ポップアートを現代に紡ぐ、2人のアーティストによる師弟展が開催
News
ポップアートを現代に紡ぐ、2人のアーティストによる師弟展が開催
Peter Saul & Erik Parker
presents an exhibition at nanzuka
by Daisuke Yokota
Peter Saul (ピーター・ソール) と Erik Parker (エリック・パーカー) による2人展が、6月1日(土)より渋谷の NANZUKA にて開催中。
Erik Parker の企画によって実現した本展は、テキサス大学で教鞭を取っていた Peter Saul と、その教え子である Erik Parker の初となる師弟展。師である Peter Saul にとって、本展覧会はその長いキャリアの中で初の日本での展覧会となり、一方 Erik Parker は NANZUKA にて2度目の展覧会となる。
Peter Saul は、1934年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。1958年に政治風刺やパロディを掲載するコミック誌『MAD (マッド)』のスタイルに着想を得て描いたドナルドダックやミッキーマウスを引用した漫画的なスタイルの作品を発表。その後も歴史的な名画のサンプリングや政治家の肖像、美術史にまつわる逸話などを題材とした作品を制作し続けている。政治色をうっすらと感じさせるモチーフの作品が多く、最初期のポップアート運動に関係するアーティストとして近年改めて作品の評価が高まっている Peter Saul だが、実際のところ彼の作品はアーティスト個人のアイロニカルなユーモア、グロテスクとされて卑下されているものへの愛情から生まれた産物であり、カラフルで独特の作風は個人的な関心と強迫観念に忠実であることから生まれたという。事実、その半世紀以上に及ぶ創作活動において、自身は美術の主義や潮流、権威からは一貫して距離を取り続けている。近年、Saul 作品の重要性が再認識されるに至り、2010年にはアメリカ芸術アカデミーに選出。その他多くの作品は、シカゴ美術館、ポンピドゥ美術館、パリ、ディ・ローザ、ロサンゼルス郡美術館、メトロポリタン美術館、ストックホルム美術館、ルートヴィヒ美術館、ケルン美術館、ニューヨーク近代美術館、ステデリック美術館、ホイットニー美術館、エール大学美術館、カーネギー美術館といった世界中の主要な公共コレクションに収蔵されている。
一方、Erik Parker は、1968年ドイツのシュトゥットガルト生まれ。現在はニューヨークを拠点に活動をしている。彼もまた自身の作品のルーツとして、『MAD』などのアンダーグラウンドコミック、風刺イラスト、グラフィティなどへ関心を語っているが、中でも最も重要な影響を受けたのはテキサス大学時代の師である Peter Saul だという。Erik Parker の作品にある、自然と計算された鮮やかな色彩と多様なモチーフの混沌とした組み合わせからなる独特で幻想的な肖像画や風景画が生み出された背景には、ルールや潮流に縛られる事なく、自身の内面を鋭く深く考察することで生まれる創造性に忠実であろうとする Peter Saul の教えが読み取れるだろう。
Peter Saulは、本展のために完成させた新作のペインティング「Van Gogh Cuts Off His Ear」について、 ユーモアを込めて次のように語っている。「ついに、ゴッホの耳が私の作品の主題として降臨したことを、私はとても嬉しく思っている。モナリザに次いで美術史で最も有名な出来事であるにも関わらず、85歳になるまでそれは起こらなかった。もし運が良ければ、もう何度かこの主題について取り組むことができるかもしれない、と考えている。なぜなら、彼は、私の想像の中で “再生” したばかりだから。」
展覧会情報 | |
会期 | 6月1日(土)〜7月6日(土) |
場所 | NANZUKA |
住所 | 東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB2F |
開廊時間 | 11:00~19:00 |
休廊日 | 日曜日、月曜日、祝日 |
観覧料 | 無料 |
HP | nug.jp |