マリア・グラツィア・キウリの『ファッション小辞典』、ディオール 2020-2021秋冬 プレタポルテ コレクション
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マリア・グラツィア・キウリの『ファッション小辞典』、ディオール 2020-2021秋冬 プレタポルテ コレクション
Dior
Autumn-Winter 2020-2021 Collection
Dior (ディオール) がパリのチュイルリー庭園にて2020-2021秋冬 プレタポルテ コレクションを発表した。今回のコレクションで Maria Grazia Chiuri (マリア・グラツィア・キウリ) が着想を得たのは60年から70年代のイタリアのフェミニストアートにおける象徴的な人物たち。身体とフェミニニティの多面的で変わることのない繋がりについて今回も引き続き問いかけを発信している。
ルーヴル美術館とコンコルド広場にはさまれ、パリ最古の庭園であるチュイルリー庭園に設置されたのは、Claire Fontaine (クレール・フォンティーヌ) グループとのコラボレーションによってデザインされたショー会場。Claire Fontaine は、ローマ国立近代美術館でも展覧会を開催したフランスのフェミニスト・アーティスト集団。カリスマ的な美術評論家であり、のちにフェミニストとして活動した Carla Lonzi (カルラ・ロンツィ) のマニフェストを英語にした「« I Say I »」といったテキストが会場を装飾。この「« I Say I »」は、2020年3月23日より6月21日までローマ国立近代美術館で開催され、Dior の後援によって実現される展覧会名でもある。
そして、ランウェイには1949年に写真家の Robert Capa (ロバート・キャパ) が Henri Matisse (アンリ・マティス) を撮影した「Le Monde Pixélisé」より名付けられた Claire Fontaine の作品「Newsfloor」になぞらえて新聞『Le Monde』誌のページで埋め尽くされた。
ファーストルックを飾ったのは、Ruth Bell (ルース・ベル)。ダブルのバージャケットにネクタイを締めたシックかつマスキュリンな装いから始まり、チェックや水玉、そしてフリンジといった装飾に彩られていく。Maria Grazia Chiuri がティーンエイジャーだった頃の写真を起点にアートとファッションを通じて自己を主張していくまでの道のりに想いを馳せたというこのコレクションは、まさに創業者である Christian Dior (クリスチャン・ディオール) の著書『The Little Dictionary of Fashion (ファッション小辞典)』を Maria Grazia Chiuri 自身が独自で表現し、反映。そこではインスピレーションとして、アーティストの Paolo Scheggi (パオロ・シェッギ) がデザインした Germana Marucelli (ジェルマーナ・マルチェリ) のミラノのスタジオや Ugo Mulas (ウーゴ・ミュラ) による Mila Schoen (ミラ・ショーン) のスタジオ、Carla Accardi (カルラ・アッカルディ) のポートレートといった昔の写真が挙げられている。
様々な着想源を彼女の現在の視点で再びアプローチしたコレクションは、実に多彩でありながらも見事な調和を実現。また、モデルの頭に巻かれた水玉や「オブリーク」パターン、タイダイといった象徴的なモチーフのスカーフがコレクションにアクセントを加えた。現在はフランス語のみとなっているが、本コレクションに登場したスカーフをフィーチャーしている映像も公開されている。