そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3
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そろそろマジメにファッション業界のコミュニケーションを考えてみよう part 3
It's time to seriously consider how to communicate within the Japanese fashion industry: part 3
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文: 飯山 満 英語翻訳: 倉増アンバー
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あえて冒頭からいきなり身も蓋もない結論を言うと、現状日本でファッションブロガーという存在が、ブランドコミュニケーションのパフォーマンスを左右するようなことは無い。少なくとも筆者はそう思っている。実際、そもそも純粋にファッションブロガーと呼ばれるような存在が、日本国内にどれだけいるのだろうか?という話からスタートしてしまうだろうし、それ以前に、日本ではファッションブロガーに限らず「××ブロガー」と呼ばれ、かつ規模も影響力も含めた上で、いわゆる「メディア化したブロガー」という存在自体、海外と比較すると少ないのが現状ではないだろうか。
現実を考えても、今現在ファッションブロガー、いや、もっと広義に「ファッションのコトを書くブロガー」が、どういう人かというと、結局モデルさんであり、スタイリストさんであり、あるいは芸能人であったりする。いわば、ブロガー以前に業界関係者だ。
「いや、読モがいるじゃないか」と言われるかもしれないが、読モであったとしても、言ってしまえばモデル。結局は、彼 (女) たちのお仕事は、基本的にファッション雑誌をはじめとしたメディアが存在することで初めて成立しているわけだし、つまりは、これまで述べてきた「サロン」化したコミュニティが無い限り存在しないわけだ。
つまり海外とは異なり、ファッションブロガーという存在自体が、そもそも独立した「メディア」になっているわけではなく、あくまでも「ギョーカイ」におけるコミュニティを中心とした、これまで脈々と続いてきた流れに密接に紐付いているということになる。こういったバックグラウンドの違いは、実はブログそのものにもよく現れている。たとえば海外のファッションブロガーは、少なくとも全面的に、自分のブログに自分のポリシーや、考え、あるいは世界観というものを大きく打ち出すことで成立しているケースが多い。これが、そのブロガーの独自性であったり、様々なファンを惹き付ける大きなポイントとなる。いわば完全にメディア化しているし、それが十分に機能している状態だと言ってもいいだろう。
2/2ページ:海外のファッションブロガーが、ある種「メディア」の一つとして考えられるのに対し、日本の場合は雑誌の「広告枠」あるいは「ペイパブ枠」のオンライン拡張版になってしまっているのが現状である
では一方で、日本の場合はどうなのかということを考えると、先ほども述べたように、もともと本来の「サロン」化した閉鎖的なコミュニティ内での仕事をメインにしている人たちが「ブログも書いている」という状態で成立していることが多いため、良い意味でも悪い意味でも、この「サロン」化した閉鎖的なコミュニティにおける世界観やルール、そしてお作法等が紐付いた状態で語られてしまうケースが多いのは否めなかったりする。
このように、そもそもの成り立ちが異なってきているので、海外のファッションブロガーが、ある種「メディア」の一つとして考えられるのに対し、日本の場合、もちろん例外はあるものの、多くの場合「メディア」というよりは、既存ファッションメディアに紐付く広告枠の一つというような位置付けになってしまっている。もっとストレートに言ってしまうと、雑誌の「広告枠」あるいは「ペイパブ枠」のオンライン拡張版になってしまっているのが現状だ。
つまり、そもそも基本的な構造が大きく異なっている。海外で普通に行われ、かつ一定の成果を出している(と考えられている)やり方を、日本で、そのままなぞらえるだけでは、きちんと機能しないのも当たり前だということを、まず認識した方がいいだろう。そして、この構造の違いをきちんと認識することが、これから先、日本でブログをはじめとしたソーシャルメディアを、ブランドコミュニケーションに的確に活用する決め手となってくる。次回は、日本と海外の構造の違いを、より深く掘り下げていきながら、日本国内で機能するであろうソーシャルメディアのブランドコミュニケーション的活用を考えていきたいと思う。
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