Schiaparelli (スキャパレリ) 2016年春夏 オートクチュールコレクション、おふざけで生まれた至高のグルメ

© Schiaparelli

「食事には物質を体内に取り込む以上の意味がある。より良い食生活は生きることへのこの上ない喜びをもたらすと共に、心身の改善や人との交わりを通した幸福を与えてくれる。ひいては食事が気力において大きな役割を果たしている。」ー Elsa Schiaparelli (エルザ・スキャパレリ)、自著「Shocking Life (邦題: ショッキングピンクを生んだ女)」(1954年) より

Schiaparelli (スキャパレリ) の2016年春夏 オートクチュールコレクションにおいて、Bertrand Guyon (ベルトラン・ギュイヨン) がテーマに打ち出したのは、至高のグルメ。フレンチのフルコースをインスピレーションに、シュールレアリスムの提唱者であるメゾンの創設者 Elsa Schiaparelli (エルザ・スキャパレリ) のクリエイションを現代へと蘇らせたコレクションでは、予想の斜め上を行く「単純な発想」で表現された。カトラリーやワインボトル、燭台、そして様々な食材 (中には寿司も) がプリントされたドレス。殻を割ったゆで卵を模したケープ。創業者と親交が深かったシュールレアリスムアーティスト Salvador Dalí (サルバドール・ダリ) の代表作であり、Schiaparelli の代表作でもあるロブスタードレスを胸元のパッチワークで表現したドレス。

Eating is not merely a material pleasure. Eating well gives a spectacular joy of life and contributes immensely to goodwill and happy companionship

なんだかこれでいいのか、と疑問に思うほど単純で陳腐に見えるコレクションだが、見続けているうちどこか説得力すら感じてくる。ボーンチャイナのような質感を忠実に表現した3Dプリントのエンブロイダリーはオートクチュールならではの精巧なディティールが目を引く上、バスト部分だけがヌードカラーのシアーな素材で切り替えたエンパイアドレスに至っては片側の胸にだけチェリーのチャームを縫い付けてるときた。きっと Elsa Schiaparelli 自身も、Dalí や Louise Bourgeois (ルイーズ・ブルジョワ) とワインを嗜みながら半分おふざけ、半分真剣でこうしたアイデアを思いついていたのではないだろうか。

HP: www.schiaparelli.com/

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