【TFPおすすめ映画】社会の底辺で暮らす男女の希望と絶望を描いた傑作『そこのみにて光輝く』
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【TFPおすすめ映画】社会の底辺で暮らす男女の希望と絶望を描いた傑作『そこのみにて光輝く』
‘Sokonominite Hikari Kagayaku’ to launch in Japan from April 19
いまから23年前、何度も芥川賞候補に挙げられながらも賞に恵まれず、今の日本を予期したような作品群を遺し、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の小説を基に、北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の希望と絶望を描いた『そこのみにて光輝く』が、テアトル新宿・ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国公開中だ。
いまから23年前、何度も芥川賞候補に挙げられながらも賞に恵まれず、今の日本を予期したような作品群を遺し、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の小説を基に、北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の希望と絶望を描いた『そこのみにて光輝く』が、テアトル新宿・ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国公開中だ。
監督は『オカンの嫁入り』で新藤兼人賞を受賞し高い評価を得てきた呉美保。これまでの二作で見せてきたアットホームな筆致から一転、ざらついた絆の行方を素手で掴まえる硬質な映像文体で、まったく新たな境地に達している。
北海道函館を舞台に生きる場所のない男女の出会いを描くラブストーリー。仕事を失った男がバラックに住む女と出会い、家族のために必死な彼女をいちずに愛し続ける姿を描く。
本作はとにかく俳優たちの演技が素晴らしい。主演は、綾野剛。『るろうに剣心』『へルタースケルター』『夏の終り』『シャニダールの花』と、近作をあげるだけでも枚挙にいとまがないこの旬の俳優が、これまでにも増してソリッドで、けれども儚げな「ゆらぎ」のある存在感で、ひとりの女を愛しぬく主人公・達夫のインナーワールドを豊かに体現した。ヒロイン、千夏には池脇千鶴。名作『ジョゼと虎と魚たち』で見せた破格の人物造形に匹敵する情感あふれる演技で、さらに一歩踏み込んだ「女の芯」をかたちにしている。千夏の弟、拓児に『共喰い』の菅田将暉。前科者だが、どこまでも無垢なその精神の行方を、快活と刹那が交錯する天使のようなたたずまいで見せる。そして、高橋和也、火野正平という芸達者が脇を固めた。
<ストーリー>
ある出来事がきっかけに仕事を辞め、目的もなく毎日を過ごしていた佐藤達夫は、ある日パチンコ屋で使い捨てライターをあげたことをきっかけに、粗暴だが人なつこい青年・大城拓児と知り合う。拓児に誘われるままについていくと、そこは取り残されたように存在している一軒のバラックだった。そこで達夫は拓児の姉・千夏と出会う。互いに心惹かれ、二人は距離を縮めていくが、千夏は家族を支えるため、達夫の想像以上に過酷な日常を生きていた。それでも、千夏への一途な愛を貫こうとする達夫。達夫のまっすぐな想いに揺れ動かされる千夏。千夏の魂にふれたことから、達夫の現実が静かに色づきはじめ、達夫は失いかけていたこの世界への希求を取り戻していく。そんなとき、ある事件が起こる―。
<映画情報>
『そこのみにて光輝く』
監督: 呉美保
出演: 綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平、伊佐山ひろ子、田村泰二郎
脚本: 高田亮
原作: 佐藤泰志 (河出書房新社刊)
音楽: 田中拓人
製作: 永田守
企画・製作: 菅原和博
エグゼクティブプロデューサ: 前田紘孝
プロデューサ: 星野秀樹
アソシエイト プロデューサ: 吉岡宏城、佐治幸宏
キャスティング ディレクター: 元川益暢
ラインプロデューサ: 野村邦彦
撮影: 近藤龍人
照明: 藤井 勇
録音: 吉田憲義
美術: 井上心平
編集: 木村悦子
助監督: 山口隆治
製作:「そこのみにて光輝く」製作委員会
製作プロダクション: ウィルコ
配給: 東京テアトル+函館シネマアイリス(北海道地区)
宣伝: 太秦
助成: 文化芸術振興費補助金
2014/日本/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/120分
@ 2014佐藤泰志/「そこのみにて光輝く」製作委員会
公式サイト: http://hikarikagayaku.jp
2014年4月19日(土)テアトル新宿・ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国ロードショー