teʼresa × naoto okutomi
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バーチャルと古着。teʼresa×奥冨直人 対談インタビュー

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teʼresa × naoto okutomi

photography: hayato takahashi
interview & text: sota nagashima

News/

今年の5月にここ日本でバーチャルアーティストとしてデビューしたばかりの17歳、teʼresa (テレサ)。古着屋としてだけでなくDJなど幅広く活動し、TOMMY (トミー) の愛称で多くのミュージシャンからも慕われる「BOY (ボーイ)」のオーナー、奥冨直人。

新しい技術を駆使する人と古い物に価値を見出す人、一見相反する様な2人は音楽という共通言語を持って惹かれ合う。実際に teʼresa が「BOY」の洋服を着用したビジュアルなどで今話題を呼んでいる2人に、自身のファッション観や古着に関して、そしてバーチャルの未来について語ってもらった

バーチャルと古着。teʼresa×奥冨直人 対談インタビュー

―世代や出自なども全く違うお二人ですが、ご自身のスタイルを形成する物として、音楽の影響が強くあるという点では同じかもしれないですよね。

te’resa:そうですね、私は超ファッションオタクというより、音楽から影響を受けてファッションを楽しんでいる所が大きいかもしれないです。アーティストに自分を重ねてマネしたり。イライラしてる時は低音聞いて強い服着て、自分の姿はバーチャルだけど感覚はその辺の子と同じです。バーチャルの自分を特別意識して服を着たりはしないですね。

―実際にどんな音楽から影響を受けてきましたか?

te’resa: 何でも聴くんですが、LAの学校でピアノや歌唱を学んでいたので、基本はポップスやR&B、ジャズとかが多いです。お兄ちゃんがロックやヒップホップが好きだったので、そこの影響も強いです。洋服もお下がりを着たりしていました。お金も無かったので、家にあった物をという感じですね。

―逆にTOMMYさんは、ファッションから音楽を好きになっていったのでしょうか?

TOMMY:いえ、全然音楽の方からです。小学5、6年生ぐらいの時にはもうロックバンドに目覚めていて。その時って本当に色々なバンドが流行っていたから、僕もあまり特定の誰かというのはいないけど、やっぱり日本的なロックスターには憧れていたかもしれないです。普通っぽいけど、カッコイイみたいな人たち。でも、一つのジャンルのコスプレみたいなのになるのだけは嫌だなというのはあって、その気持ちは未だにありますね。とにかく音楽が無かったら、ファッションに興味は持っていなかったのかなというのは常にあります。

te’resa:私もそうだと思います。たぶん音楽を聞いてなかったら、洋服をそんなに好きじゃないと思います。

―そうですね(笑)。te’resa さんは普段から古着も着ますか?

te’resa:そうですね。クローゼットは新しいお洋服と半分くらいの割合かも。古着って一点物が多かったり、コレだ!と思える物に出会ったら、それはもう自分の一部となって、自己表現として着れるような感覚がありますね。BOYには私ぐらいの10代後半の子とかも来るんですか?

TOMMY:一番多い層ではないけれど、常にはいますね。何か話を聞かせてくれとか、何かを求めている子が多いなという気がします。基本的には入り辛いとか、恐がられている店なので(笑)。普段僕が外で馬鹿みたいなことやっているのは、気楽に入ってもらうためな部分もあります。

te’resa:恐いと思ったこと無かった!(笑)音楽好きのお客さんが多いですか?

TOMMY:普通の店よりは、何倍も多いと思う。近い所にライブハウスもいっぱいあるし、ライブ前にお店に来て、自分もその後ライブに行く。お客さんとは店だけじゃない状況は結構おもしろかったですね。今はコロナの影響で、かなり寂しいですけど。渋谷は何か予定があって来ることが多い街なので、そこに携わることで渋谷でお店をやる意味があるなと思っています。少しづづ戻ってきてるけど、色々と状況はもっと良くなればいいなと思います。

te’resa:BOY は音楽とシンパシーの強いお店ですよね。そういう所に信じられるものがあって今回バーチャルショップをやりたいって TOMMY さんに相談しました。最初バーチャルショップをやりたいと思ったのが、コロナだからお店に行けないし家に居ても退屈だし作るかっていうのと、もう手に入らないヴィンテージとか大昔の服とか3DCGにしてみんなで着れる未来が来たら超楽しいなと思ってそのスタートとしてオープンしました。私が実際に BOY で販売してる服を着て(※すでに完売商品有り)立体で見れる仕様になっていたりするので、服のディテールが写真以上に伝わってお買い物しやすくなっていると思います。ショップの中に、TOMMY さんと私がそれぞれスタイリングに合わせたプレイリストを作って盛り込んだりしていてお買い物しなくても見てもらえたら楽しい場所になってると思います。TOMMY さんに相談してなかったら出来ていなかったことばっかりです。日本に帰ってきてBOYへ実際に行ってみて、LAではあまり見ない古着があったり、独特なセレクトだったりしてテンションが上がりました!お店もとってもカワイイし。日本の昔のCDとか?不思議なものがいっぱいあって面白いです。

―ファッションにこれから興味を持つ様な子たちにもお店へ来て欲しいですか?

TOMMY:もちろん、何かのきっかけになれば良いなと思っています。ファッションが既にすごく好きな人が、自分のセレクトに反応してくれるのも嬉しいですけど、音楽好きでウチの店を知って、これからファッションにも興味を持っていきたい様な人が来てくれる方がアガる。これからの人たちの人生に携わっていくというか、これからの事を考えてやっていきたいので。

te’resa:私と同世代の子たちと、これまでの世代と違うなと思う事はありますか?

TOMMY:そんなに変わってないんじゃないかな。でも、直接会う分には変わらないけど、SNS などによって変わった部分はありますよね。人の内面がガッツリ見えちゃう感じだったり。

te’resa:なるほど。

TOMMY:ファッションの話で言うと、昔はスナップ誌とかがすごく多くて、誌面に載れる機会も多かったから、それが自己肯定みたいな所に繋がっていたと思う。それが今は Instagram (インスタグラム) のイイネとかだったりすると思うんですけど、よくその感じでファッションを好きな子が多いなとは思います。10年以上前の様に今派手な子も多くなってきていると思うし。te’resa ちゃんもそうですけど、音楽も含め全体的に90’sフレーバーなものが多いですよね。10年前まで小ダサいと思われていた物が今カッコイイというか。

―BOYは今年でオープンして何年目ですか?

TOMMY:いやー、12年目になります…。

―すごい趣深い溜息が一緒に漏れましたね(笑)。古着業界という大きな括りでいうと、12年前 のBOYを始めた頃と今とでは変わったことはありますか?

TOMMY:僕が始めた頃は、古着屋はコアなお客さんとか古着が好きな大人のお客さんが多かったんです。アンティーク物や80’sが人気だったりして、90’sは古着としてまだ認めらていない所があって、2000年代なんて同じ時代ですし。今みたいに多様化してなかったです。

―最近の物は古着じゃなくて、ただの中古品になっちゃうというか。

TOMMY:そう、あくまでヴィンテージとユーズドの違いがはっきりとありました。自分が中学生の時に3000円ぐらいで買ったロックTシャツが、今4万円ぐらいするでしょ。過去の作品や活動が時を経て評価されて、付加価値が付いたりして。自分も20歳前から今30歳になったし、子供が大人になる様に10年以上経つと服も古着になる。

―なるほど。

TOMMY:後は、一般的に古着の中に所謂“大人め”みたいなものって存在してなかったと思う。例えばギャルのフィールドにいた人とか、トレンドの最先端を追っていた人たちがヴィンテージの面白さをもう少しマスに届けられる様にと作ったのが、2010年代の古着の大きな所の一つかなと思います。一方で、te’resaちゃんの様に世間で言う“ネオ”とか次世代間のあるスタイルが、その反動で今支持を得ているのかなと。だから、te’resaちゃんのセンスを活かして、同世代に届けられたら良いんじゃないですかね。

―逆にTOMMYさんはte’resaさんへ聞きたいことって何かありますか?

TOMMY:ファッションと音楽ってよく繋がっていると言われてますけど、個人的にはそんなに繋がっていると思ってなくて。使命感まではいかないけど、僕はこういう BOY の活動を始めた理由に、ファッションが好きな人と音楽好きな人は横並びであまり繋がってないのは寂しいからというのがあります。te’resa ちゃんは音楽やファッションに関心を持っていることで、人に伝えたい活動の指針ややりたい事ってあるんですか?

te’resa:そもそもの私の話をすると、生身で表舞台に出るんじゃなくてあえてバーチャルを選んで活動していて。自分は出身も日本と中国のハーフだったりしてそこからLAに住んで……、色々な経験をして。性別とか国籍とか、つまらない所で弾かれちゃう事が結構あるじゃないですか。そういう部分を全部関係なく超えて活動できないかなと思ったのが始まりなんですね。色んな固定観念をぶち壊していったり自由に選択することを体現できると良いなと思って活動してます。TOMMYさんは、ぶっちゃけte’resaの事をどう思いますか?(笑)

TOMMY:自分は本当にストリート感覚で色々やっちゃっているので、時代遅れな事も多くて。未だにパソコンもまともに使えないみたいな感じだし、アナログ人間なんです。過去にあった事とか好きだった事が蓄積している感じもあるけど、それに加えて目の前で見てる物とか、新しい出会いとかで掛け算しているので、こういう時代に突入して自分リモートでできる事なんもねぇと思ったり。だから、バーチャルという感覚にはまだ慣れてはないんですよね。

―確かに、TOMMYさんは現場主義な感じはありますよね。

TOMMY:でも、こういう te’resa ちゃんの様な人との出会いがあるっていうだけで新鮮ですし、こういう事が生まれていくのはファッションの視点からしてもポジティヴです。音楽においても、先程 te’resa ちゃんが話した様にあえてバーチャルを選んで活動する理由はすごく新しいなと思いました。

―ファッションにおいてはどんな点でポジティブですか?

TOMMY:「あつまれ どうぶつの森」で Maison Margiela (メゾン マルジェラ) の衣装があったりするのを見て、アバターに服を買って着せ替えして遊ぶのは、ゲームを楽しんでいるというのもあるけど、ファッションを楽しんでいるとも言える。自分が着ない服を買うっていうのは、プレゼント以外ですごい事だなと思うし。世間からファッションが盛り下がっていると言われたとしても、別の角度から言えばむしろ機会は増えているはず。音楽もCDが売れないと言われても、サブスクで結果音楽を聴く人が増えている。選択肢が多いから分散しているだけで、90年代からの数字の測り方とは違うなと思います。バーチャルに対して、音楽の面もファッションの面も、自分が意図せぬ所でも切り開いたり便乗していて、その存在っていうのは多様に活かせるんだろうなと思います。

―te’resa さんはバーチャルファッションの可能性についてどう考えていますか?

te’resa:私の姿だったりバーチャルの空間だったりを利用することによって、より多くに人にコロナ以降のファッションの在り方を面白がってもらえたり、より新しくファッションを伝えられるんじゃないかなと思っています。ファッションをバーチャル上で楽しむのもありだなって、誰かの新しい発見のきっかっけにもなるかも。あとは、最近The Fabricantという企業とか色んなブランドだったりがデジタルファッションアイテムを発売していて。画像の中でしか着れないんですけど、自分の画像を送るとそのアイテムを着た自分の画像を送ってくれるみたいな。さっきTOMMYさんがストリートスナップの代わりにインスタでいいねもらう話してくれましたが、極端な話をするとそこが行き過ぎて1回着た服はもう着ないって人も居るらしく、サステナブルの観点からしてもデジタルファッションって理に適っていると思うんですよね。リアルで着る服とは別でもっと気軽に自分を着せ替え人形みたいに出来たら毎日もっと楽しいと思ったりもするし。数百万するデジタルドレスとかが話題になっていましたけど、もっと身近なデジタルファッションブランドを作ったりが近い将来出来たらいいなと思っています。

―TOMMYさんはご自身がセレクトしている商品をバーチャルアーティストである te’resa さんに着てもらって、いかがでしたか?

TOMMY:既存のモデルの方たちには人間としての美しさが勿論たくさんあるけれど、バーチャルモデルを使いやすくなっていくんだろうなと思います。ウチと相性が良かったのもあると思うけれど、それぐらい衣装組みがやりやすかったです。

te’resa:すごい可愛くしてくれた!

TOMMY:だから、僕みたいなアナログ的な人間にも届くぐらいの拡がりのある活動して、バーチャルの未来を拡げられる存在になって欲しいですね。将来の目標や夢とかはあるの?

te’resa:今の夢はまず自分の音楽を通して、私という存在を世の中に確立させていくことですね。TOMMY さんが期待してくれているような事は、心にいつも想って活動していたりするので、頑張っていきたいです。バーチャルアーティストやモデルも最近いっぱい居ますがもっと認知されて、見たり感じたりしたことない世界観を創り上げていけると良いなと思っています。ちなみに、こういうバーチャルの人がいたら面白いだろうなと思う人物像はありますか?

TOMMY:もう、ブッ飛んだ人がいたら面白いね。自分でも出来ない様な事とか、例えば今日は農家をやってみましたとか。セレブリティとか輝いてる人ばかりになる必要もないと思うし、1Kの平凡なアパートに住んでるとか、憧れではないんだけど癒しと楽しさを同じ目線で気持ちを代弁してくれる人も良いですよね。生身の人間でもそうだし、バーチャルでも絶対に重要になってくるかなと思います。

te’resa: 最後に、TOMMYさんみたいなカッコ良い大人になるには、どうしたら良いですか?

TOMMY:キツい質問が来たな(笑)。例えば僕もお店をやっている間に、どんどん興味や関心も増えていったりして、やりたい事って絶対に変わってくるので。その時の興味に身を任せれば良いと思う。とにかくその時その時良いと思う事を積み重ねていって、時代を見て選択して、人に伝えやすい形や言葉で届けることかなと思います。この時代は難しく考えず、ゴチャゴチャした事は必要ないのかな。

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