NYを拠点に活動する現代アーティスト Daniel Arsham (ダニエル・アーシャム) の大規模個展が6月末まで開催
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NYを拠点に活動する現代アーティスト Daniel Arsham (ダニエル・アーシャム) の大規模個展が6月末まで開催
Daniel Arsham To Held Art Exhibition At PERROTIN TOKYO and NANZUKA
by Daisuke Yokota
NYを拠点に「Fictional Archeology (フィクションとしての考古学)」というコンセプトをもとに活動する現代アーティスト Daniel Arsham (ダニエル・アーシャム) の個展がペロタン東京と NANZUKA にて同時開催中。
NYを拠点に「Fictional Archeology (フィクションとしての考古学)」というコンセプトをもとに活動する現代アーティスト Daniel Arsham (ダニエル・アーシャム) の個展がペロタン東京と NANZUKA にて同時開催している。生まれながらに色覚異常 (色盲) を持つ Daniel Arsham は、その独特な感覚ゆえに素材に石灰や火山灰、ガラス、黒曜石を使用したモノクロの作風で知られている。
ペロタン東京では「Color Shadow (カラー・シャドウ)」というテーマで地質物質、石膏、金属、初となるブロンズを用いた鋳造作品を一堂に展示。ギャラリーの内壁を床から天井まで覆うことで腐食と劣化の様相をまとわせ、建物を含めた空間が一体となった雰囲気を創り出している。また、今回新たな視点から一連の新作も発表する。過去の作品であるクッキーモンスター、バットマン、スマイリー・フェイスを用いたオリジナル・ワッペンから引用し拡大して創られた特殊形状壁作品は、目をみはる細密な創りによってこれまで見ることのできなかったディテールを表現。本人曰く、「これらの作品は典型的なポップ・カルチャーのアイディアに基づいており、『Fictional Archeology』 の作品セレクションと類似しています。これまでも、異文化間においても象徴的かつ容易に認識できる作品をセレクトしてきました。これらの作品は、私としては、ニューヨークやシカゴと全く同様に日本にも存在できるはずだと思うのです」とコメントしている。本作品群に見られる色彩のキアロスクーロ (明暗) は、展覧会タイトルの中でもほのめかされているのみならず、作品に新たな広がりを与える。生まれながらに色覚多様性を持つ Arsham は近年、色覚補正眼鏡「エンクロマ」を使用した経験により色彩に新たな解釈を見出した。オブジェ元来の色を削ぎ落とし、単一色に置き換えることで自然と落ちる影は、見たことのないハイパーリアルな光源の錯視を生み出している。明るい光もしくは非常に薄暗い光のもとでは色の見分けがつかず、スペクトル (色の帯) 上の識別が困難であるという Arsham 自身の体験をもとに着想を得たこれらの作品は私たちに色彩に対する固定概念を打ち破る衝撃を与えることだろう。
昨年のモスクワビエンナーレでは巨大な彫刻インスタレーションを発表し、大きな話題となった Arsham は、常に新しい素材の探求と実験を繰り返しながら、非現実を生み出すための装置を探し続けている。どこにも辿り着く事の無い階段、人工的構造物を覆い尽くす樹木など、困惑させられたり、困惑する事を期待したりする空間や時間を彼は注意深く発見し、作品へと還元してゆく。NANZUKA では、「Architecture Anomalies (アーキテクチャー・アノマリーズ)」というタイトルの通り「科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む構造」をテーマとした新作から構成される。浸食した壁、壁と同化した布、身体性を連想させるだけの布といったインスタレーション作品を中心に展示。こうした作品たちは、空間とアート作品との関係性、私たちの視覚認識と身体感覚との関係性といったテーマに対する Arsham の関心と研究を反映している。
展覧会情報 | |
会期 | 5月23日(水)~6月30日(土) |
場所 | ⑴ペロタン東京 ⑵NANZUKA |
住所 | ⑴東京都港区六本木6-6-9 ⑵東京都渋谷区渋谷 2-17-3 渋谷アイビスビル B2 |
開廊時間 | 11:00-19:00 |
休廊日 | ⑴火・土/⑵日・月・祝祭日 |
観覧料 | 無料 |
HP | ⑴www.perrotin.com ⑵www.nug.jp |