人々が求めているのは「透明性」。メゾン マルジェラ 2020年秋冬 「アーティザナル」Co-edコレクション
News
人々が求めているのは「透明性」。メゾン マルジェラ 2020年秋冬 「アーティザナル」Co-edコレクション
Maison Margiela
’Artisanal’ Co-Ed Collection Autumn-Winter 2020
Maison Margiela (メゾン マルジェラ) が John Galliano (ジョン・ガリアーノ) による2020年秋冬 「アーティザナル」Co-edコレクションをオンライン上にて発表した。コレクションは、Nick Knight (ニック・ナイト) が手がけたドキュメンタリー形式のフィルムで披露され、John Galliano 独自のアイディアを表現する映像作品となった。
「S.W.A.L.K.」と題された52分にわたる映像では、イメージメーカーの Nick Knight によって、まるで Maison Margiela のアトリエを覗き見しているようにコレクションの制作過程が仔細に映し出されていく。John Galliano や Nick Knight、メイクアップアーティストの Pat McGrath (パット・マクグラス)、ヘアスタイリストの Eugene Souleiman (ユージン・スレイマン)、ミュージックプロデューサーの Jeremy Healy (ジェレミー・ヒーリー) らクリエイター陣がリモートで会議を重ねるシーンから映像は幕あけ、John Galliano 自らコレクションのインスピレーションを語っていく。
「アーティザナル」とアトリエのチームが装着したGoProによって撮影されたフィッティングの様子やサーマルカメラによって可視化された作業中のスタッフたちの熱。そこには、不確実なこの時代に透明性を求める強い願望があることを見抜き、クリエイティブなプロセスとそれが象徴する人間の価値観に光をあてることで新しい意識を明確化させるという John Galliano の考えが反映されている。スリラーのような手法が採用された映像は、観るものをどんどんとその世界に引き込み、ジェンダーレスを実践する「アーティザナル」の幸福感とメランコリア(憂鬱)を伝えるのだ。
希望、ヒロイズム(勇敢さ)、ヘドニズム(快楽主義)。自然の力に翻弄され、今ともに再生を試みている社会を力付けたいと考えた John Galliano は、ヒロイズムやヘドニズムを通して希望という人間の感情を表現。ヴィンテージをアップサイクルするという Maison Margiela のコード「Recicla (レチクラ)」のアイディアを用いて、クラシックなメンズのワードローブにあるテイラリングされた服は大胆なカッティングが施され、ヒロイズムを感じさせる騎士のようなシルエットに。世紀末のドラマティックな恋人たちのダンス「L’Apache (ラパッシュ・アパッシュ)」の身体的な特徴を捉えたラインにはヘドニズムが宿り、コレクション全体が1980年代のロンドンで起こった「ニュー・ロマンティックス」ムーブメントの現実逃避のエネルギーを想起させる。
閉鎖的な今だからこそ、刺激ある美への憧れを触発するコレクションに。John Galliano が”希望”を届ける一連のショーは、わたしたちのイマジネーションをかきたててくれること間違いなし。また、John Galliano が本コレクションのインスピレーションやテクニックについて語ったポッドキャスト(英語)も配信中だ。