【女性ファッション誌分析】雑誌の読者層から切り取る消費者層 - 理想の顧客の明確化とオピニオンリーダーを理解する方法
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【女性ファッション誌分析】雑誌の読者層から切り取る消費者層 - 理想の顧客の明確化とオピニオンリーダーを理解する方法
Consumer clusters based on magazine readership - How to define ideal customer types and understand opinion leaders
マーケターにとって最も重要なコトは、彼らが日々行っているマーケティング活動やメディア戦略の成果である。ブランドは「このブランドの理想的な消費者は?」「このブランドにとって理想的な女性は?」という疑問の答えを模索し続け、マーケターは消費者のライフスタイルをよりクリアにしようと考えている。消費者がファッションにどのような考え持ち、そのブランドがライフスタイルにおいてどのように位置づけられ、競合ブランドについてはどのように考えているのか。その答えは消費者のクラスタリングにある。消費者のクラスタリングは、ブランド側がマーケットを理解し的確にポジショニングできるかという問題に関わってくるので、そのクオリティがとても大事になってくる。
文: Helge Fluch (ヘルゲ・フルフ) 翻訳: 堂本雄二
マーケターにとって最も重要なコトは、彼らが日々行っているマーケティング活動やメディア戦略の成果である。ブランドは「このブランドの理想的な消費者は?」「このブランドにとって理想的な女性は?」という疑問の答えを模索し続け、マーケターは消費者のライフスタイルをよりクリアにしようと考えている。消費者がファッションにどのような考え持ち、そのブランドがライフスタイルにおいてどのように位置づけられ、競合ブランドについてはどのように考えているのか。その答えは消費者のクラスタリングにある。消費者のクラスタリングは、ブランド側がマーケットを理解し的確にポジショニングできるかという問題に関わってくるので、そのクオリティがとても大事になってくる。
前回の記事で、私は日本の女性ファッションマーケットを理解するにあたり、雑誌の重要性を説明した。ブランドのプロモーション活動におけるメディアの取捨選択と消費者分析は一貫性を持つべきであり、そのため私たちは雑誌の読者層から切り取った消費者層をつくり上げた。これらのカテゴリーを理解することで、日本のファッションに関心を持つ消費者を理解することができる。なぜなら日本の女性の多くは単独の雑誌だけを読むことはなく、最大15の雑誌を組み合わせて読み、自身のファッション・ライフスタイルを築き上げるからである。
日本の女性でもっとも典型的なファッションオタクは、『Sweet(スウィート)』と『ViVi (ヴィヴィ)』を定期的に購読し、時には『Gisele (ジゼル)』を読む。コンビニで『Gossips (ゴシップス)』『in CELEB (インセレブ)』『JJ (ジェイジェイ)』『Ray (レイ)』『Glitter (グリッター)』を主に立ち読みし、時には『Vogue (ヴォーグ)』や『Vogue Girl (ヴォーグ・ガール)』を読む。そんな彼女たちの購読する雑誌量は日本において驚くべきことではない。しかし問題なのは、日本で行われている多くのリサーチが、そして消費者のクラスタリングでは購読雑誌を無視していることだ。
私たちは雑誌の読者層から切り取った消費者層を通じ、また消費者がどういった「雑誌のコンビネーション」を用いるのかを明確化することで消費者を理解している。このグループ分けにより、消費者の雑誌購読特性の定義を容易にしただけではなく、また消費者のライフスタイルを定義することも容易にした。それぞれの「雑誌コンビネーション」を通じ、それぞれのカテゴリーのライフスタイルやライフモデルのポートフォリオを作成し、そのカテゴリーに属する消費者が、どのような服を着るか、どのようなファッションを好むか、ライフスタイルにどういったモノを求めるのかをも明確化することに成功した。その背景には、雑誌が読者にどのような女性になるべきか、どのように男性と接するべきか、男性に何を期待するのか、そして将来のキャリア形成をどうするべきかを丁寧に教えている事実があるからである。
クラスターの特性を説明する前に、私たちはまず雑誌カテゴリーの特性を定義したい。そのためにはさまざまなアプローチがあり、私たちは消費者自身がどのように雑誌をカテゴライズするのかをもとに、クラスタリングを行っている(例えば、ファッションに関心のある女性であればどの雑誌がモテ系に属しているかどうか判断するのは容易である)。私たちはファッション消費者を論理的にクラスタリングした W.David.Marx (デーヴィッド・マークス) の理論を改良し、またそれらは私たちの調査によって統計的に意味を持つことが実際に証明されている。ここでは簡潔にカテゴリー特性を説明したいと思う。
2/4ページ: 女性誌のカテゴリー分類
– ポストギャル
これは新たなメインストリーム(6年前のメインストリームはモテ系であった)であり、大人カワイイスタイルが特徴的である。ポストギャルスタイルの服装が好きな女性たちは、ファッションフォロワーに分類され、その中でもトレンドにもっとも敏感である。彼女たちにとって「お洒落」かどうかを判断する基準は、彼女たちの愛読している雑誌で提案されているスタイルを模倣できているかどうかであり、多くの女性たちがシェアしているスタイルを真似る傾向にある。彼女たちの関心は男性でなく、女友達に歓迎されるかどうかである。彼女たちにとって雑誌はバイブル的存在であり、ポストギャル系雑誌の多くの読者は、長谷川潤、藤井リナなどのハーフモデルの熱狂的なファンである。またウェスタンセレブリティスタイルにも強い憧れを抱いている。このカテゴリーに属する雑誌、『ViVi』と『Sweet』は若い女性消費者にもっとも読まれている。
代表的な雑誌: 『Sweet』『ViVi』『Tokyo ViVi (トウキョウヴィヴィ)』, 『Glamorous (グラマラス)』『Ginger (ジンジャー)』『Gisele』『Glitter』『ar (アール)』
– モテ系
モテ系の読者の関心は、ポストギャル系の様にファッションではなく、他人の目線である。彼女たちにとって「お洒落」は、男性を惹き付け、男性や女性友達からカワイイと言われることだ。彼女たちにとって自身の個性を表現することは、さほど重要ではない。『AneCan (アネキャン)』のモデルに移籍したエビちゃん (蛯原英里) はいまだにモテ系カテゴリーを象徴するモデルであり、過去5年間においては当カテゴリーがもっとも多くの読者を有していた。
代表的な雑誌: 『CanCam (キャンキャン)』『JJ』『Ray』『AneCan』
– ガーリー
ガーリー系雑誌が大切にしているコンセプトは「自然に」である。オーガニック素材、ナチュラルカラー、適度なヒールの高さやサイズのファッションアイテムは好まれる。一方、ブランド品には関心が無く、ポストギャル系の女性からは「お洒落じゃない」と思われていることが多い。彼女たちは社会的ステータスを気にすることはなく、ラグジュアリーブランドやいかにも「ファッション」なライフスタイルにも関心をもたず、ポストギャル系から一線を画している。ガーリー系雑誌は、一種の「モテ系」として考えることができる。なぜならば多くの男性は、これらの雑誌で提案されている「ナチュラル・スタイル」を好み、またこのカテゴリーのアイコニックな存在である田中美保に好意を感じるからである。
代表的な雑誌: 『non-no (ノンノ)』『mina (ミーナ)』『Soup (スープ)』『Steady (ステディ)』
– ストリート
ストリート系の読者は、ストリートカルチャーやアンダーグラウンドカルチャーに深い関心を持つ。ビンテージウェア、カジュアルウェア、ファストファッション、ドメスティックのアバンギャルドなレーベルをミックスしたスタイリングが特徴的。このストリート系読者は二つのタイプに分類され、一つは原宿ストリートカルチャー。もう一つはモード要素を取り込んだ人たちである。コムデギャルソンの様なスタイリングを好み、またファッションに対して明確な意見を持っており、このタイプの女性は将来クリエイティブ業界で働くことを夢見ている。
代表的な雑誌: 『Cutie (キューティー)』『Spring (スプリング)』『JILLE (ジル)』『KERA (ケラ)』『mini (ミニ)』『Zipper (ジッパー)』『Fudge (ファッジ)』『Spoon (スプーン)』
– ハイファッション
ハイファッション系には二つのグループが存在する。
一つ目には「ドメスティック・モード」と呼ばれるグループがある。ヨーロッパや一部のドメスティックブランドに対して芸術的な視点からアプローチしている雑誌を好み、ファッションやデザイナーたちのクリエイティビティに深い関心がある。
代表的な雑誌: 『Ginza (ギンザ)』『装苑』『Spur (シュプール)』
二つ目は「ウェスタン・モード」。インターナショナルな雑誌が日本特有にローカライズされたものを好むのが特徴である。また雑誌におけるモデルの大部分はウェスタン・モデル。
代表的な雑誌: 『VOGUE JAPAN (ヴォーグ・ジャパン)』『Elle Japon (エル・ジャポン)』『Numero TOKYO (ヌメロ・トウキョウ)』『Figaro Japon(フィガロ・ ジャポン)』
– アティテュード (アティテュードは自分の理念があり、主張が激しい人を指す言葉である)
LAセレブリティファッションが『Nylon (ナイロン)』, 『Elle Girl (エル・ガール)』などの日本の雑誌に特集されはじめてから数年が経ち、その結果『Vogue Girl (ヴォーグ・ガール)』が雑誌マーケットにおける発展に繋がった。これらの雑誌に見られる広告は明確なメッセージ性を持ち、エッジがある。アティテュード系の読者は外向的なコンテンツを好み、彼女たちは雑誌で提案しているスタイルを模倣するのではなく、そこからインスパイアを受け、自分だけのライフスタイルを模索している。読者が関心を持つトピックの一つは”It-girls”のライフスタイルだ。このカテゴリーのアイコニックな存在は水原希子である。
代表的な雑誌: 『Nylon』『Elle Girl』『Vogue Girl』
– ゴシップ
ゴシップ系の読者は L.A や New York の大都市で活躍しているウェスタン・セレブリティのファッションスタイルに関心を持つ。ゴシップ・ムーブメントは「The O.C (ジ・オーシー)」や「Gossip Girl (ゴシップガール)」などのアメリカンドラマの流行と共に訪れ、ドラマで登場するユニークなファッションスタイルやライフスタイルが日本の女性を魅了した。ウェスタン・セレブリティの影響により、いまではショートパンツ、サンダルとサングラスを身につけ、通学中にスターバックスでコーヒーブレイクをすることが「お洒落」だと考えるようになった。Miranda Kerr (ミランダ・カー) やドラマ『Gossip Girl』に登場するモデルなどがこのカテゴリーを象徴するモデルたちである。
代表的な雑誌: 『Gossips』『Celeb Scandals (セレブスキャンダル)』『in CELEB』
– モデスト
このモデスト系の読者は「お洒落」にあまり興味が無く、あくまでも「普通」であると考えられている。他人とは違ったファッション要素を有しているわけでもない。それはこのカテゴリーが高いアクセシビリティを有しているからである。『More (モア)』は当カテゴリーにおいて圧倒的な人気を有している。
代表的な雑誌: 『More』『with (ウィズ)』『an-an (アンアン)』『inRed (インレッド)』
– ギャル
このカテゴリーは20歳前後の女性から構成され、日本のファッションマーケットに対して依然大きな影響力を持つ。
代表的な雑誌: 『BLENDA (ブレンダ)』『JELLY (ジェリー)』『S Cawaii! (エスカワイイ)』『Cawaii (カワイイ)』『Ranzuki (ランズキ)』『egg (エッグ)』『Popteen (ポップティーン)』『小悪魔ageha』
– オフィス・コンサバティブ
オフィス・コンサバティブ系の読者はOLであり、大部分は20歳後半で未婚であり、30 – 40代のキャリアウーマンでも構成されている。またこれから社会に出る、大学3年生や4年生にも読まれる。コンセプトは職場に「丁度良い」ファッション、そのためエッジが効いている服装はあまり紹介されない。
代表的な雑誌: 『Oggi (オッジ)』『Classy (クラッシィ)』『Domani (ドマーニ)』『Marisol (マリソル)』
3/4ページ: 「学生から社会人の転換期は社会環境の変化をもたらし、それはすべての女性にとってもっとも重要なときである。」
簡単な雑誌カテゴリーのオバービューの後、私たちは消費者がどのカテゴリーの雑誌を組み合わせているのかを明確にし、消費者クラスターをつくりあげたい。忘れないでほしいのは、私たちが提示しているクラスターは社会人になる前の18 〜24歳の大学に通っている女性である。今後の記事で社会人のクラスターを説明する。だが重要なのは、学生から社会人の転換期は社会環境の変化をもたらし、それはすべての女性にとってもっとも重要なときである。購読する雑誌はライフステージの移り変わりと共に変化し、それが結果的には読者クラスターの転換に繋がる。ただクリエイティブな業界で働く女性は例外だ。なぜなら仕事環境が彼女たちに服装の自由を与えるからだ。彼女たちにとって学生から社会人への転換期はよりスムーズに行われるだろう。
これらの記事において、私たちそれぞれの消費者クラスターの特徴を簡易的に示していきたいと思う。そして一部のクラスターがマーケターにとって非常に重要な意味を持ち、マーケットと高い関連性を持つ。なぜなら、オピニオンリーダーやアーリーアドプター、または日本におけるファッショントレンドに対して大きな影響力を持つ人々が、そのクラスターに沢山見かけられるからだ。
ここで問題は、人々はなぜまったく異なるライフスタイルを提案している雑誌を組み合わせて購読するのか?ということである。その答えは、それぞれの雑誌は消費者にとってまったく違った役割があり、もしある女性が5種類の雑誌を読んでいれば、彼女は5つのまったく違った目的を雑誌に求めているから、というものである。また人によってはライフスタイルに関する情報を仕入れるとき、一つの雑誌で十分という時もあれば、2~3の雑誌が必要な場合もある。また、ある人は友達との話題についていくためにモデルの情報は雑誌を通じて入手したり(『ViVi』が典型的な例であり、それは『ViVi』がモデルを育てるためである)、最新のトレンド情報の入手を目的としている人もいる(この場合は『Sweet』の購読が挙げられる)。いずれの例においても、雑誌を購買するかわりに、コンビニなどで立ち読みして目的を達成することが多い。また一部の人々は最新のコレクション、デザイナーやトレンド情報を目的とし、「勉強のために」という意味で雑誌を購読するケースもある。もちろん彼女たちが雑誌に求める目的は他にもあり、これらの例は一部にしかすぎない。
私たちは消費者サンプルを4つのクラスターに分類したが、それぞれのクラスターには一般女性消費者に対して大きな影響を与えるオピニオンリーダーが多く存在する。それらのクラスターは「ファッションニスタ」「ハイファッション」「ハイストリート」「MS (メインストリーム) セレブ」である。それぞれのクラスターの消費者にアプローチするにはまったく異なったマーケティング戦略が必要であり、ブランドはこれらの消費者に対しては完全に異なったマーケティングアプローチが必要である。ブランドはそれぞれのクラスターのオピニオンリーダーたちを理解すると同時に、その他の人々の特性も知らないといけない。
4/4ページ: 女性のクラスター分類
Mainstream (メインストリーム)
私たちはまず「メインストリーム」に対する明確な定義をおこなう必要がある。なぜならクラスターに対する明確な定義は、今後の分析や決断に大きな影響を及ぼすからだ。そしてメインストリームクラスターに対する定義をおこなうためには大きく2つの分類基準が存在する。一つ目はクラスターの大きさ、つまり消費者の数である。そして二つ目に、このクラスターの消費者ネットワークがどういったモノに関心を持っているのか、また最近の話題は何か、というものである。
レポートにおけるすべての調査や分析方法において、私たちは「消費者が何を考えているか」を最重要視しているが、その理由は消費者に対してクラスターの定義を求めても、彼女たちの解釈には多くの矛盾点が残るからである。マーケットに対する理解を強める必要がある。マーケットのおもしろい所は、3人のまったく統計的人口分布特徴が違う女性 (異なる職業、異なる趣味、異なるメディア利用状況、異なる年齢…等) に同じ質問をしても、ある特定のマーケットに対して同様の答えが返ってくるからだ。日本ではさらに興味深いことに、実際のそのクラスターに属する雑誌や商品に対して消費者行動を起こさなくても、人々はそのクラスターに関して熟知しているからだ。なぜならファッション好きな日本人女性消費者の約90%は、この雑誌はどういう人が読むの?この雑誌はどういう内容なの?などの質問を「常識」と考えており、つねに彼女たちの話の「ネタ」だからだ。
ここからメインストリームに関する詳細を述べたいと思う。
メインストリームのクラスターのトレンドを牽引している雑誌は『Sweet』や『ViVi』などのポストギャル系の雑誌であり、雑誌がトレンドの形成において重要な役割を果たしている。例え読者である女性が雑誌で紹介されているコーディネートを真似しなくても、彼女たちは自分たちのファッションが「どの立ち位置」にいるのかを明確に認識するために、雑誌から最新トレンド情報を入手しようとする。メインストリームに属する大学生の多くは『ViVi』『Sweet』(どちらともポストギャル系)と『JJ』『Ray』『non-no』を組み合わせて購読する。またメインストリームにおいても「雑誌コンビネーション」の違いから私たちはメインストリームをさらに3つのカテゴリーに分類している。MS (メインストリーム) セレブはポストギャル系雑誌を読み、ウェスタン・セレブリティに関心を持つ、MSノンガーリーポストギャル系とモテ系 (非ガーリー系) を組み合わせる、そしてMSガーリーはポストギャル系と『non-no』や『mina』などのガーリー系雑誌を組み合わせて読む。以下においてメインストリームの3つのカテゴリーについて詳しく説明したいと思う。
MS Celeb (MSセレブ)
このクラスターに所属している女の子はウェスタン・セレブリティに憧れを持ち、LA、New Yorkやヨーロッパのセレブリティの最新トレンド情報を入手するために雑誌を購読する。彼女たちにとって日本人的な大衆スタイルとはまったく違う、ウェスタン・セレブスタイルを着こなすためには少しハードルが高いとされる。なぜなら、日本人は「目立つ」ことに抵抗感や不安を感じやすいからだ。
セレブリティに対する関心が強い彼女たちは、良く雑誌で紹介されているTop Shop (トップショップ)、American Apparel (アメリカン アパレル) などのインポートブランドが好みである。ゴシップ雑誌も購読される時があり、『Elle Girl』『Elle』『Vogue Girl』と『Gisele』や『Gilliter』などの「雑誌コンビネーション」も多く見受けられる。『Glitter』や『Gisele』はファッショニスタのクラスターには分類されないため、『Glitter』や『Gisele』を購読する消費者は自動的にMSセレブに分類され、また彼女たちはポストギャル系に興味があることを意味する。ウェスタンスタイルに近いこのカテゴリーは、ストリートファッション関連の雑誌を購読する傾向が高く、ファッショニスタの様にハイファッションの要素はない。彼女たちはウェスタン・セレブリティのスタイルを模倣することで、自分たちは「トレンディー」かつ「クール」であると認識する。つまり彼女たちにとって、雑誌で紹介されているセレブリティのスタイルはインスピレーションではなく、模倣の対象でしかない。
MS Non-Girly (MSノンガーリー)
『Nylon』『Vogue Girl』『Elle Girl』などのアティテュード系雑誌の成長、Topshop や American Apprel などで見受けられる「もっとワルに、もっと派手にスタイリングして、大衆と距離を置きたい」という理念の普及、そしてゴシップ雑誌におけるセレブリティの影響によってMSセレブとファッショニスタのクラスターは次第に人気を失いつつある。このクラスターに属する女性の多くは大学生であり、典型的な「雑誌コンビネーションは」ポストギャル系 (非ガーリー系) 雑誌である『ViVi』『Sweet』と『JJ』『Ray』の組み合わせである。
自身の友達から「お洒落」であると気に入られ、「カワイイ」と言われることが、このクラスターに属する消費者がファッションに求めるモノである。モテ系と比べ、トレンドに敏感であり、時にはオピニオンリーダーとなりうることもあるが、ファッションにそこまで関心がないため、ファッションのクリエイティビティやウェスタンカルチャーのファッションに対する影響、ブロガーなどの海外の情報を知ろうとはしない。彼女たちは自分たちがどのように他人へ影響を及ぼすのかを熟知しており、典型的な「日本人っぽい」女の子である。ウェスタンカルチャーに憧れを持つが、彼女たちがファッションに興味を持つ主な原因ではない。
MS Girly (MSガーリー)
このクラスターに属する女性の「雑誌コンビネーション」は、ポストギャル系とガーリー系である。内容が似ている『non-no』と『ViVi』のコンビネーションは「聡明」と言いがたいが、多くの女性は両方購読する。『ViVi』は彼女たちにとって最新トレンドやモデル情報を仕入れるための「バイブル」である。彼女たちは『Sweet』や『non-no』で紹介されているような「女の子っぽい」スタイルに『ViVi』などのポストギャル要素を付け加えたスタイルが「ちょうど良い」、「着こなせるスタイル」であると考えている。「ちょうど良い」スタイルは、ファッション過ぎない、つまり目立ち過ぎなければ、ダサくもないからである。昔は「遅れた」スタイルであったが、流行な要素を取り入れることによって、彼女たちは自身のスタイルに対してより自信を持つようになった。彼女たちはメインストリームの一部であり、ノンガーリータイプよりもカジュアルで、純粋なガーリータイプよりもファッションに対する知識を持っている。『ViVi』と『Sweet』をトレンド情報の「バイブル」にするのは一般的であるが、ガーリータイプの女性はトレンドにあまり関心を持たないため、この2大タイトルを購読しない。
次の記事では残りのすべてのクラスターの紹介をします。ファッションニスタ、ピュアハイファッション、ハイストリート、ピュアガーリー、ストリートスタイル、ピュアモテ系、オフィススタイル、ピュアモデストとギャルスタイルのオーバービューを考えています。
Helge Fluch (ヘルゲ・フルフ) / Japan Access (ジャパン・アクセス) 設立者兼CEO。1976年フィンランドの首都ヘルシンキ生まれ。5歳からドイツで幼少期をすごし、ミュンヘンのルートヴィヒ・ マクシミリアン大学を卒業し、慶応義塾大学で訪問研究生として日本学、政治学、経済学を学ぶ。そして過去5年にわたり日本のラグジュアリー市場における消費を研究している。また、W. David Marx (デーヴィッド・マークス) の研究に影響され、雑誌と日本の若者の消費者動向の関係性に興味を持ち、Japan Accessを設立して企業にオピニオンリーダーやファッショニスタのネットワークから得られる情報を提供している。これまでに富裕層向けのプロジェクトを手がけ、ラグジュアリー戦略、ブランド・メディア戦略、ファッション・マーケティング、オピニオンリーダー・マーケティングを行っている。専門は18歳から32歳までの消費者市場、エリート大学のネットワーク、ファッションとラグジュアリー消費におけるオピニオンリーダーの役割を専門としている。また、パートナー会社Root&Partners (ルート&パートナーズ) とともに、6,600人からなる富裕層ネットワークにアクセスし、消費者動向のリサーチやエクスクルーシブなイベントの運営を行っている。
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