"High&Low −John Galliano"
- the movie features john galliano releases in japan

ファッション界の革命児の栄光と転落、その贖罪とは。『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が日本公開

© 2023 KGB Films JG Ltd

"High&Low −John Galliano" - the movie features john galliano releases in japan
"High&Low −John Galliano" - the movie features john galliano releases in japan
News/

ファッション界の革命児の栄光と転落、その贖罪とは。『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が日本公開

"High&Low −John Galliano"
- the movie features john galliano releases in japan

「ファッション界の革命児」と呼ばれた世界的ファッションデザイナー John Galliano (ジョン・ガリアーノ) の栄光と転落をスキャンダラスに写し出したドキュメンタリー映画『High&Low −John Galliano』が、邦題を『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』と冠してついに日本上陸。John Galliano 本人がカメラに向かい、初めて明かされる事件の真相が116分間の映像で映し出される。The Fashion Post では、映画の公開を記念して John Galliano 本人の独占インタビューをお届けする。

1995年は GIVENCHY (ジバンシィ)、その翌年には Christian Dior (クリスチャン・ディオール) と世界的メゾンのデザイナーに次々と抜擢され、ファッション界の至宝と称えられた唯一無二のファッションデザイナー John Galliano。絶頂期だった2011年2月、反ユダヤ主義的な暴言を吐く動画が拡散され、彼は有罪判決とブランドからの解雇を受けた。今回リリースされる映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』は、彼の華麗なるキャリアから騒動が起こるまでの背景を捉えたドキュメンタリー作品だ。年に32回のショーという超人的な仕事量を抱えながら相次ぐ大切な人の死、アルコール依存症の加速……「ゆっくりと死に向かっていた」と自らが暴露する深い闇が、事件から13年経った今明かされる。

 

© 2023 KGB Films JG Ltd

映画のリリースに先駆けて解禁された予告編では、英国版『VOGUE (ヴォーグ)』誌の編集長 Edward Eninnful (エドワード・エニンフル) の「ジョンが現れてファッションは突然、ロック化した」という印象的なセリフからスタート。さらに作中では彼をはじめ、米国版本誌の伝説的な編集長 Anna Wintour (アナ・ウィンター)、トップモデルの Kate Moss (ケイト・モス) や Naomi Campbell (ナオミ・キャンベル) など、錚々たる面々が華やかなステージの裏側について真実を語り始める。

John Galliano は2014年、Maison Margiela (メゾン マルジェラ) に電撃復帰後も比類なき才能は衰えることなく、最新作である2024年春夏オートクチュール「アーティザナル」コレクションでは大きな話題を集め世界中を魅了している。数々のブランドを成功に導き、かつては栄光を手にした彼の心の中では一体なにが起きていたのだろうか。

絶頂期には年32回もの超人的なショーをこなし、メディアの取材を受け、ハリウッドスターやセレブリティとの付き合いも欠かさず、常に売り上げ目標をクリアする日々を送り続けていた John Galliano。The Fashion Post では、ガリアーノ本人が映画に託した自身のストーリーに対する並々ならぬ思いと、ファッション業界の闇と未来を語るインタビューをお届けする。

─2011年、事件が起こる前まで年に32回もの超人的なショーの数をこなしていたと伺いました。事件直前は想像を絶する多忙さだっただろうと想像しますが、実際の当時の心境や生活はどのようなものだったのでしょうか?

あの当時を振り返ると、完全に心がすり減っていたと思います。自分では否定していましたが、私はアルコール依存症でした。

─事件があり、失脚した後の生活はどのように変化しましたか?またなぜ本作への参加を決めたのでしょうか?

2011年に失脚して以来、アルコール依存症のために多くのセラピーを受けてきたし、そうしたセラピーのおかげで、できる限り正直でいることを学んだと思います。現在は一切、酒やドラッグは絶って生活しています。このドキュメンタリーへの参加を決めた理由のひとつは、そうした自分自身の経験が若いクリエイターたちへの警告になればいいと思ったということがあります。創作のために酒やドラッグを飲む必要があるという考え方はでたらめだということを理解してほしいのです。私は本当に、そういったものの影響下にあったときよりも、今の方がしっかりと仕事ができていますから。

© 2023 KGB Films JG Ltd

─今回の映画製作の経験はガリアーノさんにとってどのようなものでしたか?率直な感想を教えてください。

ケヴィン(監督)や撮影チームは、できるだけ苦痛を伴わないように配慮してくれたと思います。ですが、この経験は…やはり私にとってとても不快なものでした。それでも、ケヴィンと心を通わせて、それを分かち合うことができたと感じていますし、そのことに対してとても感謝しています。ケヴィン以外の人とはできなかった経験だと思うからです。

─ガリアーノさんは2014年からメゾン・マルタン・マルジェラのクリエイティブ・ディレクターとして復帰し、今年1月にパリで開催された“アーティザナル”コレクションが話題を呼ぶなど、精力的に活動を続けていますね。現在のファッション業界と、ディオールを解雇されるより以前のファッション業界とではどのような変化を感じますか?

2011年にクリスチャン・ディオールを解雇されてから、ファッション界はある意味でとても変わったと思います。メンタルヘルスの問題や中毒の問題について、人々はよりオープンになったと思うのです。ですが、それと同時にいまだに改善されていない問題点ももちろん残っています。例えば、サスティナビリティ(持続可能性)は、とても歓迎すべきことです。しかし、“クリエイターの持続可能性”についてももっと話してほしいと思っています。クレイジーな期待、ファッションイヤーのクレイジーなタイムテーブルは変わっていません。デザイナーに期待される生産量は、まだ正しくないのです。私たちはいまだに、たくさんの服を作ることを期待されています。

─では、ファッションデザイナー、ひいてはクリエイターにとっての“休息”の重要さについてはどのように考えていますか?

私たちデザイナーは、スタジオにいるすべての時間は、普段の生活を遠ざけている状態です。当然のことのように思うかもしれませんが、創造するためには、生きる必要がある。経験する必要がある。作家のように、画家のように、レコーディング・アーティストのように…。私たちは皆一様にして、創造するために経験や感情、思い出を必要としています。そして、もしそのチャンスが与えられないとしたら、何が起こり得るか、私たちは分かっているのです。

© 2023 KGB Films JG Ltd