COMETES COLLECTIVE

シャネルの未来を紡ぐ。コメット コレクティヴの3人が語る美への追求

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シャネルの未来を紡ぐ。コメット コレクティヴの3人が語る美への追求

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CHANEL BEAUTY (シャネル ビューティ) の未来を形作るために結成されたコミュニティ「COMETES COLLECTIVE (コメット コレクティヴ)」。新世代のスターたちが集結し、互いにインスピレーションを与え、様々な視点から CHANEL のヴィジョンを再解釈するこの取り組みにおいて、最初のアーティストに就任したのは、Ammy Drammeh (アミィ・ドラマ)、Cécile Paravina (セシル・パラヴィナ)、Valentina Li (ヴァレンティナ・リー) の3名。始動から約3年、CHANEL の革新とスピリットを引き継ぎながら、新たな「美」を追求し続けてきた彼女たちにインタビューを敢行した。

©CHANEL

—まず、皆さんが抱いている CHANEL への印象をお伺いできますか?

Ammy: CHANEL というブランドの面白さに気づいたのが、パトリモニーに行って、ブランドのアーカイブに触れたとき。モダンなデザインとクリエイションを間近で見て、改めて CHANEL のタイムレスな魅力に惹かれました。

Cécile: アーカイブに触れて特に印象的だったのが、パッケージのデザイン。例えば、「シャネル N°5」のボトルは、作り込まれたものではなくて、ラボラトリーにあった瓶をそのまま使用したそうなんです。装飾性が高いデザインが流行していた1900年代に、本質的な美しさや機能性を重視した CHANEL は、かなり革新的だったのだなと思いました。

Valentina: アーカイブを見たり、Gabrielle Chanel (ガブリエル・シャネル) について深く知れば知るほど、CHANEL のクリエイションの素晴らしさが分かってきました。特に「色」ですね。CHANEL のアリュール、そして美を表現する重要な要素のひとつなんですが、リップにしろアイシャドウにしろ、色そのものだけではなく、背後にあるストーリー全体をデザインする。それこそが CHANEL が掲げる美しさだということに気づかされましたね。

—CHANEL が掲げるアリュールや歴史、アイデンティティをどのように捉え、表現していますか?

Ammy: CHANEL の歴史を振り返ると、「色」に対して常に大胆な挑戦を行ってきたことがわかります。メゾンのヘリテージと響き合いながら、新しいクリエイションをどう形にしていくか。それが非常に難しいことだと感じています。これまで使ったことのない色を主役にコレクションを作るのは、まさに大きな挑戦でした。既存のシェードの奥深さを踏襲しつつ、いかにして新たな色調を見つけ出し、表現するかを模索し続けています。

Valentina: 自分自身に対して誠実であるということ、つまり自分がユニークな存在だと認めるということ、それが CHANEL のアイデンティティだと思っています。私たち3人は、それぞれ異なる背景や考え方を持っています。だからこそ、各々の個性を尊重しつつ、CHANEL の DNA に新たな視点を提供していきたいと考えています。

Cécile: 私たちが新しいコレクションやプロダクトを作るとき、Gabrielle Chanel が作り上げてきた歴史、そして彼女の意図を深く理解することがとても重要だと思っています。例えば CHANEL のアイコニックなバイカラーシューズ。美しさが重要視されていたこれまでの靴に実用的な要素を加えるために、汚れが目立たないようにつま先を黒にしたんですよね。また、今では当たり前になっているパンツスタイルも彼女が生み出したもの。新しいチャレンジというのは、常にリスクがつきまといますが、だからこそアヴァンギャルドなデザインが生まれるとも言えるのではないでしょうか。私にとっては、「カメリア フトゥーラ」コレクションがアヴァンギャルドな挑戦 でした。全体的にロマンティックで女性的なピンクトーンで揃えたのですが、アクア グリーンやトープ グレーなどの意外性のあるカラーをプラスして、“ひねり” を加えてみたのです。斬新な組み合わせに見えるのですが、思いのほかアクセントカラーとしてピンクトーンのアイテムとマッチして、手軽に使えるようになっています。

—皆さん違うスタイルをお持ちかと思いますが、お互いにどのように影響しあっていますか?

Cécile: クリエイションとは、個人的な深掘りから生まれるものでもあると思っていて。私たちはそれぞれのクリエイションについての考えを共有し、対話を重ねながらコラボレーションとして形にしています。異なるスタイルや方向性を持つ私たちだからこそ、ユーザー目線に立ったとき、新たな価値を創造できると信じています。

Valentina: 他のメイクアップアーティストと一緒に働くのは、私にとって初めての経験なんです。基本的にメイクアップアーティストというのは、個人で現場に行って仕事をするというのが普通なんですよね。だからこそ、初めはうまくやっていけるのかと少し不安もありました。でも、彼女たちとはすぐに意気投合ができて、CHANEL のメンバーとしてこれから3人で活動をしていく想像ができました。お互い違う背景があるからこそ、たくさんの刺激を受けて、毎日学び続けられているなと実感しています。

Ammy: この3人でのコラボレーションが始まって以来、自分だけでは決して思いつかなかったアイデアを数多くもらうようになりました。まさに新しい扉が開かれた感じ。お互いに異なる好みを持つからこそ、それぞれの良さを理解し合い、深く話し合うことができていると思います。例えば、Cécile がマットな仕上がりを好む一方で、Valentina はグローリーなつや感を追求する。それぞれが大切にするスタイルがある中で、私たち3人のコラボレーションは、美の視点が決して一つではなく、多様であるということを広く示せる点に意義があると考えています。

©CHANEL

—日本の文化、あるいは日本人のメイクからインスピレーションを受けたことはありますか?

Valentina: 私がこの業界に入ったきっかけは、浜崎あゆみさんなんです。『JEWEL』のミュージックビデオを見て、彼女がつけていた羽根のような真っ白なつけまつげ、その奥に見えるダイヤモンドの瞳に心底感動しました。本当に彼女のメイクは素晴らしい! 幼い頃からずっと日本文化に触れてきているので、日本から影響を受けていないはずがないというぐらいに影響を受けています。

Cécile: 私も日本はインスピレーションの源だと感じています。フランスでは、漫画やアニメなどの日本文化のファンもたくさんいるんですよ。でも私が一番インスパイアされているのは、日本の歴史です。江戸時代のメイクアップの仕方、例えばお歯黒であったりとか、眉毛の描き方、あとベニバナを使った紅とか。自分がメイクアップするときの大きな参考にしています。

Ammy: メイクアップアーティストの吉田奈未さんとご一緒したときに、日本文化独特のニュアンスや感覚というものがあるのだと感じました。彼女は、事前にメイクアップを細部まで決め込むのではなく、モデルを目の前にして、そこからインスピレーションを得て、作り上げたいキャラクターを形成していくのです。モデルの存在、選び抜かれたカラー、そしてその奥に潜む感覚。それらすべてが繋がり、一つのメイクアップとして完成する。この、まるで繋がって落ちていくような感覚こそが、日本らしい美意識だと思いましたね。

—今後 CHANEL で挑戦したいこと、打ち出したいアイテムなどがあれば教えてください。

Ammy: 3人でいつも、手軽に使える「ボーム エサンシエル」のようなマルチユースなプロダクトを作りたいねと話しています。

Valentina: 「レ ベージュ コレクション 2025」では、ポップなオレンジ色のアイテムをいくつか加え、遊び心を添えてみました。メイクアップは、自分を愛することであると同時に、自己表現へと繋がるもの。毎日同じルーティンになりがちなメイクに、少し違うカラーを試してみる。そんなささやかな楽しみを皆さんにお届けできればと思っています。

Cécile: 今は本当に多くのプロダクトが市場にあふれ返っている状態。その中で、輝くようなものを作っていくということが目標のひとつではありますが、私自身が望んでいることは、このアイテムがユーザーにとって特別な存在であるかどうかです。毎日使い続けるうちに、新たな視点や気づきをもたらしてくれるような、そんなプロダクトを作り出していきたいですね。