プランピング、グリッター、100層重ねのグロスに、葛飾北斎…どこまで行く、進化するリップメイク最前線
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プランピング、グリッター、100層重ねのグロスに、葛飾北斎…どこまで行く、進化するリップメイク最前線
Four Intense Lip Make Up Trends You Might Not Want To Try
アーティスティックなリップメイクの歴史は、ファッション写真の歴史と同じくらい長い。1970年に Guy Bourdin (ギー・ブルダン) がフランス版『Vogue (ヴォーグ)』のために撮り下ろした作品から、Irving Penn (アーヴィング・ペン) による言わずと知れた不朽の名作「Bee (ビー)」に至るまで 、メイクアップアーティスト、そしてフォトグラファーにとってこの肉感的なボディパーツは、格好のアートキャンバスとしてインスピレーションを掻き立ててきた。
アーティスティックなリップメイクの歴史は、ファッション写真の歴史と同じくらい長い。1970年に Guy Bourdin (ギー・ブルダン) がフランス版『Vogue (ヴォーグ)』のために撮り下ろした作品から、Irving Penn (アーヴィング・ペン) による言わずと知れた不朽の名作「Bee (ビー)」に至るまで 、メイクアップアーティスト、そしてフォトグラファーにとってこの肉感的なボディパーツは、格好のアートキャンバスとしてインスピレーションを掻き立ててきた。
それはソーシャルメディアが席巻する現代も同じこと。むしろ、小さなインデックスで写真が並列されるスマホ時代において、リップメイクというのはそれだけで強烈なインパクトを放つ「ステートメント」であると言えるだろう。もっと言えば、このことは英語で「Eyes talk (目は物を語る)」と言うように、アイメイクが目の形そのものをベースにした立体作品であるのに対し、リップメイクは立体であると同時に極めて匿名性の高い平面のキャンバスであることも寄与していると考えられる。だからこそ、ソーシャルメディアのセレブリティたちはありとあらゆる知恵と創意性をしぼって、未知なる可能性に挑戦するのだ。
今回、デイリーのメイクアップには大凡ふさわしくないであろう、クリエイティブ過ぎて現実離れしたリップメイクを4つの観点から分析。こんなメイクでキスされたくない、なんて野暮なことを言うべからず。メイクアップは、アートですから。
High Octane Plumping
ぷっくりとしたリップがもてはやされるようになったのは何も今に始まったことではない。Emmanuelle Béart (エマニュエル・べアール) や Angelina Jolie (アンジェリーナ・ジョリー) の肉感的なリップには誰しも憧れを抱いたはずだし、Paris Hilton (パリス・ヒルトン) がヒアルロン酸を入れたリップをだらしなく半開きにしている写真を見て眉をひそめながらも、美容整形のサイトで値段を調べたのは一人や二人ではないはず。しかしこれほどまでに医療が発達した2016年に、こんなにアナログな「リップ・プランピング」が流行するとは誰も予想していなかったはずだ。
言わずと知れたお騒がせファミリー、カーダシアン一家の末娘 Kylie Jenner (カイリー・ジェンナー) のような厚みのあるマットなリップに憧れたティーンエイジャーの女の子たちがこぞって取り入れるのが、吸引式のリップ・プランパー。仕組みはシリコン製の小さな筒に唇を押し込み、吸い込む気圧で唇の形を整えるというもの。医学的な安全性は些か心配だが、その効果は絶大で、誰でもエアブラシで書いたグラフィティのような立体的で存在感のあるリップを手にいれることが出来る。
Glitz And Drips
森山大道のモノクロ作品で、メタリックのリップを捉えた写真がある。それを見たとき、おそらく多くの人は見たことも無いような近未来的で幻想的なリップメイクに陶酔したに違いない。そして、良くも悪くも初心者向けで、解説じみたインターネットの世界では、このエロティックなメイクをお家で簡単に再現出来るということが証明されている。
ゴールドのピグメントに粘度の高いグロスを混ぜたもので、丁寧にリップラインを取る。全体にゴールドシェードを伸ばした後には、ムラにならないように上下の唇にとにかくゴールドの液体を重ねる。単純だが相当の根気と手間が必要なこのメイクでパーティーに行けば、意中の人にも一目で覚えてもらえること間違い無し。キスした後のクリーニング代は、うちでは負担しませんが。
A Hundred Layers Challenge
とにかくインパクト重視のソーシャルメディア。じゃあ、「More is more (多ければ多いほどいいじゃん!)」精神でとにかく重ねてみよう、という何とも単純かつな発想で生まれたムーブメントが「100 Layers (100層重ね)」チャレンジ。日に日に濃くなっていくメイクトレンドに対するアンチテーゼとも取れるこのトレンドは、要するにリップないしメイクアッププロダクトを100層重ねるという耐久戦のようなもの。その効果はというと、リキッドメイクが皮膚の上から浮き出し、なおかつ乾燥することでえも言われぬグロテスクなテクスチャーが完成する。常に高みを目指すビューティーインフルエンサーたちの集大成とも言えるこのムーブメント、なお日本ではまだその流行に兆しは無いし、特に求めてもない。
Canvas On The Lips
これまで紹介した3つが比較的おふざけ要素が強いのに対し、最後に紹介するのは世にも美しいファンタジーなリップメイク。作り出すのは、カナダ人のメイクアップアーティスト、ビューティーブロガーの Andrea Reed (アンドレア・リード) だ。ディティールに迫った精巧なクリエイションでソーシャルメディアを中心に話題を集める彼女の作り出すリップメイクは、ずばり「アート」。Roy Lichtenstein (ロイ・リキテンスタイン) や、冒頭の Irving Penn、Gustav Klimt (ギュスタフ・クリムト)、そして葛飾北斎に至るまで、芸術史に残る名作をインスピレーションにした Andrea のリップメイクは、 さながらアートキャンバスのような創意性に溢れている。
輪郭を整える、塗る、重ねる、ぼかす…その他ありとあらゆる方法で進化を遂げるリップメイク。次に来るのはどんなトレンドか、続報待たれよ。