A New Collaboration of Two Channels: Physical Stores and E Commerce

互いに補い合う「リアル店舗」と「Eコマース」という2つのチャネル

A New Collaboration of Two Channels: Physical Stores and E Commerce
A New Collaboration of Two Channels: Physical Stores and E Commerce
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互いに補い合う「リアル店舗」と「Eコマース」という2つのチャネル

A New Collaboration of Two Channels: Physical Stores and E Commerce

今年に入り、ZOZOTOWN (ゾゾタウン) の成長に陰りが見えてきたという報道を多く目にするようになった。もちろん さまざまな要因があるとは推測しているが、その要因のひとつとして日本国内においてアパレル商材をEコマースというチャネル単体のみで売り上げ拡大していくことが徐々に難しい状況になってきているのではないかと考えている。

文: ナカムラユキ  英語翻訳: シェン・ダイアナ・リリー

ゆるやかに失速を始めたアパレルEコマース専業の「ZOZOTOWN」

今年に入り、ZOZOTOWN (ゾゾタウン) の成長に陰りが見えてきたという報道を多く目にするようになった。もちろん さまざまな要因があるとは推測しているが、その要因のひとつとして日本国内においてアパレル商材をEコマースというチャネル単体のみで売り上げ拡大していくことが徐々に難しい状況になってきているのではないかと考えている。

そこでZOZOTOWNは新たな間口の広げ方として、数年前から行なっているCM放送に加え、先日休止の決まったカタログ、さらに来月には初のリアルイベントの開催などが予定されており、この数年間でさまざまなウェブ領域外への進出が見られている。

ちなみにこの状況はドメスティックブランドの直営Eコマースでもほぼ似たような状況で、いかに「リアル店舗」と「Eコマース」の併用促進をさせるかに頭を悩ませている。O2O(オンラインtoオフライン)なんて言葉がこの1、2年でもてはやされはじめているのも、こういった背景があるからではないだろうか。

2/3ページ:店舗の出店地域がもたらすEコマースへの間接的貢献

ZOZOCOLLE

店舗の出店地域がもたらすEコマースへの間接的貢献

国土の広いアメリカにおいては通販業態やEコマースが普及している。アパレル商材のEC化率という観点では一説には20%を越えているとも言われている。

反対に日本という小さな島国においては、新しいショッピングモールやファッションビルの建設がいまだに行われ続け、さまざまな店舗が入退店を繰り返している。買いたければ買いに行ける距離に店舗がある可能性も高く、比較的恵まれた出店環境にあるともいえる。

話は変わるが、ファッション系Eコマースの主要利用者は地方在住者が多いというイメージを持たれる方もいらっしゃると思う。しかし実際は都市部、とりわけ関東圏在住の利用者割合が多い傾向にある。

もちろん人口母数の関係もあるが、普段店頭で見かけ、慣れ親しんだブランドの商品であれば安心してEコマースでも買えるという見えない要素が働き、店舗の出店数の多い都市部での利用割合が上がりやすい傾向にあるといわれている。

以前とあるクライアントで、過去一度も出店を行ったことのない地域ではEコマースの売り上げが顕著に低く、逆に以前出店していたがいまは退店してしまった地域では、人口の割合を考慮してもEコマースでの売り上げが高い傾向にあるというデータを見たことがある。

どちらのケースにおいても、「リアル店舗」が出店エリアに訪れる人々に対して、何らかのブランド接点(購買行為や認知など)が設けられ、それが間接的にEコマースというデジタルな世界に持ち込まれているとも考えられる。

3/3ページ:切っても切れない関係にある「リアル店頭」と「Eコマース」

切っても切れない関係にある「リアル店頭」と「Eコマース」

最終的に両方のチャネルをうまく活用して企業全体としての売り上げを上げればいいと考えると、顧客がどちらかのチャネルで商品を買ってくれれば利用チャネルの違いというものはあまり関係がない。しかし出店料、賃料、人件費などのさまざまなコストをシビアに考えると、効率性をつきつめるEC重視の方向にビジネスをシフトするメーカーも今後出てきてもおかしくはない。

もちろんリアル店舗が悪いということは全くなく、ZOZOTOWNのリアル戦略やウェブ発のショップがリアル店舗を出店する逆の流れも現れてきていて、リアル店舗というチャネルがもたらすブランドの知名度や売り上げへの貢献は、ウェブ専業の業態にとっても見過ごすことができないものなのだろう。

つまり起点が「リアル店舗」か「Eコマース」かということは既に関係がなく、今後は「リアル店頭」と「Eコマース」を互いに補完させていけるかが、これからのファッションビジネス、ひいては有店舗型の小売業におけるポイントとなってくるのではないだろうか。

ナカムラユキ/アクティベートファクトリー代表。webデザイナーとして多数のサイト制作に関わった後、2006年より株式会社ガイアックスにてディレクターとして大手コミュニティサイトなどのサイト構築に携わる。2010年よりフリーランスにてファッション関連企業のIT支援コンサルティング事業をスタート。現在は国内アパレルメーカーを中心に直営Eコマースのコンサルティング、企画、執筆、市場調査、講演などを行なう傍らで、2011年5月よりファッション×ITに関するブログメディアinfashionにて情報発信を行なっている。

URL: http://in-fashion.biz