カルティエが紡ぐ、女性たちの未来を照らす“光の連鎖”。特別セッション「CARTIER DIALOGUES」が開催、様子をレポート
Yuta Kono © Cartier
3月8日の国際女性デーを目前に控えた2026年3月6日、Cartier (カルティエ) は東京のフランス大使公邸にて、特別セッション「CARTIER DIALOGUES – WOMEN LIGHTING THE PATH」を開催した。2025年大阪・関西万博での「ウーマンズ パビリオン」の精神を継承し、メゾンの新たなチャプターを告げるこのイベントの模様をレポートする。
カルティエが紡ぐ、女性たちの未来を照らす“光の連鎖”。特別セッション「CARTIER DIALOGUES」が開催、様子をレポート
20年の支援と万博のレガシーが結実した、新たなプラットフォーム
イベントの幕開けに際し、カルティエ ジャパン プレジデント&CEOの Laurent Feniou (ローラン・フェニウ)が登壇。半年間にわたり「ともに生き、ともに輝く未来へ」をコンセプトに、多くの対話を生んだ大阪・関西万博の「ウーマンズ パビリオン」を振り返り、女性のエンパワーメントを「ともに」推進していくことの意義を改めて共有した。国籍や世代を超えて人々が募った熱量を、ひとつのレガシーとしてどう未来へ繋ぐか。その答えとして、カルティエ ウーマンズ イニシアチブ プログラム & アクティベーションズ ディレクターの多賀淑によって提示されたのが、世界各地で展開される新たなプラットフォーム「CARTIER DIALOGUES(カルティエ ダイアローグ)」だ。そもそも同メゾンに、20年前から社会に前向きな変化をもたらす女性起業家を支援し続けてきた「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ(CWI)」という確固たる土台があり、今年、創設20周年を迎える。その強くしなやかな絆を礎に、万博での経験を加えてアップデートさせたのが今回のプロジェクトだ。「WOMEN LIGHTING THE PATH(未来を照らす女性たち)」をテーマに掲げたこの取り組みは、今後世界各地で展開され、多様な声をつなぎ、未来を照らす光を紡いでいく場となる。
Laurent Feniou
多賀 淑
忘れ去られた才能に光を。駐日フランス大使が語る「真のリーダーシップ」
セッションの第一部では、女性として初めて駐日フランス大使に就任した Béatrice Le Fraper Du Hellen (ベアトリス・ル・フラペール・デュ・エレン) が登壇。大使は、フランスの文豪 Paul Claudel (ポール・クローデル) の陰に隠れ、精神病院でその生涯を閉じた女性彫刻家、Camille Claudel (カミーユ・クローデル)のエピソードを引用し、歴史の中で見過ごされてきた女性の才能に光を当てることの重要性を説いた。国連の通訳を夢見た少女時代から大使へと至る自身のキャリアを振り返りつつ、「ガラスの天井を破るのは、自分のためではなく、他の女性たちのために道を切り拓くためである」と断言。さらに、「自分たちを『専門家』として特権化するのではなく、意見の異なる人々とも対話し、共感の輪を広げ続けること」という、民主主義の根幹に関わる力強いメッセージを会場に贈った。
Béatrice Le Fraper Du Hellen
響き合う個性。多彩なゲストが語る「光」と何か
セッションのハイライトとなった第2部のトークセッションでは、モデレーターの小島慶子から投げかけられた「あなたにとって光とは何か」という問いをきっかけに、分野の垣根を超えて活躍する4名のゲストがそれぞれの解釈を披露。2025年大阪・関西万博日本館名誉館長を務めた俳優の藤原紀香は、バングラデシュの保健衛生事業で出会った日本人看護師の献身的な姿を回想。「たとえ1%でも社会の役に立ち、誰かの笑顔につながるのなら最高なこと。そんな思いを一人ひとりが持てたら、社会はきっと変わっていくはず」と、長年のボランティア活動に裏打ちされた慈愛に満ちた言葉で、個人の志が放つ光の尊さを強調した。
藤原紀香
続いて、慶應義塾大学医学部教授の宮田裕章は、科学的な視点から光を再定義。光とは「何か(対象物)と出会うまでは見えないもの」であり、「関係性の中で初めてその姿を現す」ものであると論じた。光は一人の中に完結するものではなく、他者や世界という「波」と出会うことで初めて輝きを放つもの。一人ひとりの個性という「光の粒」が干渉し合うことで、新しい未来の模様が描かれるのだという、共生社会への希望を提示した。アーティストのスプツニ子!は、万博で出会った80歳の現役アーティスト、ORLAN (オルラン)の情熱に触れた際のエピソードを語り「過去の法や仕組みに自分を押し込めるのではなく、未来は変えられるというマインドセットを持つこと自体が、私にとっての光。変化に貢献し続ける勇気を持ちたい」と話した。セッションの締めくくりに、僧侶でありアーティストの西村宏堂は、「お化け屋敷が怖いのは暗いから。光を灯せば恐怖は消える」というユニークな比喩を提示。相手がなぜそのように考えるのかという背景(影)を知ろうとすることこそが知恵の光となり、現代の恐れや分断を拭い去ってくれる。僧侶ならではの深い洞察に、一同は深く頷いていた。
宮田裕章
スプツニ子!
西村宏堂
女性の変革力と可能性を追求し、対話と行動を促すプラットフォーム「カルティエ ダイアローグ」。アート、ビジネス、テクノロジーなど多彩なテーマを掲げ、日本において継続的に展開されるこの試みは、次回5月の開催を予定している。











