taro mizutani
holds solo exhibition "12000"

本来の「光」とは何かを問い投げる。写真家・水谷太郎が個展「12000」を開催

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本来の「光」とは何かを問い投げる。写真家・水谷太郎が個展「12000」を開催

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ファッションフォトグラファーとして数々の雑誌を手掛ける一方で、ライフワークとして世界各地の情景を詩的に切り取る水谷太郎。外苑前のギャラリースペース (Tentative) (テンタティブ) にて開催される個展「12000」は、水谷が写真を扱う中で根源的に抱いていた「光」についての興味をテーマとしている。本展は、写真、オブジェを用いたインスタレーションで構成される。また、本展と同名の作品集『12000』も会場にて販売される予定だ。会期は、8月16日(土)から8月31日(日)まで。

1975年生まれ、東京都出身のフォトグラファー・水谷太郎。根強いファンも多い彼の作品は、圧倒的な美意識とコンセプチュアルな視点を持っている。今回の個展で、水谷がフォーカスしたのは、「光」。人類が光を扱い始めてから12000年目の現在で、本来の「光とは何なのか」という根源的な問いを起点に、今回の展示を企画した。展示される写真群が浮かび上がらせるのは、光を放つ者が彷徨う様子。そしてそれらの作品は、身近に溢れ進化とともに消費されていく光の価値観、向き合い方について鑑賞者に問いかける。

会場中央に鎮座するのは、大型のマップケース。写真作品や、制作時に収集されたオブジェなどが収められたインスタレーションに加え、周辺には現代の光を象徴する液晶モニターが設置され、光を増幅させる映像作品が放たれる。本展を構成する要素の1つである本を読むことで、本作全体を体験することができる仕掛けには特に注目したい。

東京を拠点に活動するスタイリスト・石井大、広告など多方面で活躍する美術・松本千広の共同により立体的に立ち上がった作品集『12000』も本展に伴い、刊行される。ファッションを起点に、時代や社会との関係性、そして本展のテーマ「光とは何か」という問いを体現するプロジェクトとして開催される今回の個展。同書は、その記録であると同時に、詩人・小説家の大崎清夏、哲学者の福尾匠によるテキストを収録し、アートディレクター・坂脇慶のもとに再構成された、展示とはまた異なる視点を持つフォトブックである。スマートフォンやデジタルメディアに囲まれた現代において、視覚情報の源である「光」の意味を見つめ直し、纏うこと、映すこと、見ることの本質を多層的に再考する本展「12000」。ぜひ会場に足を運んで、時代とともに変容してきた「光」について考えを膨らませてほしい。