Dior (ディオール) 2015年春夏 オートクチュールコレクション 夢見る現代版フューチャリズム
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Dior (ディオール) 2015年春夏 オートクチュールコレクション 夢見る現代版フューチャリズム
Dior 2015 Spring Summer Haute Couture Collection Rejoices Modern Futurism
Dior (ディオール) 2015年春夏オートクチュールコレクションを発表するにあたり、アーティスティック ディレクターの Raf Simons (ラフ・シモンズ) が思い描いたのは、SF映画や宇宙旅行、そしてポップカルチャー。
“Moonage daydream (=ムーンエイジの白日夢)”
Dior (ディオール) 2015年春夏オートクチュールコレクションを発表するにあたり、アーティスティック ディレクターの Raf Simons (ラフ・シモンズ) が思い描いたのは、SF映画や宇宙旅行、そしてポップカルチャー。
David Bowie (デビッド・ボウイ) の《V-2 Schneider 》が鳴り響く中、ファーストルックで幕を開けたのは、レースのドレスにプラスチック素材のコート、そしてビニール素材のサイハイブーツを合わせたフューチャリスティックルック。
ペールトーンの色合わせがフラジャイルな印象のフラワーモチーフは、高度な技術を必要とするギピュールレースによって形作られ、トランスペアレントなコートにはフラワーモチーフのフォトプリントが施されている。
アーティスティック ディレクターの Raf Simons (ラフ・シモンズ) が「私は長年の間、いつも未来について考えていました。懐古趣味的に過去を見ないようにしていますが、過去は美しいものではあります」と語るコレクションでは、50年代ルックを彷彿とさせるコケティッシュなフラワーもチーフ、60年代の Paco Rabanne (パコ・ラバンヌ) を思わせるフューチャリズム、そして60~70年代のサイケデリック、グラムロックスタイルの大胆さを兼ね備えた、エクレクティックなルックが揃った。
一見すると懐古的に見える近未来的なマテリアルやシルエットだが、そこには Raf Simons らしい素材使いの妙とも取れる趣向が凝らされており、ラウンドショルダーのミニドレスにはこぼれ落ちんばかりのスパンコール刺繍の他に、マットなウーツ素材の切り替え、そして絶妙なグラデーションを湛えたレース刺繍が躍る。
ムッシュー・ディオールが提案した「ニュールック」を現代へと蘇らせたミニマルなボールガウンは、今シーズンウエストが覗くカットアウトスタイルで登場し、フロントにはシルバーのメタルパーツが添えられた。
繊細なシルクオーガンザに緻密にプリーツ加工を施したスカートには、色とりどりのサテンリボンが刺繍され、モダンな中に熟練のクラフツマンシップが見え隠れする。
オートクチュールならでは豪奢なエンブロイダリードレスには、それとは対照的にマットな質感のウーツパーツやレースの切り替え、そしてフラワーモチーフのタトゥー刺繍が施されたボディスーツが合わせられるなど、様々な趣向を折衷しながらも、緩急のコントラストを見事に表現している。
Dior が持つ歴史やブランドアイデンティティ、オートクチュールのテクニック、モダンかつミニマルなセンシビリティ。それぞれが存在感を際立たせながらも、決して乖離することなく結託した今回のコレクションでは、Raf Simons の卓越したバランス感覚が遺憾なく発揮された。