dsquared2
30th anniversary interview

創造性の向こう側へ。ディースクエアード30年の軌跡と未来を拓く力

Giampaolo Sgura

dsquared2 30th anniversary interview
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創造性の向こう側へ。ディースクエアード30年の軌跡と未来を拓く力

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1995年、ファッションの中心地イタリアで誕生した DSQUARED2 (ディースクエアード)。そのデザイナーを務めるのは、Dean Caten (ディーン・ケイティン) と Dan Caten (ダン・ケイティン) の双子の兄弟だ。彼らのクリエイションの真髄は、ルーツであるカナダの自由なストリートスピリットとイタリアで磨き上げられた精緻なテーラリング技術の絶妙な融合にある。その型破りでユニークなスタイルは、瞬く間にファッション界に新風を巻き起こし、多くの人々を惹きつけてきた。創立30周年という節目を迎えた今年、彼らはその歩みを止めることなく、さらなる高みを目指している。
特に5つのブランドとのコラボレーションという試みは、尽きることのない探究心と、ファッションの未来を切り拓くという強い意志を物語っているとも言える。今回、30周年記念ポップアップの開催を祝し、クリエイションの秘密、そして彼らがこれから描く未来について、デザイナーである二人に話を聞いた。

—今年30周年を迎えましたが 、創業当時から変わらないブランドの核、つまり「DSQUARED2らしさ」とは何か教えてください。

私たちのブランドを紛れもなく DSQUARED2たらしめているのは、その姿勢です。創業当初から、私たちは相反する要素を融合させることを楽しんできました。華やかさとたくましさ、エレガンスと反骨精神、生意気さと自信……。私たちは自分たちのことを真面目に考えすぎず、楽しむことを忘れず、その境界線を押し広げてきました。30年経った今も、そのエネルギーと遊び心こそが、私たちのあらゆる活動の根幹にあると思っています。

—そういった「遊び心」や「オリジナリティ」は、どのように生まれているのでしょうか?

それは単純に私たち自身がそうだからです。DSQUARED2は、誰かに無理強いされたわけではなく、私たちが思いきり楽しむ姿そのものなんです。インスピレーションが湧けば、いろいろな要素を混ぜ合わせて、限界を押し広げ、そのすべてをコレクションに注ぎ込む。そのプロセスは乱雑で混沌としているけれど、完全に自然なもの。だからこそ私たちが作るものすべてが大胆で、少しワイルドで、そして100% DSQUARED2らしく感じられるのです。

—長年ブランドを牽引されてきたお二人ですが、互いにどのような影響を与え合ってきたのでしょうか。

私たちは人生のあらゆる場面で互いに影響を与え合ってきました。デザインからファッション、ビジネスの考え方までね。私たちの創造性は常に刺激し合っていて、どちらかがアイデアを思いつくと、もう一方がそれをさらにプッシュして、新しい方向へ導いていくといった感じです。そしてもちろん、言葉では言い表せない双子の絆があります。恐ろしいほどお互いを理解し合っていると感じるときもあるぐらいです。ある女性が私たちを鳥に例えてこう言ったことがあります。「ディーンは翼、ダンは足。翼がなければ飛べず、足がなければ着陸できない」。私たちはシンプルにお互いが必要不可欠なのです!

—今回、5ブランドとのコラボレーションを発表されましたが、コラボレーションパートナーを選ぶ上で最も大切にしていることは何ですか?

コラボレーションパートナーを選ぶ上で、私たちが一番重視しているのはエネルギー、姿勢、そして楽しむ感覚が共有できるかどうかです。大胆に挑戦する気持ちと、遊び心を持ち合わせている個人やブランドを求めているのです。それは無理やりではなく、自然と湧き上がるワクワク感でなければなりません。双方が独自のビジョンを持ち寄って、アイデアをぶつけ合い、クレイジーで予想外のことが起きるのを見届ける瞬間が大好きなんです。リスクを恐れず実験し、DSQUARED2のスピリットに忠実でいながら楽しむことができるパートナーがいたら嬉しいなと思っています。私たちがインスピレーションを与えるのと同じぐらい、私たちをインスパイアしてくれる協業相手ということですね。その化学反応が起こったときにこそ、魔法のようなクリエイションが生まれるからです。

—それぞれのコラボコレクションにテーマはあるのでしょうか。

コラボレーションに決まったテーマはありません。DSQUARED2と共鳴するデザイナーたちに、私たちのエネルギーと結びつきながら彼らのビジョンを具現化する場を提供することが本質なのです。どのコラボレーションも唯一無二であり、だからこそ私たちはすべてを愛しています。MAGLIANO (マリアーノ) は、エレガンスとカジュアルウェアをミックスし、アンダーグラウンドカルチャーを表現しています。VAQUERA (ヴァケラ) は、ファッションのルールを覆すような遊び心でラグジュアリーを再定義している。BETTTER (ベター) は、デッドストック衣料を独創的かつ緻密な手法で生まれ変わらせました。Ducati (ドゥカティ) とはスタイル・洗練性・性能という価値観を DSQUARED2の大胆なアティチュードと融合させ、KISS (キッス) とのコラボでは、グラムロックの懐かしいムードをたっぷりと蘇らせたんです。コラボレーションにおいても異なるスタイルの融合を追求する。これこそが DSQUARED2らしいアプローチなのです。

—様々な分野の相手とのコラボレーションは、ブランドにどのような影響を与えていると思いますか?

30年にわたる事業の中で、私たちはブランドやスポーツチーム、アーティスト、セレブリティなど様々な相手とコラボする機会に恵まれてきました。そのたびに何かが火花を散らすのです。新たな化学反応が生まれ、私たちを常に新鮮な気持ちにさせてくれます。そのようなコラボレーションを重ねるたび、私たちをより大胆に、よりワイルドに、より DSQUARED2らしく突き動かしてくれるのです。

—時代の変化とともにファッションの価値観も多様化しています。DSQUARED2 がこれからも輝き続けるために、今後どのような挑戦をしていきたいですか?

問題は、今やファッションだけではないということです。進化を望むなら、多様化を図り、ブランドをライフスタイルの他の領域へ展開する必要があると考えています。すでに「Ceresio7 Pools & Restaurant」や「Ceresio7 Gym & Spa」でこの試みは成功していますし、今こそさらなる飛躍のときだと考えています。ホスピタリティやライフスタイル分野への拡大は、新たな体験を創出し、人々とこれまでとは違う形で繋がり、ファッションという枠を超えて  DSQUARED2のスピリットを生き続けさせることができるのです。

DSQUARED2は、ブランド創立30周年を記念して、伊勢丹新宿店メンズ館 1F ザ・ステージとディースクエアード東京店、表参道店の3箇所でポップアップを開催する。会場では、5つのブランドとのコラボレーションコレクションや限定アイテムなどが発売される予定。唯一無二のクリエイションが凝縮された空間で、彼らが創り出す新たな世界観を堪能してほしい。