At The Watari Museum Of Contemporary Art
by Daisuke Yokota
情報操作や得体のしれない都合といった不条理が蔓延る現代社会。言いようのない不自由さに抗い、闘う手立てとして、ワタリウム美術館ではコレクションを中心とした展覧会「理由なき反抗 展 I LOVE ART 14」を開催中。
情報操作や得体のしれない都合といった不条理が蔓延る現代社会。言いようのない不自由さに抗い、闘う手立てとして、ワタリウム美術館ではコレクションを中心とした展覧会「理由なき反抗 展 I LOVE ART 14」を開催している。James Dean (ジェームス・ディーン) 主演映画の邦題であり、Andy Warhol (アンディ・ウォーホル) が同作の日本版広告ポスターを題材に作品を制作した『理由なき反抗』をタイトルに据える本展では、Andy Warhol を含む怒れる15人のアーティストたちの作品約100点を展示する。アートの歴史が自由を獲得するための歴史でもあったことに焦点を当て、慣習や体制、権力、困難な状況に抗う表現を行なった彼らの作品群を「レジスタンス[抵抗]」「デザイン革命」「理由なき反抗」の3章に分けて展開する。
第1章「レジスタンス[抵抗]」では、黄永砅 (ホワン・ヨンビン) によって制作された全長49.6mの作品『避難はしご』(1992) が観客を待ち受ける。1992年にワタリウム美術館で開催された企画展「レジスタンス」のために制作された本作は、本物の鋼 (はがね) の包丁によってつくられており、苦悩を乗り越えて天を目指す人間の姿を表している。当時、作品名にちなんで建物の両脇の避難スペースに設置する構想だったが、法規に触れるため館内で展示されるようになったというエピソードを持つ。このほか、John Cage (ジョン・ケージ) や Nam June Paik (ナム・ジュン・パイク)、オノ・ヨーコといった60年代を代表するアートムーブメント「フルクサス」のメンバーたちの作品が並ぶ。
続く第2章「デザイン革命」では、著作『宇宙船地球号操縦マニュアル』などを通して「世界をいかにして機能させるか」という課題を追い続けた Buckminster Fuller (バックミンスター・フラー)、“バウハウス最後の巨匠” と呼ばれ、建築や彫刻、政治まで多岐にわたり活躍した Max Bill (マックス・ビル)、絵画・写真・デザイン分野での革新的な試みで20世紀のアヴァンギャルド芸術に大きな足跡を残した Aleksander Mikhailovich Rodchenko (アレクサンドル・ロトチェンコ) を紹介する。
80年代を象徴する詩人 Allen Ginsberg (アレン・ギンズバーグ) はかつて「理性のバランスをとるためには、感性と創造力と肉体を保護するよう考える必要があります」とインタビューの中で答えている。本展を締めくくる第3章「理由なき反抗」では、ポスターにも使用されている Andy Warhol の制作したシルクスクリーン作品や、Keith Haring (キース・ヘリング) や Gilbert and George (ギルバート&ジョージ) といったポップアーティストたちの作品とともに、理性のバランスをとるための感性による闘争を提示する。アーティストたちの生き方、闘い方はそれぞれであるが、共通しているのは、 何者にも屈しない自由への心。彼らの作品を通して私たちは自由への闘い方を知ることができるだろう。
展覧会情報 | |
展覧会名 | 理由なき反抗 展 I LOVE ART 14 |
会期 | 4月7日(土)〜7月29日(日) |
場所 | ワタリウム美術館 |
住所 | 東京都渋谷区神宮前3-7-6 |
開館時間 | 11:00~19:00 (水曜日のみ21時まで開館) |
休館日 | 月曜日 (7月16日は開館) |
観覧料 | 大人 ¥1,000円、学生 (25歳以下) ¥800 |
HP | www.watarium.co.jp |